お久しぶりです。
松井です。
実は、ブログに載せたいな・・・と思う記事は多いのです。
で、書き始めるんですが、完成せずに「下書き保存」でたまっているブログが多く、
すでに10本近いブログが中途半端にたまっています。
ご無沙汰しております、マツイです。
さて、そうは言ってもブログを復活しようと思いまして・・・
この時期と言えばハセツネでしょう!ってことで、ハセツネの話を。
実はこのブログで以前もハセツネの話を書いてます。
もしよかったら、そちらもご覧ください。
今回upするのは、2013年に私が実際ハセツネに出場した際に、facebookでupしたレポートの再アップです。
当時はMMAブロガーではなかったので、ハセツネを走った完走等をすべてfacebookに掲載していました。
なので、当時から私とfacebookでつながっていた人は、1度見たことある記事だと思います。
また、サブ10狙いの方には全く役に立たない、16時間~24時間で完走しようと思っている方向けの内容ですが、今年初めてハセツネに出るという方もいると思いますので、参考にしていただければと思います。
コースは2013年から変わっていませんが、2013年から装備(ウェアやザックなど)は格段に性能が上がったと思います。
ジェル等の補給食も種類が増えましたので、その辺は過去の情報として見ていただき、2017年のハセツネに向けて、イメトレ代わりに使っていただけたら幸いです。
先に言っておきますが、驚くべき長文なので、見ていただく方は、
心してご覧ください(笑)
*****************2013年ハセツネ出場レポ*****************************
今年21回目を迎えた伝統あるハセツネに、今回うっかりエントリーしてしまった
下々市民ランナーの私が、今後ハセツネを目指す方の為にレポートします。
相変わらずものすごい長文になります
ちなみに、私のゴールタイムは16時間42分。
なので、トップランナーの方には一切参考になりませんのであしからず。
大会当日、気温がかなり高かったので、持って行った水分は3リットル
ジェルはハニースティンガーを20本、べスパ8個、グミ2袋、塩熱サプリ15粒
それ以外にストック、ウィンドシェル、ライトなどで、ザックの重量は5キロ以上あったはずです。
まず、開会式直後、なだれのように、自分の予測タイムごとに整列させられます。
スタート直後の大渋滞を予想して、皆さん自分のタイムより前に並ぶ方が多いですが
10時間でゴールを目指す集団にでも入らない限り、猛烈な渋滞に巻き込まれます。
私は12時間で完走組に整列したのですが、スタートから醍醐丸まで上り箇所はほぼ渋滞になり思うように進めません。
特に入山峠付近はかなりひどい渋滞。
なので、たとえ5mでも走れる平坦な道がきた瞬間、一斉に走り出します。
コースもスタート直後は舗装路を進むものの、その後はほぼシングルトラック。
トレイルレースにありがちな、林道が永遠と続く・・・といったようなことはありません。
さて、12時間で完走組に入ってしまった私は、サボることが許されなくなります。
登りはガシガシ登る、下りと平坦になったらとにかく走る、ちょっとの登りなら根性で走るの繰り返し。
これで最後まで持つのか?と思いながらも、どうせ急坂の登りになったら停止を余儀なくされるのだから行くしかない・・・
そんな気持ちでとにかく進みました。
ようやくきつい登りが終わりに差し掛かったころ、
「おつかれさまでーす」の声が聞こえてきます。そう、醍醐丸です。
醍醐丸入り口でお兄さんがゼーゼー言いながら登ってくる選手全員にハイタッチ&声がけをしてくれてました。
こういうのがすごいパワーになります。
でもお兄さんは「おつかれさま」の言葉に付け加えて言うのです。
「はい、ハセツネはここからだよー」
えーーーーーーーーーーーーーー!えーーーーーーーーーー!
心の中で叫びました。
ここまでだって相当きつい。普通のレースなら、この山が一番のピークって言われてもおかしくないぐらいキツイ。
なのに、ここからーーー!!
