先日の蚊取り線香塾、ハセツネコース逆周りの講習会での出来事。
途中、大岳山から大ダワの途中で、参加者の方が転倒。打ち所が悪く手を負傷されてしまった。
その方の名誉のために書いておくと、国内ロングレースを何回も完走されている経験と実力を持っている。そして激しく転倒したわけでもなく、ちょっと脚をすべらせて尻餅をついただけ。言ってみれば誰にでも起こりうるアクシデントだった。
蚊取り線香氏が場所的に大ダワから奥多摩駅に出て朝を待ったほうがよいという判断をして、ぼくも付き添いで下山した。奥多摩駅で始発を待ち、車を停めている武蔵五日市駅まで戻って、日曜日でもやっている整形外科に朝イチ診察していただいた。
MMAのイベントでは初めての山での負傷だったけど、エスケープしやすい場所でのアクシデントや負傷した箇所が手だったことで、大事に至らなかったことはよかった。(ご本人には大事だったと思うのですが。。。)
でも、ぼくはずっと考えていた。もし負傷した場所が脚だったら。また、流血を伴うような怪我だったら。どこへもエスケープ出来ない場所でのアクシデントだったら。本当にぞっとする。
山では何が起こるかわからない。
そして、起こった時にどう行動できるか。
当たり前のことだけれど、あたまでは理解できていても、どこまでリアリティを持って意識できているか。
ここ数年は「トレイルランニング」という言葉をメディアで目にする機会も増え、トレイルランニング愛好者は増えていると思う。でも、新しく始める方々に「楽しさ」と共に「怖さ」を伝えられているだろうか。
ひとりで山にはいって、脚をケガして動けなくなったら。
道に迷ってしまったら。
急に天候が悪化した。
最悪、命に関わる場合だってありうる。
トレイルランニングは山を走るだけのアクティビティではない。安全に山から降りることが大切。ぼくを含めて、山での知識や経験が不足しているトレイルランナーはまだまだ多いだろうし、そもそもそうした危機管理の意識を持てているのか。その意識がない限り「トレイルランナー」ではなく「山を走るランナー」でしかない。
軽装が前提であるトレイルランニングが持つリスクは少なくない。「軽くしたいからサバルバルブランケットを置いていこう」「ファーストエイドは自分には必要ない」なんて方はいませんよね。地図やヘッデンを持たずに山に入る方も、もちろんいませんよね。
ぼくたちはいまいちどトレイルランニングが山をフィールドとするアクティビティであるリスクを再認識するとともに、あまり表に出ることがないレースやイベントでのアクシデント事例などが共有されることを望みたい。
一方的に「山のモラルやマナーを守って」と言っても、すべての人がリアリティを持って受け取るわけではない。実際に起こったアクシデント事例を伝え、そのリスクを知った上で、自分自身で「何故モラルやマナーが山では大切なのか」ということを考えてもらったほうが身に付きやすいと思う。
そうした気持ちもあり、今回は負傷された参加者の方には申し訳ないと思いつつ、ブログに書くことにした。繰り返し書くけど、誰にでも起こりうるアクシデントだったのだ。
何かが起きた後では遅い。何かが起こるリスクを最小限にして、何かが起きた際には適確な判断と行動が出来るようにしておく。トレイルランナーを自称する限り、常にその気持ちを持っていたい。
今回のアクシデントは負傷をされたご本人をはじめ、参加者のみなさまの人柄に随分と助けられました。次回以降のイベントに活かしたいと思います。ありがとうございました。