Orcas Island 50kの季節

今年もOrcas Island 50kの季節がやってきました。

私にとっては4年連続4回目のOrcas Island 50k。まともに走ろうと思ったらHURT100の3週間後にレースを走るべきじゃないのですが、今年も昨年同様オーカス島行きのフェリーに乗っていました。

今では多くの人気レースを開催しているレインシャドウ・ランニングが12年前にはじめて開催したのがこのOrcas Island 50kと25k。

今年も雨季でたっぷり水を含んだ苔生す森がランナーを迎えてくれました。

今後のシーズン本格化前の調整にエントリーする強豪ランナーもちらほら。2016年のWestern Statesを優勝したアンドリュー・ミラー(Andrew Miller)は昨年から続く怪我がまだ完全に治りきっていないということで直前にキャンセルしましたが、最近はバークレー・マラソンズでおなじみのゲイリー・ロビンス(Gary Robbins)はスタートラインに並んでいました。

まだ心拍数が平常時より若干高くHURT 100から完全に回復していなかった私は、昨年同様に序盤から無理のないペースでレースを進めました。

前半はゲイリーと私を含む四人のグループが前後入れ替わりながら団子状態で進みました。ゲイリーとスコットはどちらもテクニカルなカナダのノース・バンクーバーのトレイルで鍛えているとあって、下りがとても速い。下りでつけられた差を、私が上りで詰めるという展開。

私にとって幸いだったのは、中盤まで比較的スローペースのままでレースが進んだこと。お陰で心肺にあまり大きな負荷をかけることなく後半を迎えることができました。

レースの鍵となるのが33キロ地点からはじまる激坂「パワー・ライン」。名前の通り、送電線が山頂まで連なるトレイルです。ここで私は満を持してシフト・チェンジ。グループから抜け、他のランナーを引き離しにかかります。

これに待ったをかけたのは、四人のグループよりも後ろにつけて機をうかがっていた、昨年このレースで2位のケリー(Cary Stephens)。坂の頂上付近では追いつかれ、並走状態です。

山の頂上から、私は残していたエネルギーを使って猛然とスパート。ケリーも粘り強く追いかけてきます。


それでもなんとか追撃を振り切り、1位でゴール。一昨年昨年に続き、このレースで三連覇を達成することができました。

レースのあとは、島のブリュワリーIsland Hoppin’ Breweryのビールと焼きたてのピザとともにトレイル談義。2位のケリーは私よりも一歳年上で、四十半ばを超えたおっさん二人でワン・ツーということもあり「若いものにはまだまだ負けられんね」なんて話しておりましたとさ。


7つの質問 〜 HURT 100

2018年最初のレースとなったHURT 100、なんとか無事に走ってきました。

レースの後にスポンサーしていただいているSeven Hills Running Shopから店名にちなんで7つの質問をもらいました。近日中にショップのウェブサイトで私の回答が掲載されると思いますが、こちらで日本語訳版を公開します。

「MasaZoomiへの7つの質問」

【質問1】おめでとう、マサズミ!二年連続で3位なんて本当に凄いよ!今年のHURTは去年と比べてどうだったの?

ありがとう!二年続けて表彰台に立ててほんとに嬉しいです。20マイルのループを5周するこのレースは、暑くて湿気が高くて、常に難しいレース。去年はスタートから飛ばしすぎて3周目にはもう疲れちゃってたから、今年は戦略を変えて後半に向けてエネルギーを温存しておくことにしました。おかげでレースを通していい感覚で走ることができました。去年も2位だったギヨームをもう少しで抜けるかというところまでいったけど、結局捕まえることはできませんでした。でも満足いくレースでしたよ。

【質問2】ゴール時の動画を観たけど、かなりくたくたに見えたね。左に傾いて変な走り方になってるけど、何があって、どのくらいの間こんなふうに走ってたの?レース後は無事に回復している?