でも醍醐丸には応援に来てくれていた方が沢山。
お友達の顔もちらほら。
ここでヘタれない・・・そんな思いで余裕風に通過(笑)
なんとか日が落ちる前に第1関門の浅間峠にたどり着きたい。
そんな思いでとにかく走ります。
このあたりから既に、コース脇に座り込む選手がチラホラでてきた。
えーまだスタートから10キロちょっとでしょ・・・もう座り込んじゃうの?とびっくり。
日没前に浅間峠に着くのは不可能だという事実にあっという間に気づかされ、泣く泣く途中でザックからヘッドライトを出し装着。
私が準備している間に、続々と追い越される。
ようやく準備して、コースに戻ると、明らかに今まで走っていたペースより遅い集団に入っていることに気が付く。
このペース、心地いい。みんな無理してないから、今まで絶対に走っていたような緩やかな登りだって、みんなしっかり歩いてる。
このペースいい・・・・・のか・・・??
これっていつもの「登りきついから歩いちゃえ★」モードじゃないの?
このペースで行ったら、結局いつもと一緒じゃない?
そう奮起して、意地で走る。とにかく追い越す。
でもって気が付けば最初自分がいた組までもどってきていました。
と、いうことは、ガシガシ登って、とにかく走る。
ふと頭の中ではずっと同じ言葉を唱えていたのです。
「とにかく走り続けられるスピードで」
これは、ハセツネの2週間前に小山田さんといつものELK湯村山トレーニングの際に
「ぜったい歩くな鬼トレーニング」をしてもらった際、がんばれば走れるところを、必ず歩く私に言ってくれた言葉。
そうだ、無理して走り続けるんじゃない、自分が走り続けられるスピードで、走る区間を少しでも延ばせばいいんだ!と気が付き
みんなが歩き始めても、リズムを崩さず走り続け、なんとかかんとか走り続けました。
ようやく浅間峠に到着。
スタートから20キロ程度なのに5時間もかかり、疲労もとても20キロとは思えないほど。
応援の人が多いのは予想していた。夜間は知ってきたから、関門の柔らかなライトもうれしい。
しかし・・・しかし・・・なんなんだ・・・この人の多さ・・・・
私が到着した18時の第1関門は、何かのお祭りですか?ってぐらいの人、人、人。
お祭りと違うのは、みんなブルーシートの上で無言で体育座。
応援してくれる友達の姿を見つけ必死に笑顔を作るものの、座り込んでる大量の人を見て、今後がさらに不安になる。
私も座ろうかな・・ちょっと思ったりもする。
でも、この第1関門、関門なだけで何にももらえない。
いつもあるはずの水もないし、バナナもない。わかっちゃいたけど、その事実がつらい。
エイドがあるありがたみを切実に感じる。
とりあえずトイレへ・・・と思ったら、あらビックリ長蛇の列・・・明らかに15分以上待たされそう。
このドヨーンとした空気のエイドに、夜で気温も下がっているのに、15分停止したら、私確実に、嫌になる!!
正直お腹を下し気味でギュルギュルいってる状況だが、お腹のものは、三頭山非難小屋まで持っていこう。。。
でも我慢できなくなったらどうしよう・・・
いや、もうその際は仕方ない・・・とにかく抜け出そう・・・
気持ちを入れ替えることも、お腹の調子を戻すことも、疲れを取ることもできず、ハセツネのボス三頭山へ向かったのです。
やるせない気持ちと、疲れ果てた気持ちで進むと、第1関門を過ぎたばかりなのに、やたら賑やかな声がする
「ヘイヘイヘイヘイ」
なんか変な掛け声・・・
「いいよーいいよー」
やっぱりへんな掛け声・・・でも聞いたことある声に似てる・・・
「足、動いてるよ、いい足さばきだよーまだまだ行けるよ~」
この変な掛け声、うっすら郷ひろみ風・・・絶対五味君!!
私が気が付いたのと同時に、男子4名が私に気が付く。
そう、まさかここで出会えるなんて!
