オトベ斑尾を走るvo.1 という記事を以前UPしたのですが・・・
Vol.2がなんと本番になりました(笑)
とあるきっかけで初めてのトレインランニングレースに出ることになった友人、オトちゃん。目指すは10月5日のMadarao Forest Trails Beginner 16km!私も同じレースにエントリー。オトちゃんの“楽しく完走”をサポート(ペーサー的な役割)をすることにしました。
彼女も忙しかったし、なにより私が夏山ばかり行っていたからですね。ただ、その間も、ほとんど運動などしたことのない彼女は、ひとりで一生懸命 週に何度かご近所ランニングを続けていました。
最初は3km、そして5km、8km。大会一週間前に会った時には『こないだやっと10km走れたよ~』と教えてくれました。一緒に走る人がいなくても黙々と少しずつ距離を伸ばそうと頑張る姿。それがたとえ10kmだったとしても素敵チャレンジだと思います。仕事が忙しい毎日で走るのは習慣付けるまで本当に面倒なもの。そんな彼女なりの努力を絶対に無駄にしないよう、当日は全力サポートしようと心に決めました。
今回のブログ。彼女からの提案で、わたしの「サポート目線」と、はじめてトレイルランニングの大会を経験する「初体験目線」の両側から、同じタイムラインでブログ記事をUPしてみることにしました。冷静と情熱のあいだの辻仁成と江國香織みたいなもんですかね(笑)オトベ編は後日UPします。ぜひ、両方読んでみてください。
*
<準備>
準備について、はじめての彼女に、もうすぐトレラン歴2年のわたしがアドバイスしたこと。
- 補給は少し多めに持とう
- アームウォーマーは必須
- レインウエア(上)を持とう
- ハイドレーションを使おう
- 靴下はランニング用のもの
- タイツもランニング用のもの
補給食について、斑尾はエイドがとても充実しているはずだけど、もしかして関門ギリギリになってしまったらエイドで食べている暇がない。たとえ16kmでも、トレイルの16kmはエネルギーを消費するし、不足すれば最後で苦しむ可能性はある。
そこで、最低でも
- バー1個
- ウィダーインゼリー系の飲みやすいゼリー2個
- お気に入りのお菓子系
を持つように伝えました。
ロードランニングでは私自身、ジェルなど摂ったことがなかったし、フルマラソンでも手ぶらの人が多いものです。でも、想像以上にエネルギーを消費するトレイルランニング。「エイドが充実しているから手ぶらでもいいくらいだよ」という方ももちろんいるのですが、山の中でエネルギー切れを起こしたら?「絶対完走」と考えているなら必要です。
水分補給について。ハイドレは好みもあり、短いレースだとウエストやハンドボトルだけという人も多い。私は初めの頃はいちいち立ち止まってはペットボトルを取り出して飲んでいたのです。相当なタイムロス。短い距離のレースなら尚更。忘れがちな水分補給も、ハイドレなら少しずつ摂れるので大切だと思っています。
次にウエアについて。アームウォーマーは「化繊の長袖じゃだめ?」という意見を「ダメダメ!貸すからTシャツとアームにしよう!」と提案(笑) 10月とは言え走り出したら絶対暑い。長袖で汗をかいて冷えたら最悪。上げ下げや脱ぎ着が容易なアームウォーマーはランナーの大事なアイテムです。また、この日は雨予報だったので、防水シェルの確認。Tシャツは化繊、タイツと靴下もランニング用が必要だと伝えました。当たり前のことながら、意外と大会ではコットンのTシャツや綿のタイツ、普通の靴下の方を見かけて驚きます。タイツはコンプレッションである必要はないので、コットンや女性の黒タイツなどは避けたいものです。(かくいう私も近所でジョギング始めた時はそんな感じの服装だった)
<前日>
緊張しているかな?と思いきや朝からリラックスムードのオトちゃん。今回、オトちゃんと2人っきりよりも、みんなとワイワイが楽しくてリラックスできるんじゃないかと思い、共通の友人が何人か所属しているトレイル鳥羽ちゃんの賑やかなところにおじゃま。大勢なら色んな先輩方にアドバイスを聞けるしね。斑尾恒例の大きなホールでの前夜祭もみんなと一緒に盛り上がります。
16kmならたいしてカーボローディングも必要ないので、食べ過ぎ飲み過ぎ注意だけ伝えて、あとは楽しむのみ。ビール飲んじゃうその余裕っぷり、きらいじゃないよ(笑)ほどほどにね。
