ブログ書く書く詐欺のマツイです。
いやーーー2018年は怒涛でして。
2018年というかもう5年ぐらい毎年嵐のようにあわただしい日々を過ごしているのですが、
特に2017~2019の2年は、生活環境もガラッと変わり、大きな変化があった年でした。
色んなブログが中途半端に止まっていますが、今日はトレイルランニングでも山でもないお話。
プロフィールに書いてあるように、私は主婦で、現在12歳の娘と46歳の夫と3人で暮らしています。
夫は「マツポン」と呼ばれ、よく周りから「神」と呼ばれています。
なぜ「神」なのか。
理由は色々ありますが、なんと言っても、この私と結婚したこと。
結婚しただけでなく、こんなにも自分勝手に動く私の行動に対して
「それはダメ」「やめなさい」なんて言ったことが無い。
彼と結婚して4回転職してますし、その間スリーピークスも始めたけど、
私はすべて事後報告。
「会社辞めるから」「転職するわ」「大会やることにしたから」
勿論「え?」とは驚くものの、「どうせ裕美は俺が何言っても決めたらやるでしょ」と、いい意味で放置してくれる。
放置するけど、わーこまったーってなると1番最初に助けてくれる。
「まったく裕美はどうしようもないねぇ、ちゃんと準備しておきなさいよ」
と言うぐらいで怒ったりはしない。
まさに「神」なのです。
さて、、、うちの夫婦の話でのろけたいわけではなく、本題はここから。
2017年10月2日。
そのマツポンに病が発覚しました。
きっかけは、ただの腹痛。
その腹痛が、普段とどうしても違うように思え、
総合診療科という、不明な病に対して病名を調べてくれる科を受診しました。
CTを撮り、そこまでは、私たち夫婦も、なんか変な菌でも入ったんだろう。
そのぐらいにしか思っていませんでした。
でも、CTの結果を見た医師から言われます。
悪性の腫瘍があると思われます・・・と。
その腫瘍の場合、いち早い摘出が今後の治療にとって一番大事だと説明をうけ、
そのまますぐ入院。翌日にはその腫瘍を摘出するための緊急手術。
腫瘍が悪性か良性かわかるのは2週間程度かかると言われ、
不安な時間をすごしました。
先生方のバックアップが厚く、2週間かかると言われた検査結果が1週間で出ました。
結果は、
癌であり、腹痛はその癌が転移したものである可能性が高いと。
サラリーマンのマツポン。
毎年ちゃんと健康診断もしていたし、実際4日前には一緒に人間ドックに行き、
異常なしと言われていました。
詳しい病名は控えますが、
マツポンの癌は、胃がんや肺がんと言ったメジャーな癌ではなく、10万人に1人という希少癌の1種でした。
狭い部屋に呼ばれ、医師からCTの画像を見せられ、
癌であることを告げられた私たちは、
激しいショックと動揺で、私は思わず泣いて・・・
というのが通常なのかもしれないのですが、これだけインターネット検索が優れてる世の中で、入院と手術状況からある程度の予想ができていた私は、とにかく淡々と話を聞きき・・・
と、言いたいところですが、それとも違い・・・
そういう状況でもなくなってしまったのです。。。
そう。
WeeWeeがそこにいたから。
WeeWeeとは、2017年TACOMAFUJI RECORDSさんが発売した、
Tシャツに描かれたキャラクターです。
愛らしいキャラクターで、某チョコレートキャラクターを思わせる、人懐っこい容姿。
でも、WeeWee。
そう、おしっこを漏らしてます。
TACOMAFUJI RECORDSさんのウェアにはすべて空想の物語があり、
このWeeWee Tシャツに込められた物語は・・・
勉強もスポーツもいつもクラスのトップ。
おまけにハンサムだったレイモンド・フレッチャーに心配事なんてなかった。
が、しかし、小学5年生の時に教室でオシッコを漏らしてしまったレイモンド。
ついたあだ名はウィーウィー。
クラスのヒーローから一気に奈落の底に落ちたウィーウィーは、ガールフレンドにもフラれて不登校となってしまう。
自分の将来に悲観的になったウィーウィーを救ったのは動画サイトで見つけたフィッシュボーンのミュージックビデオだった。
似た境遇の仲間を集めバカテク系プログレバンド「WEE WEE」を結成。
トレードマークのオムツ姿でギターをかき鳴らす姿は「あいつマジで大丈夫か?」と心配される一方、
ハッシュタグ「#weewee」で写真投稿サイトでも人気を博している。
そう。
「あなたは癌です」という、絶望的ともいえる宣告を受けているときに、
夫がこの「WeeWee」を着ていたのです。
医師から説明を受け始め、あぁやっぱり癌だったか・・・
そりゃあの説明と手術の様子からしたら癌だよね・・・
と思い、マツポンのことが心配になった私は、彼の様子を見ようと、右隣に座っていた彼を見たら、彼より先に「WeeWee」を見てしまったのです。
凄い辛いときや苦しいときに
急に冷静になることってありませんか?
