秋終 仙丈ケ岳&甲斐駒ケ岳 2DAYS

10月25日(土)~26日(日)の2日間で無雪期最後の南アルプスへ出かけてきました。

今年はたくさん山に登ったけれど、高い山に登るたび周りの山々を眺めては『次はあの山に登ろう!』なんて考えるのがすっかりわたしの趣味になりました。本当は2週間前に新穂高~笠ヶ岳~双六~鷲羽というルートに行く予定が季節外れの台風直撃で断念。そんなわけで、今年中に行きたいなぁと思っていた仙丈ケ岳が最後の無雪期ハイクになりました。

ちょうど1週間ほど前に仙丈ケ岳が初冠雪を迎え、積雪と凍結があると耳にして、チェーンスパイクに防水のシューズ装備でのハイクです。うっかりひとりで行きそうになっていたところ(笑)声をかけたらのってくれたのは関西が拠点のトレランチームTEAM JETのマサシさん。電車+バスではアクセスが面倒な北沢峠に行くために車を出してくれました。

DAY1
車は前夜に長野県伊那市にある仙流荘へ。
南アルプスに長野県側から入るのは今回が初めて。無料駐車場があり、早朝に北沢峠までの直行バスが出るのです。(時期によってバス運行日時が違うので注意)甲府からバスを乗り継いで行くことを考えると随分と楽です。初冠雪で紅葉も散り、もうすぐ積雪期に入るというのに駐車場は車でいっぱい。バスも30分前から行列でした。

朝6:05発のバスで揺られること約1時間。北沢峠着。さっそく南アルプス市長衛小屋(旧北沢駒仙小屋)でテントを設営。

今回は両日、長衛小屋からの山頂ピストンコース。1日目の朝にテントを張れば、あとはすべてテントの中に置いていける。しかもバス停から小屋までは徒歩15分。最近、OMM RACEに向けてストイックに荷物を考えたり、一緒に山へ行く人に迷惑かけないよう走れる範囲の荷物を考えたりしてきたけれど、担ぎ上げないならばと軽量化全無視で持っていきたいものを好き放題に詰め込みました(笑)

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テントは2週間前に予定していた北アルプスで使おうと友人に借りていたMSRのHUBBA HUBBA。慣れないから張り方いまいち(笑) 奥はマサシさんのクフ。この時期はテント場が空いていると聞いて1人にはハバハバは大きいけれど、キャンプではなく山の中で使ってみたかった。設営がめちゃめちゃ簡単でやっぱりいいなぁ。次に欲しいと考えているのはシングルウォールだけど、テント持っていない友人と山に行くならHABBA HUBBA NXとかも欲しくなっちゃいますね。

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 走らないからザックもハイク仕様でGossamer Gear Murmur。
シンプルでお気に入り。一昨年いきなり買ったULのバックパックがこれで(笑)、破っちゃいそうなくらい薄い生地に毎度ドキドキするけど今のところ何の問題もなし。詰め放題してずっしり重いザックは、帰ってきてから計ったらベースが7.9kg、水と食料込みで10kgくらい。ハバハバが2kg超、鍋や食器、チェーンスパイクなど普段のハイクで持たない重いものが入っていたと思うと、ぼちぼちなんでしょうか。

1日目は仙丈ケ岳。
7時50分頃テント場出発。
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苔むした樹林帯を登り、時折自然のものとは思えない美しい尾根に出ては、岩や根っこを越えていく樹林帯に戻るを繰り返します。

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大滝頭分岐では馬の背方面が凍結と橋を外してしまったとかで立ち入り禁止になっていました。完全に封じてあります。このあたりから木の陰で霜柱が見れました。

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【霜柱(しもばしら)】
冬季など氷点下になる時に、地中の水分が毛細管現象(毛管現象)によって地表にしみ出して柱状に凍結したものである。 霜柱は地中の水分が凍ってできたものであり、空気中の水蒸気が昇華して凍った霜(しも)とは別の現象である。(wikipediaより)

IMG_0830 (800x178) あっという間に森林限界まで来て、後ろを振り返ると男らしい甲斐駒ケ岳。この距離で夏に黒戸尾根から登った甲斐駒ケ岳を見るのは初めて。かっこいいなぁ、と思わず見惚れます。

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ハイマツの間を登って突き抜けるような青空に向かって登る。ゆっくりしゃべりながら、休憩も挟みつつ歩いて2時間で小仙丈ケ岳。

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小仙丈ケ岳(Kosenjogatake 2,864m)
ここがもう、本当にめちゃめちゃ景色が良かった!かなり山に詳しそうなおじさんが 『今日はワシの目でも日本の山がほとんど全部見える』  と嬉しそうに言ってました。

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甲斐駒ケ岳
(左側に伸びるのが鋸岳方面の尾根。左奥が八ヶ岳)

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一番奥の中央から左寄りにうっすら見えるのが御嶽山
肉眼では噴煙がかなりしっかり見えました。

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鳳凰三山
(尖っているのがオベリスク)

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右手前あたりがおそらくおそらく美ヶ原?奥~の方が北アルプス?(違ったらすいません)

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左から日本1位、2位、3位。
(富士山、北岳、間ノ岳)

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そして、これから向かう仙丈ヶ岳

小仙丈ヶ岳から仙丈ヶ岳までは歩いて1時間ほど。ひたすら眺望のいい稜線を歩けて最高でした。1週間前までは雪が残っていたようですが、数日の暖かさですっかり溶けていました。
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東に小仙丈沢カール、南東側に大仙丈沢カール、北側は仙丈小屋のある藪沢カール。全部を眺めながら歩き、右奥のピークへ、最後にガレた場所を登ると山頂。

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仙丈ケ岳(せんじょうがたけ 標高3033m)
写真撮ってください~とお願いしたんだけど、ピンボケすぎやしませんか(笑)モザイクみたいになっちゃったよ。

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そろそろ小屋が冬休み準備に入っている時期でさほど人も多くなく、充分なほどに景色を堪能できました。ピークからはぐるっと仙丈小屋へ一旦下りて、稜線まで登り返し、同じ道を戻るというルートになりました。なぜなら馬の背ヒュッテ、仙丈藪沢小屋方面は途中から立ち入り禁止になっていて、凍結がまだ残っているかもしれない&沢の橋を先週の凍結時に外してしまったとかで、脛まで浸かる渡渉があるからおすすめできないと小屋の方に教えていただきました。秋は注意が必要ですね。

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絶景を惜しみつつ、下山。あっという間で14時頃にはテントに戻り、ひたすらダラダラです。まぁそんなのもいいですよね。長衛小屋はご主人がお酒好きとかで、お酒やおつまみが豊富です。缶ビールを買って、17時ころから料理を始め、つつきながら日が暮れていく。

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つまみにはホットポテサラ。こういう優しいものがおいしかったりする。

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マサシさんが「鍋にする」と言うので、私もメインは鍋。 ちょうど自宅にお野菜が豊富だったので、彩り重視のトムヤムクン鍋にしてみました。今回初めて、自分で干し野菜に挑戦。時間がなかったので、エリンギとジャガイモとカブを干し野菜に。軽さというよりも、旨みが増し、痛みにくそうなのがいいかも。最後に卵を溶いてごはんをぶっこみ、シメにしたらお腹いっぱい。この話やレシピはまた機会があれば。やっぱり寒い時は温かい汁ものがいいですよね。

ちなみに、夏に買って愛用していたKLYMIT INERTIA X-LITEが破損。エアーポンプを抜くときに、一緒に空気を入れる部分まで抜けてしまったのです。差し込んだけど、空気が抜けてしまったぺしゃんこに。かろうじてMUR MURの背面パッドを肩~腰あたりに使ったけれど、とにかく激寒でした(笑)家の床で寝落ちするのとはわけが違う。どこでも寝られる私はマットの役割をちょっと軽視してたけど、重要だわ。朝方に氷点下になったこの夜。 “ 寝られない ” なんていう私に最も不向きな状態で、時折星空を眺めに出たりしつつ朝を迎えました。


DAY2

2日目は甲斐駒ケ岳。
帰りの渋滞を考えて、北沢峠を出る一番早いバス(13:00発)に乗ろうということで、早起きして5:30には出発。仙丈ケ岳も甲斐駒ケ岳もおおよそ7~8時間のルートなので、周りはまだ静か。トレイルにもほぼ人がいない。2日目も晴れてひんやり澄んだ空気が気持ちいい。

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朝日で赤く染まる仙丈ヶ岳。昨日登った山を眺めながら、昨日眺めていた山に登る。甲斐駒ケ岳へは双児山(ふたごやま)を通るルートを往路、仙水峠・仙水小屋を経て長衛小屋へ戻るルートを復路にしました。がしかし、北沢峠(標高2030m)から双児山(2649m)までの登りが朝っぱらから結構キツイ。

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あまり眺望のないモミの木の樹林帯をとにかくひーひー登ります。ハイクだから必死で登る必要はないのだけど(笑)なかなかきつかった。そして一気に開ける眺望!

