菊桜と松と東屋と。

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1,000mクラスの里山の中腹、800m地点の東屋の横には、菊桜(?) でしょうか、明らかに他の山桜とは異なる桜が1本、満開で迎えてくれた。そこは松の巨木の名勝として知られるところで、昔から人が集まる場所のようです。その日も地元の方々が登山道整備を行っていました。挨拶をすると、我々のようなタンクトップとショーツスタイルに嫌悪感を示されるわけでもなく、すぐに立ち話が始まった。東屋には整備活動終了後の一杯に、一升瓶とビールが並べられている。時間があればお仲間に入りたい気分だが、そこは我慢して立ち去ろうとすると、東屋に登頂者名簿があるので是非書いてほしいと言われた。登山届は出すように心がけてはいるが、よく山頂にある登頂者名簿に記名したことはなかった。遭難件数の多い山であれば、そのルートを追うための手がかりにはなるかもしれないし、信仰の山であれば登頂回数が宗教的な意味を持つのは理解できるが、これまで多くの里山になぜ登頂者名簿 があるのか少し不思議に思えていたのだけれど、この地元の方々の笑顔と歓待に会えて理解できました。「おらが里山」そしてそれは素晴らしいものだから、自分達で独占すべきものではなく、できるだけ多くの人と共有したいと思うもの。だからボランティア整備にも入る。登頂者名簿はそういった方々のは励みにもなっているのですね。昨今は個人情報を残すことに抵抗を感じる人も多いだろうから、東京都XX(名字のみ)でも良いと思う。登山届とは違った意味を持つ里山の登頂者名簿にほんわかした連休最終日、朝の里山バーチカルD+730m一気登り、長野県千曲市五里ケ峯にて。


カタクリの花

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花が咲くまで7年かかるという。実際の片栗粉は芋の澱粉から作られるのでそれは別物。絶滅危惧種の希少性からか盗掘の対象となってしまう。トレイルランナーならば、ハセツネコースの山域にも群生地があるのを知っているかもしれません。そのように多くの場合、人に知られてしまい、保護管理の下にあるのだけれど、今日は年に数十人通るかな?というマイナールートの登山道脇に咲いているのを見つけました。この山の麓の集落に有名な群生地があるのだけれど、踏み跡薄いマイナールートの登山道に咲くカタクリを見て「おいおい、こんな目立つ場所に咲いてちゃダメだよ。人に見つからないようにな」と声をかけたくなった。


ここ走りてーな。

2回続けて動画の紹介です。これまで自分の見たことがない映像の美しさでした。アルプスのような荘厳さではなく、日本の神秘的な森の美しさでもない。見ていて気づいたのですが、これはランナーが走っている時に見ている風景とその流れだ。止まっていない。常に後ろへ流れていく。余分なナレーションは一切なし。ただただ美しいシングルトラックをレース展開とシンクロさせて撮影している。バイクから撮ったのだろうか?かなりのハイスピードだ。

 

 

私的な見所はKaciとMagdaの併走。登りでMagdaが引っ張り、下りでKaciがギアを上げる。KaciはNike、MagdaはHokkaだからチーム戦術ではなく偶然そうなったとインタビューで答えている。そして二人は手をつないで同着2位でゴール。このレースの上位2名はWestern Statesの出場権が与えられるゴールデンチケットレース、Western Statesは有名選手でも抽選なのだ。さすがにKaciは前年のWestern States優勝者だからチケットは必要ない。Magdaがチケットを手にいれてめでたしめでたし。男子の2位は後半に追い上げたDakota Jones、この顔を覚えている人も多いだろう。数年前のハセツネで優勝している。自分は応援で山中にいたので彼のタフさと、その後に聞いたレース展開や彼自身のブログから、聡明な選手だなと感じていた。今回の追い上げからの2位も冷静でタフな奴という印象だ。

もう、こんなレース走りたくなりますよね。Lake Sonoma 50、2018の要項はまだUltra Sign Upにも出ていないけれど、今年の登録と抽選は、12月、そしてレースは4月中旬、北米にしては人数も多めの400人だが、抽選倍率は高そうだ。あ、ルールが3つだけあるそうです。それが守れない人はダメよと。

