9月14日に中国四川省で開催された、黄龙极限耐力赛というレース(www.utms.com.cn/events?mid=49786)に参加し、そして記憶が正しければ4年ぶりぐらいにコースを間違えずにゴールしたので、その時のことを書いてみます。
出場を決めたのはレース3日前で(WeChatでオーガナイザーに、出る!と一言だけ連絡)、その時滞在していたシャモニから日本に戻るのが香港経由のチケットだったため、
香港から陸路広東省の深圳へ移動し、深圳(飛行場で私のミスによるトラブルが発生して危うく乗り遅れるところでした)ー成都ー現地(松藩)へと飛行機とバスで移動しました。
悪天候で飛行機が成都から250㎞程離れた重慶の飛行場で深夜の天気の回復待ちなどがあり、レース前日の夜11時にベッドに入るまで、約60時間おきっぱなしという毎回恒例の幸先の悪いスタートでした。
また準備不足の面もかなりあり、レース中苦労しました。
最初に書いたように、ここ4年ほどレースでは必ずコースミスその他で完走できていないため、今回はいつもの作戦である「最下位でスタートして徐々に前の選手を抜いていく」のではなく、「参加選手中95%の位置でスタート(最後尾のランナーから5%)してそのまま最下位集団の中で歩き続けてゴールする」という新しい作戦をとることにしました。
朝7時のスタートでしたが、そんな訳で気合を入れ6時45分にはスタート地点に出かけると、なんと!再度装備チェックがありました。昨日バスを降りると自動的に装備チェックが行われていたのですが、装備の不備が多い私は特別にオーガナイザーにチェックをしてもらいOKを取っていたという経緯がありあります。
チェックの結果サバイバルブランケットと笛がないためスタートはできないと言われてしまい、そうはいってもなんとかならないかと、スタッフがほかの選手で余分に持っている人がいないか探してくれている間に7時になってしまいました。
結果的にスタッフが責任者と電話で話して、特別に出走許可を取ったときにはすでに2分50秒がすぎており、早くも当初の作戦が失敗してしまいました。
たまたま集合時間に遅れて私よりも10秒ぐらい前にスタートした若いカップルが前を入っていたので、その二人を必死で追いかけ600m地点ぐらいから山に入ると、視界がいいこともあり200m以内に7-8人の選手がみえ、少し安心しながら徐々に距離を詰めていき、スタート後15分ほどたった時には数人を追い抜くところまで挽回しました。
ところが運の悪いことは続くもので、このころからおなかの調子が悪くなり、頻繁にコースを外れ、抜いてはまた追い抜かれるを繰り返すことになってしまいます。
幸い視界がいいコースであることや後ろの方の選手がかなり登りが苦手なようで、
致命的な差がつかず本格的な山の中に入ることができ、すこし安心してレースを進めることができました。
その後は山の中ということもあり、少しずつ周りの選手を抜きながら、視界がいいところでは景色も楽しみ、観光名所ではのんびり休憩しながら、無事ゴールまで戻ることができました。
肝心なレースとコースですが、40㎞のうち7㎞程の車道を除き、比較的走りやすい山道(一部はかなり歩きにくい個所もありました)で、制限時間も13時間と緩いので、のんびりと山を楽しみながらレースを楽しむにはいいレースだと思います。
今回はあいにくの雨模様でしたが、晴れれば周りにはたくさんの4000m峰、5000m峰があるので、日本やヨーロッパの大会では見ることのできない雄大な景色も楽しめるはずです。
また中国のレース特有の、異常なほど親切なエイドスタッフのサポートも完走の手助けになりますし、日本のレースとはだいぶ雰囲気の違うレースを経験できます。
以下にレースについて簡単にまとめます。
1.開催地
有名な観光地の黄龍(https://ja.wikipedia.org/wiki/黄龍風景区)、松藩(https://ja.wikipedia.org/wiki/松潘県)がベースです。四川省の省都である成都から約250㎞、車で5時間(ただし今回は高速道路の規制等があり8時間かりました)と移動が少し大変なことがデメリットかもしれません。
ただし観光名所はコース上や成都からの移動途中にたくさんありますので、途中で何か所かの観光地によりながらベースになる松藩に行くのもいいのではないかと思います。
1.カテゴリー
100㎞、60㎞、40㎞の3つです。40㎞は3800mまでですが、ほかの2つのカテゴリーは4400mまで登るので、多少高度の影響を受けると思います。
2、特徴
総参加者300名と小規模な大会です。
またレースの拠点になる松藩は茶馬古道のスタートの町と言われており、昔の中国の古い街並みも残っており、観光も楽しめます。
そして100㎞と60㎞のスタート地点の黄龍には美しい湖がたくさん点在していることで人気の観光地です。
3.コース
マーキングはかなり充実しています。またコース自体も走りやすいところが多いと思います。
100㎞はおそらくかなり難易度が高いですが、60㎞と40㎞は、それぞれハセツネ16時間、24時間で完走できれば問題ないと思われます。
4.エイド
エイドの食べ物は3種類のおかゆ、パン、麺、果物、コーラや水だけと種類は少ないですが、味の面ではかなりレベルが高いと感じました。またスタッフはとても親切です。
5.気象条件
ベースになる松藩(標高2600m)で朝晩の気温が12度ぐらいでした。また昼間の3800mの地点でも気温は10度前後でした。
風が吹くと少し寒く感じましたが、全体的には汗をかくことなく走ることができ快適でした。
ただし9月の四川省は雨が多いようです。
6.参加者のレベル
40㎞の参加者に限ればかなり低いです。カップルや友達同士が旅行を兼ねて参加しているのが目立ちましたし、実際レース中に話をした人たちはみな四川省以外からの参加者でした。そのような訳ですので、海外レースに慣れていない人や私のように遅いランナーでも参加しやすいと思います。ただし100㎞はコースもタフでかなりレベルの高い人が多いのではないかと思います。
わざわざ日本から行くとなると100㎞以外は少し物足りないかもしれませんが、四川省は観光名所がたくさんあるので、旅行を兼ねていくにはとてもいいレースではないかと思います。
来年も招待選手を募集しますので(今年は応募者ゼロでした)、ぜひご検討ください。
2 コメント
装備品不携帯は失格です。それをスタッフに特別に掛け合ってもらって出場出来たとのことですが、あり得ないですね。しかもそれに時間を要して作戦失敗とまで考えてる。レース時の装備はレギュレーション云々の前に、登山には必要なものですよね。元本格アルピニストということですが、トレイルランナーとしても登山者としても失格だと思います。
これを堂々とブログで書く神経も疑います。不愉快。
「携帯品不携帯は失格です」はそのとおりだと思います。ただレース責任者がそれでも問題ないと判断し(責任者とは何度かコース整備などで一緒に山を歩いています)、私もなしで安全にも完走できると考えたため出走しました。もちろん規定の装備を忘れないことが本来重要なことであるのは理解しています。
レース時の装備はレースの主催者が必要と考えたものであり、そのコースを登山するに当たり必要かどうかは、その人の経験、体力、知識、技術などによって異なります。
登山者として失格と言われますが、今までのところ救助を受けるような事故は、私も今までザイルを結んできた数多くのパートナーも一緒に登った時には起こしていません。
私は事故を起こさない登山者が優れた登山者だと認識しています。
不愉快に思われることに関しては、不特定多数の人の目に触れる文章を書く時には気をつける必要もあるでしょうが、人の感情まではコントロールできません。
私もあなたのコメントの後半部分は不愉快ですので、同じようなことではないでしょうか。