Used.

先日、使わなくなった山岳テントを知人譲ったら、まだ幼いお嬢さんとテン泊遊びをしている写真が送られてきた。私の家で使われずに場所を占拠しているよりずっといい。山行スタイルもかなりストイックなものからユルユル温泉付きまでと広く楽しんできたのだけれど、だいたい一定の範囲に収まるようになった。そうすると、どうしても使われないものが出てくる。「いつかまた使うだろう」というのはほぼ使わないものだ。使われずに焼却処分になるのは環境にも良くないことだし、必要になる時にはレンタルなり手段はいくらでもある。今回は厳冬期の雪山装備を中心に、使わなくなった山道具とウエア類を売り払う事にした。ヤフオクや流行りのメルカリでもいいのだけれど、色々と苦手な事もある。フリマに出店するマメさもなく、御岳へボルダリングに行く際に立ち寄る山道具の中古屋さんに持ち込んでみた。

 

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御岳のセブンイレブン前、ランナーだと北側か南側の稜線を通り過ぎてしまうのだけれど、多摩川源流の渓谷は美しく、ボルダリング、カヤック、ハイキングなどのアウトドアスポーツの拠点でもある。

 

雪山装備の象徴でもあるピッケル。赤岳、唐松岳などの思い出がある。ただ周囲も自分もそれ以上厳しいルートにのめり込むことはなかった。

雪山装備の象徴でもあるピッケル。赤岳、唐松岳などの思い出がある。ただ周囲も自分もそれ以上厳しいルートにのめり込むことはなかった。

 

厳冬期のみに使用していたのでソールの減りが殆どなくコンディションは良と査定された。一方、この靴と相性の良かったSimonの12爪アイゼンは少し傷んでいるという査定。登山靴はモデルチェンジのサイクルが長いためか、よい値段がついた。次々と新商品を投入して自らその価値を劣化させているランニングシューズ業界とは違うようだ。

厳冬期のみに使用していたのでソールの減りが殆どなく、コンディションは良と査定された。一方、この靴と相性の良かったSimonの12爪アイゼンは少し傷んでいるという査定。登山靴はモデルチェンジのサイクルが長いためか、よい値段がついた。次々と新商品を投入して自らその価値を劣化させているランニングシューズ業界とは違うようだ。

 

ウッドストーブを使った事もあったが、今はガス以外は考えたく無い(笑)

ウッドストーブを使った事もあったが、今はガス以外は考えたく無い(笑)

 

ほぼ全身をカバーする150cmのエアマットも使わなくなってしまった。快適ではあるが、やはりカサ高と重量を考えると90cmで十分になる。

ほぼ全身をカバーする150cmのエアマットも使わなくなってしまった。快適ではあるが、やはりカサ高と重量を考えると90cmで十分になる。

 

今回、残念だったのがGerminの山岳GPS。購入時は高額でしたし、純正の東日本山岳地図、オレゴン州、ワシントン州の山岳地図も入っている。ただ、電子機器類は日進月歩で、新しいものが出ると、どうしても価格は急落するそうだ。

今回、残念だったのがGerminの山岳GPS。購入時は高額でしたし、純正の東日本山岳地図、オレゴン州、ワシントン州の山岳地図も入っている。ただ、電子機器類は日進月歩で、新しいものが出ると、どうしても価格は急落するそうだ。

 

自分は何を勘違いしたのか(笑)多分、これはベースキャンプなどで、大きなテント設営時に特殊環境下で使用するもので、日本で使用する設定は思いつかない。ソロ-2人用テントでペグダウンできない下地ならば、石を利用すれば良いのだから。

自分は何を勘違いしたのか(笑)大きなテント設営時に特殊環境下で使用するもので、自分が日本で使用する環境設定は思いつかない。ソロ-2人用テントでペグダウンできない下地ならば、石を利用すれば良いのだから。

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鏑木モデル?