ブーメランの4名が応援にきてくれていたのです。
小山田さん、ポルシェ、クボヒデさん、五味君の顔見た瞬間、
驚きと、安堵と、疲れと、不安が一気に噴出して
「わーーーーーーーーーーーーーん」
と思わず号泣。
めっちゃ汚い泥だらけの手で、手を握り締めて号泣するもんだから、この人絶対にヤバイと思われたらしく
「きついよぉ」と弱音を吐くも
「泣くな、ここからだから、とりあえず行け!」
と、突き放され、うぅぅと泣きながら、止まってしまいたい気持ちを抑え、先に進みました。
たった20キロとは思えない、この辛さ。
第1関門を過ぎてからは、コース脇に座り込んでいる人の数が、どんどん増えていく。
暗がりで、ヘッドライトの灯、座り込む男子、急な登り坂、座り込む男子、平坦な道、倒れこむ男子・・・
進めば進むほど、座り込み男子が増え、座り込みから倒れこみ男子へ変わっていく様は、異様な光景。
さすがに女子は夜間のトレイルで座り込みは怖いからしないよね・・・って思っていたら、女子だって座り込んだり、寝転んだり、
サバイバルシートに包まってる人はまだ良いけれど、こんな夜に、こんなところで、そんな姿でねたら低体温になるのでは?
と、みてるこっちが不安になるぐらい、バタバタ倒れてる。
普段なら「大丈夫ですか?」と声をかけるけど、私自身にも余裕がなく、声もかけられない。
笛吹峠についた頃には、これまでのトレーニングの甘さに後悔するばかり。
半べそ状態は変わらず、止まらずに進む。
この区間は走りやすい道。だから歩くことが許されない。
木の根に足を取られ、なんども転びそうになる。
「走り続けられるスピードで」
念仏のように心で唱えながら、なんとか西原峠に行きたい。その気持ちで進む。
西原峠は去年ボランティアを担当したときに、待機していた場所。
西原峠から、数馬のリタイアテントへ何人もひきつれて、何度も下山したな。。。
西原峠すぎてすぐの槇寄山からみた星がきれいだったな。
懐かしい景色を見ればこの折れた心も復活するかも。
かすかな期待をもって、ボロボロのまま西原峠に到着。
ここまでで既に水分は2リットル消費。残り1リットル。
暑かった、心拍があがりすぎた、原因はいろいろあるけど、3リットル持ってきて良かったなぁ・・・と痛感。
荷物を入れ替えながら、少し座って、懐かしい景色で栄養補給。
みんなこんな辛い思いしてここまできて、耐えられなくてリタイア決めたんだな。。。
そう思うと、去年リタイアした人たちにもっと優しくすればよかった・・・と反省。
倒れこむ人が続々と増えてきて、ボス三頭山まで確実に近づいていることを実感しつつも、まだ30キロ程度しか進んでいない事実に愕然としつつ、進み続ける気持ちもだんだん失せてくる。
「進み続ければいつか終わるから」
ハセツネの前日ELKで、真太郎さんと小山田さんと3人で話したときにそう励まされたな・・・
進みながらいろんなことを思い出す。
が、しかし、ボス三頭山。
半端なくきつい。登っても登ってもたどり着かない。
ヘッドライトの灯がずーーっと続く山を見上げ、あそこまで行くの?と心が折れる。
きつい登り、倒れる人の繰り返しがどんどん続く。座れそうな切り株には大概人が座ってる。
自分もいつああなるんだろう。。。動けなくてとまってしまったらどうしよう。。。
「三頭山非難小屋です~」
というスタッフ女性の声で、少し生きかえり、やっとトイレについた・・・と安堵(笑)
だけど山の中のトイレで当然明かりはなく、水もなく、待ってる人もいて、ゆっくりもできない。
もう、この腹痛はゴールまで持っていこう・・・と心に決めて、三頭山へつづく最後の登りへ
しかししかし、のこり600mのはずの登りがとにかく長くて付かない。
木段を一段一段のぼりながら、なんて長い100mなんだ・・・とぼろ雑巾のようにベタベタとのぼり、
それでもまだつかない、本当にしつこいぐらいつかない。
苦しみ苦しみ苦しんでようやく三頭山山頂へ到着。
山頂で息も絶え絶え・・・
ボス強すぎだろう・・・
倒れこみたい気持ちを抑えて、第2関門へ向かいます。
ここから第2関門の月夜見までは下り基調のはずなのに、どんだけ??ってぐらいたどり着かない。
このあたりで眠くて眠くて、うとうとしてしまい、まともに歩く事すらできなくなっていました。
アスファルトに出て、あぁ後もう少し・・・と思ったら、またトレイルに戻され・・・またアスファルトにでて・・・
ようやく月夜見に到着したのは、なんと深夜の11時。
第1関門を突破してから、5時間、スタートから10時間も山の中をさまよっていたことになります。
月夜見では、ようやく給水がうけられます。
しかもここには、ニューハレ芥田さん、べスパ齋藤さんがいるはず!
