7つの質問 〜 HURT 100

2018年最初のレースとなったHURT 100、なんとか無事に走ってきました。

レースの後にスポンサーしていただいているSeven Hills Running Shopから店名にちなんで7つの質問をもらいました。近日中にショップのウェブサイトで私の回答が掲載されると思いますが、こちらで日本語訳版を公開します。

「MasaZoomiへの7つの質問」

【質問1】おめでとう、マサズミ!二年連続で3位なんて本当に凄いよ!今年のHURTは去年と比べてどうだったの?

ありがとう!二年続けて表彰台に立ててほんとに嬉しいです。20マイルのループを5周するこのレースは、暑くて湿気が高くて、常に難しいレース。去年はスタートから飛ばしすぎて3周目にはもう疲れちゃってたから、今年は戦略を変えて後半に向けてエネルギーを温存しておくことにしました。おかげでレースを通していい感覚で走ることができました。去年も2位だったギヨームをもう少しで抜けるかというところまでいったけど、結局捕まえることはできませんでした。でも満足いくレースでしたよ。

【質問2】ゴール時の動画を観たけど、かなりくたくたに見えたね。左に傾いて変な走り方になってるけど、何があって、どのくらいの間こんなふうに走ってたの?レース後は無事に回復している?

レース中は石や根っこや段差に何度となく躓いで転んじゃいました。で、正確にいつか分からないけど転んだときに左の腰を地面に強く打ち付けて、4周目のループではもう体が左に傾いてました。左側が崖になっているところを走っているときは、落ちるんじゃないかと心配でしたよ。それから、最後の周ではギヨームに追いつこう、後続から逃げ切ろうと必死に走ったから最後はヘトヘトだったというのもあります。
HURTはどの100マイルレースより走った後のダメージが大きいけど、順調に回復しています。

【質問3】走っているときにミサイル・アラートのことは聞いてたの?なにか影響はあった?

(注:レース中にミサイル攻撃を知らせる緊急警報が誤配信されて、ハワイは一時大混乱しました。)

ゴール後に妻からその話を聞くまでなにも知らず、自分には全く影響はありませんでした。
でも、ランナーやクルー、ボランティアの中にはシェルターに避難させられる人もいたみたいで、制限時間も30分延長されました。主催者はほんとに大変だったと思います。
下の写真は表彰式でもらった記念品なんだけど、この事件を記憶しておくために、真ん中にミサイルが印刷されているのわかります!?

【質問4】HURTのコースはタフで容赦ない感じだけど、どんなコースが好みなの?周回コース?テクニカルなコース?それから、お気に入りのレースは?

ループかどうかは特にこだわりはないんですが、HURTのゴールでキスする看板の言葉じゃないけど、”簡単じゃないのがいい”ですね。チャレンジングなやつが好きです。それから、必ずしも他の人と競うためだけにレースに出ているわけじゃなくて、その土地のコミュニティの一部になったり、雰囲気や風景を楽しみたいというのもあります。
お気に入りのレースを一つだけ選ぶのは難しいけど、HURTのコミュニティはあったかい家族的な雰囲気がほんとに素敵です。それから、パシフィック・ノースウェスト地域に住むものとしては、やっぱりレインシャドウのレースはどれも好きで、みんなにお勧めします。去年走った中では、Backcoutry Riseの景色はよかったですね。

【質問5】HURTで使ったシューズやギアは何?ウェスタン・ステイツでは何を使うの?

(注:6月にウェスタン・ステイツを走ります。)

今年のHURTは例年と比べるとぬかるみが少なかったけど、それでも根っこや濡れた石があってテクニカルなコースには違いないので、もう製造終了しているMerrell All Out Peakを使いました。ここ数年100マイルレースで履き続けているシューズで、HURTのようなトレイルでもしっかり地面を掴みます。
それから水とジェルを入れるのに使ったのはSalomonのS-Lab Senseベスト。いつも使っているけど、体にフィットするし、走っていてもフラスクはあまり揺れなくていいですね。
ウェスタン・ステイツに向けては今いろいろなシューズを試しているところです。Salomon Sense Rideはクッションもあって、それなりにトラクションもある。Altra Superiorは軽くて反応も速い。レースの一ヶ月前にあるウェスタン・ステイツ・トレーニング・キャンプに参加する予定なので、現地でいくつかシューズを試した上で決めようと思います。

【質問6】暑さと湿気への対策はどうやったの?

日本人だから暑いじめじめした夏は知っているけど、もうシアトル界隈に引っ越してきて10年以上経つので、暑さと湿気は苦手です。サウナに行っている人もいるようだけど、自分はそこまではやりません。12月の間は多くのトレーニングをあったかいジムのトレッドミルでやりました。それからレースの前にコースを試走して現地の気候を体で感じたりしました。

【質問7】HURTを受けて、ウェスタン・ステイツへむけたトレーニングはどうしていくの?

HURTの結果は自信につながりました。でもウェスタン・ステイツはまた別のレースなので、まずはリフレッシュして一から体を作っていこうと思います。ウェスタン・ステイツは二度ペーサーとして走っているけど、乾燥していてHURTよりも気温が高いので、どう対応するかこれから考えようと思います。いずれにせよ、ウェスタン・ステイツ、楽しみでしょうがない!


ロッタリー・パーティー

アメリカでウルトラ・トレイルランニングをやっている人にとって、12月最初の週末といえばウェスタン・ステイツハードロックの抽選が行われる日。

トレランが盛んな地域ではロッタリー・パーティー(Lottery Party)なるものが催されます。ライブ中継やTwitterなどで流される抽選結果をみんなで見ながら楽しむイベントです。

去年までは毎年出場しているレースと日程が被って参加できませんでしたが、今年はレースが11月に開催されたこともあり、私が町のトレラン・ショップセブンヒル・ランニングショップでも毎年行われているロッタリー・パーティーに参加してきました。

抽選が始まる前に、近くのディスカバリー・パークでみんなで軽くランニング。ダウンタウンの近くにありながら、いろいろなところにトレイルが張り巡らされていて、いつ来ても楽しく走れます。

グループランから戻ったあとは、ドーナツを頬張りながらウェスタン・ステイツ抽選の中継をみんなで見守ります。

私の当選確率は今年ウェスタン・ステイツが26%、ハードロックは4%以下だったのであまり期待してませんでしたが、なんとウェスタン・ステイツに初当選!