 

<番外編> これは売らなかった。

<番外編>
これは売らなかった。

 

チタン製コッヘルの値段が手頃になり、少し時代遅れの感があるアルミ製のコッヘル。これはなんとなく売るのをやめた。少し凹んだキズは派手に転んだ時のものだ。査定に出せば、わずかな金額でしかないだろうけど、このコッヘルは自分が初めて買った山道具の一つであり、プライスレスなのかもしれない。次々と買って捨てるという消費文化の中で生活し、自分もその産業の仕組みに加担している。ならば自分だけのプライスレスがいくつあるか、そうでないものなら焼却処分ではなく、次の使い手を見つけてあげるお手伝いをする。せめてそんな事ができたらと思う。

追記: 全部でいくらになったか?ウエア類と合わせると、自分が好きな手頃な値段のビオワインが2箱(24本)買える値段になりました。


ITRAについて

1年半前を振り返って

当時、自分はこういうポストをしていました。http://mountainma.com/kugishima/2016/02/10/free/

だらだらと長い文章で読みにくのですが、ポイント制という枠組みに対する違和感と、レースをこえた本来あるべきトレイルランニグの「自由」という点を言いたかったと記憶しています。私が今、当時の視点に付け加えるものがあるとすれば、レースというのは、その枠があるからこそ、多くの仲間と共有する楽しみがあるということ。素晴らしかった景色、辛かった登り、そういったことを共有できる仲間ができて、それが一生続く友人になれば、それはとても素晴らしいことだと思うのです。

最近の話題について、わからない方はじろーさんのブログで(リンク) 

さてさて、ここ数週間で話題になっている(日本ではあまりなっていない??)International Trailrunning Association(以下ITRAとHardrock 100他のアメリカトレイルレースオーガナイザーとのやりとりを見て、やはりねー、そうなるよ、というのが率直な感想です。前記のブログポストで紹介したITRAの活動目的は、大きな理念(競技の発展、医療、安全)では、もっともであるのですが、具体的な成果物となると釈然としなくなる。総会で医療、安全に関するガイドライン(リンク)が発表されているが、ITRAのポイントに反映されるわけでもなく、内容もごく一般的なものという印象です。

急増するアジア圏でのトレイルランニングイベントでこういった医療、安全面で対応できていないイベントがあるのであれば、それはそれで一定の意義はあるのかもしれませんが、日本のレース主催者がこれを熟読しているとも思えません。(何故か中国語、韓国語まで翻訳されているのに日本語がありません)

We need to quickly develop our ability to make sure that the guidelines are effectively respected by all race organizers. とあり、ITRA自身も改善が必要と考えているようです。

ワールドチャンピオンシップの開催はアメリカの伝統的なレースからすれば全く興味のないこと(野球で言えばWBCみたいなものかな)、世界ランキングの整備はプロランナーの評価とそれをスポンサードするメーカーにとっては意味のあることになるが、それこそが、Monetize (金銭化)であり、皮肉いっぱいのIronmanization という表現に込められた根本的な開催理念の違いでもあります。ここはどうしても埋まらない溝だと思うのです。Hardrock側が書いているように、アメリカでは国立公園内の自然保護の観点から参加人数の規模が大きく違うので、そこから生まれ出て来る理念やモチベーションは違って当然だと思うのです。そこをあえて埋める必要があるのでしょうか?

ITRAのバランスシートから見えるもの(リンク)

2017の仮予算では、レースの査定料は23,821ユーロ、レースオーガナイザーからの会費(実質査定される上で会員になった方が良いだろうというのが常識的な考えではないだろうか)が85,433ユーロ、両方合わせても110,000ユーロほどです。国際的な競技組織としては小規模であり、支出を見ても4人の専任従業員の給料を払ったら、あとはキツキツ、以上終了、というレベルだと思います。ましてや誰かが私腹を肥やせるような金額の大きさではありませんね。

ただ、パワーポイントに2016で2,200以上のレースの査定実績とありますが、計算が合いません。何かディスカウントシステムが効いているのでしょう。そしてこの数字が正しいならば、これでは大きなことはできないだろうなというのが読み取れます。

他のメジャースポーツでは各国の組織にスポンサー収入や個人会員の集金システムがあり、それが収入源となるわけです。少し飛躍した例えかもしれませんが、陸上だって公認記録をもらうには、団体、又は個人として日本陸連の会員になり年会費を払う必要がありますよね。私たちはそういった組織化、競技化をトレイルランニングレースの将来像として描くのでしょうか?この点においてはスカイランニングの国際組織の方が自然な流れの中で明確にしているように思えます。(賛同する、しないは別の問題としても)

