心残りは仲間が用意してくれたメッセージ付きのジェルが使えなかったこと。そして綿密に打ち合わせたサポートを受けれなかったこと。
UTMF2016が終了いたしました。
もう説明は不要だと思います。
スタート20分前に鏑木さんの涙ながらのコース短縮の発表があり会場は騒然となりました。
ボクは、、ボクは今その時の記憶が、自分がどうなってしまったか記憶がないぐらい衝撃を受け呆然としてしまった。発表の直前に離れたサポートの松井さんを呼び戻し相談をしました。
完全に心が砕けました。
誰が悪いわけでもなく、誰のせいでもないことはもちろん分かっていて。大会側や誰かを怨む気持ちなんてもちろん1mmもなくて。
1番大変な思いをしてるのは大会側だと瞬発的に思っている自分もいた。
100mileが30mileになってしまった。
心の中で「なんでだよ、、」と叫び続ける、いや、たぶん言葉に出ていたと思います。
松井さんはボクの判断に任せると。走るならゴールのA3麓で待ってるからと言ってくれた。
ただ正直まったくどうしていいのかわからなかった。わからないままスタートに立ちました。スタートの場所も後ろの方になり訳のわからないままスタートした。
何のために走る?どこに向かって走る?
押し競饅頭。人にぶつかりながら揉みくちゃになりながらスタートした。
しばらくして人との間隔が空き少しずつ走れるように。
沿道の方々に名前を呼ばれてるような呼ばれてないような。
ボーッとしながら進むと
「リュージ走れーー!!!」
松井さんです。
ここでハッと目が覚めたという話ではなくとにかく足和田山入口の渋滞に巻き込まれたら体が冷えちゃうからとにかくスピードを上げなければ、、、
その思いだけで走り続けます。
しかし足和田山入口では渋滞に巻き込まれてしまいました。
んーー、何を考えていたか憶えてない、、
人の列に沿って登りを歩き続ける。
麓がゴール。それを思うとまったく気持ちが上がらない。ボクのメンタルの弱い部分でもあります。
足和田山の下り。
今回シューズをギリギリまで悩んでましたが1番履き慣れているALTRAパラダイム1.5で行きました。パラダイムを知ってる方はあの悪路でパラダイム?!と思う方も多いかと思いますが誰よりも飛ばした下りは1度も転ぶこともなく快適に下れました。唯一の収穫です。
足和田山を下り、鳴沢エイドはスルーしました。松井さんはここにもいてくれて「大丈夫?」と声をかけてくれた。ボクは「うん」と返事をしたかも憶えてない。
精進湖エイドまでの長いロード。
淡々と走らなければならないロードで1年間やってきたことを思い出す。
涙が止まらなくなりました。
まったく気持ちを立て直すことが出来ない。
UTMFは本当にボクを成長させてくれた。死ぬまでずっと出たい、走りたい大会です。来年はUTMFの日程がずれない限りもう出れなくなってしまう。
最後だと思いこれだけに力を注いできた。
体にはまったく力が入らずただ走ってるだけの状態。
精進湖エイドに到着。
MMA渋井さんが声をかけてくれた。
ボクは気持ちが追いつかないと愚痴ってしまう。
渋井さんごめんなさい。
そして六花先生にも会い「リュージ走ってくれてありがとう。」と言葉をかけてくれた。
ボクはそんな言葉を裏切るような走りを続けます。
烏帽子入口とパノラマ台はスリーピークスが担当する誘導場所。貴重な時間を割いて協力して頂いて本当に感謝です。
本栖湖の外輪ルートに入り雨が強くなりました。久々にレインを着用。雨脚がどんどん強くなる。
ボクは雨は嫌じゃない。本来なら夜間の雨は集中力を高めてくれるのですが、むしろ本栖湖エイドでやめようという気持ちが強まります。
もう本栖湖でやめよう。
やめたい。
途中でやめることを思ったのは初めてかもしれない。
本栖湖に到着。
気持ち的に整理がつかないままエイドに入る。
完全に悲観的になっている自分には判断がつきませんでした。
ただでさえ怠慢な走りなのに途中でやめたら大会に対しても本当の怠慢になってしまうのは頭の中ではわかっていて。
とにかくエイドに入って決めようと建屋に入りました。
こんな状態でも何か落とし所を探したい。エイドのスタッフの皆さんはずぶ濡れの選手達を必死に盛り上げフォローをしてくれてる。なんだかパッとしないのは自分だけのような気がしてしょうがない。
吹っ切らなければ。
30mileのレースになっても100mileのプランと同じくジェルだけで進むことを守る。何かに繋げたいと思う。
ゴールを目指せ。スタートからゴールまで行くことがそのレースの全貌を知ることができると普段から人に言ってるくせに途中でやめようとしてるオレは最悪だな、、、
あと一区間。
行かなければもっと酷いことになりそうだ。
行こうゴールまで行こう。