2014年今年にペーサーとして参加しましたが、来年はいよいよ誰もが憧れる舞台を自分が走る番です。

いまから楽しみです。


夢の死にゆく場所

2016年と2017年にゲイリー・ロビンス(Gary Robbins)がバークレイ・マラソンズ(Barkley Marathons)に挑んだ時のドキュメンタリーが完成し、先週からカナダ・アメリカ各地で上映会が行われています。初日のバンクーバー公演、そして私が行った二日目のシアトル公演ともに満員札止めの盛況ぶり。

名目上の距離は100マイル(実際にはそれ以上)、獲得標高差は16000メートル(エベレストの倍)のコースを60時間以内に走るバークレイ・マラソンズ。ここ数年メディアへの露出も増え、トレイルランナーならずとも注目するイベントになってきています。

以前のブログでレースの概要を書いたので詳しくはそちらを参照いただくとして、簡単にレースを説明すると、GPSの使用を禁止されたランナーは、道標のない山の中を地図を頼りにナビゲーションスキルを駆使して一周20マイル(?)のコースを5周します。コースを回った証拠として、コース上に置かれた13冊の本の中から自分のゼッケンと同じページを切り取ってスタート地点まで戻ってくる必要があります。

秘密のエントリープロセスをヘて(幸か不幸か)参加する資格を得た40人のうち、完走できるのは例年一人いるかいないか。スタート後すぐに迷子になり、一日近くかけて一周もできずにやっとゴールまで戻ってくる人もいます。

さて、ドキュメンタリーのタイトルは「Where Dreams Go To Die」(夢の死にゆく場所)。

タイトルの通り、ゲイリー・ロビンスの挑戦は、一度ならず二度、完走まであと少しというところまで手を伸ばしながらゴール出来ずに終わります。2016年は極度の睡眠不足で幻覚が激しくなり自らリタイア、2017年はあとゴールまで3キロというところでコースを間違え、制限時間となる60時間を6秒過ぎてゴールに辿り着きます。

私が印象に残ったのは、エイドステーションでゲイリー・ロビンスがサポートクルーに対して自分が必要なことを非常に明確に要求しているところ。以前、彼の別のドキュメンタリー「Wonderland」を見たときにも感じたのですが、疲労の中これだけはっきりと周りに伝えられることに感心させられるとともに勉強になります。

さて気になるゲイリー・ロビンスの来年ですが、やはりバークレイ・マラソンズにチャレンジするとのこと。ナビゲーションスキル、走力とも十分に完走できると力強い言葉を聞きました。

こちらのページで上映スケジュールが公開されています。機会がある方はぜひ。


Bear 100 〜 四十半ばにして惑う

ユタ州とアイダホ州を跨いで開催される100マイルレース、Bear 100を走ってきました。いつもの通り、妻がサポートです。

コースの平均標高2300メートル、トータルの標高差は6700メートル。制限時間は36時間。テクニカルな路面はそれほど多くないものの、一つの上り・下りが長く、アメリカでも難しい部類の100マイルです。

昼夜の温度差が激しくなる秋口の天候は「インディアン・サマー」と呼ばれます。今年は温かい時間帯で20度近く、夜の山中では氷点下まで気温が下がりました。この寒暖の差がワサッチ山脈の山々を美しく色づかせますが、一方レースを難しいものにします。

紅葉が美しい。


レースのスタートは、ソルトレイクシティから車で一時間強の場所にあるローガン。決して大きな街ではありませんが全米でも治安が良い町として知られ、チェーン系のホテルやお店も数多くあり、滞在には困りません。

飾りっ気なく、良くも悪くも適当な雰囲気のレースが多いアメリカですが、Bear 100はその中でも輪をかけてざっくりとした感じ。レース前日のブリーフィングも実にあっさりとしていて、コースの状況や注意点なども手短に終了。どちらかというとランナー同士の顔合わせの場という感じ。まあこのざっくりとした感じが一つの魅力で、コアなトレイルランナーを引きつけます。

町の公園で和やかに前日ブリーフィング。


例年エリートランナーも少なからず参加するレースで、今年もWestern Statesで3位だったマーク・ハモンド(Mark Hammond)や4位のジェフ・ブロウニング(Jeff Browning)、ティモシ・オルソン(Timothy Olson)など、なかなかの顔ぶれが揃いました。

モルモン教徒の多いユタ州は日曜日は休息の日ということで、Bear 100は金曜日から土曜日にかけて行われます。スタートは朝6時。日の出まではまだ一時間以上あるため、ヘッドランプが必要です。

スタートは夜明け前。


私の目標は、ストレッチ・ゴールが5位以内、現実的な目標は10位以内。最低でも24時間以内でゴールしたいところ。

レース後しばらくは先頭集団で走り、中間地点となるTony Groveのエイド・ステーションまではティム・オルソンと前後しながら5番手あたりと、いい位置につけて走っていました。

コーラをガブ飲み。


ティムとは昨年のDirty 30というレースでも一緒になりましたが、急な上りでは呼吸も荒く非常につらそうなのですが、下りや平坦な場所では速くて簡単には追いつけません。

ティムは50マイル地点から女性のペーサーをつけてペースアップ。


50マイルをすぎたあたりから前後との差が開き始め、自分一人でコースマーキングをたどる必要がでてくると、マーキング間の距離が長かったり、見つけづらかったりで、正しく進んでいるのか不安になります。

とにかく牛が多い。夜中に出会い頭でお互いびっくりなんてことも。


そして日没を迎えると、その不安が問題として顕在化してしまいました。長い急な下りを降りきったあとのT字路で、マーキングが見つからない。焦りながら探すけどやっぱり見当たらない。