様々な意見が見受けられる中、あるアメリカ人ランナーのコメントが頭を離れません。

「地球のもう片方に素晴らしいレースがあるのに、それに参加する人と、しない人でランナーが二分されてしまうのは悲しい」

もちろん、同じ走力があっての前提です。この意見はITRAに今起こっている事実として認識してほしいと思うのです。ITRAはUTMB と関係性はないと主張したところで、結果としてポイント制度がもたらしている現実だと思うのです。冒頭に書いたように、あの年あのレースのあの景色、すごかったよな、と酒が飲めないのは、ノスタルジーに浸る壮年ランナーのたわごとということでしょうか。残念ながら、私自身に結論や妙案はありません。ただ、このブログを読んでいただいているランナー、特にUTMB®︎、UTMFを目指すランナーのみなさんには、ご本人が意図する、しないに関わらず、このITRAの目指す方向性に沿ってレースを走っているということを理解してほしいと思うのです。

 


カタクリの花

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花が咲くまで7年かかるという。実際の片栗粉は芋の澱粉から作られるのでそれは別物。絶滅危惧種の希少性からか盗掘の対象となってしまう。トレイルランナーならば、ハセツネコースの山域にも群生地があるのを知っているかもしれません。そのように多くの場合、人に知られてしまい、保護管理の下にあるのだけれど、今日は年に数十人通るかな?というマイナールートの登山道脇に咲いているのを見つけました。この山の麓の集落に有名な群生地があるのだけれど、踏み跡薄いマイナールートの登山道に咲くカタクリを見て「おいおい、こんな目立つ場所に咲いてちゃダメだよ。人に見つからないようにな」と声をかけたくなった。


ここ走りてーな。

2回続けて動画の紹介です。これまで自分の見たことがない映像の美しさでした。アルプスのような荘厳さではなく、日本の神秘的な森の美しさでもない。見ていて気づいたのですが、これはランナーが走っている時に見ている風景とその流れだ。止まっていない。常に後ろへ流れていく。余分なナレーションは一切なし。ただただ美しいシングルトラックをレース展開とシンクロさせて撮影している。バイクから撮ったのだろうか?かなりのハイスピードだ。

 

 

私的な見所はKaciとMagdaの併走。登りでMagdaが引っ張り、下りでKaciがギアを上げる。KaciはNike、MagdaはHokkaだからチーム戦術ではなく偶然そうなったとインタビューで答えている。そして二人は手をつないで同着2位でゴール。このレースの上位2名はWestern Statesの出場権が与えられるゴールデンチケットレース、Western Statesは有名選手でも抽選なのだ。さすがにKaciは前年のWestern States優勝者だからチケットは必要ない。Magdaがチケットを手にいれてめでたしめでたし。男子の2位は後半に追い上げたDakota Jones、この顔を覚えている人も多いだろう。数年前のハセツネで優勝している。自分は応援で山中にいたので彼のタフさと、その後に聞いたレース展開や彼自身のブログから、聡明な選手だなと感じていた。今回の追い上げからの2位も冷静でタフな奴という印象だ。

もう、こんなレース走りたくなりますよね。Lake Sonoma 50、2018の要項はまだUltra Sign Upにも出ていないけれど、今年の登録と抽選は、12月、そしてレースは4月中旬、北米にしては人数も多めの400人だが、抽選倍率は高そうだ。あ、ルールが3つだけあるそうです。それが守れない人はダメよと。

1 ゴミ捨てるな

2 良い人であれ

3  楽しめ

1,2の違反は失格、3の違反はレース後のビール取り上げちゃうぞ。

以上

シンプルでいいな。

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「LIFE IN A DAY」国際女性デーに公開

Western States Endurance Run​ 2016を走った4人の女性アスリートのドキュメンタリーフィルム。字幕がないので英語がわかりにくいのですが、 Billy Yang Films​の動画は音楽のセンスが良く、カメラマンが走れるのでスピード感と躍動感があり、流してみるだけでも十分価値があると思います。

 