レース中は石や根っこや段差に何度となく躓いで転んじゃいました。で、正確にいつか分からないけど転んだときに左の腰を地面に強く打ち付けて、4周目のループではもう体が左に傾いてました。左側が崖になっているところを走っているときは、落ちるんじゃないかと心配でしたよ。それから、最後の周ではギヨームに追いつこう、後続から逃げ切ろうと必死に走ったから最後はヘトヘトだったというのもあります。
HURTはどの100マイルレースより走った後のダメージが大きいけど、順調に回復しています。

【質問3】走っているときにミサイル・アラートのことは聞いてたの?なにか影響はあった?

(注:レース中にミサイル攻撃を知らせる緊急警報が誤配信されて、ハワイは一時大混乱しました。)

ゴール後に妻からその話を聞くまでなにも知らず、自分には全く影響はありませんでした。
でも、ランナーやクルー、ボランティアの中にはシェルターに避難させられる人もいたみたいで、制限時間も30分延長されました。主催者はほんとに大変だったと思います。
下の写真は表彰式でもらった記念品なんだけど、この事件を記憶しておくために、真ん中にミサイルが印刷されているのわかります!?

【質問4】HURTのコースはタフで容赦ない感じだけど、どんなコースが好みなの?周回コース?テクニカルなコース?それから、お気に入りのレースは?

ループかどうかは特にこだわりはないんですが、HURTのゴールでキスする看板の言葉じゃないけど、”簡単じゃないのがいい”ですね。チャレンジングなやつが好きです。それから、必ずしも他の人と競うためだけにレースに出ているわけじゃなくて、その土地のコミュニティの一部になったり、雰囲気や風景を楽しみたいというのもあります。
お気に入りのレースを一つだけ選ぶのは難しいけど、HURTのコミュニティはあったかい家族的な雰囲気がほんとに素敵です。それから、パシフィック・ノースウェスト地域に住むものとしては、やっぱりレインシャドウのレースはどれも好きで、みんなにお勧めします。去年走った中では、Backcoutry Riseの景色はよかったですね。

【質問5】HURTで使ったシューズやギアは何?ウェスタン・ステイツでは何を使うの?

(注:6月にウェスタン・ステイツを走ります。)

今年のHURTは例年と比べるとぬかるみが少なかったけど、それでも根っこや濡れた石があってテクニカルなコースには違いないので、もう製造終了しているMerrell All Out Peakを使いました。ここ数年100マイルレースで履き続けているシューズで、HURTのようなトレイルでもしっかり地面を掴みます。
それから水とジェルを入れるのに使ったのはSalomonのS-Lab Senseベスト。いつも使っているけど、体にフィットするし、走っていてもフラスクはあまり揺れなくていいですね。
ウェスタン・ステイツに向けては今いろいろなシューズを試しているところです。Salomon Sense Rideはクッションもあって、それなりにトラクションもある。Altra Superiorは軽くて反応も速い。レースの一ヶ月前にあるウェスタン・ステイツ・トレーニング・キャンプに参加する予定なので、現地でいくつかシューズを試した上で決めようと思います。

【質問6】暑さと湿気への対策はどうやったの?

日本人だから暑いじめじめした夏は知っているけど、もうシアトル界隈に引っ越してきて10年以上経つので、暑さと湿気は苦手です。サウナに行っている人もいるようだけど、自分はそこまではやりません。12月の間は多くのトレーニングをあったかいジムのトレッドミルでやりました。それからレースの前にコースを試走して現地の気候を体で感じたりしました。

【質問7】HURTを受けて、ウェスタン・ステイツへむけたトレーニングはどうしていくの?

HURTの結果は自信につながりました。でもウェスタン・ステイツはまた別のレースなので、まずはリフレッシュして一から体を作っていこうと思います。ウェスタン・ステイツは二度ペーサーとして走っているけど、乾燥していてHURTよりも気温が高いので、どう対応するかこれから考えようと思います。いずれにせよ、ウェスタン・ステイツ、楽しみでしょうがない!


