OSJおんたけウルトラトレイル100マイル

おひさしぶりです。

前回のエントリーから5ヶ月ほどたってしまいました。そして、タイトルのこのレースも気がつけば2ヶ月を過ぎようとしていますが、7月に開催された

「OSJおんたけウルトラトレイル100マイル 2015」

を完走しました。

しかし、昨年は同レースで第2ループを通過した後に自己申告でリタイアしました。

  • なぜ、前回は完走できなかったのか?
  • なぜ、今回は完走出来たのか?
  • 完走するために何をしたか?
  • 今回レース中どんなことがあったか?

整理しつつ振り返ってみたいと思います。

改めて「おんたけウルトラトレイル100マイル」(以下おんたけ100マイル)とは、2011年から始った国内初の100マイルレースで、 今年5回目を迎えました。おんたけ100kmを14時間以内に完走しないとエントリー権を得られないという特殊な条件があり、昨年と今年は完走率30%を超えましたが、その前は完走率20%台で、今回のように30%台で完走率が高いと言われるので、完走の厳しいレースの一つではないかと思います。ちなみに自分は100kmを13時間台での完走だったので、ギリギリの出走権取得でした。
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木曽王滝村の100kmに及ぶ作業用のジープ道をメインにした林道ばかりのコースで、夜20時にスタート。同じコースが重なるループが3カ所あり、そこで100kmのコースに60kmを追加して100マイル化しています。100km以上走るのに、同じ場所をダブって通るのは精神的ストレスは高く、晴れると日陰が無くて灼熱。雨だと雨が避けられず寒く、精神的にも環境的にもストイックなコースなこともあり、いろいろ文句を言いながらも、結局は100k/100mileにほぼ毎年出ている程のリピーターも多く、

「おんたけウルトラを走らないと夏が始まった気がしない。」

と言っている声も良く聞きます。もしかしたら、運動部の恒例の夏合宿のノリに近いのかもしれません。

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(“ブリーフィングの熱さ”はおんたけならでは)

昨年は第2ループを抜けた後に、体調の悪さもあり「次の関門に間に合いそうに無い」と思って 100マイルレースでは初のリタイアを申告。その後は友人のゴールを待ちながらゴールゲートを眺めていると、続々と100マイルの選手達がゴールしてきて、なぜ自分は諦めてしまったのだろう?と悔しい思いをしたので、

「来年は絶対ゴールしよう」

と強く思い、帰って部屋の目につく場所に「罰点のついたゼッケン」を貼り、翌年完走への準備が始まりました。

《準備をしてきたこと》

UTMFやUTMBは調子が悪くなって数時間休んでも、回復する関門時間の余裕がありますが、おんたけ100マイルは制限時間が厳しく、休んでいるとアウトなので、先ずは「調子を崩さないようにするにはどうしたら良いか?」ということを考えつつ、何で前回は50km程度で体調が悪くなってしまったのか?考えた結果、調子が悪くなった原因は、

「慣れない夜間走」

にあるのではないか?と仮説を立てました。

夜間走そのものが直接原因というわけではなく、夜間は普段は眠っている時間なだけに、日中同じ距離を走っている時より疲れが出やすく、 それによって体調が悪化しやすく、他のレースと違っていきなり夜にスタートするので、時差ボケのように調子が狂わされる。という感じです。昨年、自分はそれをリカバリーしようとしてレース中にあれこれ対策するも、体力も気力も消耗して上手く走れなくなってしまって、そんな感じで昨年のおんたけ100マイルは約70km地点の第2ループで終わってしまいました。

《おんたけ100マイル対策》

そして、夜間走慣れをするべく、2015年の年明けから毎月1回、50km以上の夜間ロング走を友人を誘っておこないました。冬場は多摩川の河川道(タマリバー50K)を走ったり、春からは高尾山や青梅高水のコースを走りました。おんたけのループコース対策として、敢えて「景色のつまらない」河川のコースや、同じコースを往復して距離を稼ぐ退屈なコースにしました。そのおかげもあって、夜間走への慣れが少なくとも昨年よりは出来ていて、結果的に「夜に調子を大きく崩す」ということは無かったので、これまでのナイトラン練習※は効果があったと思います。他にこのレースのために特別にキツい練習をしたということはなく、月に1回この練習をとりいれたのみです。(※ナイトランは危険を伴うので、必ず2人以上でしましょう)

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(仲間との高尾山でのナイトラン)

《レース中に起こったこと》

今回はたとえ完走できないとわかっていても止められるまで前に進もうという覚悟で挑みました。そうしないと、後悔だけが残る昨年の二の舞。それだけはなんとしても避けたいと思いながらスタートしました。

