徒然と、シューズデザインについて

どんな商品でもマーケットが成熟してくると、商品性能は似てきてしまうところがある。特にスポーツの場合、マーケット規模の大きいメジャーな競技のものはそういう傾向にある。そこへなにか革新的なものが発売されると、全体もその方向へと流れる。その繰り返しの中で、例えばロードランニングの場合、差別化しようとそれぞれが努力した結果が、ライド感、接地感、フィット感のような感覚的なものであったりするわけですが、主観に委ねられるものであるから、決定打にはなりにくい。そこでデザインで表現することもある。ウエイトを考慮すれば、デザインはミニマルであるべきだが、ちょっとした遊び心も欲しい。しかしながら、ミニマルなデザインで差別化することは、なかなか至難の技で、ともすればゴテゴテと装飾的なパーツやグラフィック、色使いになったりもする。そういったものを英語ではギミック(機能が伴わない見せかけの装飾)とも呼ぶ。

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最近、全盲の競技者の方に、個人的に手配したスパイクに本当の機能的な美しさを見た。普段自分が履かないが故の、軽さに対する驚きもあったのですが、自動車に例えるならF-1のような美しさがあった。これを履いていただく全盲の方は、当然ながら、見た目のデザインではなく、フィット感という感覚的なものを評価していただいて購入したいと言ってくれたわけで、そういったことも含めて本物なんだなと感心した次第。

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もう1つの写真は昨日購入したフランスのクライミングシューズ、Andrea Boldrini社のシューズ。サイズがなく、1年近く待ってやっと手にいれたもの。生産量が限られていており、輸入元の直営店に問い合わせても、「うーん、みんなバカンスでクライミングに行っちゃって、いつ入荷するかわからないんです(泣)」という回答に、余計に欲しくなってしまった。そんなにクライミングが好きな会社が作ったシューズならば、きっとよいものだろうと。クライミングシューズは、マーケットが小さいために、こういったメーカーがかろうじて生き残っている業界なのだ。陸上のスパイクが工業品としての美しさであるならば、このクライミングシューズは手作業の職人が作り出す美しさだ。パーツ1つのカーブや、ベルクロ先端の角度、たぶんラインで生産するには、かなり効率の悪いものだろうと思う。そういったものをど返しして、美しさや機能にこだわっているのが伝わってくる。フランス国内で生産されているものなので、祝いにフランスワインを買ってきてしまった(笑)

さてトレランシューズはどうだろう。かつてはヨーロッパ系とアメリカ系のブランドで、そのフィールドの違いからか、あるいは登山靴を発祥にしているブランドである場合、ライド感、簡単にいえばソールの硬さに随分と違いを感じられたものだった。ところが最近は、トレイルランニング自体がグローバル化しているからか、さほどその差を感じることはなく、どれも走りやすい。各ブランドで注力しているコンセプト、例えばゼロドロップ、厚底、ラグの強さ(あるいはその逆)などの特徴がそのままそのブランドを印象付けさせることになっている。同じコンセプトのシューズを履いたら、ブランドが違っても、その違いがわからないかもしれない。トレイルランニングのマーケットは小さいのですが、上記のAndrea Boldirini社のようなメーカーはもう残っていない。少し寂しい感もある。

さて、クライミングシューズのエースは決まったが、今シーズンのロードのシューズをまだ決められない。フルだろうが、ウルトラだろうがワラーチでいっちゃうよ、という自分のスタンスを持っている裸足族が少し羨ましくもあったりする。もう師走も半ば、そろそろ決めねば。