プロセスを楽しむ〜2018年レース・スケジュール

アメリカでは12月〜1月は数多くのトレラン大会のエントリーが開始される時期。とりわけ100マイラーにとっては12月最初の週末に行われるウェスタン・ステイツとハードロックという二大イベントの抽選は一大事。多くの人が抽選結果を待って翌年のスケジュールを決めていきます。

わたしも抽選の発表を待っていた一人。遂に念願のウェスタン・ステイツに出走できることになりました。

これに伴い2018年のスケジュールもおおよそ確定。中期目標、2018年の目標と合わせてこちらに公開します。いずれかのレースに参加されるという方、現地でお会いできるのを楽しみにしています。

中期ゴール

中期的な目標としては昨年宣言したとおり、引き続き「UTMBで50歳代でトップ3に入ること」でやっていこうと思います。

(日本のトレラン界では最近「NEVER」というプロジェクトが話題になっているようですが、私の目標はそのプロジェクトが発表される前からあるもので、決して真似したわけじゃありませんからね!)

2018年のゴール

中期ゴールの達成へむけて「100マイルでの精度を上げていくこと」を目標にしていきます。

今年(2017年)は年初にHurt 100で3位Orcas Island 50kで優勝と幸先は良かったのですが、その後が足首の捻挫もあって春以降は今ひとつ安定した走りができませんでした。

2018年は「無事之名馬」の精神で、怪我に気をつけて自分の能力の範囲で安定した走りをしたいと思っています。

マイ・ルール

昨年も投稿しましたが、私がスケジュールを組むときのマイ・ルールを確認すると…

  • レースはA〜Cの三段階に優先順位付け。
    • A…目標レース。年に2つまで。
    • B…Aレースを犠牲にしない範囲で結果を求めるレース。年に2〜3レースほど。
    • C…調整目的のレース。結果は気にせず怪我しないことが第一。
  • Aレース同士は3ヶ月以上離す。(基礎作りからピークに持っていくために最低3ヶ月必要なため。)
  • 100マイルレースは一年に2本が理想。3本が上限。
  • 100マイルレース同士の間隔は最低でも2ヶ月はあける。
  • 50キロ〜50マイルレース同士の間隔は1ヶ月程度はあける。
  • 年に一度は、2週間以上のオフをとる。
  • 100マイルの後は、必ず最低一週間のオフをとる。

レース・スケジュール

1.Hurt 100(100マイル1月13日/重要度A

【レース概要】
ハワイ・オアフ島ホノルル近くで行われる100マイルレース。一周20マイルのコースを5周します。場所柄、日本からの参加が多いですが、アメリカ西海岸のトレイルランナーにも人気のレースです。

【個人的な位置づけ】
2年連続2度目のHurt 100。前回は序盤から積極的な走りで、途中夜間の暑さに苦しめられましたがなんとか粘りきり3位でゴール。今年はもう少し賢く走り、序盤を抑えて上手にペース配分できればと思います。
目標は前回より速い23時間以内でのフィニッシュ。

2.Orcas Island(50キロ/2月3日/重要度C

【レース概要】
オーカス島はシアトル近郊からフェリーで1時間ほどの週末旅行にもってこいの場所。地元トレイルランニングコミュニティが集まる年始行事のような大会です。

【個人的な位置づけ】
正直難しいと思っていた2016年に続く連覇を達成。100マイルから3週間後のレースは先のマイ・ルールから逸脱していますが、今年もエントリーしてしまいました。
頭の片隅に三連覇の欲望がよぎるとは思いますが、スケジュール的に見ても結果を追うのは難しいので、体の言うことを聞きながらその時の調子次第で無理せず怪我なく走りたいと思います。

3.Chuckanut(50キロ3月17日/重要度C

【レース概要】
シアトルから車で北に1時間ほど、私の家から遠くないベリンガム近郊で行われます。今年で26回目を迎える伝統のレースで、現在のレース・ディレクターはクリッシー・モール(Krissy Moehl)。毎年有力選手が参加し、上位はハイレベルなスピード・レースになります。

【個人的な位置づけ】
7年連続7回目の出場。前回は練習中に足首の捻挫が癒えぬままのレースとなりイメージ通りの走りはできませんでしたが、なんとかマスター優勝できました。
私的には春先の走力確認の場でもあるこの大会。今年はタイム的には前回以上、順位はマスターでトップ3を目指したいと思います。