到着したとたん、芥田さんのはじけるスマイルと、水とポカリに癒され、一安心。
はじめて心が落ち着けた場所でした。
(齋藤さんにはタイミンク゛悪く会えず・・・残念でした;;)
月夜見駐車場に敷かれたブルーシートの上には、サバイバルシートに包まって寝ている人がものすごい沢山。
みんな無言で給水をうけて、うなだれていて、補給食を摂取しているのは、私と数人しかいなかった気が。。。
食べれない、飲めない、走れない、つらい、みんな意気消沈・・・
ここで知り合い何人かがリタイアを決めたことを知り、また深夜でどんどん冷えてくる気温に恐怖を感じ、ここに長く休んでいたら駄目になる・・・と、次の関門に向けてスタートしたのでした。
ハセツネのボスは三頭山。
でも真のボス、大ボスは御前山。
そう、スタートから40kmをすぎて、ヘロヘロ状態で大ボス御前山に向かわねばなりません。
最初で最後の給水ポイント、月夜見は42キロ
残り29キロ。
月夜見から出てしばらくは、あまりアップダウンのない道を進むので、ここでタイムを稼がなければいけないことはわかってるのに足が出ない。
レース開始から初めて走れる箇所を歩いて進んでしまいました。
これじゃ駄目だとわかっていても、走り出す気持ちになれない。
遠くから、鹿の鳴き声が聞こえる
月も星もきれい
でも・・・眠い・・・・
御前山へ向かう長いのぼりが始まった頃から、眠くて眠くて目が開けられない
止まったら終わりだと思うから、進み続けるものの、ウトウトしてしまう。
レース中にこんなに眠くなった経験がないから、目を覚ますようなアイテムをひとつも持ってこなかったことを後悔する。
足の痛みより、疲労による眠気の方が遥かに辛い。
永遠続く登り、前方の選手のヘッドランプの連なり、加えて今までにない険しい登り。
大きな岩を何度もよじ登らねばならにので、そのたびに足へダメージがくる
ストックが邪魔に感じる。でも片付けるために止まるのも面倒くさい。
時計を見るのも、ライトを直すのも何もかもが嫌。
後ろからくる男性のランナーが、急な上り坂に来るたびに
「はーーーーーー」
と、大きなため息をつく。
やめてくれ、こっちも気がまいる。私だって辛いよ。
とにかく気持ちがひねくれる。
ウトウト状態で登っていたら、大きな石に気が付かず、ひざを思いっきり強打
「いったーーーーーーーーーーーーーーー(痛い);;」
と思わず大声で叫ぶと、目の前の男性が
「松井さん大丈夫?」
と声をかけてくれた。
そこで初めてチームELKの仲間、塩澤さんが目の前を走っていたことに気が付いた。
この出会いが私を救ってくれました。
きつい登り、何度も塩澤さんに引き離されるも、その都度
「松井さん大丈夫??」
と、大きな声で叫んでくれる。
「駄目なんです。先に行ってください」と言う私に
この先の道のりについて教えてくれ、励まし続けてくれたのです。
もう一生着かないんじゃないかと思った、御前山山頂にやっと到着。
あんな岩の登りを上がってきたのに、頂上はやさしい雰囲気で、なんか別の山みたい。
先についていた塩澤さんが、自分の座っていた場所から立ち上がり
「松井さん座りな、ちゃんと補給しよう、あんまり休まないで先進もう」
と、フォローをしてくれつつ、この先の道のりや、次の休憩ホ゜イントなど、細かくアドバイスをくれ、
ヨタヨタのおばあちゃんのような私の背中を押してくれました。
大ボス御前山に別れを告げ、
ココからは下りだぞ~♪なんて気持ちになるかと思いきや
まったく喜べないぐらい段差の激しい下りが続き、何度も転びそうに。
