TDG 完走に足りなかったもの②

こんにちは。
ざれた急斜のくだりがこわい、さいこです。

さて、前回お話しした去年の失敗を踏まえ、今年は同じことを繰り返さないよう、なるべく標高の高い所へ練習に行き、わたしの弱点と対策を再確認しながら、準備をいたしました。

目標は、
「睡眠時間を確保しながら、150時間を目一杯使って完走する!」
です。

そのために立てたタイムスケジュールとその結果がこちらです。

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睡眠時間は、トータル21時間30分でした。1日4時間くらいです。20時間も寝たのか!という感じですし、最終セクションで呑気に仮眠を取っている場合じゃないように見えます。

でも、わたしは普段1日8時間は眠る自称ロングスリーパー。
毎日50km4000D+動き続けながら、1日4時間睡眠は、地獄の沙汰です。

スライド09

今年の優勝者、スペインのIker選手は70時間4分、3日目の朝8時にゴールしています。多分一睡もしていません。

これを補うために、眠りの質を高める必要がありました。
そこで用意したのが、これらの快眠グッズです。

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最初のライフベースは去年と同じ、外の仮設テントでした。
おまけに初日は雨でしたから、着ていたものは濡れて、泥だらけでした。
でも、これらのおかげで今年はぐっすり眠ることができました。

シュラフはデポバックの中でかさばりますが、それでも持って行って大正解。
濡れた服の上に透湿性の高いレインギアを着用し、そのままシュラフへ入れば、みるみる間に着ているものは乾いていきました。
シュラフが暑い場合は、インナーシーツにシュラフカバーをすれば快適に。
ライフベースでは、寒さに耐えるためにエマージェンシーシートを被っている人が多いのですが、結露で濡れる上、再利用も困難です。
シュラフカバーは結露もありませんし、片付けも簡単、何度も使えるのでとても便利です。

というわけで、快眠を手に入れたわたしは、起床後もしっかりごはんを食べることができ、毎回元気いっぱいにライフベースを出発することができました。

快眠グッズの他に、わたしを助けたのは、こちらの赤いデポバッグ。

じろさんがUSで買ってきてくれたBAREⅡ

じろさんがUSで買ってきてくれたBAREⅡ
右下はレースで支給される50Lのデポバック

中身を見やすく小分けできて、見た目よりも、ものすごくたくさん物が入ります。
大会側から支給されるデポバッグの中にもスポッと入り、この他にシュラフや着替え、替えのストックなどを入れてもまだ大丈夫。
おかげで、起床後の荷物の整理に焦ることもなく、気持ちに余裕を持つことができました。

行動中の装備をご紹介しましょう。

タイツは日焼け防止とニューハレ剥がれ防止に◎

タイツは日焼け防止とニューハレ剥がれ防止に◎

これらは軽量化もやや意識する選手の、標準的な装備だと思います。
寒暖差に弱いわたしとしては、これらをいつ、どのようにレイヤリングしていくかが重要でした。
また、ライトの準備のタイミングなども含め、とにかく先手先手の準備を心掛けました。

寒くなってからでは手遅れ、寒い場所で立ち止まることを回避する、と、常に意識していたので、去年のような失敗に繋がることはありませんでした。

それでも、胃腸が止まってしまうことが何度もありましたが、すりおろしリンゴが主成分の、果糖のゼリーをちびちび飲んで、腹膜をマッサージすることで、胃腸の動きを回復させ続けました。

このような対策は、去年の失敗からだけでなく、日本でのアルプス縦走などの実体験から多く得ることができました。
やはり、標高の高い山を多く経験して、自分の弱点を見つけて、それに対する対策をするというのが、トルデジアンのようなロングレースに役立つと実感しました。

あとは、焦りをいかに捨てて、自分のペースを楽しむかでした。

今年は自分のことではなく、家族、友人、選手、スタッフなど、とにかく「人」を思いながら進みました。
まあ、結構悪態もつきましたが、それでも、人を思って進んでいると、楽しいことばかり。

