【おバカ動画】ミステリー・ドロップバッグ・チャレンジ【映像あり】

9月23日から25日までの三日間にわたってシアトルで開催されたトレイルランニング・フィルム・フェスティバルに行ってきました。

合計40本近いフィルムが上映されたこのイベント。クリッシー・モール(Krissy Moehl)やジェイソン・シュラブ(Jason Schlarb)、ジェフ・ブロウニング(Jeff Browning)もゲストとして参加。エキスポではトレイルランニング関連のギアを扱うメーカーやショップが並びました。顔見知りのランナーも多く集まり、楽しいイベントでした。

現在アメリカ巡回中なので、機会がある方は是非。

私が鑑賞した約20本の映像の中から、面白かったものを何回かに分けて紹介していこうと思います。

今回紹介するのは、アメリカ的おバカ動画、「ミステリー・ドロップバッグ・チャレンジ」。

内容はというと、二人が周回コースを四周まわるレースをするというもの。ただし、このレースには特別なルールが一つ。

そのルールとは、ある実際のトレイルランニングレースのエイドステーションに預けられたものの、忘れ物として三ヶ月間持ち主が現れなかったドロップバッグを使用すること。

各周回のはじめに何が入っているかわからない「ミステリー・ドロップ・バッグ」を受け取り、中に入っているものが食べ物であれば食べ、飲むものであれば飲み、身に付けるものであれば身につけ、バッグに入ったものをすべて使ってから、次の周回に進み、早く4周した方が勝ちです。

アリゾナの炎天下の中、厚手のパーカーが中から出てきたり、三ヶ月のあいだ放置されてカピカピに乾ききったパンのようなものや、ドロドロになって原形をとどめないグミや、あるいは謎の白い粉が出てきたり…

ある意味、アメリカのトレイルランニングの奥深さがわかる映像かもしれませんwww

YouTubeで視聴可能なフルバージョンがこちら。(食事中の人は注意!)


Run Free – The true story of Caballo Blanco

Kickstarterでのクラウドファンディング(インターネット上での資金調達)で資金を集め、先ごろ無事に完成した「Run Free – The true story of Caballo Blanco」がシアトルで上映されるということで、見に行ってきました。

カバイヨ・ブランコ(スペイン語で「白い馬」の意)ことマイカ・トゥルー/Micah Trueに迫ったドキュメンタリー・フィルムです。

日本でもベストセラーになったクリストファー・マクドゥーガル/Christopher McDougallの「Born to Run」で知られるようになったマイカは、コロラド州で開催されているLeadville 100に出場したメキシコの「走る民」ことララムリ(タラフマラ族)の走りに魅せられ、ララムリが住むコッパー・キャニオン/Copper Canyonsで多くの時間を過ごすようになりました。2003年にはララムリの文化や人並み外れた走力を保存するため、マイカは現地でコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソン/Copper Canyon Ultra Marathonというレースの開催に尽力しました。後々、このレースには海外からも多くの参加者が集まるようになります。このあたりの経緯は「Born to Run」にも書かれていますね。

2012年のコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソンの三週間後に、マイカはアメリカ・ニューメキシコ州の山中を走っている最中に行方不明になり、四日後に亡くなっているのが発見されました。後の検死によると特発性心筋症が原因だったようです。

映画では、このカバイヨ・ブランコことマイカの人物像を、彼自身や「Born to Run」の著者Christopher McDougall、その登場人物であるScott Jurek、Luis Escobar、”Barefoot” Ted McDonald、マイカのガールフレンドMaria Walton、その他の人々の話りと、コッパー・キャニオンでの映像を交えながら描いていきます。

個人的にちょっと印象に残ったのは、ストーリーの本筋とはあまり関係がない部分なのですが、マイカのランニングフォーム。見た瞬間、私のフォームに通じるところがあるなぁと頭の中で思っていたら、一緒に見ていた私の妻もおんなじ印象を持っていたようで、「走り方が似てるね、特に上半身の使い方が」と言われました。

