ぼーーとFacebookやインスタを見ていたら
圧倒される景色の中を走っている姿がupされていた。
だーーんと広がる緑の草原。
美しい青空。
その草原の上を人が走っていて、よく目を凝らせば、先のその先の方まで
豆粒のように小さいけどランナーがいる。
とにかく美しすぎるその光景に目を奪われた。
そして、その写真や動画をupした友人がみな
「こんなトレイル、日本じゃここだけ。絶景すぎるよ」
と言っていたのが印象的で、
あぁ、絶対ここに行こう・・・と思ったのが、2017年。
そう、昨年のお話。
そこから1年が過ぎ。
やっとたどり着きました。
『 阿蘇ラウンドトレイル 』
MMAブロガーも何人か参加してるので
(すでに朽見さんとナミネムさんがブログ掲載済)
底辺ランナー代表として阿蘇ラウンドトレイルの魅力をお伝えします(笑)
阿蘇ラウンドトレイル(以下ARTと記載します)
私にとってのARTは・・・この1枚。
Photo by T-mountain 菅ちゃん
題:雄大な自然のもとで転がる死体
ちなみに、一番手前で転がる死体が私です(笑)
絶景に圧倒されながらも、
晴天すぎる天候は、普段なら嬉しいけど、
広大な草原には木が1本もなく、日陰もない。
スタートから日没の7時まで、すべての選手が暑さとの戦い。
脱水症状からくる様々な体調不良に、前向きな気持ちなんてボッキボキに折られ
「どこまで行けるんだ?ここで終わりか?」と、何度も何度も自分自身に問いかけ進む厳しい時間が長く続き
日が落ちたら今度は、永遠に続くんじゃないか?と思わせるアップダウンの連続。
前半の絶景が記憶の彼方に飛んでしまいそうな、峠越え。
明け方から降り出した雨と風に足元を取られ、走ってるのか転んでいるのかわからない。
それでもゴールすると、すべてのマイナスな気持ちが消えて
「楽しかったなー」と思ってしまうから、不思議でたまらない。
今回の旅で欠かせない人。
アカシさん。
そういえば渋井さんに「アカシさんが・・・」と話をしたときに
「アカシに”さん”なんてつけなくていい!」と言われたことがありましたが、
今回、
(私)飛行機のチケット予約
(アカシさん)心配して確認→松井の予約が完了していないことを確認→アカシさんと一緒に再度チケット手配
から始まり
(私)何もしてない
(アカシさん)レンタカー手配→宿予約→2日前に安くてスタート会場に近い宿に再度予約
大会前日
(私)大会会場でいろんな人とあれこれ話して、ワサワサ動く
(アカシさん)終わるまで待っててくれる
ゴール後
(私)疲れて動けない
(アカシさん)デポバックを受け取りに行ったり、荷物を持ってくれる
などなどなど・・・
今回の阿蘇で絶対に頭の上がらない存在どころか、神になりました。
アカシさん神です。
でもって今回は久々に親友と再会。
ほぼ毎日メールして、電話も1時間以上長話の親友。
相手は勿論“上宮逸子”。
住んでるところが遠いからなかなか会えないけど
阿蘇で久々に会えて、本当にうれしかった。
逸子はかわいくて、強くて、でも弱くて、ほんと大好きな親友。
レース前に親知らずを抜いて、それが結構な医療ミスで
ご飯をちゃんと食べられない時期が続いていたから、すごくすごく心配だった。
だから、元気で良かったなとか、でも無理しないで欲しいなとか気持ちは複雑。
それと・・・
私は練習嫌いで、全然練習しない事が有名ですが(←本来こういう人はレースに出てはいけない)
2月、3月、4月と本格的に体調を崩し、ほぼ寝ている生活だった為、
「走る」こともおろか、「外出する」ことも不可能な日が続いていました。
それを知ってる小山田さんがUTMFで疲れているはずなのに
ART出場の私の為に、色々と練習に付き合ってくれただけでなく、
自分のアイテム(ウェアとか携帯トイレとかライトとか色々っていうかほぼ全部)を貸してくれました。
これも、どっちかって言うと、
「あなた、絶対、レギュレーション忘れますよね」という、心配?不安?からの行為なのですが、
私からすれば、お守りを沢山あずかったようで、心強くてとてもありがたかったです。
レース前日
エントリー受付も装備品チェックもガイダンスも前日のみなので、前日に熊本入り。
明日はレースだけど楽しまなきゃ損なので、空港そばのお店で、熊本名物「馬肉」とビールで乾杯。
会場に着くとUTMFで長時間サポートを共にしたAnswer4コバくんが出店してたので、ここでも一杯。
レース前だからビールはやめようと思ってたけど、ここまで来たら特に関係ない、、、
(要するに意志が弱い)
装備品チェックを終えると
腕にこんなものを巻いてくれた。
なんかちょっとテンション上がる。
お夕飯は阿蘇の郷土料理。
ここでは流石にビールは飲まない。
(今更な気もする)
お味噌とお醤油の味が甘くて、食べなれていないから、最初の一口はなんとなく違和感。
