USトレイルレース vs UTMB/ITRA

じろーです。

引っ越し後のポストは、先週末のウエスタンステイツのことを書こうと思ってました。

が、ULTRA RUNNING MAGAZINEというアメリカのランニングメディアに、6/27にアップされた記事「Why we won’t pay: UTMB, ITRA and the “pay for points” racket」が、今話題になっていて、僕自身もFacebook上で超訳したものをポストしたところ、かなり反響があったので、ある程度正確に翻訳したものと、僕自身の個人的な意見を合わせてここに書きます。
(翻訳のプロでは無いので、もし間違いがあればご指摘ください)

NOITRA - article

まずは翻訳した内容から。

タイトル:
なぜ私たちはUTMB/ITRAに金を支払わないのか、そして<ポイントのための支払い>という商売

本文:
追記(6/29):
この内容は、以下のレースの役員会/レースディレクターの連名による声明です。

Hardrock Hundred, Run, Rabbit, Run 50 and 100 Mile Runs, Speedgoat 50K, Wasatch Front 100, San Diego 100 Mile Run, Cascade Crest 100 Mile Run, Angeles Crest 100 Mile Run, Grindstone 100 Mile Run, Big Horn Trail Runs

ハードロックは、ご主人のマイケルとともにUTMBとITRAを所有する、カトリーヌ・ポレッティから、数週間前にメールをもらいました。

それは、要するに、前回のハードロック優勝者のキリアン・ジョルネがUTMBを走りたいと願っているが、ハードロックはITRAに加入するための支払いをしていないので、キリアンはUTMB参加資格の<ポイント>が不足している。つまり、キリアンがUTMBを走れるように、ハードロックは支払いませんか?という主旨でした。

答えはノーです。なぜか説明します。

そのプロセスについてよく知らない方々のために説明すると、UTMBは参加資格の<ポイント>の為に、各ウルトラレースに毎年の費用を支払うことを要求しています。

ハードロック側は明確です。UTMBが、ハードロックのリザルトを、エントリーの参加資格として使用する事は歓迎します。しかし、それに対して、費用を支払うことには興味がありません。

ラン・ラビット・ラン、ビッグホーン、ワサッチを含む、その他多くのレースが同様に、UTMB/ITRAから、参加資格の<ポイント>の為に支払いませんかと尋ねられてます。
また、ランナーは、<ポイント>を得られるようになる為に、レースディレクターに連絡するようにとUTMB/ITRAから言われ、私たちの多くは、そのランナーから相談されてきました。
いくらかのランナーは、私たちの多くが、なぜ拒否するのかも尋ねてきました。

まず第一に、UTMBの各レースを走るために、<ポイント>による参加資格基準(例えば抽選とは対照的に)を採用する決定をしたのがUTMBですが、私たちは、UTMBのエントリー制度に対して、私たちが支払うことを要求されるべきだとは思いません。

第二に、UTMBとITRAは、何百万ユーロ(数億円)の利益があると見積もられた、完全な営利企業です。
イベント側に<ポイントのための支払い>を要求することが、既に多くの利益を出している企業の利益を最大化するための単なる方法ではないという結論を避けるのは難しいです。
(ここはうまく翻訳できなかったので、超訳すると、「もうだいぶ儲かっているのに、イベント側に<ポイントのための支払い>を要求することは、更に儲けるための良い方法だとは考えられません。」的な感じかと思います)

私たちは、UTMB/ITRAが、彼らの利益を最大化しようとすることは責めませんが、一方で、彼らの<ポイントのための支払い>制度は、私たちのスポーツの健全性に、全く貢献しません。

彼らは、<ポイント>を与えるイベントに対して何も調査しません。それらのイベントが安全なのか、健全に運営されているのか、最低限の基準を満たしているのか、確認するための適正な評価をしません。そして、私たちが知りうる限り、彼らは今まで、支払う意思があるイベントの申し出に対して<ポイント>を与えることを断ったことがありません。

実際に、たくさんのアメリカ人はUTMBを走りたいと思っているので、少しの実績しかない、または全く実績の無い、いくつかの新しいイベント(もしくは実績がひどいイベント)は、<ポイントのための支払い>が、そのイベントのエントリー費用を集める簡単な手段だとわかっています。

アメリカのウルトラレースは、政府、州、地方自治体の制限により、1万人のランナーを走らせられるUTMBのような快適な環境は無く、そして、UTMBのように利益を得ることはできません。

