さて、今回もサポート日記。今回は
すばしりA7。120.5km地点からの様子をお届けします。
前のエイドを9:50に出発した小山田さん。
11:00に待ってるねと約束したので、私も休憩する間もなく移動します。
途中、同じくブーメランチームをサポートしているみんなにアームカバーを紛失したことを伝え、五味君に山中湖きららA8に届けてくださいとお願いします。
荷物をまとめ、すばしりA7に10:50到着。
今回は特に迷うことはなかったけれど、小山田さんと約束した11:00ぎりぎりになってしまいました。
急いでサポートバックの中身を入れ替え、駐車場からダッシュでエイドに向かいます。
須走は雨も降っていず、このエイドにも友人が応援やスタッフで入っていて、そういった友人と話をすることで、私もパワーをもらえます。
約束の11:00まであと3分。
胃に優しそうな飲み物のストックが少ないことに気が付きます。
すばしりエイドは道の駅のエリア内にあるので、走って売店へ向かいます。
急いで商品を選び、レジに進み、階段を駆け上がるとエイドの通訳スタッフをしていた友人のSTS山登くんが、階段の途中まで降りてきて何か叫んでいます。
「マツイさん!小山田さん到着してるよ!」
えーーーーーもう来たのーーーーーーー!
時計は現在11:01。
サポートエリアで、きょろきょろしている小山田さんを発見。
「ごめんなさいーーー」
今回も謝りながらサポートスタートです。(なんで毎回こうなってしまうんだろう・・・)
なんと小山田さん。すばしりA7に10:59に到着していました。 1分以上お待たせしていたことになります。
1時間で到着するだろうな~とは思っていたけれど、本当に到着したことが、びっくりだし、うれしくて、自分が待たせたことをすっかり棚に上げ
「すごーい!時間通りーーー!はやいねーーすごいよーーー!」
と、声をかけると
「え??・・・あなたが11時って言いましたよね?」
「はい、言いました。11時に待ってるよ、と言いました。」
「ぼく、ちゃんと来ましたよ。」
「はい・・・私遅刻しました。。。怒ってますよね?」
「こんなことぐらいじゃ驚きませんし、怒りません。」
「ありがとうございます。次はがんばります。」
もう完全に、選手とサポーターの会話ではありません。
気が付くと、周りの友人、知人、そしてサポート中に知り合いになった方まで全員笑ってます。
「また松井さん、何かやらかしたんですね。」
みんな、そんな目線で、温かく見守ってくれてます。
気を取り直して、体調の確認を。。。
気温が上がってきたこともあり、脱水にならないかなど心配していましたが、胃も回復傾向。
序盤で痛いと言っていた膝もまだ平気とのこと。
ならば・・・と、カップラーメンでもどう?とお湯を入れ、渡そうとするとカップラーメンの具の半分を床にこぼす私。。。
優しい飲み物買ってきたよ!と手渡すと、コップに入れた1/3をこぼす私。。。
サポートバックの中の荷物を散らかす、私。。。
そのどれもに「落ち着いてくださいね」と突っ込む小山田さん。
もう、まったく癒されないサポーターです。
とほほ・・・な状態で、荷物の準備をしていると、小山田さんが言います。「いよいよ来たね、もう次は山梨だよ。」
「だね、きたね。」
この会話で、なんだか目頭が熱くなります。
小山田さんが生まれ育ったのは山梨県富士吉田市。
UTMFは河口湖をスタートし、静岡を回って、最後は富士吉田を通過し、河口湖に戻るコース。
大好きなトレイルランニングで、しかも100マイルレースで、生まれ故郷を走れるなんてなかなかできる経験では無いし、きっと地元は大きなパワーをくれるはずです。
2年前も本当に体調が悪いのに出場し
「なんとか山梨に入れば、元気が出ると思うんだ」
そう言いながら、エイド1つ1つ越えてゴールに向かったのを思い出します。レース中に何かあったら・・・。
祈るような思いで、いつもエイドで待っていました。
次のエイドで会えるかな?大丈夫かな?なんて心配していた2年前と全く違い、今年は安心してエイドで待っていられます。(安心しすぎて須走は遅刻しましたが・・・)
絶対次のエイドにも来る、そして絶対走り続ける。
そして、山梨に入れば、もっともっと元気になっていくに違いない。
そんな気持ちですばしりエイドから送り出すことができます。
11:16 故郷の富士吉田に向かって出発です。
このすばしりA7から山中湖きららA8の区間もこれまでとコース変更になり、コース変更は大会直前で行われたため未知のルートでした。到着予定時刻どおりなのか、それより早いのか、遅いのか全く検討もつきません。
