UTMF2日目、生理になった。
「あれ?もしかして?」
「うわっ!マジで!がーん!」
「そうか、腰が痛かったのはこれか・・・・・・」
レース3日前に自宅でどでかい本棚を1人で組み立てたら、坐骨神経痛が悪化したようで、腰が痛くて不安を抱えていた。最近、パーソナルトレーニングに通っていて(石井道場!)、バランスも前より良くなって腰痛がかなり改善されていたんだけど、それがここにきて、まさかの家具組み立てで。レース前に調子が悪い調子が悪いと公に嘆くのは保険をかけているみたいで好みでないので気にしないことにした。
当日、ニューハレブースで神の手、芥田さんに腰にテープを貼ってもらってスタート。天子の登りでやっぱり腰が痛いなぁと思っていたけれど、夜中にはアドレナリンのおかげですっかりどっかにいってしまった。が、その原因に気付いたのが2日目の昼下がり。忍野で施設内の綺麗なトイレに行ったら便器の中が赤く染まった。
レースでは脱水で血尿や血便が出ることがよくあるけれど、その違いは女ならすぐにわかる。あー、“なってしまった”と。おかげで二晩目はいつも以上に眠く、からだもだるくて、メンタルも久々に落ち込んだりもした。生理中は肌が荒れやすくなるので、山中湖きららのエイドではで全身を拭いて、アンダーウェアを着替えたりもした。
男性と女性のことを別々に話すことは時代遅れなのかもしれない。でも、ここは意を決して、敢えて今これを書こうと思う。
ひとつめの悩み:生理問題
女性は月に一回生理になる。これはもうそういうものだ。どうしようもない。脱水だとかハンガーノックだとか怪我とか故障は対策したりしていくらでも回避できる。だけど、こればっかりはどうしようもない。
レースジャンキー達はどうしているんだろうか。トークイベントなどで話す機会が増えて、記事にも顔出ししているので、女性から聞かれることがある。小さい声で。そう、これはなぜだかとっても語りにくい話なのだ。
なぜかわたしの子宮は物分かりがいい
結論から言うと、なぜかわたしの子宮は物分かりがいい。ロングレースが好きなので2日、3日、過去最長で1週間レースを過ごしたわけだけど、なぜだかこれまで大事なレースの時に生理が被らなかった。もともとあまり正確に「毎月◯日頃」「◯日周期」でこないもので、本当はそれはあんまり良くないことだけど、なぜかレースが月初だろうが月末だろうが、うまくズレてくれた。だから奇跡的にもあんまり苦労してきてはいない。これはどういう身体のメカニズムなんだかよくわからない。ただ偶然が続いてるだけだと思う。5年も、ね。
ピルを服用して時期をずらす?
一度だけ、低容量ピルをを飲んで時期をずらしたことがあったが、ピルは副作用もある。わたしは頭痛などを起こさなかったけど、そもそも飲んでいること自体が気になってしまった。そして、日頃から生理不順ぎみなのでいきなり産婦人科に行ってもなかなか処方してもらえないという事情もある。ピル以外にお尻に注射する方法があるなんてのも聞いたことがある。
年に1~2度の海外旅行だから時期をずらすの!というならまだしも、山好きやランナーにとって月に何度でも山に行くし、何度でも走る。短い夏山シーズンに山行を詰め込んだりもする。それをぜんぶずらすなんて無理だ。たまたまレースでは被らなかったけど、普段はそういうわけじゃない。
生理用品はナプキン?タンポン?山での処理は?