周りに誰もおらず、やむなく最後にマーキングがあった位置を目指して、延々といま来た下りを逆行します。大きなタイムロス。かなり登ったところで、下ってくる後続のランナーと遭遇。いわく、おそらくコースはあっているだろうとのこと。再び同じ道を下ってさっきのT字路にやってきたものの、やっぱりマーキングが見つからない…あった、小さな反射板がぽつぽつと2つ光っている。そしてそのそばにピンクのリボンが暗闇の中に薄っすらと確認できる。

暗くなってからはそんなことの連続。しばらく先を進んでみたものの、リボンも反射板も見つからずに来た道を戻ると、後続のランナーに会う。こっちで正しいのかを確かめると「リボンを見たのでこっちで正しいと思うよ」との返事。いままで夜はBlack Diamond Icon一つでほとんど問題がなかったのに、今回はとことんコースマーキングが見えていない。ペーサーをつけていたらこんなこともなかったか。携帯にGPSデータをダウンロードしてたら良かったのか。そもそも眼鏡を新調したほうが良いのかもしれない。

雪が残る夜の山道。かなりぬかるんでいる場所も。


無駄に時間と足を浪費し、意気消沈。途中からはやむなく目標を下方修正し、最低限の目標である24時間以内のゴールを目指すしかなくなってしまいました。

最後までとにかく自分が正しいコースを進んでいるのか確信を持てず、何度も立ち止まって確認することの繰り返しになってしまいました。

ゴール地点はベア・レイクの畔。


うまく走れている間は楽しかったけど、途中からガックリのレース。悔しいので、近々もう一度走りますよ。

フィニッシュ・タイムによってゲットできるバックルは異なる。


シアトルっ子は暑さに弱い〜ロンダ・デル・シム

アンドラで行われたロンダ・デル・シムは私のトレラン人生初のDNFに終わりました。

73キロ地点のマルジネダのエイドステーションのあと、コルタル・マニャットの長い登りをノンストップで登っているうちに熱中症に。頭と体に熱がこもり、足が言うことを聞かなくなってしまいました。なんとか87キロ地点のコマ・ベラのエイドステーションまでゆっくりと歩いてたどり着いたものの、この難しいコースをこの体調であと80キロ続けるのはリスクが高いと判断しました。

いつもは100マイルレースの前半はゆっくり楽しめるのですが、アンドラはそんな余裕を与えてくれません。ガレた上り下りの連続、ちょっとした油断で滑落し命を落としかねない鎖場の崖、岩場で足元が安定しない痩せ尾根、踏み跡のないオフトレイルなど、アメリカのレースではほぼ経験しない場面の連続。走れるトレイルが好きで、テクニカルな下りが不得意な私にとっては、とてもストレスが溜まるコースでした。

アメリカでは概して走れるレースが多く、トップ選手にはクロスカントリー・ランニングやロードに強いランナーが多い印象です。最低限のルールは決められていますが、自己責任に委ねられる余地が多く、たとえば100マイルでもハンドヘルドボトルとジェルだけで走るランナーも少なくありません。またエイドステーションを含め、全体としてレースを楽しむ空気に満ちています。

それと比較して、ヨーロッパは険しい山岳レースで、様々な地形に対応する技術が求められるように感じます。競技性が高く、多くの必携品の常時携帯を始めとしてより細かなルールが定められています。高揚感に満ちたお祭り騒ぎのスタートのあとは、厳しい自分との戦いが待っています。

そんなヨーロッパのレースの中でも、極めて難易度の高いロンダ・デル・シム。自分の能力を改めて理解する上でも、アメリカのレースとの違いを感じる上でも、良い経験でした。

ではロンダにもう一度挑戦したいかというと、現時点ではお腹いっぱい。こんな危険と隣り合わせのスリルは当面味わいたくないというのが正直なところです。


ランナーに寄り添う〜Western States 100

6月24日に開催されたウェスタン・ステイツ100マイルに、西城克俊さんのペーサーとして参加してきました。

西城さんがすでにブログを上げているので、ランナー側からの視点は是非そちらを読んでみて下さい。

ウェスタン・ステイツでのペーサーは3年前の原良和さん以来。西城さんのペーサーは2年前のGorge Waterfalls 100k以来です。

アメリカにおけるペーサー
アメリカでは主に100マイル以上のレースで、途中からペーサーをつけることが認められています。昼夜に渡って人里離れたトレイルを走るランナーの安全を確保するのが主な目的です。

レースによって若干ルールは異なりますが、通常ペーサーは一緒に走って、言葉をかけて励ましたり、ペースを作ったりすることだけが認められています。ランナーの持ち物を代わりに持ち運んだり、食べ物や飲み物を渡したりすること(「ミューリング」と言います)は禁止されています。また緊急時を除き、ランナーに医療・治療行為をすることも認められていません。

今回ペーサーとなったきっかけ
ここ数年、西城さんが春にパシフィック・ノースウェストのレースに遠征に来るたびにサポートをお願いされていて、それが縁で今回ペーサーの依頼がありました。

多くのランナーが憧れるウェスタン・ステイツの舞台。当然西城さんにとっても大切なレースなのは想像に難くありません。ペーサーを引き受けたからには、私自身ウェスタン・ステイツの雰囲気を楽しみつつも、それなりの責任感をもって事に当たらないといけません。

ウェスタンステイツ当日
私がペーサーをするのは、ペーサーをつけることが認められている62マイル地点のフットヒルからゴールまでの全区間、38マイル(61キロ)です。

レース前日まで普通に仕事があったため、スタート地点となるスコー・バレーで西城さんとクルーに合流したのはレース開始3時間前の午前2時。ペーサーとはいえそれなりの距離を走るので、短い間ですが仮眠を取ったあと、午前5時にスタートするランナー達を見送りました。

