◆2014/04/26 21:49 PM A9 麓 (Lap6:23)
関門の1時間10分前、21:49に天子山塊を越えて麓へ到着。西富士から麓までは、できれば5時間~5時間半で越えられたらなぁなんて思っていたけれど、6時間半もかかってしまった。甘かった。ボリュームゾーンだったのか、天子の登山口から雪見岳を下りるまで、ほとんどの区間が渋滞。どちらにしても下りがものすごく苦手な私があのズルズル?滑る下りを軽快に下れたかというとそうではないけれど、せめてあと30分くらいは巻けた気がする。そういう意味で、フラットな区間でもっと走るべきだった。麓エイドでは、とにかく固形物を食べたい!と思い、にゅう麺をすする。美味しい~!最高に美味しい!6時間我慢していたトイレにも行き、ギリギリだった水分もハイドレに追加。コーラのペットボトルも新しく持って、ライトの電池を交換して、サーモスにお湯を入れて、ハイ、準備完了! 比較的すみやかに行動していたつもりだったけれど、サポに『えまちゃん、準備できたらもう行ったほうがいいよ!』と言われて時計を見たら30分近く経っている。えぇ!まだ10分くらいかと思っていたのに、時間が経つのがめちゃくちゃ早い。これがみんなが言っていた「エイドで長く居すぎないこと」か・・・。エイドという甘い誘惑。恐ろしい。急いで10時半前に出発。
竜ヶ岳へ
「竜ヶ岳までしばらく比較的走れる緩いのぼりが続くよ。」 そうサポから聞いた時にすでに心に決めていた。ここは、ぜったい走る!なぜなら、温かい食べ物を食べたら自分でも驚くほど元気満点になったから(笑) モリモリ走る。やはりUTMFの方々はゆっくりで、レース中盤で私のようなレベルのランナーが「追い抜く」というのが不思議な感覚。誤解を恐れずに言うと、そういう経験などないからこそ少しうれしくて、追い抜いて走るパワーが出たのかもしれない。
山頂近くで前後に人がいなくなった瞬間に、いいペースで登れたご褒美として、立ち止まってヘッドライトを消してみた。満点の星空。まるでプラネタリウムのように、星座がくっきり見える。あれは何座で、あれは何座・・・ぼ~っと夜空を見上げていたら、少しずつ光が近づいてきて後続の選手のライトで明るくなった。星空観賞はここまで。ほんの数分だったけど、夜の山でひとり、星空をひとり占めにしたような、すごく贅沢な時間だった気がする。そこからの下りは、ちょっと気になり始めた膝をかばいつつも快調に下り、エイドまでのロードもすべて走った。あまりに元気で、快調走れることが、うれしくてたまらなかった。
◆2014/04/27 01:45 AM A10 本栖湖 (Lap3:24)
4時間かかると想定していた竜ヶ岳パートは3時間24分。決して速いわけではないけれど、ここでも関門に1時間以上の余裕が作れて、気分も身体も元気。完走が見えてきた。ただ、あまりに胃が快調すぎて、ジェルの補給が全く億劫でなく、それどころか今の元気さは補給のおかげだろうと判断して、1時間ごとにとっていたジェルを後半に向けて40分毎に変更。背負っていた本栖湖以降のジェルも少し食べてしまった。
万が一のためにジェルの予備を入れていたバッグをサポに預けていたのだけれど、その受取りに手間取って本栖湖エイドで51分の滞在。待ってまでジェルを追加する必要があるのか迷って迷って、結局わずか3~4つのジェルのために滞在したその時間は、今考えてみれば必要なかったのかもしれない。ジェルなんて他のモノで代用すりゃよかったのかもしれないけど、なんとなく不安なまま出発せずに済んだのはすごく大きかったと思う。わざわざ遠くから持ってきてくれたサポのみんなに感謝。みんなに会ってキャッキャと話して写真撮ったりして再び元気満点。笑顔になることが一番のエネルギー!