IMG_0922.JPG IMG_0925.JPGIMG_0918.JPG左から甲斐駒ケ岳、雲で隠れているのが富士山、そのおとなりが白根三山、一番右が仙丈ヶ岳。1日目よりは雲がかかっているものの、今日も360度ビュー。

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双児山からはハイマツ帯のそこそこな急登を登って稜線を辿り(なだらかに見えるけど結構登った)、

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六合目 駒津峰を経て、

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ぜんっっっぜんまだ遠い、あのピークを目指します。黒戸尾根も大変だけれど、こちらのルートも森林限界に出たらずーっと甲斐駒ケ岳山頂が見えるだけに、そのスケールが大きくてなかなか近づいている感覚がなく、遠いわ!(笑)って何度か思いました。ちなみに駒津峰からはほとんどが岩場。駒津峰に再び戻るルートの人は大きなバックパックやストックは置いてアタックザックのみで登っていました。(私達はトレランザックなのでそのまま)

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岩場はこんな感じ。濡れていたら滑りそう。浮石も思ったよりはある。途中から岩尾根を行くルートと砂地を行く迂回ルートを選ぶことができます。お互い多少のボルダリング経験といくらかの岩尾根のある登山経験があって直登ルート(破線)を選んだのですが、キレたような場所はほぼないものの、鎖や梯子がないので、高所恐怖症の方や岩場が不安な人は迂回ルートがいいと思います。(岩場を上がれず引き返している女性を見かけました)

直登方面、登り始め。
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こんな場所も。見た目よりは掴みやすく足も置きやすいけれど、振り返ると結構な景色。

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左上から岩尾根を登ってきた。おそおらくここがメインとなる岩場で、後は砂と岩混じりの斜面をルートを見逃さないようにしつつ山頂を目指しました。

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やっと着いた甲斐駒ケ岳山頂。
今年2回目。違うルートから登るとまったく違う山のよう。空にはちょっと重たい雲がかかってしまったけど、360度全部見える。

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とくに八ヶ岳が浮き上がって見えて綺麗でした。

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風が強くなってきて寒く早々に退散。これから下りるルート。左側からぐるっと砂礫を下っていきます。人が少ない時には気をつけていないとルートを見失いそう。岩場に迷い込みやすい。山と高原地図に(危)って書いてあったのはこのあたりのことかな?最初の少し急な下りを過ぎると、その後の砂礫はランナーにはたまらない “走れるくだり”!思わず走っちゃいました。

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その勢いのまま直登ルートの分岐点まで下り、さらに駒津峰まで動物のように登り返し、さらにさらにそのままほぼ駆け下りるように(笑)森林限界と樹林帯を繰り返しながら仙水峠まで。ハイクとか言いつつ下りは気持ちいいと走っちゃうんですよね~。

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仙水峠からはいきなり!溶岩ゴロゴロの景色。両側の斜面が全部灰色の溶岩。あまりに突然表情を変えるもんだから驚きの連続です。

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溶岩の道が終わったと思ったら今度は樹海のようなしっとりとした森林。

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そして紅葉が残る沢道。勢いよく下ってきたけれど、あまりの癒しの空間にあとはのんびり歩いて小屋まで。朝スタートしてから5時間半ほどでした。

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仙丈ケ岳はとにかくとにかく景色がいい。間近に見る3つの仙丈カールももちろん美しいし、なにより晴れていれば色んな山がはっきり見える。比較的登りはじめてすぐに眺望があるから、登りも楽しい。

甲斐駒ケ岳は、夏に日帰りで黒戸尾根に登ったけれどアレはたしかにトレイルランニングのトレーニング向きだと今回つくづく思いました。樹林帯が多く、とにかくひたすら登らされ、しかも少しの岩場以外は走ろうと思えば走れるから厄介。(わたしはほぼ走れない) 逆に、北沢峠からのルートは、同じく登らされるし急登も多いけれど、とにかく驚くほどに表情が豊か。モミの樹林帯に始まり、樺の苔むした森、ハイマツの稜線、岩尾根、砂礫、溶岩地帯、沢道。お腹いっぱいになるほどの満足感たっぷりで、あまりに夢中で補給を忘れるほどでした(笑)

今年はとにかく、週末に雨が多かった。雨に泣いた人も多いはず。わたしもその一人です。だけど秋の終、シーズン最後の最後で晴天の2日間。まったりハイクで自然に癒され、とっても満足な山行になりました。

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秋の終
読み方:アキノオワリ(akinoowari)
秋の暮れゆくのを惜しむ心をこめた季語

 


地図読みは山読み

先週末は某所へ地図読み講習に行ってきました。センセイは低山小道具研究家の森勝さん。(最新のPEAKSには“快適小道具研究家”と書いてあった)

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モリカツさんの次々に溢れ出てくる大ネタ小ネタが大好き。低山のウラヤマ、探検、冒険が大好きなセンセイは、本当に山という生きものに詳しい。

だいたい高尾か奥多摩に通っていればそのうち会うんじゃないかくらい、山に住んでいるイメージ(笑)そんなモリカツさんの地図読みはちょっと個性的。配られる地図にはそもそもほとんどトレイルの破線がなく、印が書いてあるところへみんなで向かいながら色んなことを教わるのだけど、またこの地図がすごくわかりやすくていい。おそらく地形図にオリジナルの加工が施してあるのだけど、、、どういいかは、講習を受けてみて体験してください(笑)

そして、たいていガンガン藪にぶっこむのも特徴的で、今回もまた、トゲのある藪にイテテ!イテテ!なんて言いながら進みまました。だけど単に藪を漕ぐだけではなく、動物と同じくらいの低さになると当たりにくいし道も見えるよ、崖崩れなどがあった場所の“森が生き返ろう”とする植生に多いんだよ、などとその藪が森にとってどういうものであるか理解して受け入れながら通るのです。

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あまりにセンセイの溢れ出る話が面白くて夢中になり、あれやこれやとここぞとばかりに質問しまくっていたら、どんどん先を進むチームと間隔が開いてしまって慌てて追いかけたりもしました(笑)

OMM RACEに向けて、本でも勉強し、地図読み講習も色んな方の色んなタイプを受けてみたりしているのですが、それでもやっぱりフィールドに出て動けるかどうかというとすごく難しい。いまだにどうも「???」となることが多々あります。講習でいちばん良くやってしまうダメなことは 『(あれ、いまここかな・・・違うかな・・・なんでこうなんだろう・・・)』なんて思いつつも、流れに身を任せてその「?」をスルーしてしまうこと。そしてそのうち、“なにがわからないかわからない” というような状況に陥ってしまう。慣れで覚えるほどの経験を積むには時間がかかるし、机上で頭を使って考えようとしても空間に対応できない。やっぱり山で、山の中で、疑問を解決しないことには、頭も身体も覚えないし、“感覚”も身につかないのだと反省し、今回はかなり食いつきぎみで挑みました。

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そして、今回とっても大事な気づきがありました。
なぜこんなにも覚えられないのか。きっと地図読みは慣れもあるだろうし、経験を積み重ねるのみといのもあるけれど、そもそも 【山を理解できていない】 からじゃないかということ。ただ単にペラッとした紙の 『地図』 を読めても、その先の展開は読めない。判断に迷った時、ひとつの要素だけではとうてい確信など持てないのは当たり前だけれど、地図という紙の中だけの要素をいくつも挙げては必死に悩んで地図とにらめっこして、『よし、これだ!』と思ったのにその先で間違っていたりなんかした時には、途端にもう自分を信じられなくなるっていう。

地図はあくまで判断材料のベースとなるようなものであって、例えば植生をみたり、景色をみたり、その土地の特徴を考えてみたり、身体で得られるプラスアルファの情報が山にはたくさんるんだ!ということをセンセイの溢れる話から感じました。

また、あれこれ細かいことばかり考えては正確さを突き詰めねばとするわたしに、もうすこしざっくりと見た方がいい、というアドバイスをもらいました。そうだ、山って、どーんと大きいんだ。今いる場所を、山を、真上から見たらどうだろう?スライスしてみたらどうだろう?ここはどんなフィールドで、自分向かうべきところは、おおよそその中のどのあたりなのだろう。地図に必死になっているといつのまにか紙の中の世界に入り込んでしまって等高線の迷路で迷子になって(笑)、山そのものから意識が離れてしまい、それが混乱を生むひとつの大きな要因になっているのだと痛感しました。

つまりはきっと、地図読みは山読み。
紙を読むんじゃなくて、山を読む。植物の種類や森林の様子、植生、山容、虫や動物。土地の特徴やなんでここがこんな風になっているのか。この山はどんな山で、わたしは山の中のどこにいて、どこらへんに向かおうとしているのか。まさに生きている山には、きっと何かしらのヒントがある。記号や数字で公式のように地図を読むのではなく、いかに想像力豊かに山を読めるかが地図読みなんじゃないかな、なんて思いました。

ん?それってすごくむずかしくないか?(笑)でも理系なことが徹底的に苦手な私には嬉しい気づき!地図が面白くなってきた。いつか、その時いる山やフィールド全体を、頭の中でどんどん自由自在に3D化できたら最強だな。

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ただただまっすぐ前も見て走るだけじゃなく、山を理解していくことで楽しさはぐーんと倍増する。目鼻耳口手足、全身で山を感じられた地図読みでした。OMM RACEはどんな山かな。どんな自然に出会えるかな~。

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ちなみに・・・OMM RACEに使うバックパックを悩み中。今回は、(荷物が少なくて上部がぺしゃんこだけど)久しぶりにBlackdiamondのRPMを背負ってみました。上部が大きく、重心が上の方にくるシルエット。26Lだけど、なんだかもっと入る感じがする。OMM CLASSIC32の背面長とおそらくそんなに変わらないのだけど(むしろPRMの方がちょっと短い)、やや腰が気になるんだよなぁ。背負い方かな。まだまだ楽しく悩みます。


バッグパックの中身・・・

まだまだ山ビギナーながら、ちゃっかり雑誌PEAKSの「バッグパックの中身見せてください!」というコーナーに載せていただきました。仕事以外でひとりで出るのなんてはじめてかも。いまの私の状態と言えば、熟練の方々に教えてもらいつつ、勉強中。そんななのにいいのかなー?なんて思ったけど、いつもふむふむと読んでたコーナーでなんだかうれしい。
※たいてい女性は巻末の『彼女が“山”着に着替えたら』の華やかなコーナーだけど・・・

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よし!寝っ転がってみよう!なんてノリで、女子っぽく足をクロスしちゃったりなんかして、非常にはずかしかった(笑) 寝っ転がって撮った人は初めてだそうです。あはは。

肝心のバックパックの中身ですが、所詮まだ登山歴なんて2年そこらだし、ベテランの方々には見せられないこっぱずかしさがあるし、どうしようどうしようなんて思っていたわりには、朝に慌てて詰め込んで行ったので、なんだか可愛げもオシャレさもない感じに。まぁ、それはそれでいいか。

効率化などはまだ全然緻密に考えられていないし、ウエイトもひとつひとつ測ったりしていないし、パッキングもわりとざっくりと詰め込んでる。それでも最近は山に行くたびに教わることを実践して、パッキングのコツや自分の好みの具合をちょっぴり掴んできたかも?小屋や水場があるルートならテント1泊で6~8kg、OMM RACEを想定する時は、できれば6kgくらいに収められるようにだけ意識するようになりました。 (でも水や食料を入れると結局すぐ10kgくらいになっちゃったりするので、そこからいらないものを減らしてみたりする)