「集中だよ、集中!ここまで来て捻挫でリタイアなんて嫌でしょ!」
塩澤さんに何度も声をかけてもらう。
膝が悲鳴を上げるほど急な下りを、集中力を切らさずに、リズムを崩さずにひたすら下る。
大ダワに到着。
ここが第3関門なのでは?と思うぐらい、やさしい灯と、柔らかなポイント。
テーブルと椅子と暖かい光。
飲み物も食べ物も貰えないけど温かい雰囲気に癒される。
スタートから50km。
第3関門御岳山長尾平まで、あと8km。
第1関門すぎてから、1kmづつが本当に長く感じる。
だからこそ、応援の声や山間部のスタッフの姿が力をくれる。
第3関門の御岳山に到着。
神社で冷たい水を頂き、ここで待っていてくれた池田さんに精一杯の笑顔で撮影してもらう。
久々のアスファルトの下りに、足が悲鳴を上げつつ、スタート以降初めて見た民家にほっと安心したり、
御岳に数件ある宿の
「歓迎山ガールご一行様」
という看板に、誰が泊まったんだろう?なんてちょっぴり笑わせてもらったり、、、
今までのまったく余裕のない状況から、街並が心を回復させてくれて、痛む足を進ませてくれる力をくれた気がした。
ようやく第3関門の長尾平に到着。
笑顔で明るい声で恭子さんが「ゆみちゃーん!」って迎えてくれたのが、本当にうれしかった。出発する時も背中に向かって「頑張れー!」って大きな声で見送ってくれた。
あとゴールまで13km
ここまで来たら、参加してるランナー全員どこかしら痛みを抱えてる。
あとは気持ち。
気持ちで走り切るしかない。
いや、むしろ今まで走りきれなかった分を今からの13kmで出すしかない。
そう思って第3関門を出発しました。
のこり10km。
まだ太陽は昇らないが、スタートから14時間半。
ここまで約10時間、夜間走っていたことになります。
ヘッドライトはもう切れてしまい、ハンドライトのみで進むことに。
そんな不便な私を心配して塩澤さんが自分のハンドライトで私の足元を照らしてくれました。
日本山岳耐久レースは、他人の力を借りずに、自分の力のみで進むレースだと思っていたけれど、
スタッフの姿、応援してくれる友人の声、ランナー同士の励まし、誘導の看板、
決して1人じゃなく、大勢の人に支えられて走らせてもらっているんだな・・・と心から思いました。
もうきつい登りはないものの、日の出山山頂へ向かう石段は、後半にきてかなり体力を削ります。
「800mで山頂ですよ」
と言われるが絶対に800mじゃないと思う。
息ぜーぜーで石段を登ると、寒い暗がりに見たことある顔。
「ゆみちゃーん!良く来たねー」って声をかけてくれる。
野口さんが笑顔で迎えてくれて、沢山励ましてくれて背中を押してくれる。
何とか登りきると、今度は小田切さんと美智子ちゃんが山頂で迎えてくれた。
美智子ちゃんが厚いダウンのような上着をきていて、ここで待って応援するって大変だっただろうな、、、
「応援する側も耐久レース状態」なのに、改めて気が付く。
野口さん、美智子ちゃん、小田切さん、みんなスタート会場で応援してくれていた。
日の出山で本当にきれいな東京の夜景を味わいながら、
日の出山で日の出鑑賞にならずに済んでよかったのか、残念だったのか、
でも、きっと今日みたいにきれいな夜空の日は、夜景を見れて良かったんだろうな~なんて干渉に浸れる余裕もできた。
日の出山を越えたら、金比羅尾根をただひたすら走るだけ。
あと10キロしかない。下りと平坦ばっかり。
あと10キロ。
普段なら1時間もかからないのに、濡れて粘土質の地面に足を取られて、転んだり、尻もちをついたり、
木の根に引っかかったり、最後の最後までまったく気が抜けない。