<私的な勝手な見所>

27′40 から  Devon Yanko が自分の悲しい過去を語り始めます。普段聞き慣れない単語が出てくるので、正直、内容を理解できませんでした。彼女の身に何が起こったのかは、彼女のブログ http://www.devonyanko.com/news/(リンク) のDec,17,2016 に書かれています。重いテーマであり、当初はアメリカの影の部分のような印象を受けましたが、これはもしかしたら世界中で起きていることで、声をあげられない女性もいるのではないかと思います。悪い奴は世界中どこにでもいるから。それでもトレイルランニングと出会い、回復していく自分を語るDevonにもらい泣きしてしまいました。走っている最中に、ライバルのMagdaがドロップしたことを知り、カメラマンに Is she OK ? と聞いている彼女に、人としての優しさを垣間見ることができます。

41′15 から Kaci Licteig の魅力

常に笑って走る。小柄で細い腕を大きく振りながら走る様はとても好感が持てます。この時も蛇を踏みそうになって騒いでいる(笑)

48′48  から Anna Mae は71mileでドロップしてしまいましたが、プランしても絶対にその通りにはならない100マイルレースを、女性が期待されるステレオタイプの人生と対比しながら振り返ります。

55′55から 2015の優勝者、Magdalena Bouletもドロップという結果でしたが、彼女も人生に例えて今回の100マイルを振り返ります。おそらくこの4人では年長者(失礼! )であろう彼女の語り口は穏やかで説得力があります。そしてわずか13日後のSPEEDGOAT 50Kで見事表彰台に上がっています。

もし、Billy Yangが日本の女性4人をフィーチャーしたら、誰と誰を選ぶでしょうか。それは貴女かも..

 


Dragon’s Back Race その後…

一昨年にこのブログであるレースの報告会をお知らせしました。

http://mountain-ma.com/kugishima/2015/09/04/dragonback/(ブログへのリンク)

http://www.mtsn.jp/journal/detail.php?id=436(mt.SNへのリンク)

2015年に館野氏が日本人として初めて完走したDragon’s Back Race です。

隔年開催にあたる2017年の今年、日本からTJAR完走者や女性一人を含む4人が挑戦するそうです。報告会の実行委員をさせていただいたこと(実質、呑んだだけのような…)がご縁で壮行会にご一緒させていただきました。

館野氏から地図の説明を受ける挑戦者達@炭や

館野氏から地図の説明を受ける挑戦者達@炭や

 

現在人気の海外レースも最初は必ず日本から挑戦する先駆者がいる。そういう人たちをリスペクトしたい。UTMBやTDGの最初の日本人参加者は誰なのでしょうか?UTMBのリザルトを開催開始の2003年から見ていくと、2005年の13位にやはりこの人、石川弘樹氏の名前がありました。近年になって、Dogs & Caravanのインタビューで当時は13位でゴールしても誰もいなかったというエピソードを話されています。TDGは調べられませんでしたが、イタリア語が読める方なら検索できるでしょう。

Screen Shot 2017-03-02 at 11.19.42 AM

人気レースに落選してもがっかりせず、自分が先駆者となって新しいレースを見つけにいくのもよいかもしれませんね。

 


コンパスの怖い話

IMG_8305いやいや、そんなことって本当にあるんですね。話には聞いていたのですが….

コンパスの針が南北逆を指す。ロゲの一斉スタートでチーム内のひとりだけ逆を向いて走り出すとか。それなら笑い話だ。ソロ山行でコンパスを使用しようとした時に南北が逆だったら….怖いですね。

オリエンに出てみましょ、って方がいらしたので、ロゲに出ていた頃のコンパスを引っ張りだしてきた。それでもって皇居で整置((地図上の北とコンパスの北を合わせて地図の向きを整えること))してみましょう、と整置すると、あれ?お堀が逆だわwww

こういう現象は百均のコンパスとかで発生するものかと思いきや、この方のコンパスは有名S社製、高い安いは全く関係ないそうだ。磁気を帯びたもの、例えば電化製品などの近くに保管しておき、それを動かした時に針の上を磁気方向が動くと、南北が入れかわってしまうそうだ。なるほど。ちなみに、微妙に狂うというのはないそうです。磁気が弱くて不安定になるということはあるかもしれませんが。