4.Tillamook Burn Trail Run(50キロ4月28日/重要度C

【レース概要】
オレゴン州ポートランドの西にあるTillamook Forestで行われる大会。このレース自体は初参加ですが、2016年にこの近くで開催されたElk Kingsを走ったことがあります。パシフィック・ノースウェストらしい緑豊かな場所です。

【個人的な位置づけ】
夏の目標レースに向けたトレーニング的な位置づけ。順位やタイムはあまり気にせず、怪我に気をつけてしっかり走り切るのが目標です。

5.Western States Endurance Run(100マイル6月23日/重要度A

【レース概要】
言わずと知れた世界最古の100マイル・レース。例年、灼熱のレースになります。

【個人的な位置づけ】
幸いにもまだ年齢による衰えをそこまで実感してはいませんが、それでも今年46歳を迎え、もう劇的に走力を向上するのは容易ではなくなってきています。来年走った後にいつ次の機会がやって来るのかわかりませんし、その頃には今と同じイメージで走るのは難しくなっているかもしれないので、大切に走る所存です。
トップ20でのフィニッシュを目指します。

6.[レース未確定](??キロ7月下旬/重要度C

二週間ほど日本に帰省予定で、できればその間に何か一つなにか走れればと思っています。慣れない日本の大会へのエントリーが第一関門。

【個人的な位置づけ】
日本の夏は10年以上経験していません。加えて、ウェスタン・ステイツからおよそ一ヶ月後ということで、まだそれほど走れる体に戻ってないだろうとおもいます。(ちなみに私の場合100マイルを走るとそこから次のピークに持っていくのに2ヶ月はかかります。)
なので結果はあまり気にせず、何はともあれ楽しみたいと思います。

7.[未確定]Backcountry Rise または Finlayson Arm(50キロ9月初旬/重要度C

Backcountry Riseはセントレンズ山の近くを走る絶景レースで今年も走りました。Finlayson Armはカナダのヴィクトリア島で行われるレースです。

【個人的な位置づけ】
次のBear 100へ向けたトレーニング。景色や雰囲気をゆっくり楽しみたいと思います。

8.Bear 100(100マイル9月28日/重要度B

【レース概要】
ユタ州で行われる100マイルレースです。ハードロック100のエントリー資格を得るためのレースの一つに選ばれており、比較的難易度が高いレースです。ロッキー山脈で行われる4つの100マイルレースを一年で完走するロッキー・マウンテン・スラムに含まれています。

【個人的な位置づけ】
今年走りましたが、途中道を間違えて思ったような結果にならなかったので、さっそく再挑戦です。
一桁順位でフィニッシュするのが目標。

9.[未確定]The North Face Endurance Challenge Championship(50マイル11月中旬/重要度C

【レース概要】
サンフランシスコ近郊で行われる大きなトレラン大会。50マイルの部はアメリカ各地から脚自慢が集い、事実上の全米選手権の様相です。今年からゴールデンゲートブリッジがコースに組み込まれました。

【個人的な位置づけ】
出走すれば8年連続8回目になります。私にとっては年の最後の走力確認の場です。前年の走りを上回るのが目標。


ロッタリー・パーティー

アメリカでウルトラ・トレイルランニングをやっている人にとって、12月最初の週末といえばウェスタン・ステイツハードロックの抽選が行われる日。

トレランが盛んな地域ではロッタリー・パーティー(Lottery Party)なるものが催されます。ライブ中継やTwitterなどで流される抽選結果をみんなで見ながら楽しむイベントです。

去年までは毎年出場しているレースと日程が被って参加できませんでしたが、今年はレースが11月に開催されたこともあり、私が町のトレラン・ショップセブンヒル・ランニングショップでも毎年行われているロッタリー・パーティーに参加してきました。

抽選が始まる前に、近くのディスカバリー・パークでみんなで軽くランニング。ダウンタウンの近くにありながら、いろいろなところにトレイルが張り巡らされていて、いつ来ても楽しく走れます。

グループランから戻ったあとは、ドーナツを頬張りながらウェスタン・ステイツ抽選の中継をみんなで見守ります。

私の当選確率は今年ウェスタン・ステイツが26%、ハードロックは4%以下だったのであまり期待してませんでしたが、なんとウェスタン・ステイツに初当選!