でもこの優しい味に癒されて、おいしさがしみわたってきた。
マスラオさんに教えてもらって、美味しいお店でご飯。
思い出せば、もう羽田空港からマスラオさんにお世話になっている
レース当日
スタート会場とゴール会場が違い、また選手用駐車場が離れている為、バスで移動。
7時スタートだけど、バスの最終出発は5時15分。
ようやく日が出てきたけど、まだ寒い中会場にてスタートを待つ。
会場には友達がたくさんいるけど、いつものレースよりは少ない。
やはりここは九州。
関東の参加者は少なく、ほとんどが九州と関西の方ばかり。
でも、参加してる関東勢は全員キャラが濃い(笑)
阿蘇市長のオリジナルソングの熱唱(←本当にすごい熱唱)、国民的アイドル「くまもん」の登場を経て、スタート。
スタートして早速大渋滞発生。
でもこの先109㎞も走ると思えば、全く焦らない。
阿蘇の街並みを抜けて、せっせとカルデラの上へと向かう。
なかなかの急坂だけど、登ってしまえばびっくり。
みんながSNSで見た阿蘇の絶景が広がる。
もう、すごい!という言葉しか出ない。
とにかくとにかく美しかった。
しかし、この美しい草原地帯にはエイドは無く、エイドの為にこの美しい草原を下り、街に行かねばならない。
街に降りたら、今度はまた、美しいカルデラの上に行かねばならない。
もう、エイドなんて行きたくない・・・そう思うほど、カルデラの上り下りトレイルは斜度がきつい。
この美しい草原地帯は普段は牛の放牧をしている「牧野(ぼくや)」さんが管理しているところで、このレースの為だけに開放されています。
よって、普段登山道(トレイル)は無く、このレースの為に作ったトレイルと牧野さんの車が通る道しかない。
このレースの為に作ったトレイルはどこも傾斜が急で、九十九折の道も急。
牧野さんの道は固いアスファルトと埃っぽい砂利道。
景色は良いけど、基本固くて急なトレイルを60㎞程すすむ。
練習してれば、この最初の60㎞がとても走りやすく、とにかく走れるトレイルと言えるのだが、
私のように練習してない人間にとってはきつい。
とにかく足を使わなきゃならないから。
ましてやこの日、好天に恵まれすぎて、脱水症状で頭痛と眠気が収まらない。
もう、どうせタイムは期待できない。
最初からタイムなんて考えてもいない。
目指すは完走。
完走となれば、やり方はいつも同様。
登りは歩く。
平坦と下りは走る。
どんなに遅くてもあきらめずに、ひたすらこれを繰り返す。
100㎞は良いときもあれば悪いときもあって、諦めなきゃ前に進むし、ゴールは近づく。
痛いところはどんどん変わるし、最終的にはどこが痛いかわからないぐらい痛くなる。
痛みも辛さもその時は1番辛いと思うけど、
結局いつも辛いから、どれが1番かなんてわからない。
痛いのも辛いのも練習してないんだから当たり前。
だから、終わりはゴールで、途中で終えるか終えないかは自分で決めてはいけない。
そう言い聞かせてひたすら進む。
なにより、遠く山梨から、ずっと応援してくれてる人がいる。
私の通過をみんなが応援してくれているのがわかってたから、諦めるわけにいかない。
話が長くなってまいりましたので、結果から申し上げますが・・・
これが関門時間。
そして、これが私が通過した時間。
完走は無事出来ました。でもこの時間(笑)
見ていただければわかる通り、全部関門はぎりぎり。
ぎっりぎり。ほんと、底辺。
AS3のすずらん公園なんて、12分前到着。
関門は全て出の関門だから、12分でトイレも、食事も、水分補給も済ませなきゃならない。
エイドにはあきらめムードの人しかいない。
関門制限時間が迫っている中、この先のコースを思うと、なかなか足が進まない状況だったと思う。
私は、とにかくこの関門を出たい!それしか考えていなかった。
周りの寝転んでる人を見たら、自分も寝たくなるのがわかってたから、とにかく出発することしか考えなかった。
ここに友人の上野がいてくれて、十分に補給できなかった私に、パンやゼリーをくれた。
ゴミを代わりに捨ててくれたりした。上野がいなかったら、ここをパスするのは難しかったかもしれない。
カウントダウンの声が響く中、エイドから進むが・・辛い・・・
暑さ、眠さ、痛さ、辛さ、もうなんだかわかんないけど辛い・・・
私のようにぎりぎりでエイドに到着した人たちが、道路に転がっている。
私は、このエイドで辞めようと思っていた西くんと、同じく関門ぎりぎりで到着したマスラオさんと合流し、
その3人でとりあえず進めるだけ進んで、気温が下がる前に寝よう・・・と牧場脇で横たわる。
それが1枚目の写真です。
眠さの限界、暑さの限界、体力の限界・・・
もうとにかく休みたい・・・
15分ぐらい寝ていると、やってきた・・・
そう、スイーパー。
エイドにいた人数、道の脇で寝ていた人の人数、追い越した人の人数・・・
え?こんなに早くスイーパーに捕まる??