もし、アメリカのレースが同じことをできるとしても、多くのレースは、ウルトラランニングの精神に反すると考え、その選択をしないと考えます。

私たちは、私たちのスポーツが成長していて、商業化が進み、私たちのスポーツの人気をマネタイズしたいと思うことは回避できないし、それが事実だと認識しています。

そして、良くも悪くも、UTMBと、私たちのスポーツの<アイアンマン化>は避けられない将来かもしれません。

しかし、私たちは、多くのランナーがなぜUTMBを走りたいのか間違いなく知っていますが、これらのことは、私たちの考えるスポーツの最高を代表するものや私たちが願う未来とは価値観が異なります。

UTMBが、私たちのレースのリザルトを参加資格として使用することは、全く問題ありません。しかし、ウエスタンステイツ、ハードロック、ボストンマラソン、ニューヨークシティマラソンのような人気で象徴的なイベントを含む、いかなるイベントも、参加資格となるレースから、参加資格とすることと引き換えに費用を取ろうと考えたことはありません。

ですので、私たちはUTMB/ITRAへ支払いません。
ランナーが理解してくれることを願います。

Hardrock Hundred
Run, Rabbit, Run 50 and 100 Mile Runs
Speedgoat 50K
Wasatch Front 100
San Diego 100 Mile Run
Cascade Crest 100 Mile Run
Angeles Crest 100 Mile Run
Grindstone 100 Mile Run
Big Horn Trail Runs

翻訳は以上です。

UTMBは、とても素晴らしい大会であり、同じく素晴らしい舞台だと、個人的には思っています。

2012/2013年に参加して、コース変更・短縮はありましたが、そう思いました。
そして、僕が参加した頃は、有志の方のサポートにより、日本のレースがUTMBの参加資格として申請され、ポイントとして認定されていました。
もちろんそのプロセスは無料だったと思います。

しかし、2015年からポイント申請・認定プロセスを、ITRAが管理することになり、有料になりました。

この時から、レース側がUTMBの為だけに、ITRAに費用を支払うというのは、個人的にはおかしいと思っていて、同じように思った一部のレース/ランナーからも反対意見などが出ていました。
(Facebookには「NO ITRA」というページもあります)

また、ある日本のレースディレクターが、Facebook上で以下のような発言をしていましたが、これも少し軽率では?と思っています。

------------------------
ITRAの申請は確かに面倒だけど、申請料は1万円程度。
もし地域への観光振興を目的にしている大会であれば、
是非ITRAの申請を検討してみてはいかがでしょうか?
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UTMB参加資格ポイントをダシにして参加者を集めることが、地域への観光振興になるのでしょうか?一時的に人は来ると思いますが、ポイントのためにレースに出る行為は、とても本質的では無いと思います。

また、ただ単に1万円程度払うだけでしょうか?外国語でのITRAとの対応(今では、仲介業者さんもいらっしゃるようです。。。)、参加者リストの外国語名への変換や、誤変換時の対応などが、ずっとついて回ると思います。

スタッフがたくさんいて、外国語対応も問題なく、費用も潤沢にあれば良いですけど、ほとんどの日本国内のレースにそんな余裕があるとは、僕には思えません。

なので、今回このような声明がアメリカの複数のメジャーなトレイルレースから出ましたが、個人的には心から賛成しています。
(しかも、ハードロック、カスケードクレスト、エンジェルスクレスト、ビッグホーンは、参加したこともあり、とても楽しかった大好きなレースです)

やはり、UTMB(またはUTMF)の為だけに、レース側からお金を徴収する仕組みには納得がいきません。ここ最近、UTMB(とUTMF)に、エントリーしてなかったのは、そういった理由だったりもします。
(ちなみに、エントリーする方を否定する訳ではなく、あくまでこの意見に賛成というだけですので、お間違えなく)

ただし、これは一方的な反対意見だとも思っています。
元記事のコメント欄を見てもらえればわかりますが、「100%同意します」「よく言った!」「ミスリーディング」「Black Hillsも連名に追加して」「申請料の100ユーロはちょっと高いよね」「恩恵のない税金だ」「UTMBサイトでハードロックがポイント対象になってるけど?」(←これはITRAサイトでは対象になってないので登録ミスだと思われます)「キリアンだったら無条件で走らせてあげなよ」「ITRAは営利企業ではない」「UTMBはウルトラランニングの中心にいるべきでは無い」「Kodiakはたくさんのランナーからのリクエストがあったので支払った」「ITRAはある種のマフィア」などなど、賛否両論で盛り上がってます。