2014年今年にペーサーとして参加しましたが、来年はいよいよ誰もが憧れる舞台を自分が走る番です。

いまから楽しみです。


TNF50 ー現在地を知るー

7年連続7回目のThe North Face Endurance Challenge Championship San Francisco 50 mile を走ってきました。

7年前の2011年のレースは、私にとって初めてのトレイルランニング・レースでした。その年は鏑木毅さんも出場していて、ロードのマラソンしか走ったことのない身の程知らずな私は、スタートから鏑木さんの後ろを試しについていってみました。最初は案外ついていけるもんだなと思ってましたが、ロードとは異なり上り下りを繰り返すコースに、10キロも行かないうちに脚がついていかなくなり離され、レース半ばまでには完全に脚がなくなり、最後はヘロヘロになりながらなんとかゴールへとたどり着いた記憶があります。

事実上の50マイル全米一決定戦。当時も数多くのエリートが集まるイベントでしたが、アメリカでのトレイルランニングの人気の高まりもあり、その後ますますレベルの高いレースが繰り広げられるようになりました。昨年のZach MillerとHayden Hawksの名勝負を動画でご覧になった方も多いでしょう。

当然、私のレベルでは上位争いは難しいレースですが、毎年私がここに戻ってくる一番の目的は、このハイレベルな雰囲気を直に感じ、トップレベルの選手との差を知り、自分の現在地を確認することにあります。うまく走れる年もあれば、そうでない年もありますが、その時の経験がその後のトレーニングやレースの糧になります。

今年は序盤の下りで左足首を捻挫したあと、さらに同じ場所を中盤の下りで再び捻ってしまい、ずっと左足をかばって走ったせいで右足に早く疲労がたまるという悪循環。でも天気にも恵まれ、また今年はサンフランシスコの象徴ゴールデンゲート・ブリッジを渡ってゴールということもあり、思っていたような結果にはなりませんでしたが十分レースを楽しむことができました。

トップ争いは今年も名勝負が生まれました。昨年優勝を争ったZackとHaydenにTim Freriksを加えた三人によるデッドヒートの末、優勝したのはTim。ちなみに優勝したTimのI-TRAスコアは898、ZachやHayden、また8位だったMax Kingは皆900点超え。今回参加していないJim Walmsleyなども含め、アメリカ男子の選手層は本当に厚くなっています。すでに女子ではKrissy MoehlやRory BosioがUTMBを優勝していますが、この選手層をすれば近い将来にアメリカ勢がUTMBで総合優勝する日が来るでしょう。

今年は日本人の実力派ランナーも多く参加し、i-run-farでも注目ランナーとして取り上げられました。私が記憶する限り、このレースで上位を争った日本人は2011年の鏑木毅さん以来出ていません。上位の争いは非常にレベルが高く、結果を出すことは相当に難しいレース。結果の如何にかかわらず、チャレンジされた方々は本当に素晴らしいと思います。

今後もこのレースの雰囲気を感じにどんどん日本からチャレンジに来てもらえたらなと思います。一朝一夕には行かないと思いますが、いつか日本からやってきたランナーが超ハイレベルの争いの中に割ってくる日がくれば素敵ですね。


夢の死にゆく場所

2016年と2017年にゲイリー・ロビンス(Gary Robbins)がバークレイ・マラソンズ(Barkley Marathons)に挑んだ時のドキュメンタリーが完成し、先週からカナダ・アメリカ各地で上映会が行われています。初日のバンクーバー公演、そして私が行った二日目のシアトル公演ともに満員札止めの盛況ぶり。

