Western States。毎年6月、アメリカ・カリフォルニア州のSquaw ValleyからAuburnを結ぶ100マイルのトレイルを舞台に開かれる。世界で初めての100マイルレースとして長い歴史と伝統を持ち、現在も欧州のUTMBと並び世界で最も注目を集めるトレイルランニングレースと言ってよいだろう。しかし、運営・参加者ともに大規模なUTMBと違い、このレースを走ることができるのは例年300数十人。抽選倍率は例年厳しくなり、2014は20数倍という狭き門だ。必然的に多くの100マイラーが出場を切望し憧れる大会となる。そして先日抽選が行われ、日本からわずか2人だが当選者が出た。で、その2人がたまたま友人。
マジか…!
当選者の一人アカシからは事前に「万一当選したらペーサーよろしくです」と言われ、「いいよ!」くらいには答えていた。しかし、これは双方とも適当というか、お気軽&無責任にやりとりしただけだ。それもある意味当然で、WSの抽選券(“チケット”と呼ばれるのでここでは”権”ではなく”券”とする)は1回落選するごとに翌年1枚増える方式で、つまりは抽選権を2枚、3枚、4枚と持っている人がかなりの数いて、初めて抽選に臨む(=抽選券1枚)アカシは、まぁ受かる確率は相当低そうだったのだ。まずナイだろ、と。
しかし、どういうわけか、1発で当てやがった…!(羨ましい)
「さすがにペーサーでわざわざ海外はないな…」アカシ当選後、普通にそう思った。しかし、よくよく考えてみると、これは中々経験できない貴重な機会かもしれないと思い直した。そもそも日本人が走れるチャンスが少ないのに、そのペーサーをやれるチャンスなんてもっと少ない。それに、ペーサーは前半はクルー・サポートとして、後半は選手と一緒に走るランナーとして、大会の色々な面を見ることができる。一度アメルカのトレイルランニングコミュニティに触れてみたいとは思っていたが、この立場こそ最高の機会ではないか、と。また、アカシとはトレランを始めたころからUTMF~UTMBに至るまで一緒に戦ってきた盟友でもあり、WSではおそらく完走目標ではなく目標タイムを定めて自分なりにプッシュするだろうから、そんな仲間の目標を達成させるべく後半引っ張ることは、ペーサーとしてとてもやり甲斐がある。
というわけで、
「乗るしかない、このビッグウェーブに!」
と相成りました。
で、そうと決まったら動きは速く、早速関係者で会合を行う。
日本で一番WSに造詣が深いD/C岩佐さんにも参加いただき、当選の2人と自分で色々と質問攻め。旅程全体のスケジューリングや移動手段、コース詳細やレース展開、現地コミュニティ情報、本番までの有効な練習方法などバンバン質問を浴びせる。しばらくして、落選者代表として呼んでおいたShinさんも登場。そして自分の思惑通り、ペーサーとして同行するように口説いて…すぐに落ちた(笑)
これで、WS2014 Team JAPAN(仮)がなんとなく結成された。早速「ユニフォームを作ろう」とか「合同練習するぞ」とか「どっかのメディアやメーカーと何かできないか」とか色々話が出てきて、みんなモチベーションが上がった感じだ。というか、特に選手の2人はWS当選をやっと現実のものとして捉えられた様子(笑)
個人的にも全く予定していなかったWSだったが、こうして舵は切られた。一般ランナーがクルー・ペーサーを含めチームとして日本から乗り込むなんてWSでも初めてだろうし、これは面白い機会だ。自分もチーム全体のペーサー(サブ)的な立場で、これからWSに向け色々盛り上げていきたい。といっても、まずはホントの走りの方でアカシを引っ張れる速さと持久力を身につけるべく、しっかり練習しないとな(汗)