ギアもまだ多く持っていない私は、重かったり軽かったりのんびり気ままにやってます。そんな中でも2つくらい、自分ならではのパッキングポイントがあります。

 

ひとつは小柄なこと。
小柄といっても155cmなので、大きくも小さくもないのですが、洋服はキッズの150や160が着れるレベルです。足も23.5cmで小さめ。背が低いことがいままでわりとコンプレックスだったけど、まさかのここにきて小柄さがすごく便利になっています。おかあさんありがとう。とにかく、布モノがコンパクトで総重量が軽い。例えば極端なことをいえば、180cmの人と比べて30cm分も小さく軽い。男性用は女性用よりも体格分大きい作りだったりもします。レインウエアや厚手の防寒着、寝具などは特に顕著なので、全体的に身体のサイズにぴったり合うものを選ぶようにしています。

もうひとつは、無頓着、ものぐさな性格なこと。
仕事は別として、それ以外のことは「だいたいどっちでもいい」「まぁいっか」タイプです。たとえば、山での着替えとして持っていくのはTシャツと靴下とファイントラックくらいです。慣れたベテランさんならむしろ1~2泊程度じゃ着替えないのかもしれません。ベテランじゃないし、おしゃれを気にしていないわけではないけれど、女の子にしては衣類が少ない方かも。

また、初めての1人用野営装備はシェルターにしました。軽量化というよりは、テントのポールを持つのが面倒だっただけです。あと安くて、形と色が気に入ったからです。便利で快適なものはたくさんあって、格好いいものもいっぱいある。だけど、いまはまだボチボチでいっか。と、そんな具合です。タープやツェルトもまだ未経験です。

一方で、フルーツをどっさり入れたサングリアの重~いボトルを持っていったりもする。料理が好きなのと、固形燃料がまだうまく使いこなせないので(笑)、火器はいっつもバーナーとガス缶だったりもします。(スマートに “コケネン” を使いたいなぁ)

 

てなわけで、まいっか、の性格で物が少し減っている気がします。決してまだまだ効率的ではないけれど、いまのところそんな感じでわりとコンパクトに収まっています。

ちょっとずつ覚えて、ちょっとずつ変わっていくことを楽しんでいる真っ最中。ベテランで、昔ながらの重くてシブいギアが好きな人もいる。そんなのもまた格好いいなぁなんて憧れたりもする。自分の “心地いい感じ”  “ちょうどいい塩梅”  “ちょっとしたこだわり” を見つけて楽しもうと思います。

改めて誌面をみると、もうちょいアレとかコレとかちゃんとすればよかったなんて思いつつ、まぁ、慌ててパッキングする大雑把なところも含めてありのままですね(笑)

もうすこししたら、冬山の準備。
冬はさらに初心者です。
新しい世界が広がるドキドキ。
バックパックに詰める時のワクワク。
たまらないな~。
(その前にOMM RACEだ!)


オトベ、が、斑尾を走った(オトベ編)


今回のブログは、斑尾高原トレイルランニングレース2014 ビギナークラスの16kmを一緒に走ったオトベ(通称 オトちゃん)からの提案で、わたしの「サポート目線」と、はじめてトレイルランニングの大会を経験する「初体験目線」の両側から、同じタイムラインでブログ記事をUPしてみることにしました。冷静と情熱のあいだの辻仁成と江國香織みたいなもんですかね(笑)わたしのペーサー編はすでにUPしています。

オトベ、斑尾を、快走!(ペーサー編)
http://mountain-ma.com/emma/2014/10/14/otobe_emma/

ぜひ、両方読んでみてください。
※みなさんご存じのことと思いますが、「ペーサー」と記載していますが、一緒に一般エントリーをして一緒に走ったということだけで、触れたりケアしたりというサポートをしたわけではありません。

では、オトちゃんによる、オトベ編をお楽しみください(笑)


はじめまして。
オトちゃんこと乙部と申します。

走って痩せるくらいなら食べずに痩せると豪語するタイプ。
ろくに運動経験もランニング経験もない私が、このブログの主、エマというとても心強い友達をペーサーに従え、ゼッケン番号893という奇跡的な番号を胸に初めてトレイルランニングのレースに出場しました。

せっかく人生で初めての経験をしたので、その記憶を書き留めておきたいと思い、その一部始終を、この場をお借りして書かせていただきたいと思います。

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奇跡のゼッケン番号をゲット

 ***

 <準備>

初めてのトレイルラン。ある程度の装備はあるのだけど、サポートタイツにはまだ手を出してないし、ザックもランニング用は持ってない。(だって続けるかわからないし。。。)

 どうしようかな、買った方がいいけど結構な出費だな~と思っていたら、エマちゃんが全部貸してくれました。なんと恵まれた環境!!

 私はお礼にハワイで買い込んできたパワーバー的なやつを献上しました。

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走ってるときは固形物あんまり食べたくないって言われたけど・・・。

唯一買ったギアは、1リットルのハイドレーション。これは山登りでも使えるしな、と思い、Ultraspireのものを購入。

靴はmontrailのバハダ。montrailの靴はマウンテンマゾヒスト、バハダ、ログフライの3足を持っていますが、今回のトレイルは割とフカフカとのことだったので、ソールが硬めのマゾヒストより、クッション性の高いバハダを選びました。

 この上ない恵まれた環境が逆に
プレッシャーに、、、、

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は、まったくならず、斑尾に到着するなり大好きなビールを注入。何時まで飲酒可能かな?と逆算する始末。

コースガイダンス、メーカーブース、前夜祭と、参加者たちの雰囲気を知ることができたり、いろんなランナーの方々とコミュニケーションがとれたりして、とても楽しい1日目でした。

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<当日朝~スタート>

 当日の朝。4時起き。びっくりするほど熟睡できたので、問題なく起床。

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緊張ゼロ。

大事な面接の前とかは緊張で下痢になり食欲もなくなるくらい緊張しいの私がなんでこんなにリラックス状態でレースに挑めたかというと、
いやね、エマちゃんがね、まじなんすよ。
ガチなんすよ。

誰も書いてない理想タイムとか速度とか、エイドになにがあるとか、みっちり書き込んでるんすよ。これみちゃったら、もうこの人に全部ゆだねてればなんとかなるな、と、私思っちゃったんです。(他力本願)

まぁ、なによりも一緒に走ってくれる人がいる、というのは、とても心強いものです。 というわけでリラックスモードで朝食をもりもり。レースでスタミナ切れたら大変だもんな!という理由で、

前日からもりもりたべ、
朝食ももりもりたべ、
レース中にもジェルや甘いものを吸収し、
終わった後にはレース用に買ったけど食べなかったチョコレートをたべ、
ラーメンをたべ、、、、
 私、レースの後2キロくらい太ってました。

けど、レースに向けてランニングをし始めてから、2キロ痩せていたので、結果的には±0なのですが・・・。トレイルランをする女性方が
「トレランやってても痩せないよ」
という迷信めいた言葉を身を以て体感いたした次第でございます。

 レースの話に戻りますと、モントレイルでは、この斑尾フォレストトレイルにちなんだ日本限定のバハダを発売していて、今年発売したMADARAO YELLOW SHADOWと、去年発売したMADARAO YELLOWをはいてレースに出てくれた人たちと、スタート直前に記念写真。

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を、撮っているなんて知らなかった・・・!!!なにこれ私も写りたかった!!!
そもそも私のバハダのカラーはブラックだから駄目なのだけれども。
 きぃぃぃ!
となったのはレース翌日の社内報告会でした。(撮影してるとき、寒いので建物の中にいたのでした。。。orz

 さてさて、、、

 <スタート>

 いざ、スタート。

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さすがにスタートまでのカウントダウンが始まったときは緊張。

最初の登り。

 エマちゃんには急がなくて平気だよ!といわれるものの、周りの雰囲気にのまれて、オーバーペース。息もあがる。

つ、辛い、、、

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やばい、最初から辛い。よく考えたら、のぼり坂走ったことなんてなかった。。。と思いながら心拍バックバクの状態で林道に。少し渋滞してたので、

 「よし、ちょっと休める」

 と内心思っていたら、後ろを走っていたエマが

「はるちゃん私、前に行っていい?」 

と。

 お、おう。どうぞ。
 と、前をゆずると、「右通りま~す」と、とろとろ走ってる人たちをガンガン抜いていく。

まって、

エマちゃんまって、

私まじ息上がってね、辛いわけ。

けど、こんなしょっぱなから弱音はいてもしょうがないなと、頑張ってついていく。下りをだだっと走り終えると、1つ目のエイド。 やったー、休める! と、思いきや、エマちゃんは

 「なんか食べたいものある?飲み物大丈夫?ほしいものとったら行くよ!」

 と、私がバナナを手にしたとたんに即出発。え?エイドって休めるポイントかと思ってたわ。。。1つ目のエイドから、2つ目のエイドまでの間、一回乱れた息も整い、普段家の周りを走るレベルの速さで山の中のフカフカの道をランできるコースは、今回のレースの中で一番楽しかったな。

また上りが来て息があがったので、エナジーチャージ。走ってる時に、ザック下ろすのも何かを取り出すのもめんどくさいし、固形物を食べるのもキツイんだなーってことが、よくわかりました。

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山登りのときもそうだけど、登りきったあと稜線にでて視界がいきなりバッと広くなる瞬間、やっぱり大好きだな。

 そして2つ目のエイド。
お!意外とあっというま!! と、おもったものの、ここからがマジできつかった~

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きつい。。。

 一緒に走ってる間、エマがたくさん話しかけてくれました。けど、基本的に終始息が上がっているので、返事ができなかったのは最初からだったけど、最初はこれでも、弱音を吐くのをがまんしていた。

けど、2つ目のエイドを過ぎたあたりから、気づいたことがある。
言わないと、伝わらない。

 エマ、早い。

わたし、辛い。

まじ、死にそう。

 なので、ここからは私の口からは弱音がダダ漏れ。けど、エマは、許してくれない。

「まじ息上がってキツイ、辛い、もう限界」

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と伝えても、

 「限界を超えるのがトレランだよ!」

 と返ってくる。

 意味ない。。。
言葉は無力。。。

 とおもった私は、強制的にペースを緩める。

 すると、
「上りは歩いていいけど、下りと平坦なところは走って!」
「下り走った勢い使ってそのまま上りも上がって!」
と、要するに走れと言われる。

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 く、くそう、
鬼ぃ!