名目上の距離は100マイル(実際にはそれ以上)、獲得標高差は16000メートル(エベレストの倍)のコースを60時間以内に走るバークレイ・マラソンズ。ここ数年メディアへの露出も増え、トレイルランナーならずとも注目するイベントになってきています。

以前のブログでレースの概要を書いたので詳しくはそちらを参照いただくとして、簡単にレースを説明すると、GPSの使用を禁止されたランナーは、道標のない山の中を地図を頼りにナビゲーションスキルを駆使して一周20マイル(?)のコースを5周します。コースを回った証拠として、コース上に置かれた13冊の本の中から自分のゼッケンと同じページを切り取ってスタート地点まで戻ってくる必要があります。

秘密のエントリープロセスをヘて(幸か不幸か)参加する資格を得た40人のうち、完走できるのは例年一人いるかいないか。スタート後すぐに迷子になり、一日近くかけて一周もできずにやっとゴールまで戻ってくる人もいます。

さて、ドキュメンタリーのタイトルは「Where Dreams Go To Die」(夢の死にゆく場所)。

タイトルの通り、ゲイリー・ロビンスの挑戦は、一度ならず二度、完走まであと少しというところまで手を伸ばしながらゴール出来ずに終わります。2016年は極度の睡眠不足で幻覚が激しくなり自らリタイア、2017年はあとゴールまで3キロというところでコースを間違え、制限時間となる60時間を6秒過ぎてゴールに辿り着きます。

私が印象に残ったのは、エイドステーションでゲイリー・ロビンスがサポートクルーに対して自分が必要なことを非常に明確に要求しているところ。以前、彼の別のドキュメンタリー「Wonderland」を見たときにも感じたのですが、疲労の中これだけはっきりと周りに伝えられることに感心させられるとともに勉強になります。

さて気になるゲイリー・ロビンスの来年ですが、やはりバークレイ・マラソンズにチャレンジするとのこと。ナビゲーションスキル、走力とも十分に完走できると力強い言葉を聞きました。

こちらのページで上映スケジュールが公開されています。機会がある方はぜひ。


Bear 100 〜 四十半ばにして惑う

ユタ州とアイダホ州を跨いで開催される100マイルレース、Bear 100を走ってきました。いつもの通り、妻がサポートです。

コースの平均標高2300メートル、トータルの標高差は6700メートル。制限時間は36時間。テクニカルな路面はそれほど多くないものの、一つの上り・下りが長く、アメリカでも難しい部類の100マイルです。

昼夜の温度差が激しくなる秋口の天候は「インディアン・サマー」と呼ばれます。今年は温かい時間帯で20度近く、夜の山中では氷点下まで気温が下がりました。この寒暖の差がワサッチ山脈の山々を美しく色づかせますが、一方レースを難しいものにします。

紅葉が美しい。


レースのスタートは、ソルトレイクシティから車で一時間強の場所にあるローガン。決して大きな街ではありませんが全米でも治安が良い町として知られ、チェーン系のホテルやお店も数多くあり、滞在には困りません。

飾りっ気なく、良くも悪くも適当な雰囲気のレースが多いアメリカですが、Bear 100はその中でも輪をかけてざっくりとした感じ。レース前日のブリーフィングも実にあっさりとしていて、コースの状況や注意点なども手短に終了。どちらかというとランナー同士の顔合わせの場という感じ。まあこのざっくりとした感じが一つの魅力で、コアなトレイルランナーを引きつけます。

町の公園で和やかに前日ブリーフィング。


例年エリートランナーも少なからず参加するレースで、今年もWestern Statesで3位だったマーク・ハモンド(Mark Hammond)や4位のジェフ・ブロウニング(Jeff Browning)、ティモシ・オルソン(Timothy Olson)など、なかなかの顔ぶれが揃いました。

モルモン教徒の多いユタ州は日曜日は休息の日ということで、Bear 100は金曜日から土曜日にかけて行われます。スタートは朝6時。日の出まではまだ一時間以上あるため、ヘッドランプが必要です。

