速すぎマックス! 〜 Chuckanut 50k

Krissy, Hayden, Max and Sage

Krissy, Hayden, Max and Sage


3月18日に開催されたチャカナット50k(Chuckanut 50k)。地元のクラシック・レースということで、もちろん私と妻も参加してきました。私は6回目、妻は2回目の出場です。

今年は25周年の記念大会ということで、本レースのレースディレクターを引き継いで10年目となるクリッシー・モール(Krissy Moehl)の力の入れようも例年以上。多くのランナーに楽しんでもらおうと参加枠が500人以上に拡大されましたが、さすがは人気レース、エントリー開始後間もなく一杯になりました。

当日は地元の友達だけでなく、アメリカ出張中のMMAブロガー、じろーさんと奥さんのさいこさんにもお会い出来ました。賑やかです。

エリートは超ハイレベル

このレースはIAUトレイル世界選手権のアメリカとカナダ代表選考を兼ねていることもあって、エリートランナーも半端なくハイレベル。

男子はこの距離のアメリカのランキング上位5人中3人が出場。私は飛ぶ鳥を落とす勢いのヘイデン・ホークスの総合優勝を予想していました。

  • ヘイデン・ホークス(Hayden Hawks)… 昨年のThe North Face San Francisco 50 mileでのザック・ミラーとの激闘で一躍有名に。
  • セイジ・カナディ(Sage Canady)…タラウェラやスピードゴート、レイク・ソノマなど50キロ〜50マイルの大きな大会で優勝してきた。チャカナット50kは2012年の2位が最高。
  • マックス・キング(Max King)…2014年のIAU100キロ世界選手権の覇者。同年にチャカナット50kも優勝。
  • デイビッド・レイニー(David Laney)…2013年と2015年にチャカナット優勝。UTMBでも一昨年、昨年と二年続けてトップテン入り。

女子も負けず劣らずハイレベル。

  • カミール・ヘロン(Camille Herron)…昨年数々のレースで優勝して名を轟かせ、今年もすでにタラウェラで優勝。
  • ユー・ワン(Yiou Wang)…昨年のレイク・ソノマ優勝をはじめ、数々のレースで優勝。

さてレースですが、マックス・キングが3時間33分11秒の大会新記録で総合優勝。雨季真っ最中でぬかるんだコースコンディションなのに加えて、コース変更により昨年より少し距離が伸びたにも関わらず、このタイムは凄すぎます。速すぎです。彼は37歳ですが、まだまだ若いものには負けませんね。また女子はダークホースの地元ランナーが優勝しました。

私はマスター上位争い

私はというと、3週間前にひどく足首を捻挫してしまい、十分回復せず痛みが残った状態でレース当日を迎えることになってしまいました。

私の目標はマスター(40歳以上)でトップ3。エントリーリストを見る限り、ゲイリー・ゲリン(Gary Gellin)が速そうです。

走り始めたらアドレナリンで何とかなる範囲かと思ってスタート。まっすぐで平坦な道や上り坂では足首はさほど気にならなかったのですが、細かい起伏とターンが続くややテクニカルなセクションでは危うく同じ箇所を捻挫しかけたため、スピードを落とさざるを得ませんでした。思ったように追い込めず歯がゆい走りを強いられます。前半は同じくらいの場所を走っていたゲイリー・ゲリンにも離される始末。

Photo by Glenn Tachiyama

Photo by Glenn Tachiyama


でも前半に力を温存せざるを得なかったことが幸いして、テクニカルなセクションが少ない中盤以降に盛り返し、30キロ過ぎにはゲイリーを追い抜き、その後もペースを保ったままゴール。タイムはここ4年で一番遅い4時間22分台でしたが、昨年に引き続きマスター優勝することができました。足首の状態を考えると、万々歳の結果です。

妻も無事完走

でもって妻も雨に打たれ泥濘に揉まれながら7時間35分で無事に完走。

ヨカッタ、ヨカッタ。

Photo by Glenn Tachiyama

Photo by Glenn Tachiyama


顔が見えるということ – Orcas Island 100 -

3週間前に行ったオーカス島に、今度は昨年に引き続き100マイルレースのボランティアとクルーをしに行ってきました。

シアトルから車で一時間半の場所にあるアナコルテスから車ごとフェリーに乗り込みオーカス島へ向かいます。

島に到着したら、さっそくレース前日のブリーフィングが行われるキャンプ・モラン(Camp Moran)へ。

今年の参加者は60人ほど。昨年からのリピーターや他の100マイルレースで見た顔、地元のレースでよく会う面々やレインシャドウ・ランニングのスタッフなどが賑やかに集い、和気あいあいとした雰囲気です。