1 ゴミ捨てるな

2 良い人であれ

3  楽しめ

1,2の違反は失格、3の違反はレース後のビール取り上げちゃうぞ。

以上

シンプルでいいな。

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「LIFE IN A DAY」国際女性デーに公開

Western States Endurance Run​ 2016を走った4人の女性アスリートのドキュメンタリーフィルム。字幕がないので英語がわかりにくいのですが、 Billy Yang Films​の動画は音楽のセンスが良く、カメラマンが走れるのでスピード感と躍動感があり、流してみるだけでも十分価値があると思います。

 

<私的な勝手な見所>

27′40 から  Devon Yanko が自分の悲しい過去を語り始めます。普段聞き慣れない単語が出てくるので、正直、内容を理解できませんでした。彼女の身に何が起こったのかは、彼女のブログ http://www.devonyanko.com/news/(リンク) のDec,17,2016 に書かれています。重いテーマであり、当初はアメリカの影の部分のような印象を受けましたが、これはもしかしたら世界中で起きていることで、声をあげられない女性もいるのではないかと思います。悪い奴は世界中どこにでもいるから。それでもトレイルランニングと出会い、回復していく自分を語るDevonにもらい泣きしてしまいました。走っている最中に、ライバルのMagdaがドロップしたことを知り、カメラマンに Is she OK ? と聞いている彼女に、人としての優しさを垣間見ることができます。

41′15 から Kaci Licteig の魅力

常に笑って走る。小柄で細い腕を大きく振りながら走る様はとても好感が持てます。この時も蛇を踏みそうになって騒いでいる(笑)

48′48  から Anna Mae は71mileでドロップしてしまいましたが、プランしても絶対にその通りにはならない100マイルレースを、女性が期待されるステレオタイプの人生と対比しながら振り返ります。

55′55から 2015の優勝者、Magdalena Bouletもドロップという結果でしたが、彼女も人生に例えて今回の100マイルを振り返ります。おそらくこの4人では年長者(失礼! )であろう彼女の語り口は穏やかで説得力があります。そしてわずか13日後のSPEEDGOAT 50Kで見事表彰台に上がっています。

もし、Billy Yangが日本の女性4人をフィーチャーしたら、誰と誰を選ぶでしょうか。それは貴女かも..

 


Dragon’s Back Race その後…

一昨年にこのブログであるレースの報告会をお知らせしました。

http://mountain-ma.com/kugishima/2015/09/04/dragonback/(ブログへのリンク)

http://www.mtsn.jp/journal/detail.php?id=436(mt.SNへのリンク)

2015年に館野氏が日本人として初めて完走したDragon’s Back Race です。

隔年開催にあたる2017年の今年、日本からTJAR完走者や女性一人を含む4人が挑戦するそうです。報告会の実行委員をさせていただいたこと(実質、呑んだだけのような…)がご縁で壮行会にご一緒させていただきました。

館野氏から地図の説明を受ける挑戦者達@炭や

館野氏から地図の説明を受ける挑戦者達@炭や

 

現在人気の海外レースも最初は必ず日本から挑戦する先駆者がいる。そういう人たちをリスペクトしたい。UTMBやTDGの最初の日本人参加者は誰なのでしょうか?UTMBのリザルトを開催開始の2003年から見ていくと、2005年の13位にやはりこの人、石川弘樹氏の名前がありました。近年になって、Dogs & Caravanのインタビューで当時は13位でゴールしても誰もいなかったというエピソードを話されています。TDGは調べられませんでしたが、イタリア語が読める方なら検索できるでしょう。

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人気レースに落選してもがっかりせず、自分が先駆者となって新しいレースを見つけにいくのもよいかもしれませんね。

 


コンパスの怖い話

IMG_8305いやいや、そんなことって本当にあるんですね。話には聞いていたのですが….

