冬支度

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久しぶりの更新になりました。

レースシーズンが終わり、まったりと過ごしてしています。レースシーズンなんて言ってますが、今年出たのは3つだけ。奥三河、富士登山競走(雨天打ち切り)、UTMB。いつもレースに出てるイメージがあるようですが、トレイルランニングを始めて最もレースに出なかった年でした。その分これに加えてT.D.Tを春と秋の2回参加しました。1年に3回も100mileを走り、結果的には練習も含めていままでで最も走り、ロングディスタンスの虜になった年になりました。

さて、今年は雪がたっぷり降るんじゃないかと、目を輝かせる山仲間の荒い鼻息がそこかしこから聞こえてきます。昨年は雪が少なかったので、今年の雪には皆すごく期待しているのだと思います。冬期の登山は4年目になりますが、まだ経験が浅く技術もあまりに乏しいので、もう少しレベルアップしたい今シーズン。冬山経験が豊富な方の繋がりを色々と探しては学ぶ場を広げねばと考えています。どうかたっぷり降ってほしいものです。

そんななか、まさに今日、立山で雪崩事故がありました。
ここ数日立て続けに立山での雪崩の情報が出ていて気になっていたのですが、ついに人が巻き込まれてしまったのだそう。たとえば雷鳥沢と言えば夏山では楽しいテント場ですが付近では雪崩が度々起きているそうです。今回の事故は室堂から一ノ越間で起きたと言われていて、トレイルランナーならTJARなどでお馴染みの一ノ越。石がひかれて整備されていて、夏のシーズンは室堂のホテルからスニーカーで上がってくる人までいるようなところです。そこで、6人のパーティーのうちの3人が雪崩に巻き込まれました。夏は歩きやすい場所だけれど、木もなにもない大きな斜面です。

【立山雪崩情報】 http://toyamaken-sotaikyo.jp/avalanche
ここにも記載されていますが、3年目前の11月に真砂岳で発生した雪崩事故(7名死亡)と似たような状況、だそうです。このページの表現は初心者のわたしでもわかりやすい。行くわけではないですが、ふむふむと読んでいます。数日前にUPされていた、『しばらくは雷鳥沢などの大きな斜面には立ち入らない方がよいでしょう。もし立ち入る場合には、比較的安全な斜面で積雪状態を詳しく調べ、自身や他人に対するリスクの回避や万が一の救助方法などについて、仲間同士でよく話し合ってください。現在、積雪層内には不安定な積雪が存在していることを忘れずに、くれぐれも慎重な行動判断を。』という言葉が強く心に響きます。

先々週は富士山で2km(標高にして900m)もの滑落で2名が亡くなりました。ちょうど富士山の事故が起きた日、わたしは仲間と沼津アルプスを走っていて、徳倉山から富士山を眺めて『雨の後のこんな暑い日には危なすぎてだれも登らないだろう』と話していたところでした。
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もちろん視界良好である必要は絶対あるのだと思いますが、単純に晴れていればすべて良しというわけでなく、雪が多けりゃいいというわけでもなく・・・じゃあどうであればいいのか?つくづく冬山のコンディションには悩まされます。富士山の事故に遭った方は、1人は山岳会所属の登山歴40年、もう1人は大学山岳部。どちらもきっと経験豊富な方だと思います。一体何が正しいのか、まだわたしには知識が足りなくてわかりません。ただ、まだ今はシーズン初頭。自分がまだ登るべきではないだろうというエリアや状況の判断は、慎重すぎるくらいがちょうど良いと思っています。

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11月に入り、この時期だからできる冬支度から始めました。まずはギアチェックです。冬場しか使わない装備を引っ張り出してきて、突然使って万が一劣化していて途中で使えなくなってしまったら、雪山ではそれは死に一歩近くなることです。

アイゼンを分解してチェック。うわ、ちゃんと錆落として油も塗ったのに錆びてる・・・磨き直し。わかんも同じく。冬靴に合わせて装着。(久々だと、え~っとどっちから通すんだっけな?となる)
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グローブ類がペアで揃っていて劣化していないことの確認。手先足先は低山でも簡単に凍傷に・・・。ジャケットの劣化チェックと防水洗濯+アイロンで熱をかけておく。アウターもしっとり濡れて身体が冷えたら最後。