ゴールもコースの状況が一段と悪くなり麓から朝霧道の駅に変更になったことを聞く。
土砂降りの本栖湖畔を走り東海自然歩道へ。国道沿いのトレイルを走りしばらくすると正にその国道に出されることに。ここから変更ルートか。
ガードマンさんの誘導で道路を横断し左側の歩道を走り始める。いくつもの点滅器のついたカラーコーンが歩道沿いに並んでいる。
変更の変更でこの大量のカラーコーンを並べたのか、、、凄いな、、
このイレギュラーな出来事への対応は本当に凄かった。
道の駅まであと2kのところで国道から裏道へ。どこを走っているのか分からない。
水溜りもまったく気にならずトレイルのど真ん中を駆け抜ける。
朝霧特有の牧場のような広い場所に出た。道の駅らしきものは何もないけど遠くに薄っすら灯りが見える。
終わっちまう。本当に終わっちまうよ。
なんとなく人が増えてきてその先にハッキリと照明の灯りが見える。
国道を横断。
その先には選手を待つ応援の方々がたくさんいた。
緊急に移動したにも関わらずゴールゲートもしっかりある。労力は計り知れないと改めて感じた。
本当にスタッフ、関係者の方々には頭が下がります。
ありがとうございます。
それとはまったく別にゴールゲートを潜ったボクはなんにも楽しい気持ちはありませんでした。言ってみればこれがボク自身の弱さだと思います。いつまでも煮え切らない、切り替えも全然出来ず悲観的にただ走ってるだけだった。
ただ、ただもっと走りたかった。後半の浮き沈みを感じたかった。帰ってきたぞ!と山梨の地を思う存分楽しみたかった。松井さんともエイドワークをスムーズにするシュミレーションもした。ずっとUTMFをイメージして走って来た。
仲間がくれたメッセージ付きのジェルもスタート前にひとつ摂っただけ。
残念。
このゴールの向こう側に行きたかった。
すぐ車に乗り計測チップを外す。
松井さんが返しに行ってくれた。と思いきやダッシュで帰ってきた。
チップはスタートの大池公園で返すらしい、、
マジかーー!!
車で、松井さんの運転で大池公園に向かいながらまだまだ走っている選手達を見た。ずぶ濡れになりながら必死にゴールを目指してます。
頑張れ。もう少しだ。
ボクらは大池公園を目指す。運転は相変わらず松井さん。
松井さんの運転は急に曲がることがある。
大池公園は国道をひたすら進めば着く。
来た。曲がった。急に曲がった。西湖方面に曲がった。
どうした?なぜ曲がった?
え?と松井さん。
青木ヶ原樹海も近いことからいよいよ憑かれたかとボクは思った。普通の人間のハンドルさばきではなかったからだ。
大池公園に行くから。と。
こちらは西湖方面になります。
あーでもないこーでもない言いながら、いいよUターンするから。と。
Uターンする場所がまったくなくやっとあったと思ったら全然スルー。
なぜ?
西湖経由で大池公園を目指します。
ボクらのUTMFは終わりません。
ようやく大池公園に到着。チップを返します。
松井さんが返しに行ってくれた。と思いきやダッシュで帰ってきた。
ゼッケンが必要らしい、、、
返せない。なかなか返せない。
シャトルランを繰り返す松井さん。
なんとか返すことが出来たらしい。フィニッシャーズベストを片手に帰ってきた。
よしご飯を食べて帰ろう。
何を食べたいか松井さんに聞くと、、、
ラーメン!ぜーーーったいラーメン!ラーメン食べなければ死ぬ!
松井さんはお腹が空くと電池の切れたエボルタ君以下の動きになり態度はそこらへんのチンピラより悪くなります。
急がなきゃ。
運転は相変わらず松井さん。
松井さんは信号が赤でも行こうとする事があるのでボクはよく色を伝えます。
今回は信号関係は大丈夫。
ようやくボクの家の近くのバーミヤンに着きました。時間的にバーミヤンしかやっていません。
ラーメン!ラーメン!
ラーメンの大合唱。1人、たった1人で大合唱。空腹なのに凄いパワーを感じます。
ボクらのUTMFはまだ終わりません。
ボクがトイレに行ってる間に注文をお願いしました。
しばらくして注文した料理が運ばれてきました。
野菜炒めのご飯セットの方。
はーい。松井さんが手を挙げる。
野菜炒めか。なるほど。
更に料理が運ばれてくる。
小龍包の方。
はーい。松井さんが手を挙げる。
小龍包か。なるほど。
御注文は以上でお揃いですか?
はい。
彼女は食が細いのに料理をたくさん頼む癖があります。そんなに食べれないだろ…
いや、問題はそこじゃない。
ラーメンの姿が1mmもない。あれだけ熱望してたラーメンが。
松井さんは何かの病気なのかなと心配になった。
…
ボクらのUTMFはここで終わりました。
…
仲間がくれたメッセージ付きのジェル。
いつか何処かで使えますように。
UTMFに絡んだ皆様本当におつかれやまでございました。