直し方は以下のリンクで。その方のコンパスも直りました。

 

もうひとつ。コンパス内の気泡の話…高い標高や低い気温になると、オイルの中に気泡が入ってしまうケースがある。ある程度は仕方のないことらしい。ただ、その気泡のせいで針が変な方向で止まっていないか注意をする必要があり、それがストレスになるようであれば、もう1つ買おう、ということになる。ナビゲーション競技をされる方なら必ず予備コンパスは持っているだろうから、そちらを予備にするとか。ちなみに私のモスクワコンパスは標高あげたり、気温が1桁になると気泡がコロコロしています。普段は上の写真のように何もない状態ですけれど。

皆さんのコンパスも一度チェックしてみてください。

追記: この写真を撮ろうとスマホを近づけると針が動きますね。当たり前なんでしょうけど。


それでもカレーは食べたいよねという話

SNSでJADA(日本アンチドーピング機構)による使用禁止物質の追加例(ヒゲナミン)が一部の方たちで話題となりました。ヒゲナミンは丁子に含まれることがあり、丁子の英名はクローブです。「ん?じゃあ、のど飴やカレーも食えないのか??」 私自身も含めてミスリードも多く、SNSでのリテラシーの必要性を再認識するとともに、このようなドーピング規定が話題となる違和感と必要性の両方を感じました。興味のある方は下記JADAによるサイトを参照することで正しい理解を深められることと思いますが、今回のヒゲナミンに関しては、香辛料として用いるのであれば検出されないレベルなのか、熱分解されるのか、全てNGなのか、私自身は理解できておりません。お叱りを受けるかもしれませんが、ドーピングという観点ではなく、食事と身体の事には興味があるから後日分かったら教えてくださいというレベルです。

JADAアスリート向けサイト PLAY TRUTH(リンク)

自分のようなドーピング検査対象には成り得ないランナーは自分の倫理観に照らし合わせて決めれば良いと思っています。ただ、この倫理観というものは、主観ですから、規則をつくる側からすれば正しい知識とは言えないわけです。例えば、筋肉痛を和らげるためにロキソニンを服用して走るランナーもいます。東京マラソンの制限時間に近いランナーがそういう話を普通にしていることに驚いたことがあります。自分の感覚では薬であるロキソニンの服用はドーピングという意識ですが、実際には使用可能な一般薬のリストとしてJADAのサイトにはあります。まあ、副作用のデメリットが大きいのであえて使用する必要もないわけですが。カフェインの錠剤はドーピングという意識がありますが、コーヒーは食品という意識です。同じ成分なのに矛盾していますね。日本のプロ野球界で公言されていた、にんにく注射と言われるビタミン剤の点滴も、疲労回復目的では医療行為以外の静脈への注入になり、使用禁止物質でなくともドーピング行為にあたります。また、我々が普段食品(サプリメントを含む)として食べたり飲んだりしているものが、国によってはその成分が薬として販売されているケースもあり、私が倫理的な基準としているもの、薬か食品かといったものは、あくまでも私個人の感覚であり、自分が走る上で自分が満足するだけのためのものなのです。自分だけの事であれば、それでいいと思っています。ましてや他人に押し付けるものでもありません。

トレイルランニングが普及、発展するにあたって、幾つかの方向性、選択肢があるとすれば、競技としての商業化、選手のプロ化というのもその一つ。様々な財源から競技の普及、発展が促進されること。そこには職業としてのトレイルランナーが集まることになり、個人の倫理観を超えた国際的な透明性と公平性が担保されることが絶対条件となるわけですから、他のスポーツ競技と同等のドーピング規定と検査が求められるのは当然のことだと思います。このあたりはITRAが意図するものと一致しており、ITRAの公認レースで上位入賞を意識する人であれば、当然、個人の倫理観をこえたテクニカルな検査の枠組みの中に取り込まれることになる覚悟が必要なはずです。ご本人が意識されていなくても、そのレベルにある方が自分の周囲には結構いらっしゃいます。そして将来、それを目指すユース世代には正しい知識と倫理観の育成が必要なはずです。

