さて、いよいよ ITJスタートの日の話。
松崎漁港には1500人のランナーが集まっていました。 トレイルレースで海岸スタートなんてなんか素敵。
スタート会場では、すでに総合プロデューサーの千葉さんや、鏑木さんがマイクで選手の皆さんを盛り上げてくれていました。
さて、いよいよスタート。
後半から出た私は、渋滞に何箇所も引っかかります。
でも、越して前に出るほどの体力もないので、ここはじっくりと進もうと思い、渋滞をのんびり進みます。
A1こがね橋までは、どちらかというと林道メイン。
本来であれば舗装路はしっかり走るところですが、なぜか朝から腹痛があったので、騙し騙しペタペタと進みます。
が、林道はどうしてもどうしても
飽きる・・・ 眠くなる・・・ 眠い・・・
スタートそうそう、ものすごい睡魔との戦いです。
なんとかかんとか 25.6km地点、こがね橋エイドに到着です。
エイドにはパン、バナナ、オレンジ、ポテトチップ、スポーツ羊羹など、とってもたくさんの食料が用意してあり大満足。
友人が何人かエイドのお手伝いをしていて、その方々の顔を見るだけで元気をいただきました。
予測していた時間をはるかにオーバーした10時にエイド到着しているので早くエイドを出なきゃいけないのに、のろのろと20分以上も滞在し、ようやくリスタートします。
ここからはトレイルゾーン。 気を引き締めて・・・ と思ったのも束の間、すぐに泥地獄との戦いが始まります。
今回のITJ、出場したすべての選手の大きな問題は、トレイルがぬかるんでいて、普通に歩くのも困難だったことではないでしょうか?
すべる、足が埋まる、転ぶ・・・
特に私は後半組にいたので、ふくらはぎ辺りまで足が埋まり、何度も転んだり、木とぶつかったり。。。
上りが苦手な私は、通常下りのトレイルで時間を稼ぐのですが、まったく走れずむしろ、上りより時間が掛かるセクションばかり。
前半抑えて後半に・・・という戦略がそもそも間違っていたな・・・
前半で時間稼いでおかないとダメだったな・・・と、A2仁科峠に向かう気持ちはかなり諦めモード。
気温もだんだんと上がってきて、疲れでしっかり補給が頭に入っていない私は、足がつって、山中転げまわる自体。
持参した塩熱サプリを5粒一気に食べると、徐々に回復していったのですが、つってから食べてたんじゃ遅いのですよ。
ちゃんと、時間を見て摂取しなきゃいけないのを分かっていたのに怠った私は、 つって痛めた左足の違和感をずっと抱えて、その先50キロを進まなきゃならない羽目に・・・
みなさん、ちゃんと、塩熱サプリ定期的に取りましょう。 あんまり汗かいていないからとか、勝手な自己判断はいけません・・・
さて、A1からA2は20kmしかないのに、全然たどり着きません。
滑っては転び、起き上がってはまた転び・・・
なんとこのセクションにたっぷり4時間もかけ・・ ・
A2についたときは、なんと関門締切の10分前。
ボロ雑巾のような身体で、A2になんとか到着しました。
A2仁科峠は、A1よりさらに充実したエイドで、うどんが食べ放題。
それに私設エイドやサポーターがかなりたくさんいらしてて、お饅頭やドラ焼きやいろんなものをいただきました。
エイド関門10分前についた私は、またすぐに出発しなきゃいけないのに、ここでもなんだかんだと20分にわたって休憩をします。。。
次のエイドまで11kmだし、2時間もあれば余裕でしょう。
そう思った上での休憩でしたが・・・ この長い休憩も、もちろん後にどんどん響いてきます。
A2を過ぎてから 細かいアップダウンの繰り返し、
しかもドロドロでぐちゃぐちゃのトレイルは相変わらず。
これはまずいよね・・・と思っているのですが、 疲労も溜まってきて、今度は足が先に進まない。
止まっちゃいけないと分かっていても 自分に言い訳つけて、止まってしまうのです。
A2を出て1時間を経過したあたりから、 周りにいるランナーさんも口々に
「関門やばいよね・・・大丈夫かな・・・」
と、ささやき出します。大丈夫かな?とささやくだけで、ペースは全く上がっていきません。
これ、いつも感じるのですが、 レースの後半集団にいると、どうしてもサボってしまうのです。
みんなやたら歩くし、止まるし、 いつもだったら走るようなところも
周りが歩いてるといいかな?
なんて気持ちになって、少しでも登り坂だと、もういいか・・・なんて思って歩いちゃうんです。
疲れてるとか、もうこれ以上力が出ないとかじゃなく
なんとなく周りの雰囲気に流されて、ダラダラしてしまう・・・
あーーーもーーーこれは絶対いけないーーー!!