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ライフベースでは、わたしより速い選手にも、何度も再会できました。そして、色々なアドバイスをもらったり、時には一緒に行動してもらったりと、本当にお世話になりました。

100マイル地点のコーダ小屋へは、トルデジアン3年連続完走のツワモノ、つるちゃんに引っ張ってもらいました。
遠くに見える小屋の灯りを目指し、強風吹き荒ぶマイナス5℃の尾根を進みます。去年のわたしだったら、確実に具合が悪くなっていたでしょう。

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でも、今年は違いました。
コーダ小屋に到着したとき、正直、これは完走できる!という、確信に近いものを感じていました。

とはいえ、何が起きるかわからないのが、ロングレース…。

次回は、わたしに起こった予期せぬ出来事についてお話しします。
お楽しみに〜。


TDG 完走に足りなかったもの①

こんにちは、くだりだけでなく、トレッドミルもこわい、さいこです。

さて、前回予告した、トルデジアンのご報告です。

わたしは、去年は約100km、今年は約300kmでリタイヤでした。
実力不足と言ってしまうとそれまでなのですが…。

今回は、わたしの走力レベルがどのくらいか、そして、去年なぜ失敗してしまったのかをお話しします。

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わたしの走力は、マイナーなショートレースで何度か表彰台に上ったことがありますが、ロングだと、信越、おんたけ、UTMFなどを完走しているくらいです。

そして、登りは好きですが、ブログタイトル通り、くだりがとても苦手です。
登山は夏山のみ。南アルプス、北アルプス、富士登山、いずれもトレランスタイルのスピードハイクです。本格的なクライミング経験はありません。
海外レースは2010年CCCのみで、100マイルレースはUTMFのみです。
トルデジアンにはまだ早い?と思う方もいそうですね。

トルデジアンは、リタイアしたわたしでも、とてもとても楽しい大会です。
エイドのごはんは、素晴らしいイタリア料理の数々。チーズに生ハム、ターキーやローストビーフ、ビールにワイン、挙げたらキリがありません。

ライフベースは簡易ベッドがずらりと並び、まるで野戦病院のよう。今年は、カルフールとスーパーUが協賛となり、素晴らしい食事の数々が並んでいました♪

ライフベースは簡易ベッドがずらりと並び、まるで野戦病院のよう。今年はPellissiesというスーパーが協賛となったため、素晴らしい食事の数々が並んでいました♪

そして、人の暖かさ、おもてなしの心、助け合う絆の深さ、そういった、人の心との触れ合いは、このレースならではと言えます。

とはいえ、距離は336km、累積標高は24000mです。
わたしにとっては、やはりものすごく辛い大会でもありました。

去年、わたしが最初のライフベースに着くと、建物の中のベッドは全て埋まっていました。
外の仮設テントへ案内され、まあ、仕方がないと毛布に包まってベッドに横になりました。
すると、突然、ぶぅ〜〜〜ん!という音をたて、ストーブが壊れてしまったのです。
床はアスファルト、隙間風が吹き込みます。あまりの寒さに眠ることなどできません。周りの選手の荷造りの音や話し声も気になり、3時間ほどの滞在時間、一睡もすることができませんでした。
寒さで食欲も湧きません。
ライフベースでのせっかくの食事をしっかり取ることもなく、わたしは出発することに決めました。

そのあと、睡魔との闘いがはじまりました。
眠気は大幅なペースダウンに繋がります。一緒にライフベースを出た選手たちがあっという間に見えなくなりました。
焦りはどんどん増していき、エイドでの休憩や補給も疎かになりました。

トルデジアンでは、ビーバーク、野宿などコース上で眠ることは禁止されています。もし、そういった選手を見かけたら、大会側に報告をする義務があります。
でも、わたしは睡魔に勝てず、エマージェンシーシートを被って山肌で寝てしまい、すぐに通報されてしまいました。