一方、トレイルランニングは競技ではなく、自然の山を走るアクティビティーであることを原点と考えれば、そう言った競技化、商業化が本当に必要なのかと疑問を持つ方、あるいは違和感を感じる方もいらっしゃるでしょう。自分もその一人です。従来の陸上競技としてのランニングに対してのカウンターカルチャーとして成熟してきたトレイルランニングコミュニティーに対して、この「競技感、統一感の押し付け」は如何なものかと。伝統的な北米レースや、日本でも一部のレースコミュニティーが熟慮の上、ITRAポイントの申請を取りやめているのも理解できます。

私の意見はさておき、これまで発展してきたアウトドアスポーツを考えると、両方のアプローチが必要なのかもしれません。競技人口が増加したパターンを考えると、統一ルール下での競技化、プロ化、そしてワールドカップの転戦によるメディアへの露出が有効である一方で、そこに露出されるアスリートたちが、本来のアウトドアスポーツとしての視点から、レース競技以外の魅力を伝えることで、両輪の輪のように発展していく可能性も感じています。スノーボードはオリンピック種目にあるような競技に特化した側面を持ちますが、一方でバックカントリーという素晴らしいアクティビティーがあります。クライミングも人工壁での競技は次の東京でオリンピック種目化されますが、同じクライマーが外岩を登り、本来のクライミングの魅力を伝えていくことで理想的な発展を遂げていくことになると期待しています。素敵な動画を見つけたのでリンクを貼っておきます。

小難しいことを書いたら腹が減りました。カレーでも食べますか…


春夏秋冬 2016

ブログに掲載していなかったベストショットで今年の振り返り。皆様にとって2017年が良い年になりますように。

Happy Holidays !!

春 -1

TDT SS16 100マイル最後のランナーが残り10マイル地点に到達した。正直に言うと、制限時間に合わないのではないかと私は思った。でも、この方は諦めるなどということは微塵とも考えていなかったのだ。間に合わないなどという計算は私の勝手な推測の押し付けであって、限界は必ずその先にあるものだ。

TDT SS16 100マイル最後のランナーが残り10マイル地点に到達した。正直に言うと、制限時間に合わないのではないかと私は思った。でも、この方は諦めるなどということは微塵とも考えていなかったのだ。私の計算など私の勝手な推測の押し付けであって、人の限界は必ずその先にあるものだ。photo by O-show the ripper

春 -2

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雪が解けた新緑の季節に、踏み跡の薄いトレイルを歩くのは、野生動物と地図読みを学んだ私たちの特権だ。分水嶺トレイル信州平付近にて。Photo by Kenji Yamaki aka King

夏 -1

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トレイル脇や山頂に岩があるとすぐフリーソロで登りたくなる。少しの高さでもそこに全く違った風景が広がっていることがあるから。甲斐駒ケ岳山頂にて。 Photo by emma

夏-2

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山を走っていると一年の中で、幾度か不思議な気象現象に出会う。写真は風が強くなり始めた宝永火口付近から富士山山頂を撮影したもの。

夏-3

海外のトレイルに出かけると、今までの自分の経験とか、勝手に思い込んでいた想像みたいなものを簡単に凌駕する光景に出くわす。ワシントン州セントヘレンズ火山北側のトレイルから。

夏-4

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トレイルランニングは旅だ。縦走をしながら幕営をするのもいいが、麓に下りるとその土地の伝統風習や人の優しさにふれることがある。長野県千曲市上山田温泉にて。

秋-1

紅葉の名所が真っ赤に染まった光景も美しいのだが、自分は雑木林の中で自然に染まった赤、黄色、緑が織りなす光のコントラストが好きだ。

紅葉の名所が真っ赤に染まった光景も美しいのだが、自分は雑木林の中で自然に染まった赤、黄色、緑が織りなす光のコントラストが好きだ。奥多摩三条の湯にて。

冬-1

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不思議な気象現象をもう1つ。寒気というものは、なにか塊のようなものなのだろうか?山頂付近から、霧氷現象が見られる樹林帯と、ある高さから凍っていない木々がはっきりと分かれていた。風の流れなのか、数十mでこんなにも違うのだろうか?ここは今頃スキーで賑わっているはず。菅平高原スキー場にて。

