くだりがこわくない。

こんにちは。
最近どんどん増えていく体脂肪率を見るのがこわい、さいこです。

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さて、今回はこの1年のお話しです。

この1年は、本当に苦しかった。

昨年帰国後、多くの方にあたたかいお言葉を頂戴しました。

「参加するだけでもすごいよ。」
「怪我をしたのに300kmも行くなんてすごいよ。」
「関門嘘つかれたんだから仕方ないよ。」
「去年のみんなのゴール地点まで行ったんだから、完走したのと一緒だよ。」
「やめる勇気も大切だよ。」

わたしも、きっと誰かが同じ状況になったら、同じように声をかけたと思います。

でも、でも、本人は諦めた後悔を拭い去ることはできないんです。
この後悔を正当化したら、ずっと諦め続ける人になってしまう。

帰国してしばらくは、もがいてももがいても、怪我の状態も良くならず、尾を引きました。

Monte Cervino -photo by Sergio Enrico

Monte Cervino -photo by Sergio Enrico

そこで、少し考え方を変えることにしました。

得意分野はもう頭打ち。
これからは苦手分野を克服しよう。

自分で何とかしなければと思うのはやめて、すがれるものは、何でもすがろう。

アルトラのLTRプログラムでラン二ングのトレーニングメニューを組んでもらったり、OSJのチーム100マイルに参加したり、とにかく人に頼ることにしたのです。

中でも、一際わたしに多大な影響を与えてくださったのが、じろーさんも以前からお世話になっているトレーナーの原澤達也先生。

原澤先生には、週一回のパーソナルトレーニングとコンディショニングをお願いしました。

尾てい骨の怪我の影響もあり、カーフレイズをするだけで尿意をもよおし、くしゃみしただけで漏らしてしまいそうになるほど、骨盤底筋群の筋力はガタ落ちになっていました。
それはさておいても、そもそも下半身の筋力が弱過ぎるわたし…。

「2014年6月のUTMF38時間以内完走と9月のTDG制限時間内完走。」

と、目標を伝えたところ、いただいたお返事は、

「今のままでは、到底間に合わない。」

がが〜ん(涙)

そりゃ2年連続で完走できないわけです(笑)

元々の側弯からきている身体の捻れの改善、体幹の強化と下半身の筋力アップ、骨盤底筋群の強化などなど、トレーニングスタートです。

ところが、コンディショニングしかしてくれないんです。
いつまで経っても筋トレさせてくれません。
憧れのTRXもお預け。
加圧なんてとんでもない。

日頃ストレッチを怠っていたこともあり、身体はガチガチ。
そのまま正しくないフォームで走り続けると更にガチガチに、という悪循環。

ですから、大嫌いなストレッチも、我慢してなるべくやるように心がけました。

いよいよ筋トレができるようになってからも、地味〜で、見た目からはそのキツさが全くわからない、辛〜い辛〜い動きの連続。

何度も、「できない!」と言ってやめようとしましたが、「できないんじゃない!やるんです!」と、動きを止めるわたしに檄をとばしてくださいます。

普段自分でやっていた筋トレは、全く正しくないフォームで、筋トレの意味をなしていなかったことがわかり、衝撃を受けました。

「家でもやってきてください。」
そう言われたけど、教えてくださるトレーニングは地味過ぎるし辛過ぎるし、正直死ぬほどやりたくありませんでした。

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でも、そうやって続けているうちに、身体が反応してきました。

そして、「あれ?できた!」「わかった!」と、どんどん反応が早くなってきました。

そうなってくると、「わたし、実はポテンシャルあるんじゃない?」と思えてきて、なんだか楽しくなってきたのです。

この頃から、加圧ベルトを巻いたり、砂袋を担いでジャンプスクワットとか、派手で見た目にも辛さがよくわかるトレーニングもやってくれるようになりました(笑)

UTMFの前あたりは、ジャンプスクワットとジャックナイフを交互にタバタ式トレーニングなんていうのも。

それでも、どうしてもくだりのこわさは克服できない日が続きました。
身体が脚に乗るという感覚が、なかなか定着しないのです。

山から帰ってくるたびに、今回はこんな風に怖かったと説明し、そういうときはどうすればいいのかと質問責めに。

岩場での手のつき方とか、ストックのつき方とか、「何を今さらそんなこと言ってるんだ?」というレベルのことまで、事細かく教えてもらいました。

そして、とうとうトルデジアンまであと1ヶ月くらいの頃、突然、「あれ?こわくない!!!」という瞬間がやってきたのです。

本当に嬉しかった。

早速チーム100マイルKさま練のナイトランに参加。
暗くても、サーフェイスが濡れていても、ツルツルの赤土も、根っこだらけの急斜も、どこもかしこもこわくない!