正直信じられない気持ちだった。
聞けば、後続はみんなリタイアしましたよと。。。
スイーパーに捕まったら、もう、逃げるしかない(笑)
ここからはもう鬼ごっこのように、スイーパーから逃げる(笑)
これ、公式カメラマンの小関さんが撮ってくれた1枚。
凄い楽しそうだけど、実はスイーパーから逃げてるところ(笑)
先頭はマスラオさん、次が私、その次が西くん。
3人で気がついたら最後尾ってことに驚き逃げるの図。
とにかく誰かを越せば、自分が最後尾じゃなくなるから、こすまで走る。
1人だとその人辞めちゃうかもしれなかいから、2~3人追い越すまで走って逃げる。
逃げながら思う。
こんなに走れるなら、最初から走ってればいいじゃん・・・と。
もうやめたい・・正直何度も思った。
足が痛すぎて、どこが痛いんだか全然わからないぐらいだった。
AS4の高森町民体育館。
ここではドロップバックを受け取れるのはわかっていたし、ゆっくり休めば回復するかも・・・って思っていたけど、
エイドへの到着時刻が遅すぎて、全然休憩する時間がない。
この先のASはリタイアしにくいらしいという噂を聞くと、もうここでやめた方が大会にも迷惑かけなくていいかも・・・とすら思う。
でも、AS4にはAnswer4のコバが待っていてくれて、
私が到着するなり、飲み物や食べ物を持ってきてくれ、ドリンクの補給もしてくれる。
辞めようと思う・・・って言おうと思ってエイドに着いたのに、コバがどんどん準備してくれるから、
辞めたいって言いだせない。
コバに「私、ここでやめたいって思って、ここまで来たんだけど・・・」と言うと
「やめさせねーよ」と一言。
その一言で、ほぼ諦めモードだった気持ちをリセットして、
どうせ動くのがのろいんだから、エイドでこんなに休んじゃだめだ!と、再出発。
そうだ、諦めないって約束したんだから、諦めちゃいけない。
動き続ければゴールは近づく。
そう思いなおして、もう一度前を向く。
草原のようなきれいな景色はAS4までで、あとはずーーーっと峠越え。
109㎞、累積標高5000mのうち
ほとんどの累積標高を後半の60㎞がもっているという、とにかくしつこいアップダウン。
登って下ってを細かく繰り返し、いつ終わるのかわからない木段を何百登ったり・・・
ロードで長い坂道を登ったり。
でも、こんなつらい峠越えも夜間だったから救われた。
私は夜のトレイルが好き。
理由は坂道の傾斜が見えにくいから。
明るい時間帯なら「こんなとこ登りたくない」と思うような坂道も、ライトの明かりじゃたいして見えない。
それに、私ぐらい遅くなれば、周りになんてほとんど人はいない。
完全に1人で走る時間の方が後半は長かった。
真っ暗なトレイルをライトの明かりだけで1人で走る。
私は元々鳥目で、暗いところがあまり見えない。
ヘッドライトとハンドライト両方使っても、あまりよく見えない。
だからこそ集中力が高まって、足の裏に神経が集中出来る。
その瞬間が好きで、夜のトレイルは好き。
しかも、ここは九州で、全く知らないところを走ってるのに、全然怖くない。それがなんか不思議だった。
私、女で、普通なら怖いって思うだろうになーって思ったら笑えて来た。
それでも峠越えは体も精神もどんどん追い詰めてくる。
あーもー眠すぎる。
エマージェンシーシートに包まってトレイルの脇で15分の仮眠を2~3回繰り返す。
そうするとやってくる。
スイーパーが。
また捕まってしまった・・・
そう思って必死に逃げる。
その後は、のろのろと登り、のろのろと走り、エイド休憩は10分以内と決めてとにかく進む。
最後のエイドに到着した時点で、残り4時間半。
4時間半で12㎞。
普通で考えれば、完走はほぼ出来る時間。
でも、この日、朝方から降り始めた雨が、暴風雨となり、トレイルは泥で走れるような状況ではなかった。
平坦な場所は田んぼのようになり、傾斜がある場所は滑りすぎてのぼりも下りも怖い。
下りなんて、滑り台。
