ピレネーからこんにちは!
ただいま17日目、約400kmです。
もうすぐUTMBやトルデジアンシーズン。わたし程度の経験ではまだまだわかっていないことも多いけど、1人でも多くの日本人の完走のちょっとの手助けになればと思い、いまからでもできることを書いてみます。
◎ウエアリングは数パターン用意していくこと
日本での事前予報が晴れとか雨とかはほぼ関係ない。今年は暑いらしいとか寒いらしいとかもあんまり関係ない。わたしは3レースに出たけど、ほとんどが前日まで豪雨予報だったのが、ピーカン灼熱だった。きっと逆の年もあったと思う。去年のように暴風雪になったりもする。荷物になるけれど、色んなパターンを用意して、最後は当日決めるでもいい。わたしはタンクトップか半袖かなど意外にも、レインやミッドも2種類、グローブ、ヘッドウエアなどアクセサリ類も数パターン持っていくことにしている。
◎寒い年より暑い年の方が厳しい
荒天になるとコース変更になり、短くなったり山がカットされる影響もあるけれど、だいたい猛暑の年の方が完走率が低い。UTMBで40%前後なんて時も。樹林帯が少なくほとんど炎天下。わたしがいまいるピレネーは湿度が高いけど、シャモニーやクールマイヨールなどあのあたりはすごく乾燥している。汗をかいても乾いていくので脱水に気付きにくく、日差しも強いから熱中症になる人がおおいのかもしれない。ちなみにわたしの場合、日中に熱中症になると夜にとんでもなく眠くなる。水はたくさん持って、たくさん飲む。
◎そのために浄水ボトルが便利
日本人は硬水が苦手だから硬水慣れをするんだとか聞いたことがあるけど、わたしは硬水はなんてことない。むしろ、ペットボトル以外の“飲用水”に注意すべき。暑くて喉がカラッカラでも、トレイル脇にある木の樽の側から出ている水を飲むのは注意。小屋の壁に備え付けの蛇口の水も注意。町にある水場も注意。生活用水だけど飲用水じゃない場合が多い。日本では山の沢の水を飲んだりするけど、フランスやイタリアの山には標高3000m近くても牛や馬がいて、その糞尿が混じっていたりする。だけど、猛暑なら、『背に腹はかえられぬ!』と飲みたくなる。わたしは毎年懲りずにお腹を下す。今年買った浄水ボトルのソフトフラスク(KATADYN)がすごく調子良くてオススメ。ボトルを押さなくてもドバドバ出て、浄水スピードも速い。ただし、飲み口がゴムのパッキンの機構になってないので、胸のボトルポケットに入れているとフタを開けた瞬間にドバーッと溢れるので注意。トレイルランのレースで浄水ボトルっていまいちピンとこないけど、暑いレースでらめちゃくちゃ便利だと思う。
◎でも嵐になると雪が降る
暑さには注意すべきだけど、嵐になると真夏でも雪になる。レースが中断して足止めをくらったり、コース変更になったり、中止になったりもする。わたしはまだ幸いにも経験していないけど、その心算と時間の余裕は必要だと思う。
◎うんちは受け入れよう
まぁわりとどうでもいい話なのだけど、目の前は絶景だけど正直言って足元のトレイルは牛や馬のうんちまみれだ。踏まないように避けていても、きっと途中からどうでも良くなる。突っ込んでいけー!とは言わないけれど、気にしすぎても仕方ない。
◎必ず足裏の事前対策を
わたしは今、17日間連続で歩いているけれど、足裏にマメも水ぶくれも爪潰れもない。トルデジアンでもピカピカきれいだった。ワセリンやガーニーグーを教えてもらってから、こまめに塗るようになり足裏トラブルはほぼなくなった。UTMBではそんな暇はないかもしれないけど、面倒でも10分以上休憩する時は靴紐を解いてシューズを脱ぎ、靴下も脱いで足を乾かす。小さいガーニーグやワセリンをザックに入れて走り、こまめに塗り直している。
◎あんまりアツアツのお湯にありつけない
補給食問題はあまりわたしにはうまく語れないのだけど、これだけは言える。あんまり熱いお湯にありつけない。まずもって“ホットウォータープリーズ!”がちゃんと伝わった試しがない。日本のドライフードやカップ麺、スープなどをエイドで食べようと思っている人は注意。ぬるいお湯でガリガリのやつを食べるのはなかなか苦行だ。
◎テールエンダーは『全部歩いても完走できる』ことはない。関門は最後まで厳しいと心得て走る!
いま思えば走りやすかったUTMB。早歩きで完走できるなんていう説も耳にするけれど、それはあくまで『決して潰れずに眠くもならずひ同じような超早歩きペースを一定に保ちながら160km続けられる人』のことだと思う。いつもビリッケツ、ギリギリゴールの人は、足の速い遅いだけが理由じゃないはず。例えば最初飛ばしすぎて後半必ず潰れるとか、内臓が弱くて吐きがちとか、暑さに弱いとか、眠気に弱いとか。全く潰れないってかなり難しい。レースは長くても短くても思いがけないことが100以上は起こる。その時に対処できないと、後方ランナーは辛い結果になる。
海外レースだからずっと絶景だろうと思うかもしれないけれど、おそらく想像している2〜3倍くらいはロードや林道、ダートがあると思った方がいい。そこを呑気に歩いていては、回収隊に捕まってしまうかもしれない。遅いわたしだから言える。遅くても遅いなりに『最後まで走り続けること』が大事だと思う。
ひとりでも多くの人が、感動のフィニッシュゲートをくぐれますように。