「Born to Run」を読んでない方でも十分楽しめる内容ですが、読んだ方であれば、本に書かれた内容と重なる部分も多く、実際の映像をみることでさらに楽しむことができると思います。

フル・バージョンはVimeoでレンタルまたは購入が可能です。

余談ですが、上映会ではディレクターのSterling Norenと、映画に出演しているBarefoot Ted、Maria Waltonがゲストで来ていました。上映後のディレクターのSterling Norenの話では、彼がマイカと初めて会ったのは2009年、「Born to Run」が出版される三ヶ月前で、バイクでメキシコを旅をしていたところたまたまホステルで遭遇、自分がフィルムメーカーだということを話したところ、ちょうど数週間後に自分のレースがあるから映像を撮ってくれよと言われて撮影したとのこと。その次に会ったのが、マイカが急死する直前の2012年のレースということで、実際にマイカと会って撮影したのはその二回きりとのこと。冗談めかして、ハリウッドが映画化する前に「本当の物語」を形にしたかったと言っていました。

さらに余談ですが、2012年と2013年のコッパー・キャニオン・ウルトラ・マラソンのシーンでは、私も顔を知っている日本からの参加者がちらほら。誰が映っているかを探してみるのも楽しいかもしれません。


世界で最もハードなレース

「世界で最もハード」と言われるレースはいくつかありますが、アメリカやヨーロッパのトレイルランナーに聞いたら、その多くがアメリカ・テネシー州で行われる「バークレイ・マラソンズ/The Barkley Marathons」を挙げるのではないでしょうか。

このバークレイ・マラソンンズのドキュメンタリー・フィルムが、トレイル・ランニング・フィルム・フェスティバルで上映されるということで、観てきました。アメリカ西海岸では初上映だそうです。

トレイル・ランニング・フィルム・フェスティバルはシアトルを皮切りに今秋全米各都市で開催されます。


でもって、このレース・・・ホントにヤバい。

1986年に初開催されてから延べ約1000人が参加していますが、これまでの完走者はたったの14人(うち2人が2度完走)。つまり完走率は1%台。年に一人完走者が出ればいい方という凄まじいレースです。

エントリー方法からして特徴的で、「なぜ私をバークレーマラソンズにエントリーさせなければならないか」について書いた作文によって選考され、数百人のエントリー申し込みの中から40人程が出場権を獲得します。

出場権を得た人はレース受付時に出身地の車のナンバープレートなどを持参し、これらと引き換えにゼッケンを受け取ります。ナンバープレートはスタート地点にずらりとぶら下げられます。

そして肝心のレース概要はというと…

  • コースは(一応)20マイルのコースを5周、全長100マイル。ただし毎年微妙にコースは変わっていて、かつ実際の距離は謎、というか実際はもっと長いらしい。
  • 制限時間は60時間。
  • 累積標高は16500メートル(=エベレストふたつ分)。
  • 5周のうち最初の2周は時計回り、次の2周は反時計回り、最後の1周は、1位の人は自分の好きな方向に、2位以降の人は前の人とは逆周りに走る。ちなみに、3周(60マイル)まわることを「ファン・ラン」と呼ぶ。
  • エイドステーションはなし。ウォーターステーションが二箇所のみ。
  • コースマーキングもなし。スタート前にコースが記された地図を確認し、そこに書かれた内容をもとに自分の地図に情報を書き込む。この地図とコンパスとGPSを頼りに進む。
  • コース上には約10冊の本が置かれており、各ランナーは正しいルートを走った証拠として、それぞれの本のゼッケンと同じページを破って持って帰ってくる必要がある。
  • いつ吹かれるかわからないレースディレクターの法螺貝の音がレーススタート一時間前の合図。夜かもしれないし、朝かもしれない。
  • レースディレクターがタバコに火をつけるのがスタートの合図。
  • リタイアすると、戦死者を弔うのに倣ってトランペットが吹かれる。

