UTMFが終わってもう1か月経とうとしているのにまだサポート日記が終わらないというこの事実。。。
記憶が薄れないうちに・・・と言いながら、そろそろ薄れていきそうな今日この頃です。
さて、今回は97.8km地点「富士山資料館A5」からのお話。
エイド間はだいたい20km前後離れている場所が多いのですが、ここは前のエイドから7kmしか離れていません。
なので、選手到着に間に合うように、サポーターも必死です。
駐車場に到着し、サポートエリアで準備をしていると、磯村さんもやってきました。
磯村さんがサポートしてるのは奥様のチエちゃん。
そのチエちゃんと小山田さんが、ほぼ同じぐらいの時間帯で走っているので、麓エイドからほぼ一緒に移動しているような感じです。
磯村さんは国内外のいろんなレースに出ている方なので、UTMFのサポートもお手の物という感じで、落ち着いて準備をしています。
私は、どんな時でもどんなエイドでも、ドタバタと準備をしています。
磯村さんは、自分がサポートしている選手の状況だけでなく他のランナーの通過状況まで確認していて、それから推測するに・・・といったような話をしてくれます。
私は・・・小山田さんの状況を把握するだけで精一杯です。。。はい。。。
A5に到着したころにはあたりは明るくなり、朝露で草木が濡れているような状況でした。
暗闇の中走っていると、疲労と合わさって眠気が襲って来たり、弱気になったりしますが、太陽が出ると不思議なもので、目も覚めるし元気も出てきます。
小山田さんの胃も復活してくれればいいな・・・と思いながら、準備を進めます。
6:24am 富士山資料館A5に小山田さんが、予定時刻から遅れることなく、到着します。
調子を確認すると、やはりまだ胃の調子がいまいちと。。。
これから太郎坊へ向かう長い長い登りになるため、漢方薬の胃薬を渡し、雑炊、フルーツ、ゼリー飲料など、胃に入りそうなものをすすめていきます。
今まで口の中をさっぱりしたいという理由で、柑橘系のフルーツやジュースを口にしていたのですが、炭酸飲料も含め、刺激が強いから優しい飲み物を飲みたいという要求をされます。
それまで雨でかなり濡れてしまったこと、また足への疲労、気分転換などなどいろんな意味で靴を履きかえ、このエイドもトイレ休憩含め20分でoutしていきます。
エイドを出る前に
「次の太郎坊A6まで、かなり長い登りになるから、予想時刻からかなり遅れると思う」
と、少し元気なさそうに小山田さんが言います。
さすがに100km近い距離走っていれば、元気もなくなってきますよねぇ・・・と心配になりつつも、
「予定時刻より1時間早いペースで来ているから、心配しなくて大丈夫だよ。すごいいいペースだよ。」と伝えます。
そして、
「待ってるからね!」
と、大きく手を振ってお見送りです。
その時の私の正直な気持ちは
「うわーー胃がまだ調子悪いのかーーー。大丈夫かなーーー。
危険個所はないから、走ってる最中に怪我するとかはないけど、
ここからずっと登りでしょ・・・
しかもなー、小山田さん太郎坊鬼門なんだよねーーー。
2年前もこのあたりで車内で寝込んでるのよねーーーー。
昨年もこのあたりで1時間近く寝込んでるのよねーーーー。
今年も太郎坊で寝込んじゃうとかあるのかな・・・。
今調子悪いながらもいいペースなのになぁ・・・。
とりあえず太郎坊で何時間でも待とう。
太郎坊にさへ来てくれれば、マッサージでも何でもして、元気になってもらおう。。。」
そんな感じですが、まさか言葉にも表情にも出せません。
とにかく笑顔で送り出します。
さて、、、悲観的になってる時間はありません。
なにか優しいものを食べたり飲んだりしたいと言っていたな・・・
手持ちのゼリー飲料も減ってきたし、ちょっと買い足すか・・・
そう思って検索すると、一番近いコンビニまで車で20分以上ということが判明。
そうそう。
UTMFのコース上、「こどもの国周辺エリア」はなかなかお店がないのです。
遠いなぁと思いつつも、優しい食べ物を求めてコンビニに向かいます。
私もまだ朝ご飯にありつけていず、というよりも、サポーターもご飯をしっかり食べているような時間はなく、移動中にちょこっとパンやおにぎりを食べるか、サポートエリアで選手の食べ残しを食べるといったかんじで、しっかりご飯を食べている時間が無いのです。
何かを食べたい・・・でも、寝てないから私自身も胃がだいぶムカムカして来て、眠気覚ましのコーヒーはもう受け付けない状況。
ようやくたどり着いたコンビニで、優しいミルクティやバナナなど、小山田さんの分と、私の分の優しい食べ物や飲み物をゲットし、さぁ再出発です。
「太郎坊A6」には8:30頃にはたどり付きたいな・・・
と思って車をスタートさせたら・・・
なんででしょう・・・
気が付けば同じところをぐるっと回っている・・・
googleナビ入れたのに、どう考えても同じところを回ってる。。。
これは、何かの呪いか?
