皆さん、こんにちは。
今回は「重要度その1」の【山をゆっくり歩く練習】についての下り方について書いてみます。
山道では下りは登りに比べると格段に難しく、練習する必要のあることも多いのですが、多いだけでなく文章で説明するのも非常に難しいので、今回は本当に重要なことだけを書いてみます。
まず下りでは登り以上に無理をしない(足にダメージを与えない)ことがとても重要です。登りと違いダメージを与えると、例えば足首が疲れてくるとひねって捻挫しがちですし、腿やひざが疲れてくれば、抑えがきかずに急な斜面やテクニカルな斜面で転ぶことが多くなりがちです。また転んだ時のダメージも登りよりもずっと大きいです。
ロングのトレイルの場合、怪我をするのは致命的です。
短い場合なら「ゴールまであと5-6㎞だから、捻挫したけれどテーピングをして速度を落としながら進もう」ということが可能ですが、160㎞の100㎞地点で捻挫をすると、軽い捻挫でもあと60㎞進むのは心身ともに厳しいものがあると思います。
まず重要なのは、登り同様重力に垂直になるように足を置くことです。
垂直に足を置いた場合は基本的に足が滑ることはないですし、足にかかる力も、重力による下方面だけのシンプルなものですが、斜面に水平に置く場合、重力で下にかかるだけでなく、足の滑りを防ぐために斜面に水平(=斜め下方向)の力がかかり、足首に負担が多く疲れや怪我の原因になります。
そのためには前だけに足を置かず、左右もよく見て少しでも平らな足の置き場所を探すことです。またしっかりした木の根や石を使うことで足を平らに置ける場合は、木の根や石を使うこともいい下り方です。
山道は町中の舗装道路と違い、直線的に進むことが一番いいとは限らない(むしろ悪い場合が多い)ですので、足を平らに置くために、登山道の左右を使ったり石や木の根などの突起物を使うことが重要です。
次に一歩で降りる高さをなるべく小さくして足に対するダメージを少なくすることです。
登りの場合は多少無理な登り方をしても腿の前面が疲れるだけですが、下りの場合はそれに加えて足首やひざ、腰等へのダメージも大きいです。
これが後半足の疲れで踏ん張りがきかなくなり、捻挫等の怪我だけでなく想像以上のスピードダウン等にもつながります。
この二つの歩き方の練習をするためにはやはり多少ゆっくりペースでないと難しいですし、長い距離での練習のほうが身につきやすいと思います。
三番目に重要なことは、40時間程度以上で完走を狙っている人は、下りでも原則として走らないことです。UTMBの場合、約100㎞地点のグランコルフェレからラフーリまでの7㎞が景色もよくて走りやすい(走りたくなってしまう)下りが続きますが、ここで走ってしまうと123㎞m手前のシャンペラックへの登りで想像以上に足の疲れを感じたり、突然足が動かなくなることも多いと思います。下りといえども走ることは歩くよりも多くの負担が足だけでなく体全般にかかります。
このことも普段ゆっくりペースで練習をしていないと難しいと思います。人間はふだんしていないことを本番で行うことは思っている以上い難しいはずです。毎年UTMBに参加したり参加者の応援をしていて気がつくのは、失敗する人に共通することは早く歩き(走り)過ぎているということです。いままでここで何度も書いてきていますが、UTMBは最初の8㎞の平らなところだけだけっをゆっくり(キロ7-8分)走れば、残りの距離はすべて早歩き(登りはゆっくりでも問題ありません)で完走できます。
完走したければ、走力のあまりない人(40時間程度以上で完走を目指す人)は下りでも我慢して走らないこと(たまに1㎞‐2㎞をゆっくり走るのは問題ないと思いますし、趣味でやっているのですから楽しみも追及して当然だと思います)は非常に重要です。
ほかにもいろいろあるのですが私の文章での表現能力ではうまく(正しく)説明しにくく、変に説明を誤解されて参加する人にマイナスになってしまうのも困るので、ここまでにします。
次回は「事前の予定通りの時間で山を歩く練習」について書いてみます。