「麦走」
ビール好きの仲間と以前ビールを飲みながら盛り上がった、今一番行きたい場所『麦雑穀工房マイクロブルワリー 』(埼玉県小川町)
たまたま奥武蔵・秩父の地図を広げて、次はどこに行こうかとルートをあれこれペンで繋いでいたらそこに小川町の文字。こ、これは・・・!そう、今一番行きたい場所がなんとそこにありました。しかし、小川町は東武東上線のかなり奥の方で、私の自宅方面からは一度都内を経由するという面倒な場所。こうなったら山を越えてそっちに行っちゃえばいいんじゃないだろうか。そういえば奥武蔵から奥多摩へ行く時も同じ発想でした。
“ 電車で一回都内に出るくらいなら山を越えて行っちゃえばいいんじゃないか ”
そんなお馬鹿な企画だけれど、ビール好きに声を掛けたら一緒に付き合ってくれることに!ネットで調べてもたいした情報がなく、山地図には水場の表示もなく。水場もトイレもなく、分岐もややこしいルート。うーん、わくわくする!
飯能駅で秩父線に乗り換える時。意外にも人がいっぱい!みなさん高麗のクライミングや伊豆ヶ岳、武甲山かな?バイクの人も2組ほど見かけました。奥武蔵はロードで山頂近くまで上がれるのでバイク練の人も良くみかけます。
今日はつい最近行った武甲山の麓、西武秩父線「横瀬」(よこぜ)駅からスタートです。結構立派な駅。トイレも完備。この周りはハイキングルートも多いようです。一緒に行くじゅんこさんと駅の向こうに見えるのが武甲山。
横瀬駅から登山口までは国道299号沿いにしばらくロードを走ります。途中でコンビニが2軒あるのでスタート前の補給はここで可能。駅にはあんなに人がいっぱいだったのに、あれれ、誰もいない~(笑)このあたり、まだトレイルに入っていないのに結構道がわかりにくいのですが『6番札所ト雲寺』と『高原パーク横瀬』という表示をもとに進んで迷わずなんとかトレイル直前のマス釣り場へ。明らかにだれも今日は踏んでいないトレイルを入ります。
木漏れ日がやさしい静かなトレイル。
しばし沢沿いを登り、まもなく比較的整備された歩きやすいトレイルへ。だれもいない、静かで、ふかふか。ただ、本当に誰も通ってなかったのか蜘蛛の巣がすごかった(笑)
途中で一瞬林道に出たら、なんかいる。
「あれ?なんだろう?ブタ?」
「いや、なんかモジャモジャしてない?」
「わっ、めっちゃいる!」
思わず大きい声を上げたらドタドタとすごいスピードで奥の方へ。
「イノシシだ!」
イノシシってあんなに速いんですね。ありゃ山で遭って突撃してきたらぶっ飛ばされるわ。こわい。めっちゃこっち見てました。
イノシシに夢中になっていたら、不明瞭な分岐。
ん?ちょっと待って、なんだこれ。朽ちてて方向がわからない。
地図の方角からしてこっちだな、という方へ進む。
あ、また道標だ!よかった、何て書いてある?
肝心の矢印の三角の部分だけがない!奥武蔵のわかりにくい道標には慣れていますが、これは斬新だな。地図必須です。
そんなこんなで無事、高原パーク横瀬、その先の琴平神社(ことひらじんじゃ)に到着。
隣にはトイレもありました。序盤でまさかのありがたいトイレ。ちなみに、本当は琴平神社裏に登山道があるのですが閉鎖されていました。
そして、琴平神社からは眺望の良いロードを10分ほど走って木ノ子茶屋方面へ。
なんと!いちご狩りができるらしい!いちごエイド!めっちゃいい!そのほか、季節によってぶどう狩りやプラム狩りもあります。たくさんの農家が並んでいて、どこの農家さんも「いちご狩り」の旗や看板が立っています。次来る時にはいちご狩り挟もうかな。
木ノ子茶屋には自販機もありました。暑いので水を補給。茶屋はやっていなさそうな雰囲気だったけど・・・時間によるのかな?間違えないようにロードから日向山分岐で再度トレイルへ。
こんな感じのやや暗いしっとり湿ったトレイル。このあたりで昨年8月に熊が目撃されたらしい。めずらしい鳥もいるとかで、親子が双眼鏡に一眼レフで鳥を必死で探していました。パパと山で自然研究、いいね!