混みあう本栖湖エイドの隅っこでパンとスープを食べて、出発。ちなみに本栖湖エイドはものすごく施設内が暖かくて、そこに長居したことで出発直後は震えが止まらないほど寒かった。
本栖湖パートへ
本栖湖の新しいコースは試走済み。試走した場所だということだけで安心感があり、さらに試走時にはかなりきわどい痩せたトレイルもすっかり幅が出来ていて、できるだけ走って追い抜く。「わ~走ってる人がいる~。元気だね~。」なんていう声を背に。昼間と夜ではまるで景色が違う。等間隔にずらりと列ができていたけれど、タイミングを見ながら、ふかふかのトレイルを走る。気持ちいい!パノラマ台の上りにさしかかるまでは、とにかく無心で走ったからかなんとなく記憶がない。
試走した時には全然しんどいなんて思わなかったパノラマ台までの上りで、やっと初めて想像以上にキツイと感じ、渋滞の流れに身を任せてゾロゾロと進んだ。少しずつ真っ黒な世界が、紺色になり、青色になり、明るくなっていく。あと、もう少し。もう一歩。
パノラマ台に上がった瞬間、目の前に雲海と富士と朝焼けと月が広がっていて、本当に感動して、泣いた。外国人の方が、「wow, beautiful…」と言って涙ぐんでいて、さらに泣けた。世界遺産、富士山。日本が世界に誇るこの美しい景色と共に走れるなんて、なんてステキなんだろう。
鳥帽子岳からの下りでは、走れる下りだと知っていたけどついに膝痛登場。明るくなって元気が沸いているけど、膝が痛い。これまであんなに辛そうな人を抜いてきたのが嘘のようにペースダウン。どこから沸いて出てきたのか、今走り出したようなスピードの人がどんどん私を抜いていった。
今回の私の目標は、「レースを楽しむ」「山を満喫する」「胃を壊さない補給」「最後まで走れる足」「完走する」。ロードの大会でもたいてい前半型で、最後は苦しくて失速して這いつくばりながらゴールするのが私のパターン。トレイルの大会では最後は下りで、走れて気持ちいいはず。なのにそれを経験したことがなく、今回は絶対に最後に力を振り絞って走ることを実現しようと決めていた。
そこで、樹海入口で痛み止めの薬を意を決して投入。ただ、薬を飲んだらもののみごとに30分で胃を壊して、80km近く食べ続けたジェルが一切食べられなくなった。
鳴沢までのダラダラダラダラロードは、標識を目印に、「あそこまで走る」「あそこまで歩く」「あそこまで走る」「あそこまで歩く」。走っていると選手から『ナイスラン!がんばって!』と声をかけてもらう。そうすると次の標識で歩くとなんとなく気まずいのでもうひとつ先まで走る(笑) そうやって早歩きと走りを織り交ぜながら進み、鳴沢エイドに到着した。すでにエネルギー不足でちょっと朦朧としていた。
◆2014/04/27 07:14 AM A10 鳴沢 (Lap4:37)
鳴沢エイドに到着。松井さんに再び会って、話して笑顔に元気をもらいました!樹海ではずいぶん歩いたけど、目標では4:30だったので、振り返ると想定時間通りで通過できていた。
やばい、ぼ~っとする。足が棒みたいになってきた。立ち止まると、ひとり膝かっくんになる。確実にエネルギー不足。だけどなんだか胃か肺か心臓だかが痛くてあんまり食べる気にならない。あんぱん半欠けをお湯につけて柔らかくして、ごくんと飲み込んだ。
紅葉台、足和田山、そしてゴールへ
正直なところ、鳴沢エイドを出た後はあんまり覚えていない。ただ、鳴沢エイドを出た瞬間、最後のパートだと思うと、嬉しくて嬉しくてたまらなくて、朦朧とする中結構なハイテンションで気持ち悪かったと思う。薬が効かなかったので、「痛くない~♪痛くない~♪ぜんぜん痛くない~♪」とか声に出しながら走っていたら、途中から自然に痛みがひいて気にならなくなっていた。
おぼろげな記憶では、やたらスタッフの方が多く、ちょっと進むたびにスタッフの方が応援してくれる。楽しい気持ちを最高潮に盛り上げようと、スタッフの人にも元気に声を掛けて、オーバーリアクションで手を振ったりガッツポーズをしてみせた。「元気だね~!」「いいね~!」「まだまだいけるね~!」そんな風に言ってもらえた。紅葉台は大会一週間前のイベントでトニーやジョー、ヌリアと走ったコース。本番もジョーやヌリアはここを通ってすでにゴールしてる。多くのトップ選手が走った場所を走ってる。それって最高!富士山綺麗!山が好き!天子より全然走りやすくて快適!
