「去年行けなかった北アルプス二泊三日のルートに行こう」。
という話で始まった今年一発目の夏山登山。紆余曲折あって、南アルプス一泊二日に変更。これが結果オーライなことに。
今回のプランは北沢峠(2032m)にテントを張って、初日は仙丈ケ岳(3033m)、二日目は甲斐駒ケ岳(2966m)に登る予定。
実はこれまでの夏山はほとんどが荷物を背負っての縦走。10kを超える荷物を背負って山を登るのはなかなか堪える。しかし、今回のプランはベースに張ったテントに荷物を置いて、アタックザック(トレイルランザック)で登ればよいのだ。そしてテントに戻ればのんびりとした時間が待っている。肉体的負担も少ないし、なにより楽しそう!
甲府に前泊し、早朝に山友純さんの車に同乗させてもらって夜叉神まで行く。マイカー規制されているので、そこからバスに乗り広河原まで行き、さらに乗り継ぎ北沢峠へ。南アルプスはアクセスがなかなか大変。だからなのか、わりと玄人風な雰囲気の漂うハイカーさんが多かった。
北沢峠でバスを降り、少し下がって長衛小屋のテン場にテントを張る。ここが今回のベースで100張くらいはいけそう。フラットだし、水場、トイレ完備。川の流れる音も心地よい。ただし、auもDOCOMOも携帯の電波が入らない。下界の喧騒よサラバ。
ぼくのテントはZEROGRAM El Chalten1.5。グランドシートが付いたダブルウォール一体式で1kg程度と軽量。今年リニューアル版が発売されていた。テントに何を求めるのか。軽さ、快適さ、価格、etc. モノ選びの楽しさがそこにある。
さて、天候はいまひとつ安定しない。それもそのはずで、台風発生中。進路はわからないので、とりあえず初日は仙丈ケ岳にアタックし、二日目は天候の様子をみて判断することにした。
北沢峠から仙丈ケ岳までは1000mほどの登り。キツいながら滑落するような危険なところはなく、いつものように「登っていけば、いつかはたどり着く」と黙々と足を動かす。
小仙丈ケを経由して、仙丈ケ岳へ。ガスは晴れたり晴れなかったりだけど、南アルプスの女王はやはり美しかった(実は2回目)。
南アルプスはアクセスがよいとは言えないけど、ここに来なければ見られない景色や歩けないトレイルがあるのはたしか。なんとなくシャモニーを思い出した。
14時30分頃にはベースの北沢峠に戻ってきた。珍しく激しい頭痛だったので(高山病?)、薬を飲んでテントで一眠り。
登山を始めた頃は山小屋泊だった。でも、以前チームで登山に行った際、一人だけテント泊をしているメンバーがいて、そことなく感じる自由な空気に惹かれた。
山に行くと、(ひどく当たり前の話だが)自然は大きく、人間は小さいと実感する。その自然の中で、テントが自分だけの空間を確保してくれる。小さい空間だけど、自由な空間。
起きたら雨が降っていた。薬が効いたのか頭痛は治まっていて、お腹が空いていることに気づく。てっとり早く、お湯を沸かしてカップラーメン。人生で最高に美味しいちゃんぽんのカップラーメンだった。
食事もテント泊の喜びのひとつ。毎回テスト&エラーで、今回もちょっと失敗。懲りすぎず、簡単すぎず。いつか自分だけの山レシピができるに違いない。
夜は雨が時折激しく降ったが、翌朝は晴れていた。が、「午後からバス運休」という情報を前日に山小屋で知っていたので、ここは迷わず下山。帰れなくなったら大変だ。朝食を食べ、テントを撤収し、朝イチのバスで夜叉神まで戻った。甲斐駒ケ岳はまたの機会に。
夏山一発目は、思ったより疲労感もあり、装備も山メシも体力も反省点が多かった。当初の予定通り北アルプス二泊三日だったら、相当痛い目にあっていたことだろう。
結果オーライ、ということにしておこう。