Kさまには、「え?今頃?(笑)」とあたたかいお言葉を頂きましたが(笑)

さて、TDG本番は…。

去年、身体を横にして一歩一歩下りたガレ場や、こわ過ぎてお尻で滑り下りたザレザレの急斜が、今年も待っていました。

そして、今年は自分の脚を信じることができたのです!
正直、こわさが完全になくなったわけではありませんが、こわいところは激減しました!

photo by Sergio Enrico

photo by Sergio Enrico

なんて、喜び勇んで帰ってきたのも束の間、あまりにもTDGのダメージが大きくて、今はまたあの地味〜なトレーニングに逆戻りしています(笑)


トルデジアンでハネムーン

こんにちは。
ロードで転んで平地がこわくなったさいこです。

早いもので、TDGから帰国して、あっという間に一ヶ月が過ぎてしまいました。

今年のTDGも予期せぬトラブルが発生したのですが、そんなエピソードも含め、こちらで追い追いご報告していきたいと思います。

photo by Sergio Enrico

photo by Sergio Enrico

思い返せば2年前、メドックマラソンに向かう電車に乗り遅れてしまったじろーさんが、急遽予定を変更して、TDG参戦のみんなの応援に駆けつけてくれました。

そんなじろーさんと、昨年結婚。
まさか、今年のTDGに一緒に参加するなんて、思ってもみませんでした。

当初、じろーさんは100時間切りを目標にするとのことだったので、道中は別々に進み、ゴール後わたしのサポートに戻ってきてもらうというつもりでおりました。

ところが、スタート前にわたしは風邪を引きフラフラ、じろーさんもなかなか調子が上がらず100時間切りは難しいかもという事態に。

運良くドンナスのライフベースで会うことができたので、そこから一緒に進んでくれることになりました。

正直、身内同士でこの長い時間をうまく乗り越えられるのか、少々不安ではありました。
というのも、以前2回ほどレースでペーサー的に一緒に走ってもらったのですが、止まると怒られるし、歩くと怒られるし、エイドでモタモタしてると怒られるしで、もう二度とペーサーはお願いしないと約束していたのです。

六甲CBのゴール。じろーさん、ご立腹です(笑)

六甲CBのゴール。じろーさん、ご立腹です(笑)

風邪の影響もあり、第2セクションからお腹を壊してしまったわたし。道中何度も茂みや岩陰に隠れなければなりませんでした。
じろーさんは、その見張りから後始末など、すべて一手に引き受けてくれました。

エイドに着くと、すぐにわたしの食べものを運んできてくれましたし、お腹に優しいバナナなどをジップロックに詰めて行動食として用意してくれました。

寒くなると、わたしのザックから防寒着を出して着せてくれたり。
どんどんペースの落ちていくわたしを叱ることなく、常に一緒に走ってくれました。

そんな優しいじろーさんへ1番感謝していることがあります。

それは、「ビンタ」です(笑)

暗くなるとすぐに睡魔に襲われるわたしに、

「目ぇつぶって!行くよっ!!!」

『バシッ!!!バシーッ!!!』

っと何度も何度もビンタをお見舞いしてくれたのです。

(じろーさんの所属しているランニングチームでは、どうやらお約束らしいです。)

この愛のビンタのおかげもあり、無事2人でゴールゲートをくぐることができました。

photo by Junichi Seki

photo by Junichi Seki

なんだか凄い新婚旅行になってしまいましたが、世界でもなかなかこんな新婚旅行できる人はいないかなと。

そして、過酷な330kmを2人で乗り越えられたのですから、今後の人生の荒波も2人で乗り越えられそうです。

多分(笑)

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TDG 完走に足りなかったもの④〜最終回〜

こんにちは。
実は、くだりがあまりこわくなくなってきた(驚)、さいこです。

さて、希望を胸にオヤセを出発したわたし、実はスィーパー集団にずっと後をつけられていました。
わたしの通過した後のコースマーカーが、どんどん回収されていきます。
そう、わたしは最終ランナーなのです。

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あまりのプレッシャーに最後の下りをマジ走り。そして、またしても転倒…。スィーパーの陽気な話し声が、わたしをバカにしているように聞こえてなりません(そんな訳ないのに…)。

痛いけど、走らないと間に合わない。無我夢中で進み、這々の体で最終ライフベースのオロモントに飛び込みました。

するとそこでは、途中でレースをやめざるを得なかった日本人選手のみんなが待っていてくれたのです。

ワーワーと泣き出してしまったわたしに、テーピングをしてくれたり、荷物の整理をしてくれたり、ごはんを運んできてくれたり。
本当にありがたかったです。

一足先に到着していた松田さんともお互いを讃えあい、いよいよ最終ステージへと出発!