アメリカのトレイルランニング・イベントは、しばしば「ロー・キー」(控えめな・慎ましい)と形容されます。エントリー可能なランナーの数は多くても300人前後。ごく少数のスタッフとボランティアで十分に運営可能な身の丈にあった規模で、自然に対するインパクトもある程度限定されます。

レース主催団体であるレインシャドウ・ランニングのオーナーで、レースディレクターでもあるジェームス・ヴァーナー(James Varner)が作るイベントは、ちょうどよい規模感でいつも居心地が良く、心から楽しいと思わせてくれます。

オーカス島は2006年にレインシャドウ・ランニングが初めてレース(Orcas Island 50k)を開催した場所。ジェームスが満を持して彼にとって初めての100マイルを開催したのが昨年で、今年は第二回のOrcas Island 100でした。

一周25マイル(40キロ)の周回コース。雨が多いこの地域ならではの、苔に覆われた神秘的な原生林の中を駆けめぐります。

レース開始後、私もトレーニングがてら軽くコースの一部を走ってみました。

普通シアトル周辺は緯度の割には冬もさほど気温は下がらず雪も少ないのですが、今年は例年と比べて低温で雪の日が多く、レースがあった週末も少し標高が上がっただけでトレイルを雪が覆い始めます。

たまにすれ違うランナーに「その調子!」と声をかけながら、うっすらと粉砂糖をまぶしたようなトレイルを進みます。

コース上で一番標高が高いコンスティテューション山でも730メートルほど。それでも登るにつれて雪の量が増していきます。

コンスティテューション山の頂上には約15メートルの高さの石の塔があります。塔の上からは、天気次第で周辺の島や、カナダやアメリカの町、カスケード山脈などが見渡せます。

この塔は公式なコースには入っていないのですが、登った人にはおまけが付いてきます。

ループごとに一回、計四回塔を登って頂上に置いてあるトランプを四枚すべて集めると「タワー・クラブ」のメンバーになることができます。クラブ・メンバーはカスタムTシャツが貰えます。

登りたくない人は登らなくてよいのですが、今回完走した45人のランナーのうち実に38人がタワー・クラブの会員になりました。

この塔がある山頂に設置されたエイド・ステーションは、私を含むセブンヒルズ・ランニングショップ関係者の有志がボランティアで運営していました。

中には初めからエイドステーションの閉鎖時間までいずっぱりの人も。かなり寒いので、飲んだくれながら自分たちも楽しんでやるのがこちら流。

ランナーが来たら声をかけ様子を見ながら対応します。ループコースではエイドステーションをランナーが何度も通るので、レースが進むに連れてボランティアとの一体感も増していきます。

どのエイドステーションもレース中は当然休まず運営。ボランティアの皆さん、お疲れ様。

妻もランナーのサポートで複数のエイドステーションを行き来していたので、休む暇も寝る間もほとんどナシ。ホントにお疲れ様でした。

二日目を迎えてレースも終盤へ。まだ走り続けるランナーの中には腰を痛めて上半身が完全に傾いた状態で走っている人も。それでも歩みを止める素振りは全くありません。強い。

レースを終えた人やその仲間たちは、ゴール地点で最高の生演奏の中、最高のピザと最高のビールをやりながらランナーを迎えます。宴は最後のランナーがゴールした後も続きました。

2日続いたレースの翌日は表彰式。会場となる町の映画館には「ウェルカム、オーカス島100マイルのランナー達」の文字が。

表彰式では、ジェームスが壇上に完走したランナーをひとりひとり迎え、各々にコメントを送って完走バックルを授与していました。

実はジェームスはこの表彰式で各ランナーに言葉を送るために、レース中寝ずにエイドステーションなどでランナーを迎えて話した内容や気づいたことをメモにとっていました。

この規模のレースならではの、それぞれのランナーを特別に扱う配慮に感心させられます。こんなのを見せられたら、わたしも走りたくなってしまいます。

楽しい週末も終わり、帰りのフェリーへと乗り込みます。

フェリーで座っていると、トレイルランニングの風景を撮り続けるカメラマン、グレン・タチヤマさんが私達の席にやってきたので、ちょっとおしゃべり。

お気に入りのレースは?という話になった時にグレンが挙げたのは、このオーカス島100マイル。その理由を聞かれたグレンの答えに、その席にいた誰もがその通りだと思ったはずです。

「小さいこのレースは、みんなの顔が見えるから。」