 だけどもこの鬼は、同時に隣で一生懸命はげましてくれる。

 「がんばって!」
「終わったらお風呂だよ!」
「舗装路は歩幅大きめにとった方が楽だよ!」
「あと3キロだって!」
「あ!ゴールのアナウンス聞こえてきたね!」

手を変え品をかえ励ましてくれる。わかってる、わかってるよ。でも、まじキツイんだよ。頑張ってと言われても、死にそうになりながら頑張ってる姿が今だから!

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と、完全に心に余裕がなくなる。
そして、そんな私を励まし続けてくれるエマと、マジキツイ、限界、、、としか言わない乙部とで最後の7キロを走り切り、ゴールへの最後の坂道を駆け下りたのでした。

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もはや転がり落ちたい。

 

 初めてのレースを終えて、感想を一言で、と、言われれば、「まじ辛かった」と、答えると思います。終始息上がりっぱなしの状態で、あがった息を整えることもままならず、休むことも許されず2時間。学生時代にろくに運動をせず過ごしてきた私にとって、たぶん今までの人生で上位に食い込む肉体的に辛い経験だったと思います。

 でも、「辛かった」と、「つまらなかった」は、まったくもってイコールではありません。

斜面を駆け下りる高揚感
ふかふかのトレイルを駆け抜ける爽快感
人をぬいたり抜かれたりするレースの臨場感

そして、レースの終盤にかけられる「あとちょっと!がんばって!」という言葉に対して「よし!がんばろう!」・・・とは、1mmも思えず、「あとちょっとじゃないし、がんばってるし、ていうか死にそうだし」と心の中で思う自分の余裕のなさも、翌日に襲ってくるベットから起きれないレベルでの筋肉痛も、全てひっくるめてとても楽しかったです。

 初心者にとってトレイルランニングのレースの楽しみ方はきっといろいろあると思います。わたしは、きっとエマが一緒じゃなければ、完走すること、無理をしないで楽しむことをレースの目標に掲げ、関門ギリギリの3時間くらいのタイムでゴールしていたと思う。

少なからず、16km2時間4分というタイムで帰ってくることは、1人ではありえなかった。そしてそんなタイムで帰ってこれたことで、口から心臓出てきそうな辛い思いと引き換えに、上司や先輩にも、「よくがんばったね!」「すごいね!」「はやいじゃん!」と言われ、鼻高々な月曜日を迎えることができたのです。

 そして何より、トレイルランニングをする人たちが、商品に何を求め、どんなことに取り組み、どんなものを選ぶのか。レース中どんなことに気を付け、どんなことを考えるのか。

 たった1回のレースですが、経験しないとわからないことはこんなにもあるものだなと強く思いました。そんな貴重な経験をサポートしてくれたエマちゃんには、心から感謝するとともに、今度はハイキングしようね、という言葉を送りたいと思います。

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一緒に走るって楽しいね。

また来年も斑尾に出たいと思います。次回はもう少し、景色を楽しむ余裕ができるよう、これからもがんばって走ります。

 貴重なスペースをいただき、ありがとうございました。

 乙部晴佳

 


そんなわけで、オトちゃんのレポートを自ら編集しながら「鬼って!」なんて大爆笑だったわたしですが、一応みなさんに勘違いを生まないようにお伝えしておくと、彼女の息の上がり方をみたり、身体の様子、体調を見たりして、確認しながら引っ張っています(笑) 怪我をしたり、何かがあってはいけないですから、それは十分に気をつけながら、「あ~もうしんどい~歩きたい~もうむりだ~」という、実はメンタルで越えられない壁を私が引っ張ることで越えられたらいいなと思った次第です。いや~、結構休んだり歩いたりしたんだけどな~。

後半がだんだん省略気味=しんどすぎて覚えていない
ということでしょうか(笑)

でも、しっかりここに本人の言葉で記しましたよ。

「また来年も斑尾に出たいと思います。」

よし、来年は競走だ~!


オトベ、斑尾を、快走!(ペーサー編)

オトベ斑尾を走るvo.1 という記事を以前UPしたのですが・・・
Vol.2がなんと本番になりました(笑)

とあるきっかけで初めてのトレインランニングレースに出ることになった友人、オトちゃん。目指すは10月5日のMadarao Forest Trails Beginner 16km!私も同じレースにエントリー。オトちゃんの“楽しく完走”をサポート(ペーサー的な役割)をすることにしました。

彼女も忙しかったし、なにより私が夏山ばかり行っていたからですね。ただ、その間も、ほとんど運動などしたことのない彼女は、ひとりで一生懸命 週に何度かご近所ランニングを続けていました。

最初は3km、そして5km、8km。大会一週間前に会った時には『こないだやっと10km走れたよ~』と教えてくれました。一緒に走る人がいなくても黙々と少しずつ距離を伸ばそうと頑張る姿。それがたとえ10kmだったとしても素敵チャレンジだと思います。仕事が忙しい毎日で走るのは習慣付けるまで本当に面倒なもの。そんな彼女なりの努力を絶対に無駄にしないよう、当日は全力サポートしようと心に決めました。


今回のブログ。彼女からの提案で、わたしの「サポート目線」と、はじめてトレイルランニングの大会を経験する「初体験目線」の両側から、同じタイムラインでブログ記事をUPしてみることにしました。冷静と情熱のあいだの辻仁成と江國香織みたいなもんですかね(笑)オトベ編は後日UPします。ぜひ、両方読んでみてください。


 

*
<準備>

準備について、はじめての彼女に、もうすぐトレラン歴2年のわたしがアドバイスしたこと。

  • 補給は少し多めに持とう
  • アームウォーマーは必須
  • レインウエア(上)を持とう
  • ハイドレーションを使おう
  • 靴下はランニング用のもの
  • タイツもランニング用のもの

補給食について、斑尾はエイドがとても充実しているはずだけど、もしかして関門ギリギリになってしまったらエイドで食べている暇がない。たとえ16kmでも、トレイルの16kmはエネルギーを消費するし、不足すれば最後で苦しむ可能性はある。
そこで、最低でも

  • バー1個
  • ウィダーインゼリー系の飲みやすいゼリー2個
  • お気に入りのお菓子系

を持つように伝えました。
ロードランニングでは私自身、ジェルなど摂ったことがなかったし、フルマラソンでも手ぶらの人が多いものです。でも、想像以上にエネルギーを消費するトレイルランニング。「エイドが充実しているから手ぶらでもいいくらいだよ」という方ももちろんいるのですが、山の中でエネルギー切れを起こしたら?「絶対完走」と考えているなら必要です。

水分補給について。ハイドレは好みもあり、短いレースだとウエストやハンドボトルだけという人も多い。私は初めの頃はいちいち立ち止まってはペットボトルを取り出して飲んでいたのです。相当なタイムロス。短い距離のレースなら尚更。忘れがちな水分補給も、ハイドレなら少しずつ摂れるので大切だと思っています。

次にウエアについて。アームウォーマーは「化繊の長袖じゃだめ?」という意見を「ダメダメ!貸すからTシャツとアームにしよう!」と提案(笑) 10月とは言え走り出したら絶対暑い。長袖で汗をかいて冷えたら最悪。上げ下げや脱ぎ着が容易なアームウォーマーはランナーの大事なアイテムです。また、この日は雨予報だったので、防水シェルの確認。Tシャツは化繊、タイツと靴下もランニング用が必要だと伝えました。当たり前のことながら、意外と大会ではコットンのTシャツや綿のタイツ、普通の靴下の方を見かけて驚きます。タイツはコンプレッションである必要はないので、コットンや女性の黒タイツなどは避けたいものです。(かくいう私も近所でジョギング始めた時はそんな感じの服装だった)

<前日>

緊張しているかな?と思いきや朝からリラックスムードのオトちゃん。今回、オトちゃんと2人っきりよりも、みんなとワイワイが楽しくてリラックスできるんじゃないかと思い、共通の友人が何人か所属しているトレイル鳥羽ちゃんの賑やかなところにおじゃま。大勢なら色んな先輩方にアドバイスを聞けるしね。斑尾恒例の大きなホールでの前夜祭もみんなと一緒に盛り上がります。

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16kmならたいしてカーボローディングも必要ないので、食べ過ぎ飲み過ぎ注意だけ伝えて、あとは楽しむのみ。ビール飲んじゃうその余裕っぷり、きらいじゃないよ(笑)ほどほどにね。

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みんなと撮ったこの写真の、ここ最近で一番じゃないかくらいの自分の笑顔に笑っちゃいました。レース前なのに気が楽だとこんな笑顔するもんなんですね。斑尾には応援やサポート、ボランティアでも知り合いがたくさん来ていて、会えることがまた楽しい。初めて出る大会に前夜祭があるのはいいですね。

前日のザックに詰める準備も、もはや120kmからの16kmのギャップが大きすぎて何を持ったらいいのかわからないという事態に。万が一怪我などでリタイアすることになった時のことなどを考え、ファーストエイド、サバイバルシート、ヒザサポーター、行動食と水を入れました。

<当日>

朝から隣であわあわするオトちゃん。何かと思えば、ハイドレを使うのが始めてなので、入れすぎたりこぼしたりしてる(笑)テーピングも始めてなので、一応Vテープを貼ってあげる。そういえば、始めたばかりの頃はニューハレの貼り方わからなかったな。

斑尾は会場で朝食。サンドイッチや菓子パン、おにぎり、ミネストローネにコーヒーやオレンジジュースもあります。このスタイル、結構好きです。食べられなかったら持って行けるしね。私はその間にコースタイム表を作ります。制限時間は3時間。去年のリザルトを見ると2時間20分~30分くらいがボリュームゾーン。よし、だったら2時間15分を目指そう!と、私が勝手に決める(笑)何かトラブルがあった時のことも考えて、2時間15分完走ペースのコースタイム、2時間30分完走ペースのコースタイム、そして制限時間を書いて完了。

コースタイム表はいつも、理想タイムとDEADギリギリタイムを書き、少なくともその間をキープしつつ理想タイムを目指してチャレンジする。各ポイントの時間だけでなく、コースから想定するおおよその速度(min/km)も書き込む。地図にはコースの様子やエイドの食べ物もマップに書き込み、しんどくなった時や淡々としたコースに飽きそうになったら見返して先へ進むモチベーションにしています。

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先に旅立つ鳥羽ちゃん50kmメンバー。初レースや初のミドルレースが3人。チャレンジする姿、みんなかっこいいね!

