スリーピークス八ヶ岳トレイルの開催発表をお待ちいただいていた皆様
この度、スリーピークス八ヶ岳トレイルのOne Pack Line 38kのエントリーについてエントリー条件を設定させていただくこととなりました。
そのことについてまず、説明をさせていただきたく、お時間をいただきます。
スリーピークス八ヶ岳トレイルという大会を開催したい!と思った際、言いだしっぺの私だけでなく、コースディレクターの小山田をはじめ、実行委員全員の思いは
「美しい八ヶ岳を大勢の人に味わってもらいたい」
という思いでした。
八ヶ岳の主峰である「赤岳」など、八ヶ岳登山を楽しむ方のほとんどは、長野県側からアクセスしているのではないでしょうか?
確かに、隣町の長野県から望む八ヶ岳は、奥行き深い八ヶ岳を存分に味わうことができ、ダイナミックな八ヶ岳を感じられる美しい場所です。
しかし、私が子供の頃から見ていた「八ヶ岳」は、末広がりに広がった「八」という字を実感できる山梨県北杜市から見た景色でした。そして、この姿をもっとも愛しています。
そして、前三つ頭。
スリーピークスのコースをどうするか悩んでいた2012年。コースディレクターの小山田にあちこち走ってもらい、地図とにらめっこしていたあの頃、
「ここをコースにできたらいけるかもしれない」
悩みに悩んでいた小山田がようやく言ってくれたのがあの三つ頭のコースです。
コース確認やポスター撮影の為に一緒に登り、前三つ頭に着いたとき、悪天候で霧に包まれていました。
強風で立っているのもやっとという状況でしたが、あれこれ準備をしていると、瞬く間にそれまですべての視界をさえぎっていた霧が晴れ、それと同時に目の前に富士山、南アルプス、鳳凰三山といった美しい山々が目の前に飛び込んできました。
あのときの感動は今でも忘れられません。
苦しい思いをして急登を上がったことを一瞬で忘れられる景色がそこにはありました。
その後、大会に参加していただいた方に
「色んなレースはあるけど、景色に癒されたのは初めてだった」
という言葉を頂いたとき、このコースにして本当に良かったと心から思いました。
しかしながら、美しい八ヶ岳を楽しみたい、味わいたいと思っているのは私たちだけではありません。
古くは修行僧が念仏を唱え深い信仰心を持って八ヶ岳に入り、今も登山を愛する大勢の方が「八ヶ岳に登りたい」と強い憧れを抱く山であり、また、その山を愛し何時までも美しい姿を守りたいと思っている方々が多いことも事実です。
なぜ八ヶ岳を愛しているのなら、走るんだ?
走らなくてもいいじゃないか?
そんなご意見を多く頂きます。
でも、私はそれでも「走りたい」のです。
それは、トレイルランニングというスポーツが、スタートからゴールまで一目散に走りタイムを競うためのものとは考えていないからです。
私がトレイルランニングという競技に出会った際、
どのランナーも山を愛し、そこを走れることに感謝の気持ちを持っている人たちだと感じました。
そして、私自身がトレイルランニングという競技を始め、今まで出会った方々と同じように、山を愛し、その行為に感謝し、更に山で行動するための色々なことを知りたいと思うようになりました。
ゴミを落とさない、挨拶をする、道を譲る、それは基本的なことで言うまでもなく、それ以上に、山での行動、自然や動物、環境に配慮を持って行動します。
それは、これまで山を愛してくださった方々からすれば、まだ足りないと指摘されるかもしれません。
それでも、足りないなら身に付けたい、理解したい、教えていただきたいと心から思っています。
前置きは長くなりましたが、
第3回スリーピークス八ヶ岳トレイルという大会を開催するにあたり、One Pack Line 38kのコースをそのまま当たり前のように走らせて頂いていいのか?という疑問が生じました。
行政の許可が取れる取れないの話ではなく、八ヶ岳を愛し、美しい自然を残したいと常々考え行動している方々に対し、大会主催者として、このまま同じような形で大会を続けることが果たして許される行為なのか?
前文で述べたように、私はトレイルランナーを、そして自身がトレイルランニングをしていること事態を野蛮な行為だとは思っていません。
ですから、トレイルランニングを否定されることに大しては、本当に悲しく悔しい思いです。
でも、みんなの山、みんなの登山道、みんなの自然であることに変わりはありません。
であれば、私の「走りたい」という思いを貫くことは、配慮に欠けると思いました。
第2回スリーピークス八ヶ岳トレイルが終了してまもなくから、第3回開催に向けて実行委員メンバーで何度も話し合い、時にはぶつかり合い、様々な角度から検討しました。
結果、第3回大会は今までどおりOne Pack Line 38kのコースを走らせて頂きたいが、一定の条件を設けることを提案させていただきました。
それが「38kに参加する為の7つの約束」です。
これは、あくまでも「自主規制」であり、大会側が選手に対し厳しくチェックを行なうものではありません。
しかし、文章内にあるとおり、1人のトレイルランナーの行動が、すべてのトレイルランナーに影響するものであることを、どうか感じていただければと思います。
「38kに参加する為の7つの約束」
-環境負荷軽減と安全を考慮して-
One Pack Line 38kのコースのピークは標高2500mの三ツ頭分岐です。
スタート地点である三分一湧水館からの標高差は1500mあり、森林限界を超えたエリアとなっています。
山頂の気候は変化が大きく、6月でも天候不順の場合には山頂付近は0度になり、風をさえぎるような木々も生えないエリアなので、体感温度は更に下回ります。
過去大会において、あわや低体温症を引き起こす方が数名いらっしゃいました。
また、森林限界エリアの土壌負荷を懸念する声が上がっていることも考慮し、当大会としては、より多くの方に八ヶ岳の魅力を発信したいという思いではありましたが、参加人数について再度検討した結果、前年度より150名減の250名の募集とさせていただくこととなりました。
また、参加条件についても下記事項をよくご確認いただき、ご自身がそのレベルに達していると思われる方のみエントリーしていただきますようお願い申し上げます。
下記事項につきまして、当大会として厳格なチェックを行なう予定はございません。
大会へ出場するための条件や装備は、自分自身を守るためだけなく、トレイルランニングという競技を愛するすべての方に影響を与える場合がございます。「自己責任」について再度考える機会になれば幸いです。
- 過去2年以内に50km以上のトレイルレースを完走した経験がある方、もしくは過去標高2500m以上の山への登山経験がある方。
- レースの距離と、山岳地を走り続けるという特殊性を充分認識し、必要な訓練を日頃から行っている方。
- 山岳地で予測されるトラブルや天候の悪化など(低温、強風、雨、雪)に、他に頼ることなく自ら対処できる方。
- 自然の中での活動において、安全にかかわる問題に直面した場合、自らがそれぞれの能力によって対応しなければならないことを充分認識している方。
- 本レースコースは、第三種国定公園に指定されており、多種多様な動植物が生息していることを忘れず、貴重な自然環境の中で行われることを充分に認識し、大会が定めるルールを遵守できる方。
- レース中であっても譲り合いの精神を忘れず、同じ場所を共有する方々に、配慮と節度を持った対応ができる方。
- 心から八ヶ岳を愛している方。