もちろん、ITRA側にも主張はあると思うので、できればそれを全てのランナー、レース団体、その他にわかりやすく説明してもらえればとも思っています。
その主張がもっともで、UTMB(とUTMF)のものだけではなく、たくさんの他のレースが安価でフラットに使える仕組みを構築しようとしているのであれば、実際の手続きには少なからず必ずお金がかかるので、費用の徴収含め納得できるかもしれません。
個人的にも、各レースに対して、一定の参加資格を設けることに反対はありませんし。

あとは、レース/イベント側から、例えばKTFさんのように、支払わない(ポイントを取得しない)判断を正しく主張する、もしくは、やみくもに費用を支払い、ポイントを取得するのではなく、なぜそうするかを主張することも、ランナーに間違った理解を与えたり、ランナーからの不要な問い合わせ対応がないようにする為にも必要かと思います。

長くなってしまいましたが、改めて今回の件は、トレイルランニング/ウルトラランニングが成長する上で避けられない部分だと思いますが、この声明自体は、インディペンデント精神を大切にする、アメリカらしい素晴らしい内容であり、問題提起だと、個人的には思います。

<追記>
Dogsorcaravan.comでもほぼ同タイミングで、この件に関する意見があがっていました。
よかったら、そちらもご覧ください。

<追記2>
こちらのブログでも意見を述べられています
本質的な議論がなされていないという思いに共感します。

じろー


海外トレイルランニング(書籍のご紹介)

じろーです

激しくご無沙汰しています。
すいませんすいませんすいません(大事なことなので3回)。

ちょいちょい海外のレースに参加してるのですが、そういった事や、色々なランナー友達の縁もあり、「海外トレイルランニング」という、海外のトレイルレースを走った参戦記をベースにした、海外レースを紹介する本のお手伝いをさせて頂き、先日発売になりました。

出来上がった本が届きました!

出来上がった本が届きました!

トップ選手から一般ランナーまで、色々なメンバーが世界各国の色々なレースについて書いているのですが、僕は自分が参加したレースや、レースに向けたアドバイス部分など、少し書かせてもらってます。

海外レースに出たいと思っている人はもちろん、出た事ある人でも、こんなレースがあるんだーとか、自分とは違った側面が見えて面白いと思いますし、新しい気づきや発見などあるかと思います。
良かったら見てみてください。

また、こんな面白いレースもあるよとか、こういうとこも良いよというのがあれば、ぜひぜひ教えてくださいな。

海外トレイルランニング: UTMBほか世界の絶景を走るRUN+TOURISM体験ブック
チーム100マイル&その仲間たち
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次回は、なんで海外レース?とか、日本のレース含めた、最近僕が思うレースのあり方について、近いうちに書きたいなーと思ってます。

じろー


100マイルのアドバイス

じろーです

100マイルをいっぱい走ってる100マイラーと思われてるらしく、
UTMF前って事もあり、最近100マイルについて色々聞かれる事がちらほら。
(今回のUTMFはサポートで参加です)

100miles

ちなみに、今まで100マイルにチャレンジしたのは8回で、
そのうち100マイルとして完走したのは6回で、日本人の中では多い方かもですが、
日本人でも、もっといっぱい100マイル走ってる人はいるので、
個人的にはまだまだかなーと思ってます。

今まで出た100マイルはこんな感じです。
—————————————————————————————————-
【2011年】
 - UTMB:
   2か月前に車に跳ね飛ばされて、全然走れなかったから、
   ダラダラ遊びながら進んでたら関門Out。人生初のDNF。

【2012年】
 - UTMF:
   USで2週連続レース(50k/100k)した直後で、疲れて身体重すぎて、
   色々サボって走ってたら、ギリギリサブ30時間。
 - OSJおんたけウルトラ:
   ライト忘れて、ちっちゃいバックアップライトだけで走って、捻挫祭り。
   めげにめげて21時間もかかった。見た事ないぐらいの象足になった。
 - UTMB:
   悪天候で100kmにショートカット。
   やる気ゼロでほぼ歩いて、20時間ぐらい。
 - OSJ八ヶ岳:
   何にも準備しなくて&体調最悪で、28時間半ぐらい。

【2013年】
 - TDT:
   Tomoさん、のまダッシュさんとチャレンジ。
   23時間でコンプリート。超ツラかったけど良い思い出。
 - Angeles Crest:
   灼熱のカリフォルニアで、累積標高7,000m。
   なんとかサブ24時間。確か11位。

【2014年】
 - Antelope Island Buffalo Run:
   累積標高2,000mの走れるコースで、18時間。最後に抜かれて4位。
—————————————————————————————————-
(次から、去年のAngeles Crestの事を書くつもりです!)