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心折れ部のメンバーにも会えた!

 

そして、50kmのスタートを見送ります。

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みんないい顔だなぁ。

 

いよいよ16kmのばん。完走を請け負う立場として、ちょっぴり緊張。上州武尊120kmから2週間。故障した足は急いで治し、腫れや痛みは引いたけど、ほぼ走ってない。足痛くなったらヤバイなとか、捻挫やうっかり転倒しないようにしなきゃな、とか。あとは、走るからにはと密かに引っ張れるだけ引っ張って50%以上の順位にはなろうと画策していました。

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なんかわたしが一番緊張してる(笑) そんな中、隣でリラックスするオトちゃん。

 

雨予報も朝はなんとか霧が晴れて、昼前までは持ちそうということでミラーレス一眼のGF1を首から下げて走ることに。せっかくのファーストレース、思い出に残さなきゃね!(ガンガン肋骨に当たって痛かった、笑)

そしてドキドキしながらスタート。
斑尾16kmのコースでもっとも辛いのはおそらくしょっぱなじゃないかな。

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地形図に改めてコースを引いて等高線を読んでみる

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なんとなく作ってみた高低図 (16kmは公式パンフに高低図がない)

 

最初の斑尾スキー場周りをぐるっと登っていくところがいきなりの急な坂道なので息が上がりやすくしんどい。しかもみんな飛ばすもんだから飲まれてペースも上がるし焦るしで、なんだかザワザワしてました。

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ザワザワザワザワ

 

ここは歩いたり走ったり程度で行こう、と提案。けれど意外とがんばって走るオトちゃん。やるね~。ただ、思っていたより登りが続いたようで次第に辛そう。先回りして写真を撮ったりキャッキャと話しかけてテンションを上げてみる。

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がんばって走る

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めっちゃしんどそう(笑)

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いい笑顔! ファイト―!

 

登り終えた先の林道は気持ち良く走れる場所なのに、ゾロゾロと渋滞。早々にみんなゆっくり歩き出すのです。これに飲まれて関門が厳しくなって焦って走る方がぜったい辛い。そんなわけで、私が先行して、道幅が広くなったら 『すいません、右通りま~す』 と言いながらどんどん抜いていく。オトちゃんがついてきているかを振り返って確認しつつ、せっせと走る。ここでのスピードがいい結果を導いた気がします。

ピークを迂回するようなトレイルを過ぎればひとつめのエイドまでの下り。「膝は大丈夫?痛くない?」スキー場の転げるような斜面は、膝が笑わない程度に走って下る。

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どーんと広くて気持ちのいい下り

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いい感じで走れてる!

 

あっという間にひとつ目のエイド。オトちゃんはバナナを、わたしは梨を2かけ掴んでエイド滞在はなし。モグモグして歩きながら先へ。エイドで食べものを取ったら歩きながら食べるのがワタシ流。ここまで理想ペースからは10分遅れ。だけどオトちゃんに『ばっちり予定どおり!』と伝える。いま焦っても仕方ない。

ひとつ目のエイドからふたつ目のエイド(16kmコース唯一の関門)までの道は走れる気持ちのいいトレイル!前日の小雨ですこししっとりしていたけど、心地いい。オトちゃんは「息があがる~」と言いながらもついてくる。

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ここは気持ちい!なんていう言葉もちらり。

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登りでちょっと疲れて哀愁ただよう(笑)

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こんな感じで景色が見える場所も。

 

そして、希望湖の関門はなんなくクリア。思ったよりも多少のアップダウンがあったことでエネルギー切れになり、この時点では理想タイムからは15分遅れ。つまりDEADラインに設定しているタイムに。ゴール制限時間には余裕だけど、ここから全く走れず早歩きになると、ちょっとぎりぎり。

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エイドで水のチェック

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いろいろあったけど、固形物が食べたい気分じゃないということで持ってきたゼリーで補給。ゼリーをアドバイスしておいてよかった!

 

希望湖から斑尾の街に出るまではずっとゆるやかな登り、と聞いていたのでそろそろ足が辛くなってくるかも。ここでエイドは最後、残りは7km程度。ここからは10min/kmの早歩きを想定していたけど、走れるところは走って停滞せず、どうしても苦しい!という言葉が本人から出たら少し早歩き、何も言わなければ出来る限り引っ張っる計画に変更。(勝手に)

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ちょっと足が止まってきた

 

走り始めて早々になんだかしんどそうだったので補給を提案し、ゼリー片手に少しずつ飲みながら走る。辛そうなのに、なぜだか登りはやたら速い。早歩きのスピードがかなり速くて、むしろ私がバテて着いていけないなんていう一面も(笑)補給してるフリしてちょっと休み、ゆるやかになったらダーッと追いかけたりもしました。

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もりもり登るオトちゃん、速いよ(笑)

 

どうやらフラットとゆるやかな登りが辛いらしい。それまでモリモリ登っていた早歩きも次第にゆっくりになり、ちょっと心が折れている様子。こういう時のペーサー。

「はいっ、行くよっ」
「苦しい~」
「ゆっくり引っ張るから何も考えずついてくる感じで」
「うん、ついて行きたいのはやまやまなんだけど、足が進まない~」
「気のせい気のせい!あとちょいあとちょい!」

しんどいと思うとなかなかkm表示も進まないもの。
「じゃあ上りは歩き、フラットと下りは走ろう!」
そう提案して、前についたり後ろについたり前後しながら盛り上げては 『はい歩く!』『はい走る!』という掛け声をかけつつ、こっそり時計を見る。10min/kmを想定していたけれど、ところどころに走ったことでどんどんと盛り返し、なかなかのタイム。あれ、これはもしかしてかなり早くゴールできるかも。そんな悪知恵が働き、頭の中でペースを必死で再計算(笑)

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やっと斑尾の街に出てきた

 

斑尾の街に出てきて、もうゴールかと思いきや、もう一度スキー場の上まで登らされる、ここにきてちょっぴりツンデレな斑尾。50kmの人はもっとつらいんだろうな・・・。

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最後の登り

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登りきって、遠くにゴールゲートと景色を背負って記念撮影。

 

最後は、ゴールゲートが見える壮大なゲレンデを爆走で下るという素敵な演出。50kmの多くの人は散々走れるコースで膝を酷使して、この下りを横向けに下っていました。

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うっかりスピードを出しすぎると転がりそう

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スキーのフラッグの間を通る

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ゴールが見えて楽しそう!

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手を広げて風をきって走る!

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最高の瞬間だね!

 

気持ちよく駆け抜けて、一緒にゴールゲートをくぐる。なんと、ゴールは理想としていたタイムをはるかに上回り、2時間4分でゴール!順位は26位と27位!100人くらいの女子出場選手のなかで、50位以上=2時間15分切りと考えていたので、まさかの上位。想像以上の好結果でゴールできたのです。

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やったね!

 

*

<最後に>

本当はオトちゃんじゃなかったら、もっとゆるりとしたスピードで、完走を目的に楽しいランをするという方法もあったのかもしれない。実は彼女、コロンビアスポーツウェアジャパンで働いているのです。この斑尾はまさにコロンビアのmontrailという自社のブランドがスポンサーしていることもあり、自らの意思で『この仕事をしているからには走ってみたい』と言い出して、一緒に一般エントリーしたのがきっかけでした。

だからこそ、みんながちょっとビックリするような結果を出して、「すごいね!」「がんばったね!」と言われること、そう言われてなんだか嬉しさがぶり返す感じ、喜びを噛みしめる充実感を味わってほしいという気持ちでした。

オトちゃんはいままで知り合ってからの仕事っぷりやその向き合い方をみても、芯がしっかりしていて、自分の信念やこだわりがある。明るく天真爛漫だけれど、すごく真面目で根性がある。だから彼女のサポートには、 “限界までがんばる方法” を選んでみたのです。

トレイルランニング嫌いになっていないかな?(笑)
トレラン独特の、ゴール後は「もういいわ~」って思った数日後から何かレースのこと調べちゃったりするあの症状、ちょっとくらい出てるかな?かなり辛そうな場面もあったけれど、足の痛みもなく、なんだかんだ言ってカメラを向けると笑顔だった彼女。そのポテンシャルの高さに驚きでした。
さて~、来年は何を目指そうか。

とにかく、初レース完走請負人、役割を無事に終えて大満足の大会となりました。

オトちゃん、おつかれ!
一緒に走ってくれてありがとう!
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Madarao Forest Trails
斑尾高原トレイルランニングレース2014
ビギナークラス16km
女子26位 2:04:44 /女子27位 2:04:45
(出走 112人 完走者109人)


あの山の記憶―YNMC120k 最後に

山では何が起きるかわからない。

「山のリスク」

それを、この夏の様々な山で、この武尊の大会で、とても感じていました。MMAブロガーの釘島さんが、なんだかすべてを代弁してくれるようなブログを書いていらっしゃいます。

 山で死んではいかんずら。
http://mountain-ma.com/kugishima/2014/09/17/donotdie/

山を愛する人にはぜひ、読んでほしい。
きっと心に沁みるものがあると思います。

トレイルランニングという“競技”をする人にもぜひ読んでほしい。
きっとハッとさせられるものがあると思います。

自分を過信してはいけない。だけど自分の限界を決めつけても成長できない。
“リスク” という言葉と共に、そのバランスにどうにも違和感があってずっと悶々としていました。私のような経験の浅い?トレイルランナーが挑戦してもいい大会なのかどうか。今の私の状態は、果たして充分だろうか。充分に練習して、充分に準備をして、あの山にもう一度挑む資格があるんだろうか。すこし前にあの山に登った時、私は身体の疲れや練習不足はさほど気にせずに、あまりにも気軽に“なんとかなるだろう”と思っていました。それを思い出す度、心が締め付けられる思いで、ずっとずっと迷いがありました。