予告編を見ただけでもこのレースがいかにきついかがわかる映像ばかり。傷だらけの脚や、疲労や睡眠不足で朦朧とした表情、斜面を登りそこねて滑り落ちる人、転んで頭から血を流す人、コースを見失い命からがらやっとのことでスタート地点へと戻ってくる人、疲れ果て、精根尽き果てて戻ってくる人などなど。参加者が次々とレースから脱落していく様は壮絶です。

そしてレース模様の合間合間に挿入される、レースの創設者かつレース・ディレクターのガリー・キャントレル/Gary Cantrellのユーモアに溢れつつも不敵に語る表情は、山の主にも悪魔にも見えてきます。

こんなレース、私は絶対に出る気になれません。だって、はなから絶対辛いにきまってますから。

ちなみに、丁度この週末、本家バークレイ・マラソンズの簡易版「バークレー・フォール・クラシック」が開催されます。こちらは本家と違ってちゃんとコースマーキングしてあるし、エイドステーションもある50キロのレース。コースも被っているとのことで、本家の雰囲気が味わえます。棘だらけの藪も走るので脚は傷だらけになるようですよ。簡易版の方なら、怖いもの見たさで私も出てみてもいいかなぁ。そして、この簡易版の優勝者はバークレイ・マラソンズの出場権を与えられるとのこと。

勇気のある方、ぜひバークレイ・マラソンズにチャレンジしてみてはいかがでしょう?


アメリカのハイキング・ブーム

こんにちは、藤岡です。シアトルからUTMBへと向かう機内の映画のラインアップに、「わたしに会うまでの1600キロ」(原題「Wild」)がありました。
南はアメリカとメキシコ国境から、北はアメリカとカナダ国境までアメリカ西海岸を南北に縦走する全長4,260 kmのパシフィック・クレスト・トレイルを舞台にした、実話の本をベースにしたこの映画。生活が荒れた若い女性が、自分探しの旅に出る映画です。ちょうど現在日本でも公開されていますね。あらすじはというと…

砂漠と山道を徒歩で旅することにしたシェリル(リース・ウィザースプーン)。旅をスタートさせる少し前、シェリルは母の死を受け入れられず、薬と男に溺れる日々を送り、結婚生活は崩壊してしまう。シェリルは人生について思い直し、自分自身を取り戻そうと決意。こうして彼女は旅に出たが、寒さが厳しい雪山や極度の暑さが体力を奪っていく砂漠が彼女を苦しめ……。
シネマトゥデイより)

でもって機内での暇つぶしに買った雑誌「BACKPACKER」の9月号の記事にも、パシフィック・クレスト・トレイルについての記事が。なんでもこの映画の影響で、今年だけでもいろいろなニュースがあるようです。

  • 映画の影響でパシフィック・クレスト・トレイル・アソシエーションのウェブサイトへのアクセスが3倍に。(1月20日)
  • ジョン・ミューア・トレイルのヨセミテ区間の渋滞を緩和するため、ハイキングに必要な許可に関する新しいルールが運用開始された。(2月2日)
  • ショーン(Shawn “Pepper” Forry)とジャスティン(Justin “Trauma” Lichter)が、冬季に北から南へ132日でスルー・ハイクを完了し、知られている範囲での最速記録を樹立。(3月1日)
  • アパラチアン・トレイルの「リッジ・ランナー」に倣って、パシフィック・クレスト・トレイルの北側100マイルに試験的に「クレスト・ランナー」が試験的に配置される。スルーハイクをしている人たちへ声を掛けたり、助けたりするのが役割。(3月23日)
  • スルーハイクを計画していた18歳の少年が、たったの12時間で携行していた水を使い果たし、救助される(5月4日)
  • 5月中旬時点で1500人が北からスルーハイクを行っている。昨年比で30%、10年前と比較いて500%の増加。(5月22日)

ちなみにアメリカでは「A Walk in the Woods」という映画がちょうど公開されたばかり。こちらはこちらは年を取った2人の男が、アメリカ東海岸を南北に走るアパラチアン・トレイルを歩くお話。

アメリカは大のハイキング・ブームのようですが、それに比例して事故も増えているようなのでくれぐれも気をつけないといけませんね。