また、焦るあまり、防寒着を着ること怠り、峠で低体温になりかけました。
峠のスタッフが毛布を広げて、わたしに向かって走ってきたことを今でもハッキリ覚えています。
自分では、越えてしまえばなんとかなると思っていましたが、スタッフから見て、既におかしい状態だったのでしょう。

峠の救護室は、レース前にヘリで運ばれます。わたしはこの透明な箱の中に捕獲され、毛布でぐるぐる巻きにされてしまいました。

峠の救護室は、レース前にヘリで運ばれます。わたしはこの透明な箱の中に捕獲され、毛布でぐるぐる巻きにされてしまいました。

わたしはそもそも寒暖差にすごく弱く、冷たい空気を吸い込み続けると、胃腸が止まってしまいます。
このときも、十分に補給もできていないうえに激しく冷え、胃腸の動きが止まり、結果激しい嘔吐につながってしまいました。

泣きながら嘔吐していると、わたしと同じペースで進んでいたイギリス人の選手が、一緒に次のエイドまで連れて行ってくれると言ってくれました。

ものすごい時間をかけて、彼はわたしと一緒に山小屋まで歩いてくれました。自分のフリースをわたしに着せてくれて、時間は気にしないでいいからと、わたしを助けてくれました。

そして、やっとの思いで到着した山小屋では、リタイア宣告が待っているのみでした。

「翌朝ヘリを呼ぶから、それに乗って山を下りるように。」
そう言われましたが、わたしはごねにごねました。
絶対に次のライフベースのコーニュまで自分の脚で行く!と喚き続けました。

山小屋では、行かせてやれ!いやリタイアだ!とスタッフが真っ二つに分かれて言い合いが始まりました。
その真ん中でわたしはしくしく泣くばかり。

結局、自分の脚で行ってもいい、でも、コーニュでリタイア決定だから、スタッフの指示に従うようにと言われました。
それでも、コーニュまで行けば、その先も行かせてくれるかもと思っていましたが、それは叶わぬ夢となってしまいました。

と、言う訳で、そんな体験をしたわたしが、今年はどんな準備をして行ったのか、次回はそのあたりをお話ししたいと思います。

お楽しみに〜。


愛しのトルデジアン

ごぶさたしております。
相変わらず、くだりがこわい、さいこです。

本当は前回予告していた、日本のビバッコ(避難小屋)について、お話ししようと思ってましたが、間が空いてしまったので、予定を変更します!

さて、もう、3ヶ月も前になるのですが、今年もトルデジアンに参戦してまいりました。

トルデジアン(Tor des geants)について、ご説明しますと、

トルデジアンとは、「巨人の旅」「巨人のレース」などと訳されます。

それは、ヨーロッパアルプス4大名峰の「巨人たち」

モンテビアンコ(モンブラン)4807m
グランパラディーゾ 4061m
モンテローザ 4634m
モンテチェルビーノ(マッターホルン)4478m

に、出会う旅の意味を持っています。

イタリア北西部のヴァッレダオスタ自治州。このアオスタ渓谷を150時間(6日間+6時間)以内に一周する、世界最大級のトレイルランニングレースです。

コースは、アオスタ渓谷のメジャートレッキングルートである、アルタヴィア1、アルタヴィア2をつなぐ全長約330km、累積標高24000m

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(アルタヴィアとは、イタリア語で 「天空の向こう」の意)

コースは7セクションに分かれていて、関門は全9カ所。 各セクションの終わりには、ベッドやシャワーを備えた、ライフベースと呼ばれる大エイドがあり、その他に山小屋などを利用したエイドが、43カ所用意されています。

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さて、わたしの結果は?

残念ながら、今年もリタイアです。

なぜそんなことになってしまったのでしょうか…。

話しは前後いたしますが、先月はトルデジアンナイトと称したパーティーが開かれ、つい先日も報告会が開催されました。

報告会では、わたくしの発表の時間もありました。
お題目は「完走に足りなかったもの」でした。

ということで、次回から、この発表の内容に、報告会ではお話しできなかったことも少々プラスしながら、何回かに分けてお話ししていきたいと思います。

お楽しみに〜。