きっと、みんなちょっと「無謀」だと思っているかもしれない。確かにそうだ。無謀なチャレンジかもしれない。だからこそ、自分なりの練習と自分なりの準備をしたけれど、そんなのはやってもやっても満足できるわけじゃない。トレイルランニングの大会ではもはや100kmなど良く耳にする距離で、怪我をしても、吐いても、朦朧としても、完走する強靭な人達がたくさんいて、「自分の判断」を見失いがちである恐怖がありました。
今まで、自分の実力を試したくて、やるからにはちょっと高い目標にチャレンジしてきたけど、本当にそれでいいのかな―。

山は逃げない、いつだってそこに在る
だけど人生いつ何があるかもわからない
本当に、今、チャレンジすべきなのか

そのモヤモヤした気持ちの答えがあの山を越えることにあるんじゃないかと思い、このチャレンジは無謀なんかじゃないと言ってほしくて、確かめるように登ったけれど、結局山はなにも答えてくれないのです。結局、何かがひとつでも間違っていたら、完走できなかった。それだけ、ギリギリのチャレンジだったということだと思います。リタイアする理由なんていくらでもありました。

“ 山のリスクは全ての者に平等に存在する ”
“ 判断力は最大の装備 ”

あの山の記憶―YNMC120k vol.3の記事の最後にも書いたように、自分の足で、自分の判断で、奇跡的にも、ゴールできた。しかしやはり、メンタルとかフィジカルとかをその時々にちゃんと判断できるかということももちろん、それ以上に、どうにもならない予測も出来ない山にあるリスクも感じました。結果的には最後まで挑むことを選んで、無事完走し、大きな怪我などもなかったけれど、果たしてその選択が全部正しかったのかどうかなんてわかりません。だから、ただ単に完走した喜びだけを伝えるのではなく、その過程を伝えたいと思いました。

大会にうんぬん言う人もいる。高いお金を払っているんだから、というのもわかる。でも、良くも悪くも、本当に「山」を感じる大会だったと思います。経験が少ないなりに、あれは、“山に入る”個々の意識が大事な大会だと感じました。どんなに練習を重ねても、どんなに大会の経験が増えても、どんなに距離を積めるようになっても、トレイルランニングは、山に入る、山に向き合うことなのだと、忘れてはならないと改めて心に刻みました。

完走したすべての選手に。関門に向かって諦めずに走ったすべての選手に。リタイアという英断をしたすべての選手に。あの山に挑んだすべての方に、その健闘を讃えたいと思います。

武尊山にて
静かに揺れる笹の音を聞きながら
背の高い樹々の間に青い空を見上げて
命を落とした方へ手を合わせ
静かに目を閉じました

悲しみが込み上げて涙が止まらなくなったけれど
完走よりもなによりも無事に帰ることを約束し
強い気持ちで進みました

今年、幾人ものトレイルランナーの訃報を耳にしました。その方々を偲ぶ声を聞くたび、どれだけその方々が山を愛していたのか、どれだけ素敵な方々だったのかということがはっきりと、伝わってきます。多くの仲間を愛し愛されたその方々へ、そして、同じく山を愛した御嶽山の多くの犠牲者の方々へ、心よりご冥福をお祈りいたします。

あの山の記憶を心に深く深く刻み、これからもそれをしっかりと握りしめて、山に向きあっていきたいと思います。


あの山の記憶―YNMC120k vol.3

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ドロップバッグに入れておいた固形食。その名も「バタじゃが」。信越で石川弘樹さんがじゃがいもをかなりプッシュしていたので導入してみました(笑)茹でた状態で真空パックになってて便利。

<A4~A5>

ドロップバッグに預けていたシューズに履き替え(BajadaからBajadaへ)、最強の相棒BDウルトラディスタンス(ストック)を握りしめて意気揚々とA4を出発。知り合いに会えることと、食べ物を食べることのパワーというのは本当に恐ろしく元気が出るものです。その復活っぷりに自分でも驚くほどでした。

次のA5までは8km。
ロードと林道の組み合わせ。思ったよりもロードが長く、時折街灯のある道ではヘッドライトを消したりしつつ、とにかくロードを走る。走りながら思う。ボリュームゾーンよりも随分後ろにいるのに、こんなに走るのか―。4キロほど下って、3キロ登り。ストックがあることがあまりにも快適で、ここでも余裕を持って到着。この夏、ストックに慣れておいてよかった。

A5エイドは建物ではなくテントエイドだったけれど、おそらくボランティアだろう学生がとても明るく爽やかに対応してくれて、本当に元気が出ました。「たくさん食べてくださいね~!」「温かいものもありますよ~!」「毛布もあるので仮眠もできます~!」「元気出して行ってくださいね~!」もうすぐ日付が変わる時間だというのに、ハツラツとしていてなんて気持ちいいんだろう。菓子パンをおかわりしていいかと聞くと、満面の笑みで「もちろん!食欲あってまだまだ元気ですね!」と返してくれた。地面に座ってウトウトしている人に駆け寄ってそっと毛布をかけてあげていた。名前を聞けなかったけれど、このレースで一番最高な対応でした。

<A5~CP4>

エイドスタッフに「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えて、次のパートへ。

エイドまで来た道を少し戻る。
ここからは120kmの選手だけが体験する場所。ここが本当に本当に本当に辛かった。脚が痛かったわけじゃないし、怪我もしていないし、この頃にはもう胃も復活して補給も取れていたし、眠くもない。ただ、とにかくコースがキツかった。

鏑木さんの表現は、こうだ。
「とにかく、おそらく、ここが一番大変です」
「フカフカなトレイルです。フカフカと言うと良いように聞こえるけどそうではありません」
「雪の道、そう、雪の上を歩いてるかのよう」
「登っても登っても滑る、足がはまる、前に進まない」
「そんな感じです」

雪のような道。
聞いた時はその表現にまったく想像がつかなかったけど、なるほど、本当そうだった。茶色くて土の匂いがする雪の道。土がやわらかくて登っても登っても、ずり落ちて、前に進まない。高低図を見る限り、“多少”のアップダウンを繰り返しながらどーんと登って下りるのだと思っていたけれど、そんなのは幻想。ズルズルの急登を真っ直ぐ登って、登って、いや、まだもっと上の方にかすかにヘッドライトがみえる。え?あそこまで?
6.jpg登りきってフラット、ガーッと下り基調になったと思ったら、また登る。そんなことを数回繰り返していたら巻き道のようなところに出た。あれ?道が、ない。いや、もう少しあったのだろうけど、やわらかい土が小削げ落ちている。あまりに急すぎる斜面をどうやってトラバースすればいいのかさっぱりわからない。掴む岩や枝もない。登ろうとすると、一歩足を置いたそこからサラサラ雪のような土がキレた崖の下へ落ちてトレイルが減っていく。

150cmくらい先に木があるけれど手を伸ばしても届かない。そこで、その斜面に寝そべってうーんっと手を伸ばして、やっとのことで木に手が届いた。腕の力で身体を引き上げて、なんとかそこを攻略できた。いま思い出しても笑える。そんなコースってあり?(足が残っている人ならその斜面もうまく飛び越えたのかもしれない)

ピークのようなところで男性が一人休んでる。「疲れましたね」と声をかけると、地図を見ながら「おそらくこのままあとは下りだと思うよ」と教えてくれる。が、その後、心折れるようなアップダウンが10回くらい続きました(笑)後々そのお兄さんに会ったら、バツ悪そうに謝ってくれたけど、わたしは何の気にもしていません。だって、120kmの高低図は縮尺がいつも出るレースとは全く違っていて、たいしてアップダウンなどないように見えるのです。
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これが10kmや30kmくらいまでのレースだったらきっと、「こんなあほみたいに続くアップダウン登れるか!」と突っ込みたくなるでしょうに。しまいには足があがらなくて、斜面に半分倒れこむような形で、動物のように四足歩行をしたりもしました。俯いて歩いていると、小さい小さい数センチ角のシールでできたコースマーキングを見落としてロストししそうになる。
たった6kmだったけど、地獄の6kmでした。

<CP4~A6>

なんとか這って這って、CP4へ。仮眠所のあるA6まで3kmロード上り。いつもならうげ~っと思いがちの舗装路も、それまでのトレイルのアップダウンにあまりに飽きてしまっていて、ロードが嬉しくて仕方ないという意味の分からない心境に(笑) だって四足歩行しなくたって、早歩きでスタスタ登れる!気分は復活。こうやってアメとムチみたいなコースに翻弄されながら85km、A6へ。すこし終わりが見えてきた。

A6に着くと、小さな小屋にはたくさん布団がひいてあり、ギューギューの状態で選手が寝ている。でも、仮眠が取れるのはしっかり走っている速い人達。2つのストーブには毛布にくるまった人たちが暖をとっていて、座るスペースがないほど。幸いにもこの日の冷え込みは大したことがなく、凍えているような人はいない様子でした。

温かいものが食べたいけれど、このあたりからエイドの固形物が少しずつ足りなくなっていて、おにぎりがない。バナナと手持ちのバーなどを食べ、エイドのめんつゆ(中身なし。笑)を飲んで、お湯を入れたら早々に出発。小さなボトルにお湯を入れて携行する作戦は、STY前のランボー大学 UTMF/UTY学科でランブラーさんから聞いたもの。これに何度も救われて、おかげで吐いたことは一度もありません。危ないな、と思ったらすぐお湯を飲んで、ホッカイロをお腹に貼って、とにかく胃を温める。だんだんと固形物が苦しくなったけれど、これで乗り切りました。

<A6~CP5~A7>

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どこかのトンネル。この区間じゃなかったかも。遠くの光に向かって走るその状況が、このレースにチャレンジしようとしている自分の脳内のそのものだったから、思わず写真を撮った。

もうこのあたりになると記憶が曖昧です(笑)A6からすこし上りがあるのだけれどいまいち覚えていない。毎度のようにエイドに出た直後は元気になるルールで登りきれたのかも。そのまま5kmのロードを下ってCP5へ。