まったく太郎坊に向かえない・・・。
まずいと、ブーメランサポートクルーのクボヒデ兄さんに電話。
「兄さん、なんか私、ぐるぐる回ってる!太郎坊はどこなのー!」
かなり切羽詰って連絡します。
サポートクルーはLINE HEARというアプリを入れて、現在位置を方向しっているのでクボヒデ兄さんが速攻で私の場所を確認してくれます。
「そのまま、水ヶ塚に向かえばいいんだよ」
「わかった、水ヶ塚に向かう・・・」
ナビを水ヶ塚にセットし直し、リスタート。
すでに1時間近く迷っていた事実にびっくり。
とにかく急いで水ヶ塚に向かいます。
水ヶ塚のある交差点で、看板を確認。
「新5合目登山口」方面へ車を走らせます。
ぶぉーーーん
エンジンを吹かせて必死に車を登らせます。
早く着かなきゃ!早くしなきゃ!
焦ってるのに、なかなかたどりつきません。
標高が2000mを越えたころでしょうか。
1本の電話が鳴ります。
相手はクボヒデ兄さん。
そしてこう言います。
「松井、どこに向かってるの?富士宮登山口に向かってるよ」
ひょえーーーーーーーーーーー
まじでーーーーーーーーー
どうやら、水ヶ塚のあの交差点で、御殿場方面は右折、富士宮方面は左折だったらしく、そこでばっちり左折したようなのです。
LINEのアプリの位置検索によって、発見された私の迷子情報。
もう、すでに2時間近く迷子になってるので、半べそ。
もぅぅぅぅぅぅどうしたら太郎坊にたどりつくのよぅぅぅ。
心配して見つけてくれたクボヒデ兄さんにも
「もうたどりつける気がしないーーきぃぃぃ」
と、逆切れ(兄さんごめんなさい・・・)
「マツイ、落ち着け、俺向かってるから、良いから落ち着け」
「落ち着けないもん。もう着いちゃうもん。もーーーん」
「車のが走ってる人より早いから」
「小山田さんのが早いもん」
「そんなことあるわけないでしょ、落ち着いて」
「早いんだもんー」
「とりあえず安全運転で向かって」
「うぅぅぅ(涙)」
というやりとりを繰り返し(なんて迷惑な私)
半べそ状態で太郎坊にたどりついたのは、なんと9:20am。
太郎坊は霧に包まれて、少し小雨が降っているような状況。
小山田さん到着予定は9:30.。
サポートエリアには、すでに、小山田さんと順位が近い方々が続々と入ってきます。
霧雨に長時間さらされてるから、温かいものを食べさせてあげたい。
胃に優しいものがいいから、スープを作りたい。
なのに、到着予定時刻まで10分もないから、お湯を沸かしなおす時間もない・・・。
選手エリアにポットはあるけど、あそこでお湯をもらうこともできない。
もーーーどうしよう。。。ってさらに半泣き状態。
明らかに慌てている私を見かねた、サポートエリアにいた友人が
「マツイさん・・・お湯分けてあげるよ・・・」
とお湯をくれました。
(ありがとう、高木君・・・)
9:32am 109km地点
「太郎坊A6」に 小山田さんが太郎坊に到着します。
(ぎりぎりセーフ。あぶなーーーい。)
「ほんとこの区間やばいー」
と言いながら入ってくる小山田さんの表情も、疲労の度合いがさらに高くなっている気がしました。
でも、もうダメだ・・・というような感じはなく、
色々痛いけど、まだまだ行くよ。
そんな感じは伝わってきます。
用意した、スープや飲み物、バナナをちゃんと食べてくれて
すこしほっとします。
いつも通り、ほかのエイドと変わらず、ゴミや補給食のセットをしていくと
「マツイさん、アームがザックに入ってなかったんだけど」
と、小山田さんから衝撃的な申告が。
「え?アーム入れたじゃん、子供の国で・・・」
と言いながら、ザック内を探すも、やっぱり出てこない・・・
あ・・・
もしや・・・
富士山資料館で・・・
荷物入替しながら・・・
わたし・・・
落とした・・・???
「私、富士山資料館で落としちゃった・・・のかな??」
「もーーーーーーー。
なんで毎回忘れたりなくしたりするの?」
そうです、
私の『忘れん坊将軍』っぷりは今に始まった話ではありません・・・
2年前のUTMF。
あの時は麓に小山田さんのウィンドシェルを忘れ、
山中湖キララ出発時に小山田さんのザックのチャックを閉め忘れ、
二十曲峠で小山田さんのザック中身の一部が無くなる(レギュレーションはOKだったけども)事件を引き起こし、、、それに懲りず、昨年の信越五岳では、エイドに小山田さんから預かった荷物一式を忘れるという事件を起こしています。
信越五岳での出来事は、以前ブログに書きましたので、こちらからご覧ください。
「ごめんなさい・・・。
でも、きっと、
ゴールしたら忘れ物預かりのテントに戻ってくるよ!
私いつもなくすけど、ちゃんと見つかるじゃん!」
「そーゆー話じゃないよね」
「はい」
今回も、サポーターが選手に迷惑をかける展開は変わりません。。。
「ほんと、落ち着いてね。」
また言われます。
・・・。
そんなこんなで太郎坊を出発です。
9:50out
太郎坊からすばしりA7までは、下り。
下りが得意な小山田さん。
2年前はこの区間1時間ちょっとで通過していました。
なので、エイドを出ていく小山田さんの後ろ姿に
「すばしりに11時に来てね。11時だよー。待ってるからねー!」
そう言ってお見送り。
小山田さんも片手をあげて、いつも通り出発。
迷子やら落し物やらあったけど
無事に魔の太郎坊を通過したのでした。