ついでに言えば、この区間の5キロが本当に本当に長く、進んでも進んでも65km地点看板が出てこないのです。
今までより、高低差はないから楽なはずだけど、下りの斜度がないということは、走らされることがなく、自分が足をひたすら運ぶしかないのが長く感じる原因だと思いますが、とにかく長いです。
私の場合、そのひたすら続く長い長い尾根を、塩澤さんと話をしながら走れたことが本当にラッキーでした。
人と話をするって本当に気持ちが軽くなる。
がんばろう、足元注意しよう、集中しよう、声をひたすら掛け合い進み続けます。
この区間は、座り込んでる人は少ないものの、走れずに歩きまくってる人は多かったです。
私も両足首に激痛が出て、こんなとこで負けてたまるかという気持ちで進みました。
やっとアスファルトに出た瞬間、私はもう興奮状態。
ラスト2キロ。
今までの状態がうそだったかのように、体が軽くなり、どんどん進める。
やっと終わる。
もう終わる。
もう終わってしまう。
とりあえず絶対に歩かないで全力でゴールしてやる!
あのゴール前のあの瞬間、朝のさわやかな空気に包まれて、出し切れる力を全部だして
ゴールに向かっていくあの感じ、本当に本当に格別なものでした。
御前山から一緒に付き合ってくれた塩澤さんとゴール。
私の16時間の旅が終わりました。
ゴールすると、待っていてくれた友人、仲間の姿がチラホラ見えて、それも幸せでした。
壮太くん、キクリンから完走を褒めてもらえたり、ゴール会場に続々と入ってくる友人の姿に感動したり。同じ苦しい道を完走した同士、なんとなく結束が強くなります。
ハセツネレポおわり
今回、ハセツネを完走するにあたり、良かったことと悪かったことです。
あくまでも私の個人的な感想です。
■ハニースティンガー
私はレース中、ほぼ90%ジェルでいきます。
ジェル以外のものも、ベスパのりんご味のゼリー飲料とグミぐらいで、グミも本来ならいらないけど、持っていくジェルの本数を減らしたくて、仕方なく使った状態です。
色んなジェルがありますが、私は完全にハニースティンガー。
味はバニラとチョコ以外ならどれも好きなので、色んな種類を沢山持っていきます。
燃費が悪いので、1時間に1本は絶対に必要です。本当は45分に1本が調子良いです。
走れてようが、走れてなかろうが、絶対にたべます。
ジェルが入らないという方もいますが、私はハニースティンガータイムだけを楽しみに後半は走ってます。
好きなものを食べられるというのは幸福なことです。
ロングトレイルだと、みんな食べられなくて苦労するようなのですが、
私は徹底して時間を決めて食べ続けていけるので、そういった点ではラッキーだなと思います。
■塩熱サプリ
今年は特に暑かったので、スタートから10キロぐらいで足のツリを感じ、そこから焦って2粒ボリボリ摂取。その後は30分〜1時間に1粒食べるようにしました。
ロングトレイルのコンディション維持には必要だなと、あらためて思いました。
■ベスパ
ジェルと同じく定期的に取るのですが、特に三頭山、御前山に立ち向かう30分ぐらい前に摂取して、登り坂でパワーもらいました。
■水分
これがスタート前に1番問題でした。
正直皆悩んでいました。
私は時間がかかるのがわかっていたので、3リットルもってスタートしました。結果的に、補給が受けられる月夜見で残量350ml
月夜見で補給受けられる量は1.5リットルなんで、後半も水切れで不安になることなく走れました。
持って行った内訳は
MUSASHI 500ml
コーラ 500ml