途中で会った男性が「いやもうこれ間に合わないね、ゴールできるかな、できないかもな、無理だよねぇ」と話しかけてきて、それには珍しくカッとなってしまい、「いや、余裕でしょ。何言ってるんですか。この時間なら全然余裕ですよ!わたしはゴールしますよ!」なんて怒ってしまいました。だって、絶対完走するんだもん、その気持ちがないとゴールなんてできないよ。
イライラした気持ちを振りほどくように一生懸命走りました。下り基調のロードが5km、変に頑張ったせいで途中で電池切れしつつ(苦笑)、その人にだけは抜かされまいと一生懸命走りました。

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何が撮りたかったのかよくわからない写真。白いのが保温ボトル。

CP5を出ると、まだ薄暗い林道の登りからスタート。次は鉱石山。もうずいぶん疲労困憊だったのか、意味のわからない写真と「孤独なのでひとりごと〜。いま93km。心折れながらとりあえずぼーっと歩いてる…」という友人に送ったメッセージがiphoneに残っていました(笑)だいぶ心折れていたらしい。

すこしパンを頬張ると元気が出て、シャキシャキ登る。何度かすれ違ってきた方に「登りが得意なんだね」なんて言われつつ。少しずつ夜が明ける、明るくなっていく、その瞬間が結構好き。太陽のパワーを感じて、長い暗闇の時間から抜け出す感じがいい。A5~CP4のようにしつこいアップダウンはなく、あっという間にピークへ。

そして、この下りから急に足にズキッと痛みが走った。腸脛でもなく鵞足でもなく、なんとなく、脛(すね)が痛い。おかしいなぁ、と思いながら長い九十九折れの下り、そして急な下りを慎重に慎重に下りていたら、それまでに巻き返していた貯金をすっかり使い果たし、朝7時に太郎大日堂に到着。

想定タイムに逆戻り。つまり、制限時間ぎりぎりの33時間半ペース。(制限時間は34時間)痛み出した足を揉みながら、また再び、関門に追われることになったのです。トイレに行きたいけれど、8人くらい並んでいて、15分は待たされそう。それって制限時間15分前ゴールになるってこと?やや冷静さを失って、トイレはもういいや、と我慢してA7を出発しました。
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<A7~CP6>

「とにかく、ちょっとでも貯金を作らないと」
A7からCP6の浅松山までの道をスタッフに聞くと、『9kmの林道登りです。ずーっと林道ですね。』 という答え。。うわ~。標高600mから標高1300mまでの、700mUPを林道で登るのです想定時間は3時間。早歩きでの林道登りは得意。よし、2時間半で、30分の貯金を作ろう!と決心して、どんどん抜いた。10数人くらいは抜いた気がする。

途中、100kmの表示。
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小さな表示だったけれど、はじめての100km越え。ちょっと感慨深かった。でもそんなこと言っている場合じゃない、急がなきゃ、急がなきゃ。102kmくらいのところで男性2人に会い、声をかけたのをきっかけになんだか話が弾んだ。

「足がもう痛くて走れないんです」
「みんな痛いよ」
「もう下りも走れないと思うんですけどゴールできますかねぇ」
「俺なんて登りの足も下りの足もどっか置いてきちゃったよ。マイナス思考だねぇ、絶対この時間だったらゴールできるよ。」
「いやでも計算したら結構厳しくって」
「計算するのが好きなの?大丈夫だよ。歩いてもゴールできるよ」

ついさっき知らない男性に強く言い返したのが恥ずかしいほどに自分が弱気になっていて、愚痴を聞いてもらったけれど、そのお二人はすごく明るく返してくれました。100km越えが初めてだということや、女の子でこんなレースに出ようと思ったのは何故かとか、MMAのバフがお揃いだね、とか、デニムランパンの話とか。この時には脛だけでなく、その付け根の足首が激痛だったけど、楽しい会話と共に、ギリギリついていけるスピードで引っ張ってもらいました。CP6に着いた時間はA7から1時間半後。予定の半分くらいで到着し、驚くほどの貯金ができた。標高700mUPの林道9kmを1時間半だから、かなりのスピードで上がってきたらしい。ここでそのお二人には別れてしまったけど、この持ち直しが心の余裕に繋がりました。

<CP6~CP7>

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浅松山がCP6。次に目指すはCP7、雨乞山。
ここまで、標高1200~1300mの峰を5つ、標高2000mの峰を2つ、合計7つのピークを越えてきた107km地点。CP7までが7km、そこからゴールまでが下りのみの5km。ここまで来れたこと、ここにきて意外と貯金ができたことが嬉しい。

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え~っと、だいたいギザギザ・・・アップダウンが5つくらい、そこからガッと下ってアップダウンが3つね、よしよし。ゴールがもうすぐだと思うと涙が出そうになりながら、噛みしめるように数を数えながら登り降りを繰り返す。もう100kmも越えてきたんだもん、このくらいの登りなら全然平気!今で4つ越えたからあと2つくらい。その後、ズドーンと下って、あ~もうCP7か!これが最後の登りだ!と写真を撮りました。
2014_10_ 9_ 2_24.jpgが、これ、ただの途中の登りでした(笑)これよりも急な登りがまだ10も20も続くとは露知らず、「最後の登りかぁ、これで終わるのかぁ」なんてしんみり写真を撮っていたと思うとかなり笑えます。高低図がギュッとなりすぎててほとんどアテにならないのだと、あれだけなんども思い知らされてここまで来ているのに、なぜにこんなところでそう思ったのか。疲労で脳がおかしくなっていたのでしょう。(おそらく108km地点、そこからまだ7kmもあった)

まだ?
まだ?
まだ?
まだ?
まだ?
え、ここにきて沢?
下るの?
上るの?

まだなの?

次のチェックポイント114km地点を目指して、そんな状況を乗り越えて・・・
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あれ?114kmなんだけど。チェックポイントがないんだけど。
明らかにへんな藪から出てきた人が「あれ?ここ、コースですかね?チェックポイントってどこでしょうね?」とウロウロしてる。最後の5km地点でロストするようなコースって・・・(笑) 鏑木さんのメッセージも嬉しいし、パワーをもらったのだけど、チェックポイントがどこなのかも記しておいてほしかった・・・。そこから1km弱進んだところが最後のチェックポイント、CP7でした。

雨乞山。
IMG_9958.JPG11時40分。想定タイムでは13時半着予定だったので、2時間近く貯金を取り戻せたことになる。

遠くに見える武尊山。あそこから来たのか・・・。不自然にしか歩けない足を手で抱えて椅子に腰かけて遠くを眺める。約3時間で5kmの下りなんだからゆっくり歩いても完走できる。歩いたって完走できるけど、やっぱり走りたい。痛くてたまらないけれど、だけどそれでも走りたい。ここまで痛み止めのロキソニンも飲まずに来たからには、痛みと戦いながら、走りたい。

ザックからファーストエイドや予備のテーピングを全部取り出し、少し動かすだけでも激痛の左足首をとにかくぐるぐる巻きにして固定。うん、多少はマシかも。雨乞山ピークでのんびりする人達を見つつ、ギュッと靴ひもを締めて出発。これで本当に、最後。

<CP7~GOAL>

雨乞山からはすべりやすい急坂下りが何度か。変な足置きになる度に「あ”あ”、、、」と声にならない声で悶える。たいして走れていなかったかもしれないけれど、気持ちは走ってる。急坂が終わると沢沿いの静かな樹林帯へ。まっすぐの道。遠くまで続いていて出口はみえないけれど、確かにあと数kmもすれば最後のロードに出る。長い長い120kmの旅の様々な出来事を思い返しながら走る。

振り返れば、ずいぶん盛りだくさんなコースだった。長いロード登り、荒れた沢道、沢登り、深い渡渉、鎖場、梯子、岩陵、牧場の上り下り、笹が刺さりまくるトレイル、雪のような土、林道、樹林帯。合間合間にロードを挟む。なんだかんだでその多様さが、ここまで飽きずに走ってこれた理由かもしれない。なんだ、可愛げはないけど、おもしろいやつだな。楽しかったな。あ、イテテ。

IMG_9960.JPG“ありがとう 心から感謝 鏑木”

いやむしろ、この大会を走れたことに感謝したい。このチャレンジができたことに感謝したい。あの人にも感謝したい、この人にも感謝したい。恵まれているな、ありがたいな。残りのロードは、これまでのトレランライフについて考え、楽しくて最高な仲間のことが頭に浮かびました。この2年弱、一緒に走ってくれた仲間のことを考えながら走りました。

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ゴール前、最後の橋。この大きな橋を渡って、ゴール。手前のところで歩いていた方に、「先に行ってください。ちょっと間を空けてゴールします。ゴールは、かっこよく行きたいですよね」と声をかけられ、その冷静さにびっくり。たしかにね(笑)

IMG_9962.JPGあれ?かすかに知人らしき人が見える。IBUKIのナベさんだ!誰もいないと思っていたのに、「えまちゃん来た~!」という声。

「すごいよ!すごいよ!やったね、えまちゃん!」
「やばい!めっちゃうれしい!ゴールできちゃう!どうしよう!」

うれしい、どうしよう、ものすごくうれしい。喜びがあふれて身体が震えるのを感じつつ、ゆっくりと、しっかりと、ハイタッチまでして、ゲートをくぐりました。
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かくんと力が抜けて、座り込み、マイクで何か聞かれたけれど、覚えていない。とにかく、ただただ嬉しくて、本当にゴールしたんだと、なんだか信じられなくて、とにかく嬉しくて、迎えてくれた仲間の温かさと優しい笑顔に触れた時、やっと緊張がとけて涙があふれました。

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はぁ、長いレポートだった(笑)
こんなに事細かく書いて、本当に読み返すのかな。だけど、長い道のりの中での、その時々のトラブルや自分の心境や行動、すべてをこれからの糧にしたい。これからもっと多くの経験をして、もしかしたら大したことじゃなくなるのかもしれないけれど、この、「はじめての100km越え」の記憶を忘れずにいたい。これを岐路に、さらに一歩先へ進みたい。そんな思いで、いつでもあの情景と感情と感動が戻ってくるように、自分のために書きました。