そう思って、走り出します。
苦しいけど、無言で駆け上ります。
いけるのか?もうだめなのか?やめようか、続けようか、
自分自身と葛藤する時間も長くなります。
A3「土肥駐車場」の関門は17時。 なんとギリギリの4分前にようやく到着しました。
コーヒーやスープやいろんな食べ物を用意してくれていたのですが、
関門制限時間から10分後には出発しないと失格となる為、いそいそと支度します。
私の遅い到着をまっていてくれた仲間がここにもいて、 うれしい気持ちと申し訳ない気持ちと疲労で、なんとも言えない気持ちでした。
土肥駐車場は関門ギリギリに到着した選手でごった返していて みんな疲労困憊の様子。
座って休む私に
「間に合わなくなるから早く出たほうがいいよ」
と友人がアドバイスをくれたのですが これがもう、練習不足の成果。
エイドから立ち上がれないのです。
やっとこさエイドを出てたときは、 日が落ち始め、ウィンドシェルをはおらないと寒いと思うほどの気温になっていました。
そろそろライトも必要になるだろうから・・と、エイドを出てすぐの道路の脇で荷物を準備していたら、黄色のSTAFFビブスをきた人がにこやかに近づいてきます。
「あ、まついさーん、僕スイーパーですよー」
えーーーーうそでしょーーー。
だってエイドにあんなに人いたじゃん(笑) なのに???
聞いてみると、A3関門ギリギリにたどり着いた人は、
やはり動けず、ほぼリタイアしたとのこと。。。
私うっかり最終ランナーになっている・・・
私、スイーパーに着かれたなんて、人生で初めての経験です。
ペースを上げなきゃと思うものの、
疲労と終盤ランナーのムードに流されてしまい、
こんな局面でもなかなかペースが上がりません。
それでも達磨山を越え、あとは下り。
ぬかるんでさえいなければ・・・と思い走り始めるも、木段に足を取られなかなか進まない。
あと15kmを3時間で帰ればいい。 絶対間に合うだろう・・・
勝手な思い込みで、さらにダラダラしてしまう。。。
気が付けば、周りは真っ暗。
スタート時朝日があがらず真っ暗だったのに、 気が付けばもう日が落ち、
ゴール制限時間の1時間前になっていました。
ゴール制限の1時間前なのに、
私はまだ、ゴールから約9キロ近く離れた場所に居ました。
普段なら、1時間あれば絶対間に合うけど、 この疲労感たっぷりで、
かつ回りは真っ暗で、果たして間に合うのか・・・
もう無理なんじゃないの??
そう思った瞬間に、ダラダラ続く舗装路の上りを 諦めモードで歩いてしまいました。。。
見渡せば、周りの方々も、諦めモードで歩いています。
思い出せば、私、このレースってスタートした直後から歩いてばっかりで、
苦しいとすぐ歩いちゃって、何してるんだろう・・・
じわじわと悔しさが込みい上げてきます。
自力で戻るしかないんだから、もう全力で走ろう。
エンジンかかるの遅すぎですが、そこから一気に駆け下りました。
実は、私、この何年か、夜間非常に目が見えにくく
ライトの明かりじゃ、凹凸が見えにくいので夜間走行の練習をしていませんでした。
でも、人間スイッチが入ると不思議なもんで 多分ラスト8キロからのトレイルは、とんど見てません(笑)
だからといって適当に走ったということではなくて、
なんかすごいアドレナリンが出て、
方向だけ確認したら、あとは足の裏の感覚で駆け下りていくようなイメージ
と言えばいいのでしょうか?
トレイルの起伏を足の裏で感じながら、どんどん下っていく。
これを「獣」と表現するのがいいのか「忍者」と表現するのがいいのかは分かりませんが、
視覚だけにとらわれない、五感全部でトレイルを吸収し走っている感覚で、
「あーやっぱこの感覚好きだなー」
と、思いもよらないところで、トレイルランニングの楽しさを実感しました。
結局エンジンがかかるのが遅すぎて
20時のゴール制限時間に7分間に合わずタイムオーバー。
7分なんて、全てのエイドを5分づつ早く出てれば・・・とか
最後諦めた場所走ってれば・・・とか タラレバが山のように思い浮かびます。
それに、前文の泥地獄の件ですが、
あんなのだって、7割の人はちゃんとゴールしてるんですから
泥でとか、天候がとか、そういうのは全部言い訳です。
普段ちゃんとトレーニングをしていたら、私はきっとちゃんとゴールしていたと思います。
「トレイルランニングにはマグレはない」
「練習しないと、トレイルレースは楽しめない」
と、常日頃アドバイスを受けているのですが、それは本当にその通り。
これだけ、練習もせず、体重も増加しているのだから タイムオーバーで帰ってこれないなんて当たり前です。
どうしても、みんなが出るというと出たくなったり、
楽しそうだと後先考えずにエントリーしてしまいますが、
自分がちゃんと準備できるのか 山の魅力を充分に楽しめるだけの余裕をもてるのか
ちゃんと見極めてから、レースはエントリーしなければいけないと、心の底から反省しました。
そう・・・ エントリーしたときから徐々に情熱が下がっていくのが私の悪い癖・・・
次こそは、たっぷり準備して、たっぷり山を味わえるように
レースに出るためだけの練習は嫌いだけど
練習しないとレースの醍醐味は味わえないから。
それにしても、ITJボランティアのスタッフさんはみんなとっても親切でした。
どこの誘導員の方も
「がんばって、もうすこし!」
と背中を押してくれました。
ボランティアスタッフさんだけでなく、バスの運転手さんも、 商店街の方々も、とっても新設にしてくれました。
20時に修善寺の街に戻ってきた際、
沿道に何人もの方が出てきてくれていて、 応援をしてくれました。
周りは夜道。 真っ暗です。
それなのに
「がんばったねーお疲れ様ー」
と、応援していただきました。
ほんとうにうれしかったです。
松崎町の皆さん、修善寺の皆さん ITJスタッフの皆さん、
素敵な思い出を、トレイルランニングを見直す機会をくださって 本当にありがとうございました。