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日が暮れる頃、わたしたちはそれぞれのペースで進もうと、行動を別にすることにしました。

暗くなると、途端に睡魔が襲ってきました。まっすぐ進むことができません。
あっちにふらふら、こっちにふらふら、なかなか高度が上がりません。

そして振り返ると、下から数名のヘッドライトが…。

そうです。スィーパーと最終ランナーたちです。
神様、お願いです、この先進ませてください!叫びながら進んだのですが、とうとうスィーパー集団に追いつかれてしまいました。

もはやこれまでか。
絶望的な気持ちになったところで、彼らはわたしに言いました。

「僕たちはスィーパーだけど、今から君のフィニッシュペーサーになるよ。さあ、一緒に行こう!」

もう、彼らのペースについていけば、最終関門は越えられます!

わたしは彼らに、関門がサンレミになったと聞いてきたと伝えました。
彼らは、え?聞いてないけど?そうなの?と半信半疑。
どちらにしても間に合うよ、と彼らはあまりそこの点は気にしていないようでした。

道中どうしても睡魔に勝てず、彼らにお願いして仮眠を2回取りました。
彼らは時間を気にしていましたが、わたしの計算では関門の2時間前には到着するはずでした。

彼らと進んだ夜は、本当に楽しかった。たくさん話し、歌を唄い、彼らの持っていたアプリコットやナッツをたくさんいただいて、温かい紅茶をいれてもらったり…。

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夢のような時間を過ごし、とうとうサンレミに到着。
でも、関門はやっぱりこの先のメルドゥだったのです。

まだ関門まで2時間程ありました。
絶対に間に合わない、ここで終了だと宣告されましたが、絶対嫌だ!ゴールまで行く!と、わたしは泣きながら走り出しました。

新しいスィーパーもついてくれました、走って走って走りました。
ところが、日が昇り、後ろから強烈な朝日に照らされたとき、ふっと力が入らなくなってしまったのです。

スィーパーの彼は、メルドゥでみんなが待っているよ、何時間かかっても構わないから一緒にクールマイヨールまで行こう!と言ってくれました。

それなのに、もうわたしの実力はこれまでなんだ、これ以上人に頼るのはやめよう、やはり1人ではここにさえ来ることはできなかったのだ、という思いでいっぱいになってしまいました。

怪我をしたのだから仕方ない、関門の場所を間違ったのだから仕方ない。そんな風にも思ってしまいました。

ゴールしたい気持ちより、諦めの気持ちが勝ってしまったのです。

でも、同じ状況だった松田さんは、無事にゴールすることができましたし、常にわたしと同じくらいの位置を進んでいた、年配の女性もゴールすることができました。

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睡魔に打ち勝ち、予期せぬ出来事を跳ね除け、絶対にゴールするのだという強い気持ちさえ持っていれば、わたしにもゴールは待っていたはずなのです。

転ばなくても、同じようなペースだったかもしれません。
みんな、脚の裏がベロベロに剥けていたり、それなりにダメージを負っているのですから、辛さは、みんな一緒です。
自分だけが不遇な状況にいるわけではないのです。

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完走に足りなかったもの、

それは、強い心。

表彰式にて。スィーパーの1人がわたしを見つけて抱きしめてくれました。君は完走できなかったけど、僕たちの心の中に残っているよ。そう言ってくれました、多分、イタリア語だったけど(笑) -photo by Ayumu

表彰式にて。スィーパーの1人がわたしを見つけて抱きしめてくれました。君は完走できなかったけど、僕たちの心の中に残っているよ。そう言ってくれました、多分、イタリア語だったけど(笑)
-photo by Ayumu

弱い心に負けた瞬間、ここまで来るために準備してきたこと、努力してきたこと、そしてレース中の楽しかった出来事、すべてが無くなってしまいました。
こんな気持ちには、二度となりたくないものです。

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この後の1年、わたしには変化が起きました。
弱い心に強い心が勝てるようにもなってきました。
そんなお話しは、また今度…。


TDG 完走に足りなかったもの③〜予期せぬ出来事〜

こんにちは。
下りエスカレーターの一歩目もこわい、さいこです。

だいぶ間を開けてしまいました。
今年のトルデジアン参加前に、このシリーズは完成させようと思っていたのに…。
申し訳ないです。

えー、今年のトルデジアンは、なんと完走いたしました!
でもその話しの前に、このシリーズを仕上げますので、しばらくお付き合いくださいませ(汗)

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さてさて、前回からの続き。
いよいよあと残すところ半分。ちょうど100マイルまでやってきました。

コーダ小屋では、暖かいお部屋で2時間仮眠。
起床後は、有料メニューのローストポークと大量のマッシュポテトをガツガツ平らげ絶好調。
ここまで一緒に登ってもらったつるちゃんと外へ。