30マイル(48キロ)地点のロビンソン・フラットでクルーと共に西城さんのサポートをしたあと、ペーサーを始めるフットヒルに到着したのが正午前。西城さんの事前の到着目標時刻は午後3時頃でしたが、序盤の標高が高い地点に残る雪と、おそらく日中は30度台後半という例年以上の気温の高さの影響もあり、レースは全体的にスローペース。実際に西城さんが到着したのは午後5時過ぎになりました。それでも他のランナーとくらべると比較的元気そう。

ここから、次にクルーからのサポートが受けられる80マイル(129キロ)地点のグリーン・ゲイトまでは約20マイル。日が長い時期とはいえ、当初の予定より遅れていることもあって、念のため私はヘッドランプを持って一緒に走り始めました。

5時を過ぎても気温は30度を超え、まだ相当暑い。

前を走るか、後ろを走るか
ペーサーが前を走ってペースを作るか、後ろについてランナー自身がペースを作るかは、ランナーの好みがありますが、以前すでに西城さんのペーサーをしたことがあり、西城さんが先を走りたいことは分かっていました。経験があるランナーなので、ペースを邪魔しないよう、私は後ろからついていきました。

ペーサーが後ろを走る一番のメリットは、ランナーの動きがみえることです。長い間水やジェルを口にしていないときに補給を促したり、歩調がおかしいときに大丈夫なのか確認できます。

炎天下の中、徐々に疲労が蓄積する
次のエイドステーションまでの距離や先々の起伏の具合を確認するためにコース・プロフィールを印刷して持ってきていたのですが、フットヒルを出てすぐに落とした模様。記憶をたよりに西城さんにコースの説明をしながら進みます。

フットヒルから間もなく、まだ西城さんの足取りが良いあいだは比較的多めに声をかけていました。しかし、炎天下を進むにつれて西城さんの疲労が蓄積しはじめているように見えました。疲れてくると話すことも面倒になるだろうと思い、走りに集中してもらうために必要以上に話しかけないようにしました。

クルーが待つグリーン・ゲイト目前で一気に日が暮れ始めました。西城さんはヘッドランプをこのエイドステーションで受け取る予定だったので持っていませんでしたが、私は念のためにと思って持っていたので事なきを得ました。

遠く険しい残り20マイル
クルーからの手厚いサポートを受けてグリーン・ゲイトを出ると、ゴールまで残り約20マイル。しかしここから西城さんのペースは目に見えて落ち始め、歩いたり立ち止まる回数が増ていきます。それでも、西城さんは再び走り始め、ときに嗚咽にも似た声を上げながら前進します。

おそらく西城さんも、なかなか前に進まない、エイドステーションまでの距離が長い、と感じているんだろうと想像しました。私は、あまりしゃべらないようにしながら、それでも時々、次のエイドステーションまで一つずつ区間をこなしていこうと声をかけながら後ろを走ります。

前へ進み続けて、ノー・ハンズ・ブリッジに到着。ついに残りあと5マイル(8キロ)を切りました。西城さんの足はほとんど終わっていたと思いますが、ここからゴールまでなら多少無理をさせても最後まで持つだろうと、ずっと後ろをついていた私は、並走し、そして西城さんの前へと出ました。「あと3マイル」「あと3キロ」と励まし、手を叩いて鼓舞すると、西城さんも苦しみ、呻きながらも、なんとかついてきてくれます。

ゴールまで1.6マイル。最後のエイドステーションであるロビーポイントを過ぎると、ここまでサポートしてくれたクルーのみなさんが待っていてくれていました。相変わらずきつそうな西城さんですが、一方でゴールに近づいて安堵の色も見えます。

トラックに入り、最後は西城さんが午前2時39分にゴールラインをまたぐのを後ろから見届けました。

今年のウェスタン・ステイツは厳しいコンディションで、優勝タイムも例年より遅く、完走率も低かった中、流石に経験豊富な西城さんは力強く完走しました。

私もペーサーとして無事にミッションを遂げられてほっと一安心。もしかしたら自分がランナーとして一人で走っているときのほうが気が楽かもしれません。他のランナーのために役割をこなすという点で、ちょっと違った達成感でした。めでたし、めでたし。


顔が見えるということ – Orcas Island 100 -

3週間前に行ったオーカス島に、今度は昨年に引き続き100マイルレースのボランティアとクルーをしに行ってきました。

シアトルから車で一時間半の場所にあるアナコルテスから車ごとフェリーに乗り込みオーカス島へ向かいます。

島に到着したら、さっそくレース前日のブリーフィングが行われるキャンプ・モラン(Camp Moran)へ。

今年の参加者は60人ほど。昨年からのリピーターや他の100マイルレースで見た顔、地元のレースでよく会う面々やレインシャドウ・ランニングのスタッフなどが賑やかに集い、和気あいあいとした雰囲気です。

アメリカのトレイルランニング・イベントは、しばしば「ロー・キー」(控えめな・慎ましい)と形容されます。エントリー可能なランナーの数は多くても300人前後。ごく少数のスタッフとボランティアで十分に運営可能な身の丈にあった規模で、自然に対するインパクトもある程度限定されます。

レース主催団体であるレインシャドウ・ランニングのオーナーで、レースディレクターでもあるジェームス・ヴァーナー(James Varner)が作るイベントは、ちょうどよい規模感でいつも居心地が良く、心から楽しいと思わせてくれます。

オーカス島は2006年にレインシャドウ・ランニングが初めてレース(Orcas Island 50k)を開催した場所。ジェームスが満を持して彼にとって初めての100マイルを開催したのが昨年で、今年は第二回のOrcas Island 100でした。

一周25マイル(40キロ)の周回コース。雨が多いこの地域ならではの、苔に覆われた神秘的な原生林の中を駆けめぐります。

レース開始後、私もトレーニングがてら軽くコースの一部を走ってみました。

普通シアトル周辺は緯度の割には冬もさほど気温は下がらず雪も少ないのですが、今年は例年と比べて低温で雪の日が多く、レースがあった週末も少し標高が上がっただけでトレイルを雪が覆い始めます。