コンパスの針が南北逆を指す。ロゲの一斉スタートでチーム内のひとりだけ逆を向いて走り出すとか。それなら笑い話だ。ソロ山行でコンパスを使用しようとした時に南北が逆だったら….怖いですね。

オリエンに出てみましょ、って方がいらしたので、ロゲに出ていた頃のコンパスを引っ張りだしてきた。それでもって皇居で整置((地図上の北とコンパスの北を合わせて地図の向きを整えること))してみましょう、と整置すると、あれ?お堀が逆だわwww

こういう現象は百均のコンパスとかで発生するものかと思いきや、この方のコンパスは有名S社製、高い安いは全く関係ないそうだ。磁気を帯びたもの、例えば電化製品などの近くに保管しておき、それを動かした時に針の上を磁気方向が動くと、南北が入れかわってしまうそうだ。なるほど。ちなみに、微妙に狂うというのはないそうです。磁気が弱くて不安定になるということはあるかもしれませんが。

直し方は以下のリンクで。その方のコンパスも直りました。

 

もうひとつ。コンパス内の気泡の話…高い標高や低い気温になると、オイルの中に気泡が入ってしまうケースがある。ある程度は仕方のないことらしい。ただ、その気泡のせいで針が変な方向で止まっていないか注意をする必要があり、それがストレスになるようであれば、もう1つ買おう、ということになる。ナビゲーション競技をされる方なら必ず予備コンパスは持っているだろうから、そちらを予備にするとか。ちなみに私のモスクワコンパスは標高あげたり、気温が1桁になると気泡がコロコロしています。普段は上の写真のように何もない状態ですけれど。

皆さんのコンパスも一度チェックしてみてください。

追記: この写真を撮ろうとスマホを近づけると針が動きますね。当たり前なんでしょうけど。


それでもカレーは食べたいよねという話

SNSでJADA(日本アンチドーピング機構)による使用禁止物質の追加例(ヒゲナミン)が一部の方たちで話題となりました。ヒゲナミンは丁子に含まれることがあり、丁子の英名はクローブです。「ん?じゃあ、のど飴やカレーも食えないのか??」 私自身も含めてミスリードも多く、SNSでのリテラシーの必要性を再認識するとともに、このようなドーピング規定が話題となる違和感と必要性の両方を感じました。興味のある方は下記JADAによるサイトを参照することで正しい理解を深められることと思いますが、今回のヒゲナミンに関しては、香辛料として用いるのであれば検出されないレベルなのか、熱分解されるのか、全てNGなのか、私自身は理解できておりません。お叱りを受けるかもしれませんが、ドーピングという観点ではなく、食事と身体の事には興味があるから後日分かったら教えてくださいというレベルです。

JADAアスリート向けサイト PLAY TRUTH(リンク)

自分のようなドーピング検査対象には成り得ないランナーは自分の倫理観に照らし合わせて決めれば良いと思っています。ただ、この倫理観というものは、主観ですから、規則をつくる側からすれば正しい知識とは言えないわけです。例えば、筋肉痛を和らげるためにロキソニンを服用して走るランナーもいます。東京マラソンの制限時間に近いランナーがそういう話を普通にしていることに驚いたことがあります。自分の感覚では薬であるロキソニンの服用はドーピングという意識ですが、実際には使用可能な一般薬のリストとしてJADAのサイトにはあります。まあ、副作用のデメリットが大きいのであえて使用する必要もないわけですが。カフェインの錠剤はドーピングという意識がありますが、コーヒーは食品という意識です。同じ成分なのに矛盾していますね。日本のプロ野球界で公言されていた、にんにく注射と言われるビタミン剤の点滴も、疲労回復目的では医療行為以外の静脈への注入になり、使用禁止物質でなくともドーピング行為にあたります。また、我々が普段食品(サプリメントを含む)として食べたり飲んだりしているものが、国によってはその成分が薬として販売されているケースもあり、私が倫理的な基準としているもの、薬か食品かといったものは、あくまでも私個人の感覚であり、自分が走る上で自分が満足するだけのためのものなのです。自分だけの事であれば、それでいいと思っています。ましてや他人に押し付けるものでもありません。

トレイルランニングが普及、発展するにあたって、幾つかの方向性、選択肢があるとすれば、競技としての商業化、選手のプロ化というのもその一つ。様々な財源から競技の普及、発展が促進されること。そこには職業としてのトレイルランナーが集まることになり、個人の倫理観を超えた国際的な透明性と公平性が担保されることが絶対条件となるわけですから、他のスポーツ競技と同等のドーピング規定と検査が求められるのは当然のことだと思います。このあたりはITRAが意図するものと一致しており、ITRAの公認レースで上位入賞を意識する人であれば、当然、個人の倫理観をこえたテクニカルな検査の枠組みの中に取り込まれることになる覚悟が必要なはずです。ご本人が意識されていなくても、そのレベルにある方が自分の周囲には結構いらっしゃいます。そして将来、それを目指すユース世代には正しい知識と倫理観の育成が必要なはずです。