そんなちょっと暗いトレイルを抜けたあとの分岐。
お、おう・・・。これまた斬新ですね・・・。向きが間違ってたら大変ですね。うっかり誰かが蹴っちゃって縦とかになったらもうわけわからんです。ちなみに距離も書いてあるけど消えててわかりまへん。(繰り返しますが地図とコンパス必須です)
この分岐からのしばらくが、結構な登りで、ちょっと大変。じゅんこさんもモリモリ登ります。6月に出るスリーピークスの話なんかをしつつ。
県民の森を経て、丸山山頂へ。
丸山には展望台があり、上まで登ることができます。
わぁ~!白っぽく見えますが、肉眼であれば充分な天気。武甲山はもちろん、奥秩父、両神山、八ヶ岳、浅間山。榛名山、赤城山、草津白根山、谷川連峰、筑波山まで見える。
6月末に出る大会がある両神山。中央から左寄りの平べったい山。
途中補給をしたいところだけれど展望台の上は暑すぎる。でも下のベンチに降りたらなぜかハエだらけ。ブ~ンという音に包まれながらささっとおにぎりをほり込みます。
丸山からは白石峠方面へ。すぐに鉄塔のようなものに突き当たるのですが、そこの分岐で道標を見て、「あれー?ここじゃないかなー?」なんて言っていたら足元にめっちゃ小さいめっちゃ小さい板が置いてありました。風で飛んでいきそうです。
ここからのしばらくは一度ロードに出るけれど、気持ちいい傾斜の下り。走り始めたら止まらない!うひょー!なんて言いながら走って走って、登山コースタイム80分くらいのところを、20分くらいで駆け抜けました。
白石峠まで来ると、なんだろう?あれ・・・わぁ!移動茶屋だ!暑すぎる日の救世主!!!
ロードの交差するポイント、白石峠では自転車やバイクの方が皆休憩するようで、優しいおじさんが移動茶屋を開いていました。【やっちん茶屋】は、4月から秋頃まで、基本的には土日の朝9時~午後2時くらいまで出しているそうです。飲みものは缶やペットボトルが種類豊富にあり、食べ物はアイスに冷やし大福、生のメロン!季節に合わせてメニューを考えているのだとか。分別するためのゴミ箱まで用意してあります。
まさかの山の中でメロン!頼むとその場で切ってくれます。冷えていて最高に美味しい。最高すぎる。そしてどれも普通のお店で買うのと同じような価格。良心的。
「全然儲けとかはないんだけどね、みんなが喜んでくれたらそれで嬉しいんだよ」
本当に素敵だなぁ。
友達いっぱい連れて、また絶対来るよー!
白石峠からは剣ヶ峰を経て堂平山を目指します。剣ヶ峰って山だと思っていたら大きな鉄塔があるところがそれだったようで、ここで鉄塔を回り込んで直進しようとしたらなんか違う。その先から来た老夫婦に声をかけると「ここで合ってるよ」と言われたのだけど、なんだか明らかに急すぎるズルズルの下り。これはおかしいなと思って引き返したらそれで正解。やっぱり地図読みは大事。人に聞いても合っているかどうかなんてわからない。自分で判断できるようにしないとね。
林道→トレイル→鉄塔→トレイル→林道みたいなループを何度も繰り返し、キタ~!堂平山!