とりあえず、次のエイドの到着予定時刻まで2時間近くあるので、コンビニで買い物し、駐車場で15分で良いから仮眠したい、、、
そう思って山中湖きららに向かいます。
途中、見た事のある姿が目に入ります。
え?でも、だいぶ前にいたはず、、、
そう、その姿は小川壮太くんでした。
いつもの壮太くんとはだいぶ違って、心底疲れ切っている姿。トップランナーが思い通りに走れない時、特に怪我や体調不良がなくても、DNFする方が多いのに、諦めず、ひたすらゴールへ向かって進む姿は、ボロボロだったけどかっこよかったです。
壮太君、がんばって。
みんな待ってるから。
そういうと「うん」とうなずくだけ。
そのぐらい満身創痍な走りでした。
きらら駐車場に到着し、車内の片付けやサポートアイテムを準備していると、予備のアームカバーを持った五味君がやってきます。
五味君も寝ずにブーメランメンバーをサポートしているので、すっかり疲れ切ってる様子。
ほぼ徹夜状態なのに、今から家に戻り仕事をしなきゃならないと・・・。
眠たくてつらいだろうに、そんなことより
仲間を最後まで応援できずに辛い、みんなをゴールまで連れていきたい。
せめて帰る前に、小山田さんの走りを応援したい。
そんな熱い思いを語ってくれました。
五味君のその言葉に、私も目頭が熱くなります。
A8にもたくさんの友人や知人がスタッフをしていて、サポートエリアに入った瞬間に、
「まついさーん」
と、いろんな人が声をかけてくれます。
そんな中にニューハレ芥田さんと、聖整体院の北原先生を発見。
お二人とも、スタート時間からずっと戦い続けてるので、
やっと山中湖まで来ましたよー!と喜び合います。
13:20 135km地点の「山中湖きららA8」に小山田さんが到着。
このエイドは、選手が到着すると、まず装備チェックが行われます。
必携品を1個1個ザックから出していきます。
携帯電話も電源が入るかチェックしていました。
小山田さんが一言。
「マツイさん、さっきアーム無いって話になった時、ザックの中ちゃんと確認した?」
「うん、したよ・・でもなかったし、落としたと思うエイドにも、どうもなかったみたい・・・」
「本当に確認した?」
「うん・・・ごめんなさい・・・」
「これ、なに?」
今、まさに必携品チェックを行っていたザックの中から、
アームが出てくるじゃないですか!!!
きゃーーー!!!!!
あったーーーーー!!!!!
やったーーーーーー!!!!!!
もう私、大騒ぎで大喜び。
エイド内爆笑。
小山田さん、がっくり顔。
「ね、だから僕毎回あなたに落ち着いてって言ってますよね」
もうそんな忠告耳に入らないぐらい
大喜びの私。
もう鼻歌交じりで、ザックの荷物の入替をしていきます。
五味君がわざわざ予備のアームをこのためだけに届けてくれている・・・
そんな事実を大きく棚に上げて、小躍り状態です。
小山田さんのケアをお願いします。
膝の痛みがずっと心配だったので、
北原先生にしっかりと、マッサージをしていただきます。
それがそれが・・・
北原先生のマッサージは効くんですけど、猛烈に痛い・・・
声がでないぐらい痛いのです。
もう、小山田さん悶絶。
でも、北原先生、その悶絶顔を満足気に見て、さらに強めに愛情注入。小山田さんさらに悶絶。
そして、北原先生のおかげで軽くなった足を
テーピングの魔術師、ニューハレ芥田さんにお願いし、テーピングをし直してもらいます。 疲れもあり、胃が弱ってきている頃でしたが、
ごはん、スープ、ベスパ、ミカンなどを
「もういらない」と言われれても「いいから食べて」と口に押し込みます。
もう、この辺まで来ると、嫌だと言われても、食べさせないと走れなくなってしまうので、私も心を鬼にして食べてもらいます。 13:47 マッサージと着替えをしたのでいつもより長めの休憩をし、山中湖を出発していきます。
その後、サポート禁止エリアである、二十曲峠A9を経て、最後のサポートエイド富士小学校になります。
エイドを出発する際、エイドスタッフが全員拍手で
「いってらっしゃい」
と言ってくれたのが、なんだか温かく、戦う背中に向かって送るその拍手は、なんだか選手の背中を押しているようでした。
そして、私も次が最後のサポートエイド。
絶対に小山田さんは来るし、絶対ゴールに向かうから、少しでも力になれるように頑張ろう。
改めて気持ちを引き締めて、山中湖を出発しました。
いよいよサポート日記もそろそろ終わりになります。。。