一方、トレイルランニングは競技ではなく、自然の山を走るアクティビティーであることを原点と考えれば、そう言った競技化、商業化が本当に必要なのかと疑問を持つ方、あるいは違和感を感じる方もいらっしゃるでしょう。自分もその一人です。従来の陸上競技としてのランニングに対してのカウンターカルチャーとして成熟してきたトレイルランニングコミュニティーに対して、この「競技感、統一感の押し付け」は如何なものかと。伝統的な北米レースや、日本でも一部のレースコミュニティーが熟慮の上、ITRAポイントの申請を取りやめているのも理解できます。

私の意見はさておき、これまで発展してきたアウトドアスポーツを考えると、両方のアプローチが必要なのかもしれません。競技人口が増加したパターンを考えると、統一ルール下での競技化、プロ化、そしてワールドカップの転戦によるメディアへの露出が有効である一方で、そこに露出されるアスリートたちが、本来のアウトドアスポーツとしての視点から、レース競技以外の魅力を伝えることで、両輪の輪のように発展していく可能性も感じています。スノーボードはオリンピック種目にあるような競技に特化した側面を持ちますが、一方でバックカントリーという素晴らしいアクティビティーがあります。クライミングも人工壁での競技は次の東京でオリンピック種目化されますが、同じクライマーが外岩を登り、本来のクライミングの魅力を伝えていくことで理想的な発展を遂げていくことになると期待しています。素敵な動画を見つけたのでリンクを貼っておきます。

小難しいことを書いたら腹が減りました。カレーでも食べますか…


春夏秋冬 2016

ブログに掲載していなかったベストショットで今年の振り返り。皆様にとって2017年が良い年になりますように。

Happy Holidays !!

春 -1

TDT SS16 100マイル最後のランナーが残り10マイル地点に到達した。正直に言うと、制限時間に合わないのではないかと私は思った。でも、この方は諦めるなどということは微塵とも考えていなかったのだ。間に合わないなどという計算は私の勝手な推測の押し付けであって、限界は必ずその先にあるものだ。

TDT SS16 100マイル最後のランナーが残り10マイル地点に到達した。正直に言うと、制限時間に合わないのではないかと私は思った。でも、この方は諦めるなどということは微塵とも考えていなかったのだ。私の計算など私の勝手な推測の押し付けであって、人の限界は必ずその先にあるものだ。photo by O-show the ripper

春 -2

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雪が解けた新緑の季節に、踏み跡の薄いトレイルを歩くのは、野生動物と地図読みを学んだ私たちの特権だ。分水嶺トレイル信州平付近にて。Photo by Kenji Yamaki aka King

夏 -1

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トレイル脇や山頂に岩があるとすぐフリーソロで登りたくなる。少しの高さでもそこに全く違った風景が広がっていることがあるから。甲斐駒ケ岳山頂にて。 Photo by emma

夏-2

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山を走っていると一年の中で、幾度か不思議な気象現象に出会う。写真は風が強くなり始めた宝永火口付近から富士山山頂を撮影したもの。

夏-3

海外のトレイルに出かけると、今までの自分の経験とか、勝手に思い込んでいた想像みたいなものを簡単に凌駕する光景に出くわす。ワシントン州セントヘレンズ火山北側のトレイルから。

夏-4

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トレイルランニングは旅だ。縦走をしながら幕営をするのもいいが、麓に下りるとその土地の伝統風習や人の優しさにふれることがある。長野県千曲市上山田温泉にて。