でもここまで来たなら絶対ゴールしたい。
その思いだけで進む。
最後の俵山。
その手前にある急な下り坂。
高低図を見たとき、この斜度なに?って思ったぐらい急な下り坂。
案の定、そこが降りられない。
底辺の私が到着したころには、下りの渋滞で・・・というレベルではなく、
下山できないから全員ここで待機です。
という状況。
動けないならここで待機するしかないのだけど、残り2時間。
あと6キロぐらぐらいなのに、ここで終わってしまうのか・・・と正直切なくなった。
ほどなくして、実行委員長の高木くんと椎山さんが、
下山ルートを新たに確保し、到着。
ゴール制限時刻は延長したから、ここからとにかくゴールへ向かってくださいとのアナウンス。
ならば、よし行くぞ!と、
みんなで力を合わせて下山。
本当に滑り台のようだから、自分が滑って転んで危ないだけでなく、
滑って転んで、前の人に突っ込んでしまうからより危険。
みんなで雨の中、ドロドロになり、滑って、転んで、衣類が泥色に染まっても、
ゴールへ向かうんだ!とその気持ちだけで下山。
最後のエイドからほぼ一緒に走っていたマスラオさんと、泥だらけの道をひたすら滑り降りる。
思えばマスラオさん。
行きの羽田空港での偶然の出会いから、熊本到着、前日のごはん、レースが始まってからも、コースやエイドなど、いろんな場所で出会い、その都度優しく見守り続けてくれた。
エイドはお互い、先に着いたり、後に付いたりだけど、基本はマスラオさんが先行。
のろのろで寝ながら歩いている私の様子を伺いながら走ってくれた時間が何回もあった。
最後はそのマスラオさんの背中を追いかけながら走る。ペースは上がらないけど、とにかく走ってゴールしたいという思いだった。
でも実際は、俵山からの下りは、走るというより落ちてた。
ロングドロリンコスラロームをひたすら3キロ落ちた。
そして、ようやくゴールが見えたとき、本当に嬉しくて、ほっとした。
これ、ゴールでオフィシャルカメラマンの藤巻翔くんが撮ってくれた写真。
汚すぎだけど(笑)、泥だらけでもとにかくゴールしたくて一生懸命頑張った証拠だから、本当にゴールが嬉しかった。
阿蘇ラウンドトレイルは、噂通り、ものすごく美しかった。
でもって、噂通りきつかった。
前半と後半で全く違うトレイルが待っていて、どっちもきついトレイルだった。
だから絶対練習して挑まなきゃダメだよね・・・って改めて思った。
それと、九州や関西の参加者の多くが、
チームで走っていたのも驚きだった。
私たちもチームでレースに出ることはあるけど、スタート会場でそれぞれ別れるのが当たり前だと思っていた。
なので、チームで楽しそうにレースを走っている姿は結構驚いた。
タイムじゃなくて、仲間とその時間と場所を共有することの方が魅力と感じるんだなぁと、トレイルランニング文化の違いを感じることもできた。
さて、猛烈な長文もこれでおしまい。
(相変わらず文章にまとまりがないので長くなる)
レースもとりあえず、もう引退(笑)
私は練習が嫌いだから練習を全然しない。
冗談でもなんでもなく、本当に普段は走らない。
それでも109㎞は完走できたけど、今回よくわかったのは
練習しなくても走れるけど、楽しくはない
苦しい時間が長くて、楽しめる時間が少なくなってしまう。
だからこそ練習は大事。
それと、
自分が走るより、サポートしてる方がよっぽど楽しい
私はサポートの方が向いてる。
そっちのがずっと楽しい。
本当に思った。
阿蘇ラウンドトレイル。
こんな私の文章で魅力が伝わるか心配ですが、
こんなに美しくて、こんなに雄大な景色を、たった1日半で満喫できる、本当に楽しい大会だった。
エイドの「地域のおもてなし食」もみんな美味しかった。
国造神社のおばあちゃん、おじいちゃんかわいかったし、途中のエイドの甘酒もおいしかった。
ぜひ来年、多くの人が参加してくれたらいいなぁと、心から思う。
誰もがあの景色に圧倒されるはずだから。