UTMF/STYの装備の準備はお早めに ~ランボー店主の備忘録#3

僕です。

今日は長くなるので先に結論を書いておきます。

UTMF/STYに初めて参加する方へ。当日は気温が氷点下まで下がることがあります。0°近い温度でのランの経験が無い方、防寒系の装備はお早めに準備して下さい。

っていう話と、

小さいレースであれ、全国的なメジャーなレースであれ、自己責任の精神で参加しましょうって話です。

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本日はRun boys! Run girls!のオープン前にUTMF事務局の三浦さんと細谷さんに来ていただき、必携品やレギュレーションについての説明を受けました。  http://www.ultratrailmtfuji.com/blog/2013/12/1982/

左から、三浦さん、細谷さん、桑原

 

細かい装備のレクチャーと言うよりも、レギュレーションの再確認と、大会側がそれをどういう意図を持って設定しているかと言うことをご説明いただいたんですが、UTMFを運営される方々がいかにトレイルランニングを普及させようとしているか、また日本のシンボル的大会としてどうユーザーの意識を啓蒙できるかを真剣に考えているかがわかり、とても有意義な時間でした。

ちなみに、ここのブログでも書きましたが、僕は先月MOUNTAIN CIRCUSというクローズドな草レースの開催に関わりました。50人規模の小さなレースで、参加者も全員顔が見え自己責任と山で遊ぶことを理解している人たちの大会。それゆえに選手とスタッフ全員の一体感のある素晴らしい大会を作り上げることができました。

参加者がオウンリスクの精神を理解し素晴らしい一体感があった MOUNTAIN CIRCUS 2 TANZAWA

それに対してメジャーな大会は、不特定の人が1000人単位で集ることや、最近のトレイルランニングの人気もあって初心者やロードレースからの参加も多く、そもそもトレイルランニングが「山に入ること」を大前提にしているという認識を参加者全員が持つことは難しい。

ただ、それは構造の問題で、大会に関わる人たちはそのメジャー大会ならではの問題をいかに解決するかを考えているんだなと言うのを、今日垣間みることができました。

それはなぜこの時期に小売店に説明会をして回っているかと言う理由にあらわれています。

UTMF/STYが近づくと、各店舗はそれに向けたアイテムのプッシュをしていきます。ユーザーも大会が近づくにつれアイテムを用意しはじめます。ただし、UTMF/STYの開催される4月後半の富士山周辺はとても寒いのですが、レギュレーションに含まれる保温用のウェアは秋冬の製品のため3~4月には品数がかなり減ってきます。また、用意できたとしても中々レースで想定される条件では試すことができません。

レギュレーションの”9.装備について”に以下の記載があります。 http://www.ultratrailmtfuji.com/about/rules/

必携品ウエアの保温性、防水性などのレベルは、選手自身の責任で決定してください。事前にそれらを着用して氷点下気温の高山、大雨の中での長時間に及ぶランニングなどを体験し、それらのウエアがほんとうに自分のカラダを守ってくれるのか否かを知っておきましょう。選手自身が責任をもって認め、届け出たウエアを大会本部はその選手の必携ウエアと判断します。

レース経験や山の経験が豊富な人であれば、既に対応できるアイテムを持っているでしょうし、どういう気候でどういうウェアが適しているかの経験もある。ただ、初心者になると、防寒用のウエア自体を持っていなかったり、夜間や0°近い気温での走行の経験も無い。そう言う人に向けて早めの準備と夜間走や寒い時の走行を促すため実際にアイテムが豊富にあり試す機会もある冬の段階から、各店舗と協力して特に初心者のユーザーに向けて啓蒙をしていこうと言うのが、各店舗を回って説明をしている理由だそうです。

レギュレーションはよく読んでおきましょう。

UTMBの様にミッドレイヤーの重さを規定することもできますが、数値をクリアしているアイテムを持っていれば大丈夫という状況を作り出すよりも、実際に自分たちが走るコースはどういうコースで、そのためにはどういう装備が必要かと言うことをユーザー自身に考えてもらう状況を作っていきたいとのこと。これはショップとしてもとても共感できます。僕たちショップもそのための情報提供やコミュニケーションをとることが自分たちのするべき仕事だと思っていますので。

今年のUTMF後に運営委員の一人である村越先生も以下の様なブログをあげていました。 http://www.ultratrailmtfuji.com/blog/2013/04/1640/

昨年に引き続き、装備チェックを手伝いました。自立した活動者を目指すなら、本来装備チェックは不要です。しかし、装備チェックをし、それに備えることで何が必要かについての気づきが得られることも確かです。装備チェックは過渡期的な必要悪だと個人的には思っています。
その中で気になったのは、必須装備リストの記述から外れたものについて「これでもいいですか?」と聞かれることです。必須リストには二つの側面があります。一つは形式的なルール、もう一つ実質的に自分の命と安全を守ること。ルールという視点からみれば、そこから外れたものはNGです。一方、命と安全という視点からは回答が人によって違います。それは装備チェック者が判断することではなく、本人が判断することです?私が「これでいいです」といったらよしとするというのは、極端に言えば自分の命を人の手に委ねることです。こうした問いには、「あなたはそれで自分の命と安全を守れると判断したのですか?」と問い返しました。それで大丈夫かどうかはあなた自身とその経験によってしか判断できないことなのです。

