今年はUTMB完走のためのヒントは書かないと言いながらすでに2回書き、今回が3回目の投稿です。これで最終にします。
今日は装備と高度順応について書きます。
毎年いろいろな人から質問を受けるのですが、その中に必ずあるのが必携装備を全部もっていかなくても大丈夫か?という質問です。
私の答えは必携装備は絶対に必要というものです。
なぜならスポーツはルールに基づいて行うものですので、まず持たないことがルール違反です。
またUTMBの場合には持っていかないと身の危険もあります。
日本のランナーの皆さんは知らないようですが、地元サイクリスト達が仲間内で行った、第1回大会の数年前のトライアル大会では悪天候による死者も出ています。
日本人が大勢出るようになった2009年以降、レース期間中は毎年非常に天候に恵まれています。
(2010年にレースが途中で中止になったのも日本人は悪天候のために中止になったと思っていますが、
本当の理由はそうではありません)。
2009年以降毎年非常に暖かく(昨年の2日目のグランコルフェレの雪で気温が低かったという人が
いますが、昨年もレース中は平年よりも大幅に気温が高かったはずです)、もし今年が平年並みの気温になったとしたら(今のところシャモニでは平年よりもかなり高い気温が続いています)厳しい寒さをはじめとする過酷な自然条件の下で走った経験の少ない日本人ランナーは、必携装備プラスアルファの装備が必要です。
昨年はレースの終わった翌日の夕方から一気に10度以上気温が下がり、もしその低温がレース中であったら日本人の完走率は大幅に下がったと思いますし、凍傷や低体温症などの可能性もあったと思います。
装備ですが、具体的には必携装備以外に靴下の予備(雪や雨で靴下が濡れた時に強風が吹くとかなり寒いはずです)、セーターを追加で一枚(必携装備のフリースだけではきついかもしれません)、
、バラクラバ(気温の低い強風時には、頭の上部と耳だけでなく頭と顔全部を保護すると体全体の保温にかなり違いがあります)は必要です。
どうも皆さん軽量化を図りたいようですが、それならば荷物を削るのではなく自分の体重を削ったほうが安全です。
まだレースまで1か月ありますので、1キロぐらいの減量なら無理なくできるはずです。必携装備を削ってもせいぜい1キロです。減量のほうが間違いなく効果的です。
また軽量化を図って、もし寒さで動けなくなったらそこでレースはおしまいですが、
装備を持ちすぎた場合には必要のない装備をクールマイヨールでドロップバッグに入れるなり、その先であれば最悪捨てるといった対応も可能です。
完走したいのならば 極力リスクは取るべきではないと思います。
次に高度順応についてです。
毎年高度順応のためにレースが近くなってから低酸素室に入る人がいますが、これは百害あって一利なしです。
そもそそもUTMBのコース上で高山病になることはありません。また低酸素室に入ることがただの時間とお金の無駄遣いなら私も反対はしないのですが(低酸素室に入るのがファッションの一つなのでしょうが、それはそれでその人も好みだと思いますので、実害がなければ反対はしません)、今から低酸素室に入ることはネガティブな影響しかありません。
大半のトレイルランナーにいくら説明しても経験上無駄なのでこれ以上書きませんが、もし理由を知りたければメールでご連絡ください。詳しくご説明します。
そうはいってもどうしても高度順応のトレーニングをしたいとか、自分は特殊な体質で今までも2000メーターの山でも高山病になった(高山病でなくでなくただの疲れだったり頭痛のはずです。高山病かどうかは分かる人が見ればすぐに判断できるのですが、今まで私の周りで2800メーター以下で高山病になった人は一人もいません)という人もいると思います。
そのような人には富士山を富士山駅からゆっくりと往復することをお勧めします。これならば低酸素室に入るのと違いデメリットはなく、体力の強化にはなります。またUTMBのためには意味はありませんが、高度順応の対策にもなります。
あとレースまでほぼ1か月になりました。UTMBのポイントをと取れた人はUTMBを完走するだけの実力があるのは間違いありません。
冷静にレースを進め、無事時間内にゴールに戻ってきてください。ゴールでお待ちしています。