秋-1

紅葉の名所が真っ赤に染まった光景も美しいのだが、自分は雑木林の中で自然に染まった赤、黄色、緑が織りなす光のコントラストが好きだ。

紅葉の名所が真っ赤に染まった光景も美しいのだが、自分は雑木林の中で自然に染まった赤、黄色、緑が織りなす光のコントラストが好きだ。奥多摩三条の湯にて。

冬-1

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不思議な気象現象をもう1つ。寒気というものは、なにか塊のようなものなのだろうか?山頂付近から、霧氷現象が見られる樹林帯と、ある高さから凍っていない木々がはっきりと分かれていた。風の流れなのか、数十mでこんなにも違うのだろうか?ここは今頃スキーで賑わっているはず。菅平高原スキー場にて。

 

 

 


5度目のUTMF

UTMFが終わって2週間が経過した。5度目のUTMFはカテゴリー別で表彰台を狙う2人の選手のサポートクルーとしての参加でした。競技者として順位という明確な目標を持ってレースに参加する選手をサポートする事は、自分の視野を広げてくれるものでもあり、とても楽しみにしていたのですが…UTMFがどのような判断によって、どういう形で終了したかは、このブログサイトに訪れる皆様なら周知の事だと思う。ただSNSでアップされる情報は断片的であったり、何かが誇張されていたりするものだ。その中ではDogsorCaravan.com (リンク)が客観的な事実に、岩佐氏の私見を付け加える形でレポートされている。読む側に考えさせて建設的な議論を引き出そうとしているようにも思える。ご一読下さい。

マークするべき選手をリストアップし、タイム差を伝えるシートはほんの少しだけ使って終了となった。

マークするべき選手をリストアップし、タイム差を伝えるシートはほんの少しだけ使って終了となった。

 

考えるべき事は山ほどあるのだけれど、先ずは自分を含めたトレイルランナー全員が考えるべき事、それは、山とトレイル、そしてその気象にもっと興味を持とう、森やその植生にもっと興味を持とう、そしてトレイル整備に出掛けようという事。もちろんできる範囲で構わない。自分だってそうそう頻度高く行ける訳ではない。

鏑木さん、貴方が謝る事ではない。トレイルランナー全員が考えていく事。

鏑木さん、貴方が謝る事ではないですよ。トレイルランナー全員が考え、行動していくこと。

 

STYコースでの濁流映像が話題になっていたのだけれど、ある方の私見では、航空写真と地形図からその場所の保水力が落ちているような事情を垣間見る事ができる。東西に高圧電線が走り、木が切られ、東の山には電波塔とその管理道なのか防火帯なのか、これも木が大きく伐採されている。そして西側はスキー場にゴルフ場、ゴルフ場は保水どころか水はけが良い芝生や土壌工事がされているはず。調整池によって排水量をコントロールする設計なのかもしれないが、それを一気に超えたのかもしれない。日本の多くの森や里山はすでにこういった開発が行われ、そして困ったことに多くのスキー場、ゴルフ場が閉鎖され、放置されている。行政の方々には申し上げたい。もっとトレイルランニング、オリエンテーリング、ロゲイニングも活用して下さいねと。スキー場でのバーチカルもいいですね。今や手付かずの自然というのはなかなかお目にかかれない。そこにトレイルがある以上、誰かが整備し、管理し、それで維持されている。森や林も日本の場合は戦後の植林政策から人工林がとても多いのです。そして、UTMFやその他人気レースはレースでのボランティア、トレイル整備の経験をエントリー資格にする時期に来ていると思います。ボランティアは小さなレースの方がいい、トレイル整備はレース主催者が行うものだけでなく、様々な行政や地域団体の主催でもいい、トレイルとその周りの植生を肌で感じ、自分達はどういうレースを選んで、どういう走り方をすればいいか、もっともっとよく考えるようにもなると思うのです。そしてトップ選手も遅い選手も、ボランティアもサポートクルーも全て等価に尊い、何か1つが欠けてもレースは成立せず、決してお金を払ったお客さんとそれで儲ける主催者という図式ではない事、スポーツイベントとしては他に例を見ないボランティアコミュニティがベースとなる形態である事がよくわかるはず。6度目のUTMFはあるのか?あるとすればどういう形で、そして自分はどう関わっているのか、主催者だけでなく、トレイルランナー全員が考え、行動すること。それは楽しみでもあるはずだ。

