第二関門「Wong Shek」(28k)では蚊取り線香さんと少し話してから出発。
第三関門「Hoi Ha」(36k)に到着。ここでは桜井さんとお会いした。こうして道中にラン友に会えるのはなんだか力になる。
蚊取り線香さんが「次かその次のエイドで焼きそばとか炒飯があります」と言っていたので期待したが、あるのはカップラーメン。後から聞いた話だが、昨年まであった焼きそばと炒飯が今年からはなくなり、ずっとカップラーメンだったとのこと。完走したメンバーの中にはカップラーメンも4杯も食べた強者も。結局ぼくはバナナとオレンジだけ食べて出発。
のんびりとした風景。ただ山の景色というわけではなく、文化を感じられるようなエリアがコースにあるのが個人的には好き。
第四関門「Yung Shue 0」(45k)に到着。制限時間に追われることもなく、体調もよく順調である。ちょうどエイドを出て行く森下さんとお会いする。数分後にkyowさん到着。
ここでぼくもカップラーメンを食べる。あっさり味。ここまで来る間「あー、珈琲飲みたいなー」と思っていたら、なんと珈琲があるではないか!素晴らしい。
カップラーメンを食べて、珈琲を飲んで満足して出発。ここから山岳地帯になっていく。次のエイドに着く頃には暗くなっているだろうから、ヘッデンをつけておく。
とはいえ、まだ急登というような感じのところはなく、順調に第五関門「Kei Ling Ha」(52k)に到着。周りはすっかり暗くなっていた。
ここではドロップバッグがあるので、30分程度休憩する予定。レースも半分を過ぎて、自分の中では完走も見えてきた。
桜井さん、桑原さん、kyowさんと一緒になる。ぼくは準備に時間がかかってしまい、みなさん先に出られる。いつもこういうところでドタバタしてしまい、無駄な時間を浪費する(反省点)。
なんだかんだと40分くらいで出発。ドロップバッグにストックポールを入れておいたのでここから使えるのだが(レース自体は最初から使える)、そもそも普段ストックポールを使わないので使い方を忘れていたw
我ながらストックポール姿がぎこちない。なんだか無駄に体力を消耗しながら、標高580mの馬鞍山を超える。稜線に出ると夜景が綺麗だが、それにしても風が冷たく寒い。昼間の暑さが嘘のようだ。
馬鞍山を超えた後、下りに入ったところで突然それは来た。なんの予告もなしに、身体が動かなくなる。それまで調子がよかっただけに自分でもビックリ。ハンガーノックか、低体温か、脱水か。まっすぐ歩いていないことを自覚して、まずは上下にレインウェアを着込み、エイドで補給した暖かい紅茶を飲み、ジェルを補給する。胃腸の調子が悪いわけではなく、ただ身体が動かない。
第五関門から第六関門まではレース中もっとも長い13k。レース前に蚊取り線香さんが「エスケープルートがない場所なので、この場所だけは無事に進んでください」と言っていたエリアだ。
体調は回復しないので、とりあえず休み休み進む。クラクラになりながら第六関門「Gilwell Camp」になんとか到着。結局この13kに5時間近くかかってしまった。それでもまだ制限時間に余裕はある。体調がよくなるかもしれないので、スタッフにブランケットを借りて休む。あまりにも寒く、キャプ4を着る。念のために入れておいたのだが、まさかこんな形で役に立つとは。
一時間程度休んだが、結局体調は回復せず、自分からリタイアをスタッフに告げた。
第六関門はリタイアするランナーが多いらしく、リタイアバスで山の下まで送ってくれる。なんだかよくわからない場所で下ろされたが、iPhoneで場所を確認。タクシーを捕まえてホテルに戻った。iPhoneがあればなんとかなる。
体調不良の原因は結局わからなかった。蚊取り線香さんが言ったように、ぼくの走力からするとペースが速かったのかもしれない。
レースは残念な結果だったけど、参加してくれたメンバーは旅路を楽しんでくれた様子。それに安心してぼくの香港遠征は終わった。
後日談。
今日、ALTRAのノブさんと打ち合わせ中に雑談でレースの話になり、「渋井さん、完走してください」とノブさんが言ってくれた。それを聞いて、あらためて自分がいろいろと見失っていたことを自覚した。
レース前に展示会で慌ただしくて練習できなかったとか、寝不足とか、自分の中で言い訳はいくらでも出来る。でもそれを含めて、実力不足だったのだ。参加メンバーが喜んでくれたことに満足というのも、レースに正面から向かい合っていない証拠だ。
結局はいろいろと言い訳を準備していて、でもそれって「アクティビティのあるライフスタイル」を提案したいと思っているのに、自分自身がまったくそのバランスがとれていない。レースどころか、普段の生活からしてダメダメだったのだ。
ノブさんの言葉はなんだかうれしかった。今年残りのレース、全部完走。ノブさんと約束した(あまり厳しいレースには参戦しないという手もアリ)。