普段のランニングや山行では、わたしはいわゆるタンポンを使う。肌が極端に弱いわたしはどっちみち日常生活でもナプキンが使えない。ちなみに生理用品というのはめちゃくちゃ嵩張る。足りなくなっても途中の山小屋でカップラーメンのように買えることはほとんどない。だから多めに持つしかない。ウルトラライトとか言っていられない。(UTMFではたまたまエマージェンシーキットにタンポンを入れてて助かったけど、各エイドのメディカルに生理用品があったらいいなと思ったりした) 水分を吸えば重くなるし、途中で捨てられるわけでもなく。山のトイレで、「トイレットペーパーは横に捨ててください」タイプのトイレがあっても、生理用品をそこへ入れていいわけではない。結局全部を厳重に密閉して持ち帰るほかない。この煩わしさはとんでもなく重大な問題だ。
生理痛は辛いけど、過度なトレーニングで生理が止まったりもする
生理痛がない人もいれば重い人もいる。私は主に腰痛と眠気と肌荒れ。頭痛になる人や眩暈を起こす人もいる。だけど、ずっと出たかったレースだとしたら?決して安くはないトレランのエントリー費や経費旅費。生理だからってじゃあやめようってなかなか辛い決断だ。女性トレイルランナーはきっと皆悩んでいるんじゃないかと思うけれど、ほとんど話題に上がらないのが現実。
もう一つ付け加えるならば、ホルモンバランスの問題もある。生理が止まる問題。トップランナーならもしかするとこちらの方が悩みかもしれない。わたしはそこまで追い込めないのでトレランでは影響がないけれど、高所登山で縦走が続くと2~3ヶ月飛んだりもする。休めば戻ってくるけれど、女性の身体はそういう意味でもむずかしい。
ふたつめの悩み:アンダーウェア(下着)問題
女性の下着は2つある。
女性の下着は2つある。女性の下着は2つある。大事なことなので2回言う。上と下、2つ着用する。ブラトップとショーツ。わたしは縦走登山の時、最も肌に近くて汗を吸うアンダーを毎日替えたい派なのだけど、まー嵩張ること嵩張ること。
ブラトップ(スポーツブラ)、結局どれがいいのか迷子
上と下でも特にブラトップ問題がこれまた色々あって、選ぶのがすごくむずかしい。バストの形や大きさ、アンダーバスト(胸の下の身体の外周?)もそれぞれなので、自分に合ったものを探すしかない。わたしはバストの大小で適したものが違うと思っている。
それにブラトップの擦れは結構辛い。身体に沿うタイトなアイテムなので、ゴムの部分や縫い目が長距離・長時間走っていると擦れてミミズ腫れになることもある。肩の部分がザックと干渉して痛いという声も聞く。ザックは今ではウィメンズモデルもあるけれど、そのショルダーの構造は果たしてブラトップとの関係性まで考えて作られているだろうか。
ブラトップ冷えは地獄!
さらに、女性が首をブンブン縦に振る話のひとつとして、「ブラトップ冷え」というのがある。ブラトップには取り外しの有無はあっても、だいたいパットが付いている。これが汗を吸って冷たくなると地獄なのだ。胸のご近所には、気管や肺や胃があるわけで、最も冷やしたくない場所なのに、汗をかくとパッドが水を吸う。スキンレイヤーをブラトップの下に着たりもしてみるけれど、ブラトップとTシャツ、ミッド、レインという風にレイヤードしていくわけで、肌に直接速乾Tシャツをさらりと1枚着るよりもやっぱり乾きにくい。
課題山積、アンダーウエア
ほかにも、心拍ベルトとの干渉問題(ちょうどブラトップのアンダーのゴムのところ!)や、内臓トラブルを起こした時に締め付けが苦しいけど脱ぐわけにはいかないなどなど。わたしはだいたいレース後半になんか胃が苦しくて締め付けが嫌になるので少し緩めを着ている。だってわたしはそんなに走らないから、押さえつける必要があんまりないってことで。最近は上下モンベルのジオラインを着ているけれど、「これぞわたしのアンダーウェア!」ってわけでもなく、相変わらず相方探しの旅は続けている。
みっつめの悩み:メイクどうする問題
ひとつめとふたつめに比べれば、さほど問題なく、どうでもいい話で締めることになるわけだけど、“女子”的には気になるお化粧問題。そして、わたしがいつも年甲斐もなくまつ毛バサバサだから良く聞かれる話。
わたしは、まつ毛、付けてます。
つけまつげじゃなくて、まつ毛エクステっていうやつ。みみっちぃパーツを寄せ集めた薄っす~い顔をしているもんで、お化粧しないと陰影ゼロなのだけど、これまた奥二重気味&まつ毛が超薄いのでマスカラしてもすぐに目の周り真っ黒なパンダになる。
とりあえずまつげでごまかす、わたし