すると、そこには360度の大パノラマが朝焼けに染まっていました。

もう、美しくて美しくて、あぁ、これを見るためにわたしはこのレースに呼ばれたのかも!と、涙が溢れて止まりませんでした。
実は景色を見て泣いたのは初めて。
両親とか家族とか、友達とか、とにかく色んな人への感謝の気持ちが、ドバッと一緒に沸いてきて、こんな気持ちになったのは初めてでした。

もう大丈夫。絶対に完走できる!
スピードの違うつるちゃんにいつまでも頼るのは申し訳ないので、ここからは先に進んでもらうことにし、わたしはゆっくりゆっくり進み始めました。

石段を下り始めてしばらくしてから、それは突然起こりました。

あっ!と声を上げたのと同時に、身体が宙に浮きました。
そして、リカバリーできないまま、段差の角に尾てい骨を強打…。

うっすら砂が積もっていた石段に、うっかり後ろ加重で脚をついたため、スリップしてしまったのです。

あまりの痛みに息もできなくなりました。
呻いていると、前後にいた選手たちが集まってきてしまいました。

そのとき思ったのは、「ヤバイ!通報される!」でした。

通報は去年で懲りていますから(笑)、必死でゼッケンナンバーを隠し、「No problem! I’m OK! I’m OK!」と叫びました。

しばらくたって、なんとか立ち上がることができたのですが、ヒビが入っているような激痛でした。
それでも、ここで絶対にやめたくありません。

ペースが一気に落ちました。

封印していたロキソニンのお世話になることにしました。
それでも痛みは消えません。

下りは元々ペースが遅いので、さほど大差ないのですが、とにかく登りが踏ん張れない。

そして、転んだことが原因かは分かりませんが、この後はトイレに行くたびに血便が出続けたのです(涙)

追い打ちをかけるように、わたしにはもう一つ予期せぬ出来事が起こりました。

第6セクション途中、避難小屋で仮眠をとったのですが、そこで日本からの参加選手である松田さんと会うことができました。
松田さんは前半の体調不良が響き、だいぶペースが遅れていました。
ここで会ったのも何かの縁。
わたしたちは、お互い励まし合いながら、このセクションの最終エイドであるオヤセまで、一緒に進みました。

無事オヤセに着き、ホッと一息、補給をしていると、待機していたスィーパーが話しかけてきました。

「最後の関門はサンレミボス、そこに朝8時までに到着し、8時半までに出発すればOK」
そう彼はわたしたちに告げました。

実はこの年のパンフレットには、最後の関門が印刷されていませんでした。
でも、わたしは最後の関門はサンレミボスの先にあるメルドゥだとホームページで確認してきており、自分の行動計画にもきちんと書いていました。

「ということは、関門がメルドゥからサンレミに変更になったの?」
そう尋ねると、彼は「そうだ」と答えました。

おお!何という朗報!
今年はスタート時間が遅れたこともあるし、もう少しだけでも関門を緩くして完走率を上げたいのかも!

わたしたちは、このスタッフの言うことを真に受けてしまったのです!

しかし、本当の関門は…。

この僅かな関門の違いが運命の分かれ道になるとは…。

この僅かな関門の違いが運命の分かれ道になるとは…。

今となっては、彼が勘違いして嘘を教えてしまったのか、わたしたちが聞き間違ったのか、まったくもってわかりませんが…。

ケツ痛と大きな勘違いを抱えたまま進むわたしは、一体どうなるのでしょうか?!
次回をお楽しみに〜!


海外トレイルランニング(書籍のご紹介)

じろーです

激しくご無沙汰しています。
すいませんすいませんすいません(大事なことなので3回)。

ちょいちょい海外のレースに参加してるのですが、そういった事や、色々なランナー友達の縁もあり、「海外トレイルランニング」という、海外のトレイルレースを走った参戦記をベースにした、海外レースを紹介する本のお手伝いをさせて頂き、先日発売になりました。

出来上がった本が届きました!

出来上がった本が届きました!

トップ選手から一般ランナーまで、色々なメンバーが世界各国の色々なレースについて書いているのですが、僕は自分が参加したレースや、レースに向けたアドバイス部分など、少し書かせてもらってます。

海外レースに出たいと思っている人はもちろん、出た事ある人でも、こんなレースがあるんだーとか、自分とは違った側面が見えて面白いと思いますし、新しい気づきや発見などあるかと思います。
良かったら見てみてください。

また、こんな面白いレースもあるよとか、こういうとこも良いよというのがあれば、ぜひぜひ教えてくださいな。

海外トレイルランニング: UTMBほか世界の絶景を走るRUN+TOURISM体験ブック
チーム100マイル&その仲間たち
誠文堂新光社
売り上げランキング: 1,325

 

次回は、なんで海外レース?とか、日本のレース含めた、最近僕が思うレースのあり方について、近いうちに書きたいなーと思ってます。

じろー