Trail Running Trip -TRANS LANTAU-

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買い物がしたい。
その国の文化を感じてみたい。
その土地ならではの美味しい食事をしたい。
見たことがない景色を見てみたい。
経験したことがない冒険をしてみたい。
日常から脱したい。

旅に出る目的は十人十色。人によって様々な理由がある。
 

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昨年のvibram Hong Kong 100に続き、今年は香港のトレイルレース「TRANS LANTAU」に参加した。

実は今年もvibram Hong Kongにエントリーしたのだが、抽選に落ちてしまいリベンジの機会を逸してしまった。でも、どうしても再び香港に行きたいと思っていて、アジアトレイルに詳しい蚊取り線香氏に「他にお薦めは?」と訊ねたところ、「TRANS LANTAU」という返答をいただいた。
 

vibram Hong Kongは香港の中でも新界と九龍エリアを舞台とするが、TRANS LANTAUは香港最大の島であるランタオ島のトレイルが舞台。ランタオ島には香港国際空港やディズニーランドがあり、豊かな自然に囲まれている近年開発の進むエリアである。TRANS LANTAUは今年で5回目となり、毎年コースやカテゴリーが変更になっているようだ。今回は100k(5500mD+/32時間)、50k(2300mD+/13時間)、25k(1200mD+/8時間)と3つのカテゴリーで開催された。メインレースの100kが一番人気で、ぼくがエントリーしたのは50k。50kは抽選どころかクリック合戦もなかった。

TRANS LANTAUは日本人が多く参加するvibram Hong Kongと異なり、レースに関する情報が少ない。今年もリザルトを見ると50kに参加したランナーの約650名中、日本人ランナーは10名。メインレースの100kでも20名だったようで、香港在住の日本人も参加していることを考えれば、日本から行くランナーはかなりの少数派である。
 

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50kは土曜日の9時スタート。ぼくは前日の金曜日夕方に香港入りして、夜はゆっくりと休んだ。香港は日本からの移動時間も少なく、身体の負担も小さい。週末のレースは金曜日と月曜日に有給をとれば参加できる。実は身近なトレイルレースなのである。

翌朝は宿泊している香港島中心地からレースの舞台であるランタオ島までフェリーで移動する。スタート地点までのアプローチは、国内でも参加経験がないと不安なものだが、TRANS LANTAUは事前にメールで丁寧な案内が届いた。
 

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スタート前は獅子舞が踊り気分を盛り上げる。参加するランナーは地元香港の他、中国、シンガポール、インドネシア等アジア系に加えて、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア等、国籍は多彩。インターナショナルな雰囲気が海外レースであることを感じさせる。
 

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レースはビーチからスタートする。少し舗装路を走り細いトレイルへ。ぼくはいつものように最後尾からのんびりと出発。すでに歩いているランナーが多くいたのだが、彼らは時間内完走できたのだろうか。50k、特に後方にいるランナーは楽しみながらのんびり進むといった雰囲気があり、ラン仲間やカップル同士で進む姿も少なくなかった。
 

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昨年走ったvibram Hong Kongとは似て異なるトレイル。vibram Hong Kong、THE NORTH FACE 100、TRANS LANTAUと香港で開催される3つの100kレースを走った仁科昌憲氏(100k/男子7位!)によれば、TRANS LANTAUが一番テクニカルな印象だったとのこと。個人的にはvibram Hong Kongが香港の歴史を感じながら走るレースだとすれば、TRANS LANTAUは香港の自然を味わうレースと感じた。細いシングルトラックや藪漕ぎ、ガレ場、沢。印象深い景色が記憶に残る。
 

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レースが開催された週は、香港では季節外れの寒さだったそうだ。事前にレイヤーを増やすように主催者からメールで案内が届いていたが、体感温度の低さは予想を上回っていた。トレイルランニングが盛んな香港なので装備は現地で手配できないことはないが、専門店の情報を探すのが少し困難。日本から多めに持って行って、現地の天候で判断するのがよいと思う。

寒さに加えて海から吹きさらしの強風、ガスとコンディションがよいとは言えない状況で、経験値が問われるレースとなった。100kは24時間時点で中止となったようだが、今年のvibram Hong Kongをはじめ、香港ではこのところ天候不良によるレースの混乱が続いていたようで、トレイルランニングが自然を舞台とするアクティビティであることを考えれば、主催者の早めの判断は正しかったように思う。
 

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ぼくは制限時間内に無事完走。今回は体調管理を意識して走り(歩き?)、体調不良もなく、余力を残してゴールすることが出来た。
 

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食、遺産、そしてコアなトレイルショップ。翌日はマカオ、香港と観光巡り。ぼくの実力だと100kに参加していたら、レース後に観光どころではなかっただろう。

ぼくが50kにエントリーしたのは、香港旅行をレースだけで終わらせてしまうのはもったいないと思っていたから。トレイルも楽しみたいし、香港という街をもっと堪能したい。ぼくにとってはそれが「トレイルレースを含めた旅=トレイルランニングトリップ」という楽しみ方で、レースの距離に縛られず、自分の実力に合わせて、もっとも旅が充実するようにカテゴリーを決める。それが50kだった。

例えばご家族やカップルであれば、カテゴリーを分けて出場するという選択肢もあるし、ご家族や友人がレースに出なくても香港には観光できる場所がたくさんある。旅行者が様々な楽しみ方が出来るTRANS LANTAUは、今後さらに注目されそうである。
 

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レース中、山を下る途中に見えた絶景に、思わず足を止めた。

トレイルランニングを好きにならなければ、一生その景色を見ることはなかっただろう。その国に、その場所に行かなければ見ることが出来ない景色がある。

それが、ぼくが旅に出る理由。
 

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レースの時は山から空港を眺めたが、帰国時には飛行機の中から数日前に自分が走った山を眺める。そして、次のトレイルランニングトリップに想いを馳せる。