そして、今年は新アイテムを投入。冬用登山靴を一足、UTMBの時にシャモニーのスポーツショップの閉店セールで新調しました。SALOMONのS-LABX ALP Carbon GTXです。
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女性サイズだからか激安で、レース前に見つけてレース後までに売り切れたらどうしよう!と思っていたけれど、真夏のシャモニーではそんな心配無用でした(笑) ローカット+シューレース、ゲイター一体型で、アイゼン対応。軽くて動きやすい。どのくらいの山まで行けるかはまだわからないけれど、現地でも若い欧州の登山家達が結構履いていました。

新しい靴でいきなりフィールドに出て足が痛くなったら同行者にも迷惑がかかる。しかも雪が深い場合、時には靴にアイゼンを付けてさらにわかんを付けたりもして、ヘビー級になります。そんなわけでアイゼンとの相性チェックのためにあえて岩が多少ある【雪と岩が混じった状態の低山】へ日帰りフィールドテストに行ってきました。3時間程度の山行で行ける場所です。

まず、もともと持っている冬用登山靴よりも一回りスマートなので、アイゼンのベルトが余る。いままでの靴に合うように焼切ってあるので長いのです。ちゃんとたたんで絡めておかないとうっかり引っかけ兼ねない。(写真では適当だけどこのあとたたみ直し) そして致命的だったのが靴擦れです。チェーンスパイクで歩いたときには調子が良かったのに、アイゼンを付けると歩いているうちにかかとが痛くなってくる。シューレースで締めるタイプの靴なので、どうやらアイゼンの重みでかかとが若干浮いてしまうらしい。
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カポカポとかかとが浮くうちに靴が擦れてしまって痛い。替えの靴下に履き替えたり、靴擦れ用のジェルパッドやニューハレで肌を保護したり、コードやアイゼンを締め直したりしたけれどイマイチ。これじゃダメだ。メーカー曰く『アイゼンとの互換性は、GRIVELとPETZL両社の協力体制のもと開発。指定モデルのみに適合いたします。』だそうで、いちおう私のも“指定”のGRIVELのAIR TECH LIGHTなんだけどな~。古いモデルだから重いのか?ともかく、テストしておいてよかった~!これが本格的な雪山の山行中だったら思うとゾッとします。

わたしの使っているアイゼンは重くて爪も長く、安心・安定感はあるけれど、もう少し軽いものにすべきか。そのそもこのシューズは-7度/+20度なので厳冬期には向かないか。残雪期向きか?などなど。これを履く時はもう少し軽量な10本前爪くらいのアイゼンとのセットにして、雪深い場所や標高の高い場所に行く時には、もともと持っているゴツイ冬靴が良いのかもしれない。

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先日行った山で、『せめてピッケルがあったらよかったのに・・・・・・!』と心底思った出来事がありました。その時期のその山では、経験者でもなかなかピッケルを持って行く選択肢を取らないような状況でした。なにせ、その日は山の中で15人くらいに会いましたが、私達以外は1人もチェーンスパイクや軽アイゼンすらしていませんでした。(ザックに入っていたかもしれない) 冬山をやらない人が初冬に登るタイプの山ではないので、おそらくほとんどが登り慣れた地元の方なのかもしれません。明かに上は雪だろうと読んでいた私達は、チェーンスパイクと軽アイゼンを履いていて、それがとても大切な役割を果たしました。私達には身の危険はありませんでしたが、もっと気を引き締めなければ、とシーズンイン早々に痛感しました。

持っていかず後悔するくらいなら持って行ったほうが良い、でも持ちすぎて重くなっても体力を奪う。まだまだ初心者レベルのわたし。経験者から教わったり、仲間と共に経験を積んでいくしかない。夏山にも増して厳しい冬山。ギアの準備だけでなく、知識も、こころも、冬支度をはじめなければならない季節が今年もまたやってきています。雪山が、心奪われる素敵なものであること、多くの登山愛好家を魅了するものであることは違いないのだけれど。

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立山で雪崩に遭った方々が、どうか無事でありますように。