一応写真を撮る余裕があったらしいが、顔は変(笑)
もう終わってしまう寂しさと、ここまで楽しく走ってきた喜びと、あんなに不安だったSTYを完走できることが嬉しい。とにかく足なんて気にせず走った。最後のパートで走れるって、こんなに気持ちいいことだったのかと感無量。そんな気持ちを立ち止まることで邪魔したくなくて、暑くてたまらなかったけど、CAP4もシェルも全部着て汗びっしょりのまま走った。熱中症になっていた。
最後の石畳の5km。この時にはずいぶん呼吸が乱れていたけど、ヨロヨロ蛇行しつつ、長い長い最後の道を、みんなに会いたい気持ちでゆっくり走った。
ゴール手前、エディさんが見える。走ってる。あ、走らなきゃ。みんなが見えた。旗を持って走ってる。もっと走らなきゃ。なぜか走らなきゃ!最後に走らなきゃ!という気持ちに駆られ、溢れて止まらない涙で泣きじゃくりながら、憧れのゴールゲートをチームフラッグをなびかせて、21時間35分13秒でゴールした。
自分でもなぜなんだかわからないけれど、とにかく最後にダッシュで走って、そのまま倒れ込んで過呼吸になるほど、すべてを出し切った。思い起こせば、鳴沢手前のロードの時点で、手も足も痺れていたし、足和田山からずっと過呼吸だった。それなのに、区間順位は最後のパートが一番良く、スタート時女子100位台だったのが徐々に上げて最後には44位でゴールした。
本当のランナーズハイを経験した。
今回の私の目標は、「レースを楽しむ」「山を満喫する」「胃を壊さない補給」「最後まで走れる足」「完走する」。タイムは想定よりも1時間以上遅かったけれど、ものすごく満足なレースだった。速くなんかない。だけれど、 “レースを楽しんだで賞” とか “山や景色を満喫したで賞” があったらかなり上位の自信がある。そして、トレイルランナーにはすっかりお馴染みの大会なのかもしれないけれど、私にとってすごく憧れの、すごく遠い存在だと思っていたあのゴールゲートを自分がくぐったことに、本当に感動した。
泣きじゃくるほど、がんばることって、なかなかない。泣きじゃくって胸に飛び込んで抱きしめてくれる仲間なんて、なかなかいない。あぁ、思い出すとなんだか泣けてきた。いい大人を生きてる。贅沢な遊び。贅沢すぎる遠足。こんなにステキな経験をわたしにくれた、大会関係者の方、サポートしてくれた仲間、応援してくれた人、生んでくれた親(笑)、そして美しい山々。すべてに感謝した。
この気持ちを忘れず、またより一層大好きになったトレイルランニングを、これからも楽しみたいと思います。楽しんだもん勝ち。やったね、勝ったよ。
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[…] ラッキーなことに当たったらいいな~とエントリーした2014年のSTYには当選していたので(おそらくここで運を使い果たしたのでしょう)、ロングレースの経験はSTYから武尊という流れになりました。 【大人の遠足STYへ(前半)】 【大人の遠足STYへ(後半)】 […]