ふと我に返るというか、客観視してしまうというか。
予期せず目に入ってしまった「WeeWee」。
それを着ている夫。
なんで私、こんな日に彼にこのTシャツ渡しちゃったんだろう・・・
ふと、そう思って、「WeeWee」をもう一度見る。
おしっこ漏らしの「WeeWee」。
癌の話聞いてるのに、マツポンってばおしっこ漏らしたイラストのTシャツ着てる・・・
そう思ったら、不謹慎にも笑いがこみあげてしまったのです。
いや、もちろん病気のことは心配だし、不安です。
でも、散々調べていた私は、この癌が治らない癌ではないと分かっていました。
ただ、どうやって夫が落ち込まないようにしたらいいかな?
そうはいっても夫婦生活13年。
ちょっとした私の表情でも敏感に察してしまうかもしれない。
元気出そうよとか、頑張ろうよ、とかそんな当たり前のことも言えない。
それに、私が不安がったら、きっと彼はもっと不安になってしまうだろう。。。
そんなことを考えていたので、そもそも先生の話に集中できていなかったのかもしれません。
WeeWeeと目が合う・・・
神妙な面持ちの医師やマツポンにばれないよう、笑わないよう、必死にこらえてその場をやり過ごす。
やばい、なんでこんなことに気が付いてしまったんだ。
そんなことに気を取られている場合じゃない。
夫が病気なんだよ。
愛する人が病気なのだよ!
そう思えば思うほど、笑いがこみあげてくる。
絶対に笑ってはいけない。
そう思えば思うほど、笑いがこみあげてくる。
私が必死に笑いをこらえているのに、「WeeWee」は私に微笑みかけてくる。
笑ってはいけない。絶対に笑ってはいけない。笑ってはいけない・・・。
なんとかその場をやり過ごし、
別室で夫と二人、今後のことを相談・・・
の前に、やっぱり耐え切れなくて、二人になった瞬間に、私は爆笑してしまったのです。
何のことやらわからず、は?という顔のマツポン。
いやぁーだってさーー
と、「WeeWee」について説明する。
マツポンも爆笑。
夫)「なんでお前こんな日にこんなTシャツ俺に渡すのー?」
私)「いやーだって、朝なんでもいいって言うからー」
夫)「だからって、おしっこ漏らしてるやつじゃくてもいいじゃん」
私)「でもそれ気に入ってるじゃん」
二人で「WeeWee」を見ながら爆笑。
病院の談話室で、癌の不安とか、今後の事とか、とりあえず置いといて
二人で涙を流すほど爆笑。
ほんと不謹慎だけど、その時は病気のことなんて忘れて、夫婦で笑い転げました。
マツポンの癌は10万人に1人という希少癌でしたが、
不幸中の幸いというのか、特効薬があり、転移があっても治療が可能なものでした。
勿論、検査結果を待っていた1週間の間、散々ネットで調べていたので、
癌という宣告を受けたことはショックでしたが、治療ができる癌だということがわかっていたので、「WeeWee」のことで爆笑できたのかもしれません。
今、まさに癌で苦しんでいる方がいたら、本当に不謹慎でごめんなさい。
そこからマツポンは家に戻ることもなく、
抗がん剤治療が始まります。
初めての抗がん剤治療。
治ると言われても、不安や副作用による体調不良で苦しむ夫に、そばにいることしかできない私は、多くの方に助けてもらいながら、夫のがん治療に付き添っていました。
「治る癌だからこそ、抗がん剤が強いので副作用はかなりあるでしょう。」
事前に医師からはそう言われていました。
医師から言われていた副作用は色々ありましたが