この日のシューズはHOKA。メンズではラパヌイと呼ばれているモデルの女性版、カイルア。買ったばかりなので履き慣らし。スティンソンのソールがつるつるになってしまったので新調しました。
堂平山には天文台とパラグライダー発信地、バーベキューや宿泊ができる施設までありました。宿泊施設のトイレは一般ハイカーも使用可能。とっても綺麗でありがたい限り。
施設の裏には「ときがわトレッキングコース出発点」と書いた大きな木が。気になる!施設に泊まって夜は星を見て、翌日トレランザックでトレッキングコースを走り抜けるなんていうのもいいですね。
天文台の外観を撮り忘れたけど、中は1階に食堂、2階に観測所があります。
手作りの五目おにぎり、グリーンピースおにぎり、蒸しパン、甘酒、豚汁など。全部120円くらいでこれまた良心的。そして美味しそう。
お店の方が自分の家で作っているイチゴを凍らせたものと、自家製のヨーグルト、牛乳、蜂蜜をその場でミキサーにかけて作ってくれるイチゴジュース。太陽にあたっているとフルーツが嬉しいですよね。
天文台の観測所。惑星が見れるらしい。こういうの、小さい時大好きだったなぁ。
山頂の先のパラグライダー発着所。(パラグライダーの時間が終わっていて歩いている人がいましたが、本当はハイカーは入っちゃいけない場所です)午前中であれば飛んでいくところが見れます。
そして再びの気持ちいい下り。
ひたすら下り。ガレ・ザレや落ち葉で滑るところもあるけれど、激下りはなく基本的にはほとんど走れる。そして止まらない!ひゃっほー!笹山は時間的に山頂ピストンをスキップして、笠山山頂、さらにそこからマダマダ下ります。ただ・・・この勢いがちょっと罠でした。
あまりに走れるもので、距離がいまいち掴めず、分岐をひとつ勘違い。そして地図を見てもなかなか判断つかない。すこし戻ったところにあった標識を確認。
なん・・・か・・・書いて・・・ある・・・けど・・・・・・・・・・
う~~っすらと、「山道」
「 山 道 」 だそうです。そうか。そうだよね。全部山道だもんね。その標識を見た瞬間、ここはもう諦めて、トレイルに入らず確実な林道に戻って下りることに。がしかし。
めっちゃクレーンが封鎖してる~!工事の方に声を掛けたら通行止めっていうわけではないらしく、徒歩で横を通ってくださいと言われて重機の横を通る(笑)掘り起こされた道はぼこぼこ、なんていうか、この日は本当に色々あります。
最終的には勘違いしていた本当の分岐に辿り着き、無事バス停へ下山できました。(ていうか通り抜けできませんって書いてあるよ・・・)久々にトラップにやられました。山地図だけではだめだな~。低山をいくつも繋ぐトレイルは、冒険感があって好き。こういう環境を活かして地図読みの練習しなくちゃ。
合計で1時間強は休憩を入れて、行動時間6時間で20km、適度なアップダウンあり、暑さでしっかり汗をかいて気持ちのいいルートでした。最後迷う部分だけ次回確認しよう。
そうだそうだ、目的はビール!
皆谷(かいや)バス停から小川町駅へ。
駅前のクラフトビールのお店『麦雑穀工房マイクロブルワリー 』へ!最高に美味しいビールとつまみをいただきました。すっかり長居しちゃったけど、また来たいな。今度は小川町駅まで走ることにしよう!
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【今回のルート】
◎トレイルランニング
距離:約20km
行動時間:6時間20分(お昼ご飯などのゆっくりめの休憩数回含む)
横瀬駅~琴平神社~(ロード経て)~木ノ子茶屋~日向山分岐~県民の森~丸山~高篠峠~川木沢ノ頭~白石峠~剣ヶ峰~堂平山~七重峠~笠山~萩平分岐~皆谷バス停
皆谷バス停からは、小川町までバスで25分。ただし、1時間に1本程度しかない。皆谷バス停から自分の脚で小川町までは相当遠いので、その場合は、別ルートへ。(本当はそっちに行きたかったけれど分岐がややこしすぎて破線ルートもあり今回は見送り。)ぶっ飛ばして走れる人は1〜2時間早いと思うけれど、飛ばしすぎて分岐見逃し注意。ルートも多く、判りにくい分岐、地図に載っていない分岐や標識もたくさんあるので、余裕をもった時間設定と地図・コンパス必須。
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