ただ難しいのは、山の経験を経ないでUTMF/STYで初めてウルトラトレイルにチャレンジする人は、その状況が想像すらできないこと。例えば、UTMF参加資格の4ポイントも、温暖な時期のレースだけで獲得することができます。

ちなみに、2013年のUTMF/STYの双方の選手が通る杓子山(1597m)の推定最低気温は、4/27午前1時で-2.2°。ちなみにこの杓子山、UTMF完走者の約70%とSTYの全選手が夜間に通過するポイントです。僕は今年のSTYでこの杓子山を大体23:00頃に通過しました。割と体の調子もよく、速いスピードで動けていましたが(トータルタイムは14h54m 113位/937人の成績です。)それでも、厚手の長袖ベースレイヤーと3レイヤーの防水ジャケット、ウインドパンツにビーニーキャップと手袋の装備でも風の吹く山頂付近は少し寒かったです。

2013 STY 桑原の装備。装備自体は杓子山から変わっていませんが、これはゴール時で、最後はかなり走ってゴールしたため、アウターとベースレイヤーのジップを全開にして体温調節をしています。こういった保温〜体温調節の切り替えも大切になってきます。

これは選手の状況によっても異なると思いますが、割とフレッシュに動けてる状態でこれですから、もう少しペースが遅くなったり、止まったりすることを考えると体感温度はもっと下がると思います。杓子山は手を使って上る様な岩場もある難所。2日目の夜となるUTMFの選手にとってはとても厳しいポイントです。

また、2012、2013は幸運にも好天に恵まれたUTMF/STYですので、来年はこの気候より過酷になる可能性もあります。今年も4月とはいえ大会の1週間前にコース上で雪が降っていた箇所もあります。(三好礼子さんのブログ参照 http://www.ultratrailmtfuji.com/blog/2013/04/1604/ ) 参加者はこういった状況まで想定しなければいけません。

20日夕方、三国峠~山中湖間のトレイルの写真。(三好礼子さんのブログより)

特にトレイルランニングの経験が少ない方にとっては、数値化されやすい距離と獲得標高、UTMF/STYで言えば、161km 9000m D+/84km 4700m D+という数字がフォーカスされやすいですが、この様な気候条件もレースを左右する大きな要素になってくると言うことが伝わったでしょうか?

話を元に戻します。UTMF/STYは春のレースだけれど寒い。と言うことで、ウェアを揃えたり、試したりするのなら冬の今のうちと言うことです。結局ショップにしてもウェアの機能や特徴を伝えることはできても、それらのアイテムが本当にどういう状況で生きるのかと言うのは個人差や好き嫌いもありますし、やはり経験の中でしか身に付かないわけです。

2012年にスタートしたUTMF/STYもこの2年で日本を代表するトレイルランニングのシンボル的大会になりました。そして、これからトレイルランニングをはじめようとする人たちが「いつかはUTMF。」と憧れを抱く様な状況ができつつあることもお店に立っていて感じつつあります。と同時に、既にトレイルランニングの大会参加経験がある方でも、意外とレインシェルとウインドシェルの区別がついていなかったり、ベース/ミドル/アウターの3レイヤーって考え方を知らないかたもいたりします。下手するとベースレイヤーはヒートテックで十分と思っている方もいるかもしれません。

結局のところ、50人の草レースであれ、2000人のUTMF/STYであれ、山に入る以上はどんなレースであれ、危険を回避する努力は本人が行い、生じる危険や結果は最終的に自分で背負わなければなりません。それがトレイルランニングをする上でまず一番最初に必要なオウンリスクの精神です。実際UTMFの競技規則・注意事項にも、そのことは一番最初の項目に書いてあります。

1. 選手の責任

1.参加する選手はレースの距離と、山岳地を一昼夜以上走り続けるという特殊性を十分認識し、必要な訓練を行なっていること。
2.この種のレースで起こりうる問題に対して、自ら対処できる能力を有し、自己責任であることを十分理解していること。
3.山岳地で予測されるトラブルや天候の悪化など(低温、強風、雨や雪)に、他に頼ることなく自ら対処できること。
4.極限的な疲労、内臓・消化器官の不具合、筋肉などの痛み、軽度のけがが引き起こす肉体的、精神的問題に対して自ら対処できること。
5.自然の中での活動において、安全にかかわる問題に直面した場合、自らがそれぞれの能力に依って対応しなければならないことを十分認識していること。

特に今回初めてUTMF/STYに参加される方はそのことをしっかりと理解した上で、装備も含め早めの準備をされることをお勧めします。そのことが単純にトレーニング以上の経験となって自分のレースの完走や安全を高めることに繋がってくると思いますので。Run boys! Run girls!をはじめ、お近くのアウトドアショップスタッフ、トレイルランニングや山経験豊富の人から色々情報収集をしつつ、沢山経験を積んでみて下さい。

それから、大会サイトからも随時有意義な情報が発信されていますので、こちらもこまめにチェックされることをお勧めします。 http://www.ultratrailmtfuji.com/

具体的な装備についてはまた別記事で書きます。ここまで書いておいてなんですが、僕はSTYなら二度完走しているものの、まだUTMFの完走経験が無いので、UTMF完走経験者からも装備についてヒアリングして、みなさんがイメージしやすいようにできたらいいなと思っています。

様々なUTMFフィニッシャーから装備についてのコメントをもらおうと思っています。

以上、僕でした。


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