たまにすれ違うランナーに「その調子!」と声をかけながら、うっすらと粉砂糖をまぶしたようなトレイルを進みます。

コース上で一番標高が高いコンスティテューション山でも730メートルほど。それでも登るにつれて雪の量が増していきます。

コンスティテューション山の頂上には約15メートルの高さの石の塔があります。塔の上からは、天気次第で周辺の島や、カナダやアメリカの町、カスケード山脈などが見渡せます。

この塔は公式なコースには入っていないのですが、登った人にはおまけが付いてきます。

ループごとに一回、計四回塔を登って頂上に置いてあるトランプを四枚すべて集めると「タワー・クラブ」のメンバーになることができます。クラブ・メンバーはカスタムTシャツが貰えます。

登りたくない人は登らなくてよいのですが、今回完走した45人のランナーのうち実に38人がタワー・クラブの会員になりました。

この塔がある山頂に設置されたエイド・ステーションは、私を含むセブンヒルズ・ランニングショップ関係者の有志がボランティアで運営していました。

中には初めからエイドステーションの閉鎖時間までいずっぱりの人も。かなり寒いので、飲んだくれながら自分たちも楽しんでやるのがこちら流。

ランナーが来たら声をかけ様子を見ながら対応します。ループコースではエイドステーションをランナーが何度も通るので、レースが進むに連れてボランティアとの一体感も増していきます。

どのエイドステーションもレース中は当然休まず運営。ボランティアの皆さん、お疲れ様。

妻もランナーのサポートで複数のエイドステーションを行き来していたので、休む暇も寝る間もほとんどナシ。ホントにお疲れ様でした。

二日目を迎えてレースも終盤へ。まだ走り続けるランナーの中には腰を痛めて上半身が完全に傾いた状態で走っている人も。それでも歩みを止める素振りは全くありません。強い。

レースを終えた人やその仲間たちは、ゴール地点で最高の生演奏の中、最高のピザと最高のビールをやりながらランナーを迎えます。宴は最後のランナーがゴールした後も続きました。

2日続いたレースの翌日は表彰式。会場となる町の映画館には「ウェルカム、オーカス島100マイルのランナー達」の文字が。

表彰式では、ジェームスが壇上に完走したランナーをひとりひとり迎え、各々にコメントを送って完走バックルを授与していました。

実はジェームスはこの表彰式で各ランナーに言葉を送るために、レース中寝ずにエイドステーションなどでランナーを迎えて話した内容や気づいたことをメモにとっていました。

この規模のレースならではの、それぞれのランナーを特別に扱う配慮に感心させられます。こんなのを見せられたら、わたしも走りたくなってしまいます。

楽しい週末も終わり、帰りのフェリーへと乗り込みます。

フェリーで座っていると、トレイルランニングの風景を撮り続けるカメラマン、グレン・タチヤマさんが私達の席にやってきたので、ちょっとおしゃべり。

お気に入りのレースは?という話になった時にグレンが挙げたのは、このオーカス島100マイル。その理由を聞かれたグレンの答えに、その席にいた誰もがその通りだと思ったはずです。

「小さいこのレースは、みんなの顔が見えるから。」


H.U.R.T 100 〜 ”オハナ”の精神

1月14日から15日にハワイ・ホノルルで開催されたHURT100を走ってきました。

今年のプランの中でAレース(=最重要レース)の一つと位置付けていたレースでしたが、結果は23時間39分19秒のタイムで総合3位と、最高の形で一年のスタートを切ることができました。

以下、レースのレポートです。

レースの概要

HURT100は、観光客でにぎわうワイキキからたった5キロほどのハワイ・ネイチャーセンターをスタート・ゴールとし、1周20マイルのループを5周する100マイルレースです。

エイドステーションは1周当たり三か所。各エイドステーションの間にだいたい一つの上りがあるので、エイドステーションをスタートしたら一山のぼってくだって、次のエイドステーションへ着いたらまたのぼってくだって…というのを3×5=15回繰り返します。

参加賞のシャツに描かれたコース・プロフィール。

参加賞のシャツに描かれたコース・プロフィール。


ループを5周した後に、ゴールに置かれた看板にキスをして、鐘を鳴らしたら正式にゴールとなります。

熱帯特有の木々が生い茂った山の中、根っこが地面をびっしりと覆うセクションや、突き出た石で足場が安定しないトレイルを走ります。完走率も例年50%を切り、アメリカのレースの中でもかなりテクニカルでタフな部類に入ると思います。

参加者

参加できる人数は130人ほどに制限され、前年の男女上位3位には自動的に翌年への出走権が与えられますが、その他の参加者は抽選で決まります。私は運よく当選し、今回が初出場です。

参加者枠は少ないもののレースのレベルは比較的高く、今年もさまざまなレースで優勝経験があるランナーがちらほら。アメリカのトレランサイトiRunFarが挙げた有力選手は以下の通り。なかなかの猛者ぞろいです。

【男子】

  • Guillaume Calmettes (昨年のAngeles Crest 100 Mileで優勝)
  • Jesse Haynes (昨年のTahoe Rim Trail 100 Mileで優勝)
  • David Goggins (昨年のStrolling Jim 40 Mileで優勝)
  • 井原知一 (2015のUTMFで15位)
  • David Johnston (昨年のSusitna 100 Mileで優勝)
  • Alex Nunn (2015のHURT 100 Mileで2位)
  • Jake Rankinen (2015のHURT 100 Mileで5位)
  • Patrick Stewart (2015のSilverheels 100 Mileで優勝)

【女子】

  • Alyssa Amos (昨年のPeacock Challenge 55 Mileで優勝)
  • Lee Conner (昨年のHURT 100 Mileで4位)
  • Kathleen Cusick (2015年のOld Dominion 100 Mileで優勝)
  • Nikki Kimball (昨年のBighorn 100 Mileで2位)
  • 鈴木潤子 (昨年のHURT 100 Mileで3位)

このレースでは、100マイルを走ったことのない人にも機会を与えるために、一定の優先枠が与えられているとのことです。日本からも初の100マイルにHURT100を選んだ強者がちらほら。