思い出すと、2011年のUTMBは、超手さぐりだったけど、
怪我してたからどうしようもなくて、気づいたら終わってました。

2012年は色々出過ぎて、失敗ばっかだったけど、良い経験だったのかも。
で、2013年ぐらいから、慣れなのか、100マイルに対する抵抗が無くなってきた感じ。

その中でアドバイス出来る事は、やっぱりまだまだなので、大して無いんだけど、
自分のアウトプットとしてもまとめてみると、以下のようなポイントになるかなと。
ジェフ・ブラウニングみたいにカッコいい事は無くて、ほぼベーシックな話ですが。

まー自分が全部出来てるかって言ったら、毎回100点満点じゃないけど、
100点に近くなるように毎回頑張ってる感じです。

注:あくまで個人的な考えです。

- エイドで休まない
  ⇒最近は、着替える時以外、1分以内に出発するのを自分に課してます。
   エイドは楽しいし休みたくなるし、いくらでも休めちゃうんだけど、
   休んだ分だけ遅くなるのはもちろん、気温が低い場合、
   走ってて温まってた身体が冷えて、走り出しから暫くツラいので。

- 着替え/靴変更は最小限 
  ⇒着替えない/変更しないでいけるか考えて、どうしてもダメなら最小限に。
   出来る限り、フーディニとかシェルを、着る・脱ぐ程度でいけるように。
   ちなみに、今までレース中に靴を変更した事は一回も無いです。
   あと、現地まで、天気予報で考えたウェアリングパターン、
   予報より寒くなったパターン、予報より暑くなったパターン、
   3パターン程度用意していって、現地の気候を見てから、
   最終的なウェアリングを決めるのが良いと思います。

- 持ち物/装備も最小限
  ⇒基本は、ハンドボトルとジェルとサプリだけの空身が理想で、
   出来る限りパックは背負わない。
   背中が汗で濡れて、ずーっと乾かないのが嫌いなので。
   パックおろして、背負い直した時のひんやり感がホントに苦手。
   何度も言いますが、やっぱり空身が一番楽で気持ちいい。
   とは言っても、UTMFは余計なレギュレーションがあるから、
   空身は無理としても、レギュレーション+無いと困るものだけにする。
   あったら良いかも、使うかも的なのは持たない。

- 補給ルールを決めて、守る
  ⇒補給は定期的に必ず行う。ジェルだったら最低10km毎に1つ。
   ジェルや食べ物が、不味かろうが我慢(もちろん美味しい方が良いけど)。
   水で流し込むとか、とにかく継続してエネルギーを摂取し続ける。
   Vespa HyperTop Speedはジェルと一緒に取る。
   アミノバイタルのパーフェクトエネルギーがオススメ(好き)。
   レース中のサプリメントは、グルタミンアルギニンHMBアスタビータ
   ZEN(アミノ酸)SaltStick(電解質)を、大体20km毎に取ってます。

- カフェイン抜き/アルコール抜きはしない
  ⇒カフェイン抜きは、昔はやってたけど、ここ2年ぐらいはしてません。
   離脱症状が激しくツラい。。
   あと、レース中眠くなるまで、コーラとか我慢するのは無理だし。
   (眠くなる前に飲んだら、それまで抜いてたのが意味なくなる気がして)
   そして、眠くなる前にゴールする!という気持ちも込めて。
   アルコールは飲み過ぎなければ良いかなと。
   前日は、ビールなら全然OKでバシバシ飲みますw

- ゴールは考えない
  ⇒ゴールまで何kmとか考えるとめげるので、とりあえず次のエイドまで、
   何km、何時間ぐらいなのかだけ考えて進む。
   やっぱゴールを実感できるのは、残り20~30km(10~20マイル)ぐらいから。
   目標タイムとかあるだろうけど、あんまり気にしない。

- 潰れても我慢
  ⇒100マイルが思い通り走れる事は、ほぼ無いと思うので、
   潰れたら潰れたで、諦めて休む、動けるなら歩く。
   きっと何かのタイミングで復活します。

まとめると、レース直前でパフォーマンスを上げるのは出来ないので、
コンディションを適当に整えつつ、ゆるーいスタンスでレースを迎える。

実際に出来る事としては、ミニマルなポジションを取る、というかアプローチです。
エイドの時間を、限りなく短くするのと、自身を軽くする、
そして、栄養をちゃんと取るって感じです。

あとは、レースでひたすら身体を動かすだけ。
ケガとかのアクシデントを除いて、動かない(走れない、歩けない)言い訳をしない。

最後は結局メンタルです。
楽しめるか、ポジティブに考えれるか。そして根性。

まーそんなところですかね。

楽しく走ってるか、ヘロヘロになってるか、
UTMFでお会いできるのを、楽しみにしてます!