アミノバリュー 1.5L
オレンジとアップルジュースを混ぜたもの500ml
です。
最後のオレンジアップルジュースは、そもそも2.5Lしか持っていかないつもりだったので、スタート前の暑さで急きょ会場の自販機で手配。もう、水やスポーツドリンク類は売り切れで何もなかったので、なくなくオレンジとアップルを買って混ぜたのですが、これが美味しかった(笑)
西原峠でこのジュースがかなり救ってくれました。
ジェルもそうですが、美味しいものは力をくれます。
あと、初めてボトルからビヨーンってストローが長く出ているやつを使ったのですが、これ、超いい!胸ポケットにいれておけば、手を使わずに水分補給ができます。長い下りの最中、目線を変えずに、手を使わずに補給できたのが良かったです。
■ストック
持って行くも、持っていかないも自由ですし、持って行くととうぜん荷物になりますが、絶対にあった方が楽です。登りも下りも体を支えてくれました。
■ニューハレ
膝、ふくらはぎ、太もも、そして痛めていた足首と、ありとあらゆるところに使いました。
おかげで大きな故障が出なかったと思ってます。ニューハレを膝にするようになってから、膝の痛みが出なくなりました。
■ライト
夜間を長時間さまようのでライトは必須ですが、私は持って行った電池がだめだったのか、ヘッドライトの電池は2回交換するも、月夜見あたりで電池切れになってしまいました。ハンドライトがあったので助かりました。
ハンドライトの方が足元をしっかり照らせるので良いのですが、ストックと共存が難しいので悩みどころです。
■試走
私は今回試走ゼロでした。
去年スタッフだったので、金比羅尾根からゴールまでの看板を付けたその区間は分かるけど、あとは西原から数馬のリタイア道しか知らなかったのです。
これはかなりダメでした。
ハセツネ、絶対試走必要です。
せめて、三頭山や御前山は一度行っておいた方が良いです。
行けないなら地図は完全に頭の中に入れておかなきゃダメです。
不安になるし、戦略がたてられません。
■事前の準備
1ヶ月前に八ヶ岳スーパートレイルで100キロ走っていたので、その疲労や痛みを取ることの方が大変で、走り込みは出来ませんでした。
ただ、甲斐駒ケ岳、権現岳に登れたことが、かなり力になったと思います。
岩場の鎖などを体験して慣れておく、急な登りで気持ちが折れることを知っておくなど、自分の弱さをしれたからです。
あと、レポにも書いたとおり、小山田さんにしてもらった絶対に歩くなトレーニングはなかり力になりました。
トレーニングをしてもらった日は、それでも歩いてしまって、ダメでしてが、それでも別日に1人で行ったときに、全部走って回れたのが大きな自信につながりました。
ということで、、、
長いレポートは終わりますが
よく来年は?と聞かれます。
今のところ、出れないなと思ってます。
自分の弱さ、力がわかり、この状態で出たらダメだな、、、と。
もし、今後トレーニングを積んで、もっと走れるようになって、改めて挑戦したい!という気持ちになれるように準備したいなと思います。
よく、
「ハセツネはずーっと歩いていればゴール出来るよ!」
と言われますが、あれはウソです。
24時間歩き続ける方が根性いります。
私16時間でしたが、あれ以上長い時間山の中をさまようなんて、辛すぎると思いました。
だから、20時間を越えてゴールしてくる人に、よくリタイアしなかったな、すごい!って本当に尊敬しました。
そのぐらい長くて辛い道。
でも病みつきになる道。
皆が目指す理由がわかった、大きなレースでした。