天気

例年この時期は雨期にあたり、激しいぬかるみがランナーを襲うらしいのですが、今年はレース前に雨が少なかったこともありドライなコースコンディションになりました。

ワイキキビーチが晴れていても山側は雲が出来やすい。

ワイキキビーチが晴れていても山側は雲が出来やすい。


一方で、例年よりかなり蒸し暑い天気となりました。ハワイでガイドをしていて、今回レース中応援してくださったまり子さんのブログで知ったのですが、「VOG」という気象現象の影響だそうです。VOGとはVolcano(火山)とFog(霧)を組み合わせた造語で、ハワイ島のキラウエア火山から流れる噴煙が霧と混じって発生するそうです。これがランナーを苦しめることになります。

前日

レース前日のブリーフィングでチーム・ジャパンのみなさんと合流して写真をパシャリ。


日本の方と一緒のレースを走る機会がそれほど多くないので、普段ブログに対する反応を聞くこともあまりないのですが、今回は日本からも多くのランナーが参加していて、「ブログ読んでますよ」と声をかけていただき、結構うれしかったです。

レース当日

今回も妻が私のサポートです。

レースは朝6時にスタート。明るくなる7時頃まではヘッドランプを着けて走ります。

スタート直後から私は先頭付近でレースを進めます。

スタート地点のネイチャー・センターを出ると間もなく根で覆われた傾斜のきつい上りがあり、ラインを探しながら登っていきます。

根っこが一段落しても、段差や石の多いセクションが続き、また細かいターンも多く、スピードに乗ってしばらく気持ちよく走れる箇所はあまりありません。

山を登るといったん舗装路へ。遠くにホノルルのホテル群をちらっと望むことができます。

遠くにワイキキのホテル群が覗く。

遠くにワイキキのホテル群が覗く。


すぐにシングルトラックのトレイルに戻ってしばらく進むと、HURT100名物とも言えるパウオア・フラッツと呼ばれる根っこ地獄が出現します。できるだけ走りやすいラインを進みますが、それでも根っこを避けることはできません。

Pauoa Flats

Pauoa Flats


根っこ地獄を終えると、スイッチバックを下り、マノア滝のすぐ脇を通ってパラダイス・パークのエイドステーションへと向かいます。

マノア滝

マノア滝


こちらのエイドステーションは例年海賊をモチーフにした飾りつけとコスチュームでランナーを楽しく迎えてくれます。食べ物も和洋さまざま充実しています。私は食べなかったのですが、ピザ釜から焼きたてピザも供されたようです。

海賊がお出迎え。

海賊がお出迎え。


私はエイドの滞在時間をできるだけ少なくする作戦。フラスクの水を補給したらすぐに先へと進みました。

パラダイス・パークから次のエイドステーションへ向けてはしばらく今来た道を戻るので、後続との距離を確認することができます。

マノア滝をとおり、スイッチバックを上り、パウオア・フラッツの根っこ地獄を進み…と、先ほど通った道を逆に戻った後、こんどは道をそれてヌウアヌのエイドステーションへと向かいます。

このあたりはすこし走れるセクションで眺望もよく、ちょっと一息ついたあとヌウアヌへと下っていきます。

やや難易度が低いトレイルでちょっと一息。

やや難易度が低いトレイルでちょっと一息。


途中かなり切り立った崖もあり、要・落下注意です。下りを終えると、ヌウアヌのエイドステーションまではもうすぐ。木々に覆われたこの場所は例年だと水捌けが悪くぬかるみが激しいそうですが、今年はそうでもありません。

思ったほど泥濘んでいなかったNu'uanu。

思ったほど泥濘んでいなかったNu’uanu。


ヌウアヌのエイドステーションでも水とゲータレードを補給してもらったらすぐ出発。また今来た道を戻ります。

三たびパウオア・フラッツまで戻った後、スタート地点のネイチャー・センターへと向かいます。山頂からの下りは比較的走りやすく、気持ちよく走れる数少ないセクションのひとつです。

ネイチャーセンターの直前にはガレた下りがあり、注意を怠ると転倒しやすいので慎重に下ります。

1周目をアレックス・ヌーンに続く2番手で終えて2周目へ。

先頭を走っていたアレックス・ヌーンは2周目の途中で急に脱落。暑い中オーバーペースで走ったせいか、お腹を壊したとのこと。

それと入れ違いで先頭に立ったのがマイケル・アーンスタイン。彼はフルータリアン、つまり果物しか食べないことで有名です。(ちなみに妻の報告によるとエイドステーションで果物ではなくジェルしか食べてなかったとのことですが。)

Paradise Parkへ向かう。

Paradise Parkへ向かう。


私は終始二番手。パラダイス・パークやヌウアヌのエイドステーションの折り返しですれ違うのですが、先頭との距離は確実に離れていっています。マイケルの足色はよさそうなので追走はあきらめ、自分のペースで進むことにします。

3周目までは順調に2番手をキープしたまま終えましたが、4周目に入ると途端に下りの脚がなくなり、下れなくなりました。前半飛ばしすぎたつもりはなかったのですが…。踏ん張りがきかなくなり、転んだ数は数え切れず。顔面から地面に突っ込むことも2度、3度。まだ10分以上の差があるとはいえ、後続との距離も少しずつ縮まってきています。

また途中、ふわっと平衡感覚を失いかけます。昼間のほうが気温は暑かったはずなのに、夜になって熱中症の症状です。体の熱が逃げなくなっているのでしょうか。速度を落とし、頭から水やスポーツドリンクをかぶって体を冷やします。

前半突っ込みすぎて、後半失速というパターン?後続に抜かれるのも時間の問題?