 

 

 


MERU [ メルー] 試写会にて

自分は山岳やトレイル物の映画、小説、ドキュメンタリーというものがあまり好きではない。多くの場合、登山 = 孤独、そこへステレオタイプのネガティブ人生とかを盛り込んだり…そんな気持ちで、山登ってねーし、走ってねーよ、というものが実に多いのだ。なのであまり期待せずに、MERU[メルー]の試写会に足を運んだ。   img_7788   この映画はそんなレベルのものとは違っていた。一瞬でも疑ったことに「すいません」と素直に謝りたい。Jimmiy Chinはアルパインクライマーであるとともに、National Geographic誌の山岳Photographerでもある。その映像が美しくないわけがない。ヨセミテのような垂壁、ポータリッジでの宙吊り生活を淡々と映し出していく。そして全編に渡って、使われた単語で最も多かったものは、riskteammentor(師)そしてfamilyだと感じた。(数えたわけではないが…) これは、共同監督のエリザベス・チャイ・バサヒリィの影響だろう。アルパインクライミングがわからない人にも楽しめるエッセンスが全編に流れている。それは、極端な誇張や、ヒューマニズムに偏りすぎることなく、程よいバランスを持って展開されていく。

自分には無理ですな。早く温泉に入りたいってもんです。

自分には無理ですな。早く温泉に入りたいってもんです。

山で遊ぶ者としての視点から考えてみる。エクスペディション(遠征)は2回に渡っている。つまり1回目は撤退しているということだ。自分は1回目、残り100mを残しての撤退を最大限にリスペクトしたい。4日間のポータリッジでの停滞の後、食料が不足しているにも関わらず、下りずに登っていく。これは節約することで計算できること、その経験値が3人のうち2人にはあること。そして撤退ラインが明確に決まっているからこそできることであり、プロであれば次につなげるデータが必要で、登れる高さまで登るのも納得できる。つまりコントロールできるリスクだ。一方、残り100mであっても、日没後の1ビバークは、気温次第では死を意味するものであり、とってはいけないリスクとなる。山に行かない人にはなぜ?と思えたかもしれないが、当然の判断だったと思う。そして、2回目の遠征の前に、チームはある重大な決断をする。映画を見ている時は、「その判断はちょっと…」と自分は思った。実際に賛否両論があるはずだ。でもよく考えると、あの1回目の撤退判断ができるチームであれば、それもありかなと思えてきた。自分の過去を振り返ると、どんな山や岩を登ったかも大切だけれども、誰と登ったか、その景色を誰と共有できたかはとても大切なもの。そのための準備、行程、すべてが登山であり、ピークに立てたか、立てなかったか、登れたか、登れなかったかは、その要素の一部にしか過ぎないということ。そんなことをふと思った。そしてその重大な判断とは…それは大晦日の公開で映画をご覧になってください。

Jimmy ChinとTNFのアルパインクライマーが花を添える。なぜか、フリークライマーの平山ユージが。ジャンル違うじゃないか?と思ったが、ヨセミテでのプロジェクトの際に、Jimmyに撮影を依頼した縁があるそうです。

Jimmy ChinとTNFのアルパインクライマーが花を添える。なぜか、フリークライマーの平山ユージが。ジャンル違うじゃないか?と思ったが、ヨセミテでのプロジェクトの際に、Jimmyに撮影を依頼した縁があるそうです。

自分は人工登攀、アルパインクライミングはやっていません。クライミングはやりますが、自然の外岩でのロープクライミングでもフリークライミングまでです。(違いがわからない人はググってみてね)自分が向き合えるリスクはそこまでだと思うからです。それは決して恥ずべきことではなく、その範囲でのチャレンジとそのプロセスを楽しめばいいことだと思っています。アウトドアアクティビティーにリスクはつきものです。アバランチ(雪崩)という計算できないリスクも存在します。ちょっと寒いですが、自分が向き合えうことのできるリスクの範囲で、最大限チャレンジしようよ、もっと山に行こうよ、というのが、私がこの映画に付け加えたいメッセージです。

MERU[メルー]オフィシャルトレイラーはこちら(リンク)