*

自分の足で、自分の判断で、自分の力で、奇跡的にも、ゴールできた。
何かがひとつ間違っていたらたぶんゴールできていなかったと思う。
なるようになるよ、と言うけれど、ハッキリ言って、なるようにならない。
それは、メンタルとかフィジカルとかそういうことだけではない気がした。
そんなことを思わせるような、容赦ない、山らしい山。

なるようにならない、を成すことができた。
自然と向き合い、自分と向き合った32時間。
贅沢な時間でした。

*

上州武尊スカイビューウルトラトレイル
第1回川場村 山田昇メモリアルカップ

31:54:16 女子18位 完走

(男女総合完走者: 385人/女子完走者:20人)


あの山の記憶―YNMC120k vol.2

(あの山の記憶―YNMC120k vol.1)

<A2~CP1>

29km地点二つ目のエイド、A2。予定より15分遅れ。この時点で太陽サンサン。青空で気温も高く、かなりの日差し。エイドではみんな日陰を探して身を寄せ合うようにテント下で休んでいました。
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A2~CP1。ここからです。ここが、魔のロード区間です。標高2000mの山を越えてきた序盤で、10km以上もの舗装路登りです。しかもそのロード含めて標高1300m近く登るというのです。

時間はお昼。青空。天気に恵まれたことはとても良かったけれど、この区間では本当に苦しめられました。制限時間ギリギリの33時間設定で作ったペース配分表には、さらりと『ロード7分/kmペース』と書いてある。地形図をみても高低図を見てもそんなに激しいアップダウンはないものと想像していたけれど、そんな想定一体何を根拠にしたのかと、作った自分に苛立つほどのじわじわアップダウン。しかも照りつける太陽と照り返しで、上から下から苦しめられる。

最初は快調に走っていたけれど、次第に汗でビッショリに。頭がぼーっとしてくる。補給のタイミングを失って慌てて摂るも、軽い脱水で唾液が少なく固形物がうまく飲み込めない。お茶で流し込んでなんとか凌ぎました。けれど、ずいぶんの間ぐっと堪えながら登りは歩いて歩いて、予定よりも30分遅れでCP1へ。関門40分前。良かった、間に合った。

<CP1~CP2>

ここからは武尊山への道。武尊山に挑む権利を得られたんだ。そう思うと、気が引き締まります。 “手小屋沢林道終点” に15時半がデッドライン。このままずっと『林道』なら歩き通しでも間に合うかも!と思いきや、早々に沢混じりのトレイルに。荒れた道のそばで湧き出る水をボトルに汲んでは頭からぶっかける。そうやって熱中症の回復を待ちながら、みんなが除ける沢道を気にせずビシャビシャ突っ込みながら進む。

近くを歩いていたランナーには 「わざわざ水のあるところに入らなくても」 って苦笑いされたけど、沢の傍は泥で沼のようになっていて、足がはまるとシューズが重くなるだけ。それなら濡れるのなんて気にせず沢の道をガンガン登った方がいい。全くといっていいほど走れなかったけど、身体の回復をみながら進みました。とうとう予定のタイムよりも1時間近く過ぎてしまっていました。とにかく、長かった。

やっと、『林道』の終わりらしいところを足切り時間までに通過して、樹林帯を抜けるとそこには、ドーンと沢。沢の左右にコースマーキングのリボン。徒渉なんていう甘いもんじゃない。それはつまり″沢を行け”という印。

IMG_9940.JPGこれが噂の手小屋沢。沢を詰め上がる。水量はさほど多くないので沢登りっていうほど大げさではないけれど、濡れないように岩を選ぶなんて正直意味がない。時には脛だか膝だかまでは浸る、流れのある沢をザブザブ入る。うっかり足置きを間違えるとつるんと滑る。「うわっ」「やべっ」「あぶねっ」そんな声が飛び交う。コースマーキングがまぎらわしくてロストしたりしながら、必死で登りました。

まもなく避難小屋分岐へ到着すると、いよいよ武尊の急登。すぐに梯子かと思いきや、梯子までが長い。根っこが這うトレイルを幾度も幾度も越える。写真がないので、沢からすぐに急登に見えるけれど、とにかく、まだか、まだか、と思うほど長かった。
そして、いよいよ梯子へ。
IMG_9941.JPGホールドになる足場はしっかりしているけれど、想像以上の岩。登り切って、ホッしているとまた、鎖と梯子。2つあったのかと思っていると、また。さらにその先には連続梯子。スタッフの方に「山頂はもうすぐですかね?」と声をかけると「最後の梯子を追えたらちょっと行って、山頂ですよ」と、確かにそう言ったと思う。

だけれど、たいていそれはトレランの “大会あるある” で、そう簡単には着きません。15時半に山頂を着く予定が、その時点ですでに16時を過ぎていて、16時半には着くかと思いきや、進んでも進んでもまだなお登りがある。

結局、山頂に着いたのは17時前でした。

以前説明会で運営の方が「武尊に最低でも17時ですね」だか「17時半ですね」だか言っていた気がするのを思い出しては、その言葉が頭をぐるぐる。景色が最高なはずの武尊山はすでに夕暮れも過ぎてガスが出て、真っ白で何も見えない。というか、想定タイムにあまりにもかけ離れてしまい、自分の頭の中が真っ白で、景色どころじゃなかっただけかもしれない。

<A2~CP1>

酸素の足りない脳みそで、苦手な計算をしながら平均キロ何分で行けばいいのかと考えます。ハイドレの水が少ない。冷えてきたから温かいものも食べたい。トイレも行きたい。関門計測はエイドを出る時。でも次の関門は19時。

・・・次の関門まで9km。標高差1200m、激下り。関門は2時間後。

2時間で下りるとエイドでは休憩ができない。サポートはいない。そう考えると1時間半で下りたい。ここまで50km走ってきた脚で。考えれば考えるほど、どう考えてもキツイ。山頂では岩に腰かけて補給をしている人がたくさん居て、きっと次の関門は諦めていたのかもしれない。見てみないフリをして、一歩でも先を進みながら何度も何度も計算する。

しかもバカなことにSUNTOの充電コードを忘れ、すでに電池が切れていて速度も高度も測れない。そんな状態でこの岩場で梯子もあるトレイルをロードに毛が生えたくらいのスピードで下りなきゃならないなんて。山頂を少し過ぎたところで同じチームのホヤさんに遭遇。「意外と関門厳しいね」と。ホヤさんですら厳しいなんて。とにかく、とにかくこの状況が悔しくて悔しくてあふれそうな涙を堪えながら、

こんなところで終われない。
いやだ、ぜったいいやだ、帰りたくない
いやだいやだいやだ!

子供のように自分に駄々を捏ねて突っ走りました。
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かっこよくなんて走れない。しかもこんな時なのに下りが遅い。でも不思議と、あそこでああしてれば、こうしてればとか、そういうことはこれっぽっちも考える暇なく、ただただ「いやだいやだ完走しなきゃいやだ」と一生懸命走りました。最初からずっと、自分の最大限の状態でここまで来ているんだから、振り返って後悔するものなどないのです。途中でホヤさんが猛スピードで駆け抜けて行ったけれど、到底ついて行けない。それでも自分の精一杯で走るしかない。きっと間に合う。とにかく前に進むしか、それしかない。

よく、“なるようになるよ”、なんて言うけれど、ハッキリ言って、なるようにならない。それが言えるのは確かな自信がある場合と少なくとも60%くらいの可能性がある場合にしか通用しない。その厳しさが私にとってのこのレースなのだと痛感しました。お気楽なわたしの性格を打ち砕かれる思いでした。

<A3~CP3~A4>

途中でヘッドライトを付けて、A3の武尊牧場スキー場に着いた頃はすでに真っ暗。
18時15分。なんと、1時間20分くらいで下りてこれた。パニックでものすごくギリギリだと思っていたけれど、後からペース配分表を見ると山頂で1時間半もオーバーしていたタイムが15分オーバーまで巻き返していました。

選手が飛び込んでくるA3では、皆続々と 『リタイアはどこですか』 と言っているのが聞こえる。また、スタッフの方が 『川場行きのバスに乗る方~』 というアナウンスをしている。そんな状況の中で、淡々とトイレに行き、お味噌汁におにぎりを入れてオジヤにして食べ、白湯で胃を整えて、これからのレース運びを冷静に考えている自分が居ました。関門20分前にA3を出発。

A3からA4までの区間はほぼ覚えていない。ただ、ものすごく元気だったことだけは覚えているのです(笑)熱中症から完全復活をしたことと、関門に間に合ったことが嬉しくて、それくらいしか理由は思いつかないけれど、エイドに人がたくさんいて安心したというのもあるかもしれない。

A3~CP3はゲレンデ下りの後、ロード下り。生き返ったようにとにかく走った。もしかしたらA4のドロップバッグに間に合わないかも、なんて思っていたけれどなぜかここに来てずいぶんな巻き上げで、予定コースタイムよりも30分も繰り上げでA4に到着。コースはすっかり忘れてしまったけれど、脚が残っていれば走れるコースということなのだと思う。

A4は大きな施設。そして、ドロップバッグを受け取れる場所。人がいっぱいいる。温かい。なんて嬉しいんだろう。エイドに入ると知った顔がいて、握手を交わす。みんなから「よくここまで来たねぇ!」と褒められ、たまらなく嬉しい。なんだか、あまりに限界に近い状態でいるからか、感情が素っ裸みたいな状態で、すぐにあふれ出そうになる。ずっしり重いドロップバッグを広げて、どろんこになったシューズを脱ぎました。
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着替えを抱えてトイレでfacebookを見る。みんなからたくさんのコメントが入っていて、胸が熱くなる。ひとりで参加することにとてつもない不安があったけれど、寂しくない。夜なのに、気にかけてくれる仲間がいて、コメントをくれて、応援してくれている。トイレという薄暗くて小さな空間がなんだか落ち着いて、便座に座ってひとりすこしの間、ぼーっとしてみた。

本当はエイドでゆっくりしすぎるのは良くないのかもしれないけれど、予定よりも巻いたことで、たっぷり食べて、落ち着いて荷物の整理をして、寝ずに1時間近く休みました。
ここまで、68km。
やっと半分きた。

<vol.3へつづく>

長いですが後半はほとんど覚えてないので次くらいで完結します(笑)