そういう展開になりそうだとは思いつつも、ひとまずできるだけの抵抗を試みることにしました。下りを下れない分、上りを走ってカバー。過去のレースでも、走れる上りでは優位に立てるケースが多いので、とにかくそこで時間を稼ぐ作戦です。

Nu'uanuのエイドステーションのすぐ近くの沢渡り。

Nu’uanuのエイドステーションのすぐ近くの沢渡り。


それでも4周目の最後にギヨーム・カルメットに追いつかれてしました。私に追いついたギヨームは私を励ましてくれます。曰く、「お前の走りは凄い。俺のヒーローだ。次のエイドステーションに着いたらしっかり食って、絶対に後ろに抜かれるんじゃないぞ。」

ギヨームに抜かれた私は3位でネイチャーセンターに到着。アドバイス通りちゃんと補給して最後の5周目へ。以前Orcas Island 100でボランティアをした時に出会い、今回途中でリタイアしてしまったブレンダンがエイドステーションで待っていてくれて、氷を首に当ててくれたり、汚れたメガネを拭いてくれたり、状況を聞いてくれたりといろいろとサポートしてくれます。

妻によると4位とは30分ほどの差とのこと。簡単に抜かれる時間差ではないものの、じわじわと後ろから詰め寄られ、いつ後ろの選手の足音が聞こえてくるか気が気ではありませんでした。来年の出場権が与えられるかどうかのボーダーライン3位と4位ではえらい違いだぞ、後ろだってきっと疲れてる、と自分に言い聞かせて足を回し続けました。

最後のエイドステーションを過ぎて後続との距離を確認すると、思ったほどは距離を詰められていない模様。気は抜けませんが、大きく失速しなければ逃げ切れそう。最後の上りは、走れるところはできる限り走って進みます。ここまで来ても案外登れるもの。下りの足と上りの足は別物ですね。

ネイチャーセンターへ向かう最後のガレた下りを慎重に下り、5周目完遂。無事3位で逃げ切り。疲れと安堵のゴールです。

ゴールしたあと、座ってゴールするランナーを迎えて小一時間。さぁちょっと歩こうとすると、酷いマメでまともに歩けません。これまでにないほどのダメージです。足の裏を地面につけるだけで火が吹くほど足が痛く、翌朝はトイレに這っていったほど。HUR100がいかにタフなレースなのかを身をもって思い知らされました。

足裏のマメが痛すぎて立つこともできない。

足裏のマメが痛すぎて立つこともできない。


レースの完走率は43%。トレイルコンディションの良さからレーコードタイムが出るか、完走率が上がるかとも思われましたが、暑さもあって、やはり今年もきつく厳しいレースでした。

レースの翌日

レースの翌日にレース主催者、ランナー、ボランティア、クルーが参加して行われたバンケット(宴会)。おいしい食事と一緒に、冗談を交えながら、楽しく宴会は進みます。

初めて100マイルを完走した中で一位の男女の表彰や、総合上位入賞者の表彰、初のHURT100完走者の表彰や、主催者が選ぶ特別賞など様々な表彰がありました。

100マイル完走したみなさん。

100マイル完走したみなさん。


惜しくも100マイルは完走できなかったものの100キロを走り切った人も「ファン・ラン」の完走をたたえられます。完走できなかった人も、チャレンジしたことを讃えられます。

ファン・ラン完走のみなさん。

ファン・ラン完走のみなさん。


さらには、ボランティアにも、クルーにも、レースに関わったすべての人に拍手が送られます。HURT100のコミュニティが、イベントに関わる全ての人によって成り立っていることを感じさせられます。

ハワイ語に「オハナ」(ʻohana)という言葉があります。ウィキペディアによると「広義の『家族』に相当する概念。ただし、オハナは、血縁関係がない者も含んだ意味での『家族』を意味するという点や、世代を超えて永々と続くという捉え方が強調される点に特徴があり、英語の『family』などと単純に同一視すべきではない概念であるとされる。」とあります。まさにHURT100という場をよく表現する言葉です。

運良く来年も参加できる資格を頂きました。また戻ってきたいと思います。


アメリカにはいくつ100マイルレースがある?

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

おそらく個人がボランティアで作成している「RealEndurance.com」というサイトに、アメリカのウルトラ・ランニングに関する情報がデータベース化されています。

2016年のサマリーを見ると、アメリカのトレイルランニングの現在の規模感がわかって、なかなか興味深い。


・アメリカには2016年現在、167もの100マイルレースがある。
・ここ数年レース数が急増してきたが、今年は昨年比で横ばい。
・ずっと右肩上がりできた完走者数も、今年は昨年比で微減。

急速な成長を遂げてきたアメリカのウルトラ・ランニング市場も、すこし落ち着きつつあるのでしょうかね。


準備がすべて〜2017年レース・スケジュール

先週サンフランシスコを走った12月第一週の週末は、ウェスタンステイツハードロック100の抽選が行われた週でもありました。全米の100マイラーは、この時期、みんな抽選結果に一喜一憂。

私も両レースの抽選に参加しましたが、あえなく落選。ということで来年のスケジュールがだいたい確定しました。中期目標、2017年の目標と合わせて、公開したいと思います。同じレースを走る方、現地でお会いするのを楽しみにしています。

中期ゴール

今年45歳を迎えました。幸い今のところ、走力については加齢による限界を感じてはいませんが、それでも体重が減りにくくなったり、疲労回復が若干遅くなったりはしているように思います。

年齢に最終的に勝利した人間は誰もいません。私もそう遠くない将来、結果を上げることはもちろん、維持していくことも簡単ではなくなってくると思いますが、なんとかパフォーマンスを劇的に下げないことで、中期的に達成したい目標があります。

それは「UTMBで50歳代でトップ3に入ること」です。今年の私のタイム27時間39分12秒なのに対して、ここ3年の50歳代の3位のタイムは以下のとおり。

  • 2016年…31時間45分34秒
  • 2015年…28時間11分39秒
  • 2014年…28時間20分31秒

そう簡単ではありませんが、実現可能性はそれなりにあるかなと思ってます。

2017年のゴール

2016年の目標は「100マイルレースを昨年以上に上手く走ること」でしたが、結果はザイオン100で優勝、UTMBでも自己ベストで総合40位と、望外の結果を残すことができました。