夜間走対策もあり準備は万全に思いましたが・・・今回は突然のアクシデントに最後まで泣かされまくったレース展開でした。

まず最初に起こったトラブルが、40km地点での

「ライト故障」

です。

突然ライトが消えて真っ暗闇になり、もし、ライトがないまま行動すれば滑落してしまうかもしれないので一歩もそこから動けなくなりました。

「あぁ…終わった…」

予備バッテリーを持っていてもライト本体が故障してしまえば意味はありません。しかし冷静になって、「少し落ち着け!」と自分に言い聞かせて、静まり返った暗闇の中で、パックのサイドポケットから手探りで行動食をとりだし、それを食べてひと呼吸。今回の行動食はUltraLunchのマウンテンファッジ。カカオニブの苦みと香りが口内に広がり、パニック状態の気持ちをいい感じで抑えてくれました。

そして、しばらくして、いつもエマージェンシーキットの中に緊急用のPetzl e+Liteを入れていた事を思い出しました。それから、スマホのLEDライトもある事にも気がつきました。

「まだ行ける!」

これまでライトが故障したこともなければ、このe+Liteを使った事も無く、その存在をすっかり忘れてました。しかし、実際にe+Liteだけで行動してみると、明るいのは2歩先まで。先が見えず、走れたものではない明るさでした。

もう一つ不幸中の幸いだったことは、ライト故障したのが第2ループ入口の手前で、そのあとはしばらく街に降りるロード区間があり、ループの半分はライト無しで走れる区間があったことでした。早く明るくならないかと思いつつ長い登りを進んでいると空が明るくなってきた朝6時頃に前回リタイアした第2ループの関門に到着!

「まだまだ行ける、いや、ダメでも行くんだ!」

という強い気持ちで、前回DNFした約70km地点の第2関門を通過しました。

《しかし、まだアクシデントは続く…》

その後、デポのある第三関門までは走れる緩いアップダウンが続き、ライト無しで停滞したタイムをある程度挽回。今回は雨が降ったりやんだりの天候のおかげで、熱中症になる事を避けられたのは良かったです。

今回のレース中の作戦といえば、必ず毎時00分に行動食を摂ることを心がけました。たとえお腹が減ってなくても、必ず食べることにしました。逆に小腹が減ったなと思った時は時間に関係なく早めに食べました。その甲斐があってか?今回は最後まで集中力が途切れず、時計を見るとワープしたのか?というくらいあっという間に1時間が過ぎていたということが何度もありました。

そして、約103kmの第3関門に到着。
自分へのご褒美としてデポバッグに入れていた凍らせたフルーツや甘酒(アルコール無し)がいい感じに解けていましたが、制限時間に余裕があるわけでもないので、さっさと胃袋に放り込んで第三関門を出ました。その後、強い雨が降ったり止んだりを繰り返していたので、レインウェアを着ました。

そんなときに、2つ目のアクシデント発生。

110kmくらいの何でも無い林道で自分が蹴ったと思われる石が地面に跳ね返って、自分の膝のお皿に激突。最初、大したことないかな…と思っていたら、痛みがどんどん増してきて、途中から歩いたり走ったりの繰り返し。しかし、残りまだ50kmもある。

「ああ、今度は本当に終わった…」

しかし、昨年から長引いている臀部の肉離れの痛みがそれによってまぎれてくれるだろうと前向きに思うことにしてやり過ごしました。集中力も不思議と切れず、リズム良くストックを突きながら走って上るテクニックは相当慣れてきていました。もしストックが無かったら完走は厳しかったと思います。

そして、約120km地点の第3関門に辿り着き、毎回楽しみにしている素麺を2杯いただき再び走り始めました。しばらくすると、見晴らしの良い大きなピークに到着。100km部門ならここから下り基調になる最後の大ピークと言っても良いはずの場所に、ポツンと1台の車が見えました。それが第3ループの選手を誘導する車であることはピンと来ました。

「まさか、またここまで戻ってくるのか…?」

今まで味わった事が無い絶望感を味わいました。おんたけ100マイルの真の洗礼は120km以降にありました。第1、第2ループは夜間で景色が見えないので、ループコースをそう意識することなく走り抜けられますが、景色が見える第3ループはやはり精神的に堪えます。今年は本当は第3ループが廃止となり、「高樽の滝」を経由する100マイルだけの新コースのはずでしたが、台風の影響でいつものコースに戻ってしまいました。しかし、昨年のリベンジとしては同条件でゴール(しかも今年はコース変更で前回より厳しくなっている)出来た方が、リベンジの達成感はあるだろうと前向きに考えることにしました。