みんなと撮ったこの写真の、ここ最近で一番じゃないかくらいの自分の笑顔に笑っちゃいました。レース前なのに気が楽だとこんな笑顔するもんなんですね。斑尾には応援やサポート、ボランティアでも知り合いがたくさん来ていて、会えることがまた楽しい。初めて出る大会に前夜祭があるのはいいですね。
前日のザックに詰める準備も、もはや120kmからの16kmのギャップが大きすぎて何を持ったらいいのかわからないという事態に。万が一怪我などでリタイアすることになった時のことなどを考え、ファーストエイド、サバイバルシート、ヒザサポーター、行動食と水を入れました。
<当日>
朝から隣であわあわするオトちゃん。何かと思えば、ハイドレを使うのが始めてなので、入れすぎたりこぼしたりしてる(笑)テーピングも始めてなので、一応Vテープを貼ってあげる。そういえば、始めたばかりの頃はニューハレの貼り方わからなかったな。
斑尾は会場で朝食。サンドイッチや菓子パン、おにぎり、ミネストローネにコーヒーやオレンジジュースもあります。このスタイル、結構好きです。食べられなかったら持って行けるしね。私はその間にコースタイム表を作ります。制限時間は3時間。去年のリザルトを見ると2時間20分~30分くらいがボリュームゾーン。よし、だったら2時間15分を目指そう!と、私が勝手に決める(笑)何かトラブルがあった時のことも考えて、2時間15分完走ペースのコースタイム、2時間30分完走ペースのコースタイム、そして制限時間を書いて完了。
コースタイム表はいつも、理想タイムとDEADギリギリタイムを書き、少なくともその間をキープしつつ理想タイムを目指してチャレンジする。各ポイントの時間だけでなく、コースから想定するおおよその速度(min/km)も書き込む。地図にはコースの様子やエイドの食べ物もマップに書き込み、しんどくなった時や淡々としたコースに飽きそうになったら見返して先へ進むモチベーションにしています。
そして、50kmのスタートを見送ります。
いよいよ16kmのばん。完走を請け負う立場として、ちょっぴり緊張。上州武尊120kmから2週間。故障した足は急いで治し、腫れや痛みは引いたけど、ほぼ走ってない。足痛くなったらヤバイなとか、捻挫やうっかり転倒しないようにしなきゃな、とか。あとは、走るからにはと密かに引っ張れるだけ引っ張って50%以上の順位にはなろうと画策していました。
雨予報も朝はなんとか霧が晴れて、昼前までは持ちそうということでミラーレス一眼のGF1を首から下げて走ることに。せっかくのファーストレース、思い出に残さなきゃね!(ガンガン肋骨に当たって痛かった、笑)
そしてドキドキしながらスタート。
斑尾16kmのコースでもっとも辛いのはおそらくしょっぱなじゃないかな。
最初の斑尾スキー場周りをぐるっと登っていくところがいきなりの急な坂道なので息が上がりやすくしんどい。しかもみんな飛ばすもんだから飲まれてペースも上がるし焦るしで、なんだかザワザワしてました。
ここは歩いたり走ったり程度で行こう、と提案。けれど意外とがんばって走るオトちゃん。やるね~。ただ、思っていたより登りが続いたようで次第に辛そう。先回りして写真を撮ったりキャッキャと話しかけてテンションを上げてみる。
登り終えた先の林道は気持ち良く走れる場所なのに、ゾロゾロと渋滞。早々にみんなゆっくり歩き出すのです。これに飲まれて関門が厳しくなって焦って走る方がぜったい辛い。そんなわけで、私が先行して、道幅が広くなったら 『すいません、右通りま~す』 と言いながらどんどん抜いていく。オトちゃんがついてきているかを振り返って確認しつつ、せっせと走る。ここでのスピードがいい結果を導いた気がします。
ピークを迂回するようなトレイルを過ぎればひとつめのエイドまでの下り。「膝は大丈夫?痛くない?」スキー場の転げるような斜面は、膝が笑わない程度に走って下る。
あっという間にひとつ目のエイド。オトちゃんはバナナを、わたしは梨を2かけ掴んでエイド滞在はなし。モグモグして歩きながら先へ。エイドで食べものを取ったら歩きながら食べるのがワタシ流。ここまで理想ペースからは10分遅れ。だけどオトちゃんに『ばっちり予定どおり!』と伝える。いま焦っても仕方ない。
ひとつ目のエイドからふたつ目のエイド(16kmコース唯一の関門)までの道は走れる気持ちのいいトレイル!前日の小雨ですこししっとりしていたけど、心地いい。オトちゃんは「息があがる~」と言いながらもついてくる。