「吐き気」や「倦怠感」で食べれない、眠れない、辛い時間もあるでしょう。
と説明を受けると、マツポンはこう言います。
「俺さぁ、100㎞とか100mileとか走ったことないけど、そんな感じなのかな?」と。
え?と聞くと
「ほら、よくみんなレースに出ると『気持ち悪くて何も食べられない』『眠いけど先に進まなきゃならない』『痛いけど走り続けなきゃ』って言って100㎞とか100mileのレース完走してるでしょ。おれの副作用の「吐き気」とかって、100mile走るみたいな感じなのかな?」
私)「確かに長いレースになると、眠いし、疲れてるし、気持ち悪くて何も食べれれないとかあるね」
夫)「でしょ。でもそれでもみんなゴールするんだもん、すごいよねー。俺も今回そうなるかな?100mile走って、途中で気持ち悪くて、辛くてって気持ちと同じなのかな?もっと辛いかな?でも、きっと同じだよね」
私)「そうだね、じゃあ、100mileを走ると思ってがんばろうか。完走しようね。」
そう約束し、抗がん剤治療がスタートしました。
マツポンが闘病中、私はMUJIN100というプロジェクト実施。
夫が入院中なのに、私は丸2日間山間部でサポートをしていました。
一時は、MUJIN100プロジェクトメンバー全員一致で、今回は中止にしようという話になりました。
でもマツポンからの
「MUJIN100やってよ、俺すごい楽しみにしてるんだから。
俺の病気で、みんなの目標を諦めたりしないで欲しい」
という言葉を受けて、開催を決意。
標高2000mのエリアを11周もして100mileを走り切るという、壮絶なコースを走った小山田さん。
走る前に自分のインスタで
「誰かのためにっていうのは好きじゃないけど、今回は半分は自分の為、半分は人の為に走りたい」
と言ってくれました。
それでも辛くて、途中足が止まりそうになった小山田さんに、プロジェクトメンバーのマイザックが言った言葉も
「マツポンさんも、今頃がんばってるんですよね」
と言う言葉。
MUJIN100プロジェクトメンバー全員、諦めずにやり切ろう、頑張ろうと誓ったのは、そこに病と闘っているマツポンがいたから。
MUJIN100のスタートとゴールには、一時退院が叶ったマツポンも駆けつけることができました。
100mile走ってきた直後の小山田さんがゴールで待っていたマツポンに向かって
「半分はあなたの為」
と言って、固く握手をしました。
マツポンはそれでまたパワーをもらい、翌週から始まる抗がん剤治療に立ち向かっていきました。
直接会えなくても、言葉が無くても、人が頑張っている姿を見て、聞いて、そこからパワーをもらい、マツポンも抗がん剤治療という、大きな壁をどんどん超えていきました。
かなり強い抗がん剤治療だから、もしかしたら予定通りの投与ができないかもしれません。
そんな風に言われていたけど、結果予定していた抗がん剤を1度も辞めることなく、全て打つことができたのです。
12月22日。
マツポンに、私に、家族にサンタクロースからプレゼントが届きます。
予定していた抗がん剤をすべて投与したので、癌細胞が体内に残ってるかどうかを調べることにし、その結果が届きました。
結果は、
<治療が必要だと思われる癌は見受けられない。>
そう。
癌細胞がもう体内には居なくなっていたのです。
マツポン、無事初めての100mileを完走したのです。
今後も経過観察が必要ですが、副作用にも耐えて、見事完走したマツポン。
よかったね、ほんとよかったね。