スタートは夜明け前。


私の目標は、ストレッチ・ゴールが5位以内、現実的な目標は10位以内。最低でも24時間以内でゴールしたいところ。

レース後しばらくは先頭集団で走り、中間地点となるTony Groveのエイド・ステーションまではティム・オルソンと前後しながら5番手あたりと、いい位置につけて走っていました。

コーラをガブ飲み。


ティムとは昨年のDirty 30というレースでも一緒になりましたが、急な上りでは呼吸も荒く非常につらそうなのですが、下りや平坦な場所では速くて簡単には追いつけません。

ティムは50マイル地点から女性のペーサーをつけてペースアップ。


50マイルをすぎたあたりから前後との差が開き始め、自分一人でコースマーキングをたどる必要がでてくると、マーキング間の距離が長かったり、見つけづらかったりで、正しく進んでいるのか不安になります。

とにかく牛が多い。夜中に出会い頭でお互いびっくりなんてことも。


そして日没を迎えると、その不安が問題として顕在化してしまいました。長い急な下りを降りきったあとのT字路で、マーキングが見つからない。焦りながら探すけどやっぱり見当たらない。

周りに誰もおらず、やむなく最後にマーキングがあった位置を目指して、延々といま来た下りを逆行します。大きなタイムロス。かなり登ったところで、下ってくる後続のランナーと遭遇。いわく、おそらくコースはあっているだろうとのこと。再び同じ道を下ってさっきのT字路にやってきたものの、やっぱりマーキングが見つからない…あった、小さな反射板がぽつぽつと2つ光っている。そしてそのそばにピンクのリボンが暗闇の中に薄っすらと確認できる。

暗くなってからはそんなことの連続。しばらく先を進んでみたものの、リボンも反射板も見つからずに来た道を戻ると、後続のランナーに会う。こっちで正しいのかを確かめると「リボンを見たのでこっちで正しいと思うよ」との返事。いままで夜はBlack Diamond Icon一つでほとんど問題がなかったのに、今回はとことんコースマーキングが見えていない。ペーサーをつけていたらこんなこともなかったか。携帯にGPSデータをダウンロードしてたら良かったのか。そもそも眼鏡を新調したほうが良いのかもしれない。

雪が残る夜の山道。かなりぬかるんでいる場所も。


無駄に時間と足を浪費し、意気消沈。途中からはやむなく目標を下方修正し、最低限の目標である24時間以内のゴールを目指すしかなくなってしまいました。

最後までとにかく自分が正しいコースを進んでいるのか確信を持てず、何度も立ち止まって確認することの繰り返しになってしまいました。

ゴール地点はベア・レイクの畔。


うまく走れている間は楽しかったけど、途中からガックリのレース。悔しいので、近々もう一度走りますよ。

フィニッシュ・タイムによってゲットできるバックルは異なる。


Backcounrty Rise

9月9日に初開催「Backcoutry Rise」の50キロの部を走ってきました。

コースは1980年に大噴火したセント・ヘレンズ山を望むエリア。「Backcountry(=奥地、へき地)」という名前の通り、ちょっとしたハイキングではあまり入ることのない、最低限の整備しか行われていないトレイルにも入ります。

こちらのビデオを見ていただくと分かる通り、景色が最高でした!

獲得標高がそこそこあって、なかなかの難コース。今回優勝したあのマックス・キングでも、フィニッシュ・タイムは4時間台後半でした。

それでも、次から次へと訪れる息を呑むような眺めに、スタートから…

Photo © : Pursuit Films

Photo © : Pursuit Films


ゴールまで…

Photo © : Pursuit Films

Photo © : Pursuit Films


終始笑みが溢れるくらいに満喫しました。おすすめのレースです。

人気のTeritory Run Co.製レース・ロゴ入りTシャツも素敵です。


煙たい夏

ご無沙汰してます。藤岡です。

今年のパシフィック・ノースウェストは山火事が多くなっています。

山火事防止啓蒙のキャラクター、スモーキー・ベアー


つい昨日(2017年9月3日)にもオレゴン州のコロンビア川渓谷で、花火の不始末が原因の森林火災があり、140人のハイカーが一時トレイルに取り残されるというニュースがありました。ブログで度々紹介しているGorge Waterfallsというレースはまさにこのトレイルで開催されています。