今年も、中期ゴールへむけて、引き続き「100マイルレースを安定して上手く走ること」を目標に据えたいと思います。

マイ・ルール

私がスケジュールを組むときは、走りたいレースをとりあえず片っ端からエントリー…ということはしません。

まず、一年のうち注力したいレースを1つないし2つ決めたうえで、疲労を残さないように以下のマイルールに従って計画を立てます。

  • レースはA〜Cの三段階に優先順位付け。
    • A…目標レース。年に2つまで。
    • B…Aレースを犠牲にしない範囲で結果を求めるレース。年に2〜3レースほど。
    • C…調整目的のレース。結果は気にせず怪我しないことが第一。
  • Aレース同士は3ヶ月以上離す。(基礎作りからピークに持っていくために最低3ヶ月必要なため。)
  • 100マイルレースは一年に2本が理想。3本が上限。
  • 100マイルレース同士の間隔は最低でも2ヶ月はあける。
  • 50キロ〜50マイルレース同士の間隔は1ヶ月程度はあける。
  • 年に一度は、2週間以上のオフをとる。
  • 100マイルの後は、必ず最低一週間のオフをとる。

レース・スケジュール

ということで、以下が私の2017年のレース・スケジュールです。

1.Hurt 100(100マイル1月14日/重要度A

【レース概要】
ハワイ・オアフ島ホノルル近くで行われる100マイルレース。一周20マイルのコースを5周します。場所柄、日本からの参加が多いですが、アメリカ西海岸のトレイルランナーにも人気のレースです。

【個人的な位置づけ】
私にとっては初めてのHurt 100。というか、これまでハワイには飛行機の乗り継ぎで一泊したことがあるだけで、ほぼ初めてのハワイです。
例年は12月にシーズンオフの休養、1月からを練習を開始していましたが、今年は変則的に8月のUTMB後に休養したあと、このレースへ向けて準備してきました。5位以内が目標です。高温多湿のレースはあまり経験がないですが、残り一ヶ月、良い準備をしたいとおもいます。

2.Orcas Island(50キロ/2月4日/重要度C

【レース概要】
オーカス島はシアトル近郊からフェリーで1時間ほどの週末旅行にもってこいの場所。地元トレイルランニングコミュニティが集まる年始行事のような大会です。

【個人的な位置づけ】
昨年優勝したので今年も、といきたいところでしたが、このレースにエントリーした後にHurt 100に当選したため、スケジュール的に厳しくなってしまいました。常識的にも経験的にも100マイルレースから3週間後に良い走りをするのは難しそうです。
年始行事としてみんなと挨拶して、怪我せずに完走すれば十分。疲労の回復具合によってはキャンセルすることも考えます。

3.Chuckanut(50キロ3月18日/重要度B

【レース概要】
シアトルから車で北に1時間ほどのベリンガム近郊で行われます。今年で25回めを迎えるクラシックレースで、クリッシー・モール(Krissy Moehl)がレース・ディレクター。毎年有力選手が参加し、ハイレベルなスピードレースになります。
今年は世界選手権のアメリカ代表・カナダ代表選考を兼ねているため、いつも以上にハイレベルな闘いになりそうです。現時点で既に先のThe North Face Endurance Challenge Championship で2位のヘイデン・ホークス(Hayden Hawks)と3位のデビッド・レイニー(David Laney)がエントリー済み。

【個人的な位置づけ】
私にとっては6年連続6回目の出場。年始の走力チェック的な意味合いもあります。おそらく例年以上のレベルの戦いになるので順位は下がりそう。ほぼパーフェクトの出来だった2016年ほどの走りをするのはそう簡単ではなさそうですが、マスターでトップ3を目指したいと思います。

4.[未確定]Sun Mountain(100キロ/5月20日/重要度C

【レース概要】
シアトルから見てノース・カスケード山脈の裏側で行われる、人気のレインシャドウ・ランニングが主催するレース。雨季も終わり、花が咲く丘を走ります。大きな山は少なく、走れるコースです。

【個人的な位置づけ】
夏の目標レースに向けたトレーニング的な位置づけ。順位やタイムはあまり気にせず、怪我に気をつけつつしっかり走り切るのが目標です。

5.Andorra Ronda Dels Cims(170キロ7月6日/重要度A

【レース概要】
フランスとスペインに挟まれた小国アンドラで行われる超級山岳レース。累積標高差は、距離が近いUTMBやハードロック100(約10000メートル)をかるく凌ぐ13500メートル、優勝タイムも優に30時間超えと、かなりな難易度のレースです。

【個人的な位置づけ】
今年は一度UTMBをお休みして、アンドラを楽しんでみることにしました。どちらかというと走れるコースが得意な私にとって、おそらく私向きとはいえないレースです。順位を気にしすぎず、未体験の難易度で完走を果たして、なにか新しい発見があればいいなと思います。

6.[未確定]Bear 100(100マイル/9月23日/重要度B

【レース概要】
ユタ州で行われる100マイルレースです。ハードロック100のエントリー資格を得るためのレースの一つに選ばれており、比較的難易度が高いレースです。ロッキー山脈で行われる4つの100マイルレースを一年で完走するロッキー・マウンテン・スラムに含まれています。

【個人的な位置づけ】
このレースについてはそれほどよく知らないのですが、走ったことのある人から聞く限り評判の良いレース。アンドラの疲労が抜けていれば、上位を狙って走ります。

7.[未確定]The North Face Endurance Challenge Championship(50マイル/12月2日/重要度C

【レース概要】
毎年12月第一週に行われる超高速50マイルレースは事実上の全米選手権です。サンフランシスコからゴールデンゲートブリッジを渡ってすぐのところで行われます。

【個人的な位置づけ】
年末の走力チェックという位置づけのレースです。その時点での体調次第ですが、今年と同じくらいのパフォーマンスができればと考えています。エリートランナーの雰囲気を感じながら、レースの雰囲気を楽しみたいです。

レースの結果は良い計画にもとづいて、どれだけしっかりと準備できるかにかかってるので、調子を見ながら柔軟にうまく調整していきたいと思います。