雨の中、再度変更になったゴールでフードも被らず選手を迎える鏑木氏

雨の中、再度変更になったゴールでフードも被らず選手を迎える鏑木氏


When 100miles is not far enough..3 レースを終えて

アメリカ、パシフィックノースウエスト、ワシントン州で行われたBigfoot200 endurance ran は、過酷で孤独な耐久レースではなく、まず選手がセルフレスキューの精神によって自立していること、そして選手同士、主催者、ボランティアスタッフ、全ての人と人が尊敬し合い、認め、思いやる事によって成立する、ちょっときつめの山旅でした。自身の結果は、レースも後半に差し掛かった時点で、勘違いによるルートミスをし、それをリカバーできず、残念ながら160マイル、255kmの関門でタイムアウトDNFとなりました。

 

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スタート後、約2日が過ぎ、そろそろ各選手の疲労が蓄積している。中位から少し後ろを走っていたつもりでも、各エイドの関門でカットオフになったり、自らの正しい判断でドロップした選手もいて、自分はいつの間に最後尾に近いポジションになっていた。111マイル地点、Lewis River Aid は美しい滝(リンク)のある景勝地にある。ここから次のセクションはこの滝を横目に見ながら、渓谷を高巻きして、徐々に標高を上げ、セクションとしては最大の5,500フィートの累積標高、19マイルのセクション、夜なのでほぼ全歩きで、8時間程になるはずだ。このエイドからペーサーをつけられるのだが、ペーサーもクルーもいないインターナショナルランナーを心配したのだろうか、エイドを出るときに、ボランティアスタッフが、小さな封筒に入ったカードを手渡してくれた。「苦しくなったらこれを見ろ」と。おおよその内容は想像できたが、その心遣いと優しさに上手く応える言葉が見当たらない。「サンキュー、アイ ガッ ゴー」とだけ言い、強く握手して別れた。

 

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初日のセントへレンズ山の砂漠のような暑さから、軽い熱中症となりながらも、なんとか上手く時間を使ってリカバリーはできていた。ただ、プランしていたような仮眠をしっかりとりながら進む展開ができていない。眠気からペースが上がらず、Ambit3のマイル表示がなかなか進まない。「自分はやはり登りが弱いんだ」と自分を疑い、ネガティブな言葉が脳から全身を支配しようとする。標高のフィート表示は体感通りにアップダウンしているので、高低図からも距離は判断できるのだが、Ambit3の距離とは合わない。深夜で周囲の地形が見えず不安になる。前後の選手のライトは見当たらない。後続の選手は諦めて戻ったのだろうか?時折現れるリフレクティブのリボンマーカーだけが自分とレースをつないでくれている唯一の接点だ。上がらないペースと残り時間から、諦めようとする自分がいるのがわかった。そしてそいつが心を支配しようとする。「もう十分だ、よくやったよ、100マイルはとっくに超えているし」そうだ、あのエイドで渡されたカードには何が書いてあるのだろうか。補給のために一旦腰を下ろし、カードを開けてみる”believe, believe, believe…” 信じろ、信じろ、信じろ、と書いてある。心に刺さった。自分が自分を疑ってどうする?単純ではあるが、時として言葉はシンプルな方が刺さるものだ。補給をしたからだろうか、脳の思考がクリアになる。Garmin の小型GPSのスイッチを入れてみる。すると衛星捕捉エラーが出た。分かった。渓谷のルートと、それを通過後にはこの巨木が立ち並ぶシダーウッドの深い森でGPSが捕捉できない区間が多いのだ。高度計は気圧変化で計測されるので、やはり高度表から自分の位置を判断すればよいだけの事、残りの距離はもうさほど遠くないはずだ。眠気が一気に飛んでペースを上げる事ができた。このセクションは予定よりも大幅に時間がかかったが、カットオフには間に合い、ボランティアスタッフの心優しさに助けられた事になる。

 

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序盤のボルダースクランブリングエリアでポキっとやってしまったが、テーピングで応急処置、次のエイドでダクトテープで補強、その次のエイドでは予備ポールがあったのでレースへの影響はなし

 

このセクションを通過できたことによって、ゴールが見えてきた。ペースはコントロールしているので、脚は十分残っている。食欲は旺盛でエイド毎にアボガドベーコンのハンバーガーや肉系のラップをしっかり食べていた。ただ、仮眠のプランが崩れており、2つ後の比較的楽なセクションで、大きな勘違いによるルートミスをしてタイムアウトとなってしまった。やはり、脳の思考を正常に保つために、睡眠は大事なのである。