夏のトレイル・ランニング・イベントも多発する山火事の影響を受けていて、オレゴンの人気100マイルレースレースPine to Palmや、同じくオレゴン州のレースThe NUTは中止になりました。

8月5日にレーニエ山の近くで開催されたWhite River 50に、昨年に引き続きエイドステーションのボランティアとして参加してきました。

今年もWhite River 50マイルのエイド・ステーション・ボランティアに行ってきました。


このときは数百キロ離れたカナダはブリティッシュ・コロンビア州の大規模な山火事で発生した煙がワシントン州を覆い尽くし、さらにはオレゴン州やアイダホ州まで達したとのこと。いつもならコース上から拝めるすぐ近くのレーニエ山さえ望めない状況でした。

https://twitter.com/NWSBoise/status/893124336101359616

その翌週の8月12日〜13日には、Bigfoot 200を走るMMAブロガーの釘嶋さんの応援に行ってきました。風向きの影響もあってだいぶ状況は改善していましたが、それでもまだカナダの山火事の煙が残る状況でした。

8月26日〜27日に開催されたワシントン州の伝統の100マイルレースCascade Crest 100では、私はカリフォルニアからやってきたウィリーのペーサーをしに行ってきましたが、このレースもすぐ近くの山火事のせいで後半の50マイルを使うことができず、ループコースから前半の50マイルを折り返すコースへと変更されました。

そして今日ハイキングに行ったレーニエ山でも、やはり近くの山火事の煙が周囲一帯を覆っていました。

夏は好天が続くことが多いパシフィック・ノースウェストですが、今年は記録的に降雨が少なく乾燥していて、事態はまだしばらく収束しそうにありません。

雨乞いでもした方がいいですかね。


シアトルっ子は暑さに弱い〜ロンダ・デル・シム

アンドラで行われたロンダ・デル・シムは私のトレラン人生初のDNFに終わりました。

73キロ地点のマルジネダのエイドステーションのあと、コルタル・マニャットの長い登りをノンストップで登っているうちに熱中症に。頭と体に熱がこもり、足が言うことを聞かなくなってしまいました。なんとか87キロ地点のコマ・ベラのエイドステーションまでゆっくりと歩いてたどり着いたものの、この難しいコースをこの体調であと80キロ続けるのはリスクが高いと判断しました。

いつもは100マイルレースの前半はゆっくり楽しめるのですが、アンドラはそんな余裕を与えてくれません。ガレた上り下りの連続、ちょっとした油断で滑落し命を落としかねない鎖場の崖、岩場で足元が安定しない痩せ尾根、踏み跡のないオフトレイルなど、アメリカのレースではほぼ経験しない場面の連続。走れるトレイルが好きで、テクニカルな下りが不得意な私にとっては、とてもストレスが溜まるコースでした。

アメリカでは概して走れるレースが多く、トップ選手にはクロスカントリー・ランニングやロードに強いランナーが多い印象です。最低限のルールは決められていますが、自己責任に委ねられる余地が多く、たとえば100マイルでもハンドヘルドボトルとジェルだけで走るランナーも少なくありません。またエイドステーションを含め、全体としてレースを楽しむ空気に満ちています。

それと比較して、ヨーロッパは険しい山岳レースで、様々な地形に対応する技術が求められるように感じます。競技性が高く、多くの必携品の常時携帯を始めとしてより細かなルールが定められています。高揚感に満ちたお祭り騒ぎのスタートのあとは、厳しい自分との戦いが待っています。

そんなヨーロッパのレースの中でも、極めて難易度の高いロンダ・デル・シム。自分の能力を改めて理解する上でも、アメリカのレースとの違いを感じる上でも、良い経験でした。

ではロンダにもう一度挑戦したいかというと、現時点ではお腹いっぱい。こんな危険と隣り合わせのスリルは当面味わいたくないというのが正直なところです。