皆さん
今回が完走のためのヒントの最終回です。
UTMBである意味走力をつける練習より重要かもしれないのは、長時間食べないで歩くことと2晩寝ないで歩くことではないかと思っています。
なぜならUTMB参加のためにポイントを取得している人なら、基本的に完走できる走力や精神力は備えていると思いますが、一方大半の人は2晩寝ないで歩いたり、ものを食べないで長距離を歩くという経験はないと思うからです。
皆さんももうご存知のように、UTMBでは胃をやられて固形物が入らずにリタイアしてしまう人も多いです。
私も2009年は107㎞のラフーリ以降は胃の中が火事のように熱くなり、また痛みもひどく固形物を食べることができず、エイドのオレンジとコーヒーとコーラだけで残りの60㎞を歩きました。私の場合はそれまでも時々食べ物なしで山の中を20-30㎞歩くことはよくありましたし、たまたまですがUTMBの前年にはハセツネコースを一切食べ物を取らずに歩いた経験があったので(これは結構きつくて30㎞から40㎞mの間は何回も限界だと思いました)、この時も73㎞を食べずに歩けたのだから60㎞ならどうにかなるという思いがありました。この経験がなければ精神的な面でだめになっていたかもしれません。
ぜひ一度食べずに長距離を歩く練習をしてみてください。距離は50㎞以上であれば十分かなと思います、またこの練習をするときに念のため十分な食事とハンガーノックで動けなくなった時に回復するまでしばらく休む時のためにツエルト等を必ず持っていくようにしてください。
次に2晩寝ない練習ですが、寝ないで歩くと油断していると急激にスピードが落ちますし意思の力も落ちます。途中で数時間仮眠をとればだいぶ違うのでしょうが、私の場合は制限時間ギリギリで完走するのが自分の実力から考えて限界でしたので、最初から仮眠をとることは計画にありませんでした。
そのためレースの半年ほど前から何回か寝ないで山を歩く練習をしました。
具体的にはハセツネコース1周プラス30㎞前後の約100㎞を金曜の夜から日曜の朝まで2晩寝ずに34-36時間程度かけて歩きました。またこの練習をするときは木曜の夜も寝ずに過ごすことで実際は3晩寝ない練習を行いました。
寝ない練習をいくらやっても眠気に強くなることはないと思いますが、眠たい時にどのようなことが起こるのか、その時にどのような対応をすると少しはましになるのかなどのことが経験できます。またゆっくりでも2晩寝ないで歩くと結構な距離を歩くことになるので、長距離を歩く練習にも結果としてなります。
4回にわたって書いてきた練習で普通ならば確実に完走できると思います。
早く走る練習も完走のために役立つと思いますが、あと2か月でフルマラソンの記録が10分も20分も早くなることは通常ないと思います。しかし視点を変えた練習でレース中の時間や体力のロスを減らしたり、山を歩く技術を改善することでフルマラソンを20分以上短縮する以上の効果を出すことは可能だと思っています。
レースまであと2か月になりました。あまり強度の強い練習を続けると疲労がたまって逆効果だと思います。
参加のポイントを取れた=完走するだけの潜在的な実力はあると考えて、あまり無理をせず、どちらかといえば現時点ではすでに最終調整的な練習でのぞむといいと思います。
皆さんが無事コースを走り(歩き)終えて無事ゴールに戻ってくることを私も楽しみにしています。