第3ループ入り口(100kmだと最後のウォーターエイド)に到着し、もうトラブルは無いだろう。。。と思っていたら、水の入れ替えのために背面のハイドレーションを取り出すと、ハイドレーションに穴が開いていることが発覚!(今回のパック専用ではなく、古いものを使っていた)

「今度こそ、マジで終わった…」

トレイルでの水が無い状態は死を意味するので、今度ばかりはGAME OVER…と思ってましたが、落ち着いて何か出来ないか?と考えると、そう、ここはウォーターエイド。ボランティアの方にお願いして使用済みのペットボトルを1本もらい、ハイドレーションの代用にしました。

「よし!これなら、まだ行ける!」

第3ループのコースを走るのは初めてでしたが、100km地点のウォーターエイドは、ほぼ町と同じ標高。そこから再び山の上まで約500mの標高を登り返します。後半は偽ピークが何度も来て心が折られるいやらしいコースレイアウト。そして、距離約140km地点でようやく先ほど見た1台の車がある第3ループ合流地点に到着。ゴールまで残り20km。もうこれ以上登る事はありません。これからは下り基調!と喜びたいところでしたが、先ほどの500mの登り返しでもう走れる脚が終わっていました。

夕方4時にもなると、既に前後には100kmの選手もいなくなり、コース上で一人になる場面が続きました。下りなのに歩いたり走ったりを繰り返していると、トレイルラン人生初かもしれない回収作業車に背後に着かれるというプレッシャーに会いました。今度は制限時間との戦いです。しばらく回収作業車に追われていたら、100kmの選手を追い越す場面が増えて、回収作業車からのプレシャーは無くなりました。

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(最後の林道は快走(allsports写真は購入しています))

そして、先ほどペットボトルをもらった最後のウォーターエイドを過ぎて、ラスト7kmのロードをゆっくりジョグしながら進みます。車や沿道から既にゴールした知らない人から声援をもらったりして「今回は完走できるかも?」と思うと胸が熱くなりました。しばらくして、フラッグの並ぶ橋を渡り、最後の駐車場までの坂もきっちりジョグで走りきって既に閑散としたゴール周辺で、所属のRUN OR DIE!!やチームJETの仲間らに迎えられ、

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(今回のパックは「 ultrAspire / ZYGOS 」ロングレースには最適の収納サイズと、使い勝手の良いポケットが豊富で快適でした。)

22時間26分56秒、遂におんたけ100マイルのゴールゲートをくぐりました。そして、昨年のDNFの悔しさは、いつの間にかどこかへ消えていました。

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《まとめ》

これまで走ってきた100マイルレースでは、装備が万全なら体調が悪くなり、体調が万全なら装備が問題を起こし、体調も装備も万全なら今度は天候が邪魔をする…など100マイルレースは毎回何らかのアクシデントに会います。そういったアクシデントをどう回避するか?単に走力だけではない部分が問われるのが100マイルレースだと思います。そして改めて前回はDNFで今回完走出来た違いは、ナイトラン練習だけではなく、

「たとえ、制限時間に間に合わないとわかっていても前に進もう!」
と、スタート前に覚悟を決めたこと。

があったからだと思います。この気持ちは一度DNFを体験して悔しさを味わったからこそ、そう思えるようになりました。そして、ダメだったレースを再挑戦して完走できれば、過去の自分に勝った嬉しさはおそらく最初に完走してしまった時より大きいと思います。(実際そうでした!)

《完走できたポイント》

自分はおんたけ100kmのPBが13時間台なので、出走権としてはギリギリの選手ですが、以下が同レベルの人には参考になるかと思います。

1.「自分の巡航速度を作る」
先ず、この100マイルレースは走れる部分をしっかり走らない完走できない制限時間設定になっています。もちろん全く歩いていないわけではないし、辛い時は坂の半分走って半分歩くとか、自分に合ったリズムとペースを作って、それを最後までキープさせたのが良かったと思います。また、このレースは国内では珍しくストックが使えるので、使わない手はありません。後半脚が終わってきていても、ストックを突いて勢いをつけながら登りを走ることができるので、普段の練習の時もストックを使うと良いと思います。

2.「第2関門で諦めない」
100kmが13時間台の選手だと、第2関門は制限時間のギリギリでの通過になると思われます。しかし、第2関門に到着して第3関門までの30kmの距離に対して残りの時間が厳しいかも?と思っても、第2関門から第3関門の区間は平らなところが多く、走りやすいので思っているより早く走れます。なのでそこで”距離と気持ちに負けず”に勇気をもって第3関門に進めば、完走の可能性が高くなります。