そんな話をしながら、また思い出します。
「WeeWee」のこと。
あの、絶望的な瞬間。
癌の告知を受けたあの時、頭が真っ白になって、
自分や家族や仕事のことでとにかく不安になって、
普通の夫婦なら、暗く落ち込んでいただろうに、
「WeeWee」のおかげで、大笑いできてよかったねって。
あそこで大笑いしたから、私たちは前向きになれたよねと。
かわいいな、このキャラ面白いな
そんな軽い気持ちで買ったTシャツ。
勿論気に入ってたけど、Tシャツ1枚でこんなに笑顔にさせてくれるなんて、このTシャツはヤバい。
なんかもったいなくて着れなくて、今はクローゼットの中。
でも、何年たってもこのTシャツを見るたびに、あの日のあの時のことを思い出して、私たち夫婦は爆笑するんだろうな。
2019年2月2日。
ULTRA GEAR MARKET 4が開催されました。
その会場にはWeeWeeの生みの親、ジェリー鵜飼さんも出店していました。
私はあわただしい店番の途中、お願いしてジェリーさんのブースに行くことができました。
いつか、ジェリーさんに会えたら、WeeWeeのおかげだと、お礼を言いたいと思っていたからです。
ドキドキしながら、ジェリーさんに話しかける。
でも、私、あまりに興奮しすぎて、号泣してしまいました。嬉しさと、感謝の気持ちと色々とで、うまく説明できなかったけど、とにかくありがとうという気持ちを精一杯伝えました。
それをAnswer4のコバが爆笑しながら、写真を撮ってくれたり、サインを書いてもらうようジェリーさんにお願いしたりしてくれました。
ジェリーさん、本当にありがとうございました。家宝にさせていただきます。
最後に。
マツポンの病気のことを知っていた方々が、本当に色々と手を差し伸べてくれ、
そのたびに、私たち家族は救われました。
本当にうれしかったです。ありがとうございました。
沢山ご心配おかけしてすみません。
でもおかげで元気になりました。
悩みを聞いてくれたり、娘にプレゼントをくれたり。
山に連れ出してくれたり・・・
本当にありがとうございました。
いまはすっかり完治して、昨年末には武田の杜トレイルランニングレースで30㎞を一緒に走れるほど回復しました。
また愉快な夫婦生活が続けられて、心から感謝です。
2 コメント
はじめまして。突然失礼します。私は秋田県北部、ハチ公の郷に暮らす大塚陽平と申します。
このブログを読んで、笑うこと、笑顔でいることの大切さを改めて感じました。同時に、辛いときや悲しいときに笑える強さを持たなきゃいけないなとも思いました。思わされました。
読み終わった今、とても感動していて、とても勇気をもらえて、フルフルふるえがきています。お礼を伝えなきゃと思い、突然失礼かと思いましたが、こうしてここに書いた次第です。
松井さんご夫妻に、心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました!
これからも、お元気なお二人の様子がうかがえるブログを楽しみにしています。
いつか、八ヶ岳トレイル、参加してみたいです(^^)
コメントありがとうございます。しかも返事が遅れてしまってすみません。私は本当にWeeWeeに救われて、それを思うがままに書いただけなのに感動してくれる方がいて・・・なんか不思議で、申し訳ない気持ちです。
遠くて申し訳ないですが、ぜひ一度スリーピークスにも遊びに来てくださいね!コメントありがとうございました。