そして、希望湖の関門はなんなくクリア。思ったよりも多少のアップダウンがあったことでエネルギー切れになり、この時点では理想タイムからは15分遅れ。つまりDEADラインに設定しているタイムに。ゴール制限時間には余裕だけど、ここから全く走れず早歩きになると、ちょっとぎりぎり。
希望湖から斑尾の街に出るまではずっとゆるやかな登り、と聞いていたのでそろそろ足が辛くなってくるかも。ここでエイドは最後、残りは7km程度。ここからは10min/kmの早歩きを想定していたけど、走れるところは走って停滞せず、どうしても苦しい!という言葉が本人から出たら少し早歩き、何も言わなければ出来る限り引っ張っる計画に変更。(勝手に)
走り始めて早々になんだかしんどそうだったので補給を提案し、ゼリー片手に少しずつ飲みながら走る。辛そうなのに、なぜだか登りはやたら速い。早歩きのスピードがかなり速くて、むしろ私がバテて着いていけないなんていう一面も(笑)補給してるフリしてちょっと休み、ゆるやかになったらダーッと追いかけたりもしました。
どうやらフラットとゆるやかな登りが辛いらしい。それまでモリモリ登っていた早歩きも次第にゆっくりになり、ちょっと心が折れている様子。こういう時のペーサー。
「はいっ、行くよっ」
「苦しい~」
「ゆっくり引っ張るから何も考えずついてくる感じで」
「うん、ついて行きたいのはやまやまなんだけど、足が進まない~」
「気のせい気のせい!あとちょいあとちょい!」
しんどいと思うとなかなかkm表示も進まないもの。
「じゃあ上りは歩き、フラットと下りは走ろう!」
そう提案して、前についたり後ろについたり前後しながら盛り上げては 『はい歩く!』『はい走る!』という掛け声をかけつつ、こっそり時計を見る。10min/kmを想定していたけれど、ところどころに走ったことでどんどんと盛り返し、なかなかのタイム。あれ、これはもしかしてかなり早くゴールできるかも。そんな悪知恵が働き、頭の中でペースを必死で再計算(笑)
斑尾の街に出てきて、もうゴールかと思いきや、もう一度スキー場の上まで登らされる、ここにきてちょっぴりツンデレな斑尾。50kmの人はもっとつらいんだろうな・・・。
最後は、ゴールゲートが見える壮大なゲレンデを爆走で下るという素敵な演出。50kmの多くの人は散々走れるコースで膝を酷使して、この下りを横向けに下っていました。
気持ちよく駆け抜けて、一緒にゴールゲートをくぐる。なんと、ゴールは理想としていたタイムをはるかに上回り、2時間4分でゴール!順位は26位と27位!100人くらいの女子出場選手のなかで、50位以上=2時間15分切りと考えていたので、まさかの上位。想像以上の好結果でゴールできたのです。
*
<最後に>
本当はオトちゃんじゃなかったら、もっとゆるりとしたスピードで、完走を目的に楽しいランをするという方法もあったのかもしれない。実は彼女、コロンビアスポーツウェアジャパンで働いているのです。この斑尾はまさにコロンビアのmontrailという自社のブランドがスポンサーしていることもあり、自らの意思で『この仕事をしているからには走ってみたい』と言い出して、一緒に一般エントリーしたのがきっかけでした。
だからこそ、みんながちょっとビックリするような結果を出して、「すごいね!」「がんばったね!」と言われること、そう言われてなんだか嬉しさがぶり返す感じ、喜びを噛みしめる充実感を味わってほしいという気持ちでした。
オトちゃんはいままで知り合ってからの仕事っぷりやその向き合い方をみても、芯がしっかりしていて、自分の信念やこだわりがある。明るく天真爛漫だけれど、すごく真面目で根性がある。だから彼女のサポートには、 “限界までがんばる方法” を選んでみたのです。
トレイルランニング嫌いになっていないかな?(笑)
トレラン独特の、ゴール後は「もういいわ~」って思った数日後から何かレースのこと調べちゃったりするあの症状、ちょっとくらい出てるかな?かなり辛そうな場面もあったけれど、足の痛みもなく、なんだかんだ言ってカメラを向けると笑顔だった彼女。そのポテンシャルの高さに驚きでした。
さて~、来年は何を目指そうか。
とにかく、初レース完走請負人、役割を無事に終えて大満足の大会となりました。
Madarao Forest Trails
斑尾高原トレイルランニングレース2014
ビギナークラス16km
女子26位 2:04:44 /女子27位 2:04:45
(出走 112人 完走者109人)
1 コメント
[…] ← 前へ […]