3.「エネルギー補給は一定時間で」
このレースに限った事ではありませんが、行動食を一定時間で食べる事。急に追い抜かしたり、急に遅くなったりと、ペースにムラがある人を良く見かけましたが、そうすると無駄に体力を消耗するので、常に調子が一定になるような補給ペースにするのが完走のポイントだと思います。これは1.にも繋がります。

4.「夜ランに慣れておく」
最初にも書きましたが、年明けくらいから月1回ほどロングのナイトラン練習を取り入れると良いと思います。トレイルでなくロードでもOKです。

というわけで、100kmに2回、100マイルに2回と出たので今回の100マイル完走で、おんたけは一旦卒業したいと思いますが夏になるとやっぱり王滝村が恋しくなるのも事実で、また来年どうするか?考えたいと思います。


UTMB 2013 (3) Champex – Chamonix

あけましておめでとうございます。
年をまたいでしまいましたが、UTMBレポート最終章となります。
レポート(1)
レポート(2)
UTMB(3)

今回のコース(青線)


【19】
CHAMPEX-LAC - BOVINE 132,7 km
Champex-Lacのエイドに入って来た時は夕方だったが、エイドを出るとすっかり夜。UTMBの二晩目の夜が始まった。仮眠をとってリスタートしたことで体調は絶好調となり、身体も軽く元気。シャンペ湖のほとりを快調に走れている。これまでの不調が嘘のようだった。このままゴールまで行けるだろうか?と思っていたがその思いは1時間も経たないうちにあっけなく終わる。シャンペ湖を過ぎてボヴィーヌ峠のトレイルに入り、登りでペースが落ちると再び強い眠気がぶり返して来た。シャンペ湖のエイドで40分ほど横にはなっていたものの、本当に寝られた10分くらいの睡眠時間では足りなかったようだ。カフェイン入りのジェルをとっていても殆ど効かなくなっていた。残り約30km。楽勝にも思える距離が、眠気によってノロノロと進んでいる今は果てしなく遠い感覚だった。眠気で意識が遠のいたりを繰り返しながら30分ほどボヴィーヌ峠までの登りを歩いていると途中の岩で座っている選手がいて、ふとゼッケンを見ると日の丸国旗が見えて、よく見るとエディさんだった。声を掛けて一緒に進むことになったが、話しながら進むと眠気も緩和し、夜の景色が見えない退屈な状態がとても楽しくなった。あっという間にボヴィーヌ峠に到着し、下りとなる。下りになると先ほど通過したシャンペの街のオレンジ色の奇麗な夜景が一望できてさらに元気になった。

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UTMF試走VIDEO 雪見尾根~長者ヶ岳

雪見尾根

先週の土曜日に特別に解放された2013年UTMFの新コースの一部の雪見岳へ登る雪見尾根から昨年のルートの逆走となる、熊森山~長者ヶ岳~天子山~西富士中まで試走してきました。出場する選手は最も気になるコースの一部と思われます。

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IZU TRAIL Journey 2013 (後半戦)

早くもレース後1ヶ月。だいぶ時間が開いてしまったが、ようやくITJ後半戦レポート。ランもblogも3レストしないという目標をもっていたのだが、3週間以上空いてしまった。新ネタも沢山溜まってきたのでちょくちょくアップしていきたい。

AP2 仁科峠
Photo: Yoshito Katsumata

●仁科峠(AP2/45km)~土肥駐車場(AP3/52km)

コバさん、竹さんを見送りしばらく体調の回復を待つが向上しそうにないので、出発することにした。おそらく5分程遅れて出発したので、どちらかに追いつくことは絶望的に思えた。元々競っていたわけではないし、追っていたわけでもないが、エイドで並んでしまうと意識してしまうものだ。


IZU TRAIL Journey 2013 (前半戦)

Photo: Yoshito Katsumata

早いもので第1回伊豆トレイルジャーニー(ITJ)が終わり、早くも一週間経ってしまった。記憶が薄れる前に書き残しておきたい。

伊豆トレイルジャーニーはチーム100マイルに参加して初めての本格的なトレイルレースとなり、多少なりとも自分が成長できているだろうか?それを体感できる事が楽しみであった。そして、自身の所属するチームRODからも10名が参加。ここ最近、チームメンバーのパフォーマンスの躍進が目覚ましくチーム内で日々「走れ走れ」とトレーニングにハッパをかけている立場なので、同じレースに参加して

「自分がどういうランを表現するのか?」 

チームメンバーに直接見られる事になるし、そしてチーム100マイル内でもラビットとトータスがあり、トータスのメンバーに大負けする展開になるかもしれない。これまでに無い様々なプレッシャーを感じる大会でもあった。 続きを読む