前回のブログ(リンク)に200マイルは100マイルよりも身体への負担は小さいのではないか?と書いた。答えはYesでありNoであった。確かにペースを抑えているので筋肉ダメージは少ない。少なくとも自分が走った160マイルまでなら100マイルより身体は楽だ。足裏の豆関係は 100マイルを過ぎた辺りからエイド毎にメディカルスタッフの世話になる事が多くなる。胃腸のトラブルは一切無し。ただ、何かの気象条件変化やトラブルが1つあると仮眠時間が削られて、私が好まないと書いた二晩越えの100マイルと同じ状況へと陥る。これを防ぐにはやはり走力によって余裕を作るしか方法はないのだろうか?感覚的には、このBigfoot200ならば、UTMFで30時間前後の走力があれば、必ず起きるであろう何かのトラブルも吸収しつつ、仮眠をとりながら進めるはずですが、リザルトを見ると47人の完走者の内、10人が55歳以上、最高齢は64歳の方である。とてもそのスピードがあるとは思えない。どこにその解があるのか、今の自分には分からない。今、ぼんやりとあるのは、今回、身体のマネージメントはある程度できたのだけれど、脳のマネージメント(睡眠はその1つ) ができていなかったなということです。

 

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ノースリーブでスタートし、軽い熱中症になりながらも、夕方にはジャケットを着ていた。翌日の夜には、エイドではダウンジャケットを着て焚き火にあたっている。これぐらいの気温変化に対応する装備が必要だが、全エイドでドロップバッグが可能で、ザックの容量は抑えられる。エイド間隔最大で20マイル、7-8時間程になるので、水も浄水フィルターを利用して沢の水を補給する必要があり、他の北米レースとは装備が大きく異なる。

 

北米の他の200マイルとその難易度をディスカッションしているFBページ(リンク)があるので参考にしてください。北米のトレイルランニングレースは、一部のクラッシックレースを除き、ヨーロッパのような大きなスポンサーがついて潤沢な資金で運営されているわけでもなく、ランニングコミュニティがレースディレクターの下、ボランティアスタッフとの協力によって運営が成立しているわけです。国立公園内の規制は厳しく定員も百名前後から数百名で、日本やヨーロッパのような数千人規模の商業化、観光化された華やかなイベントではない事を理解して下さい。そこに参加するインターナショナルランナー達は温かく迎えられる。だから自分達もそのローカルコミュニティをリスペクトし、選手やスタッフと片言の英語でもいいから話しをして、やっぱりウルトラトレイルの変態は世界共通なんだと笑い合う事がとても大切なことになります。

 

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日本のように誘導員がいることはない。チェックポイントがなくても、ごまかす発想をする選手などいない。

 

最後に、64マイル地点でのエイドでボランティアをされていたMMAブロガーでもあるシアトル在住の藤岡さんご夫妻、最終エイドでの業務とスイーパーを担当されていたポートランド在住の@trailinportland (ツイッターアカウント)さんに感謝いたします。序盤に他の日本人の選手にトラブルが発生しており、藤岡さんがボランティアにいなければ自分がレースを棄てて、そのエイドに留まる事になったことでしょう。そして自分が最後尾になった時点でも、十分に脚は残っていることから、これはもしかしたら@trailinportlandさんと初めてお会いするのに、自分はDFL(Dead Fxxxxxx Lsat) としてスイープされるのかあ、かっこ悪いなあなどと考えていた事がモチベーションになっていたのも事実です。来年もよろしくおねがいたします。(え?行くのか?俺は?)

追記:大会のオフィシャルフォトグラファーを尊重して、写真がオンラインになったらできる限り購入してブログでも活用し、上記の写真と入れ替える予定です。現時点での自分の写真は自分のインスタグラムを見て頂けらコースからの美しい写真があります。(普段は非公開ですが、しばらくはオープンにしておきます)特に#nofilterとタグがあるものはフィルター加工なしでも美しいものです。インスタアカウント(リンク)https://www.instagram.com/kugitk/?hl=ja