まつエクの進化はそりゃもうすごくて、わたしの超薄いまつ毛も小一時間でバサバサにしてくれる。超薄いくせにわりと頑丈に生えていて1ヶ月半~2ヶ月持つから、もう何年も通ってる。お金かかるでしょ?と言われることもあるけど、ネイルはセルフ、髪はロングであまり美容院に行かないので、美容代は同年代女子の平均以下(下手したら1/3くらい)だと思う。だけど、まつ毛は常にバサバサ。まつ毛エクステが付いているとほとんどすっぴんに見えないので、汗で流れようがゾンビになろうが何だろうがなんとかかんとかギリギリアウト手前で顔面を保っているというわけです。
肌に近い色を選んで化粧崩れにせめてもの抵抗
レース取材で自分が写ることもあるので、どうせ落ちるとは思いつつ、レース前にはさらっとアイシャドウを塗って、眉毛を足して、チークをふんわりくらい。ファンデーションも普段からあまり塗らないので、日焼け止めとパウダー。アイラインを引くこともあるけどブラウンにしてパンダ目にならないように。全体的に肌に近い色味を選べば極端な崩れは目立たないかな、と。メイク時間は10分あれば十分。なんでいつもカラコン入れてるんですか?と言われたことがあるけど、茶色い目は生まれつき。
特殊メイクアーティストの友達が教えてくれたクリーム+パウダー
普段の日帰り山行や短い距離のレースで、今日はメイクが落ちないだろうっていう時は、シャドウもアイブロウもチークも、クリーム系のものにパウダーを重ねて落ちにくいように工夫したりしてたりする。10代の頃に特殊メイクを勉強していた友人が教えてくれた方法だ。 そして、山には最小限のものを選び、小さいコスメシリーズを持ち歩いてる。やっていることが、まぁ、アレでソレなので、できるだけボーイッシュすぎないように、髪は長いまま、メイクも忘れず、走らない日はスカートを履いたりして。いちおうなんとか頑張ってます、30代。女性らしさってそこじゃないって?まぁまぁ、わかっていますよ。
女性トレイルランナー問題は結構深刻なのだ。でも、圧倒的に女性が少ないスポーツだけど、業界はきっと女性を、「女性消費」を取り込みたいはず。だから、語りにくいことももっと、語られるべきだと思うんだ。
わたしは同じ女性として、キラキラ輝く女性トレイルランナーが大好きだから。
6 コメント
生理問題はホントに切実だと思います。私もレースの真っ最中にやってきました。エイドの方に生理用品を貰いにいきましたがエイドではナプキンのみ普段タンポンの私にとって不安しかなかったのですが幸いボラの方が持っていて事なきを得ました。それ以来同じくエマージェンシーキットにいれておくようにしましたが山行でも使用済みの処理に困ったり、生理前の体のダルさに練習もままならずだったりときっとランナー、ハイカー全ての女性の問題でなかなか話し合える機会は少ないかと思います。なんかそうそう!って話し合える場がもっとたくさんあって欲しいし他の人の知恵も欲しいなと思いました。
コメントありがとうございます!練習やレースでのカラダの不調はもちろんのこと、サニタリーグッズの処理って難しいですよね。率先してそういった機会を作っていけるようこれからも声を上げていきたいと思っています!
エマさんと同じく大切なレースでは何故かズレてくれるという有難いことが続いて4年。念力で?(笑)
もっと大変な方もいるんだろうなぁと漠然としか考えてませんでした。
生理もアンダーウェアもメイクも、女性ランナーの苦痛を軽減し、選べる楽しさが増えることを楽しみにしています!
改めて考えさせて頂く機会を頂きました。ありがとうございます!
コメントありがとうございます!念力・・・!(笑)きっと色々工夫している人がいるはずなので、女性同士でもっと情報交換できる場があればいいなと思っています。そうしたらますますトレランや登山が楽しくなりますよね!
生理問題みんなどうしてるんだろうって思ってましたー! 2日以上のレースで重なると地獄ですよね…
多種目のチームレースもやるのですが、チームメイトは男性ばかりで相談もしづらいし、パフォーマンスもおちるしでちょっとでもいい方法があれば知りたいです。
土の養分になるから埋めれるよみたいなの開発されないですかねーー
ありがとうございます!チーム戦となるとなお苦労しますよね。みんな周りの男性は優しいですが、痛みや(経血の)不快感はわからないですもんね。困らせてしまうかな、と思って言えないわたしです。経血がどうかはわかりませんが、排泄物は何センチ以上掘って埋めて、といいますがなかなかレースとなると難しくてもどかしいですね。