今シーズンの年末年始は南ア縦走には行かず、
4年ぶりに街で年を越しました。
今年1登目は積雪25cmの櫛形山、裸山から白峰三山、絶景でした。
中尾根は標高1,400mあたりから雪がありますが、
日当たりのいい南尾根はほとんどなく快適に下って氷室神社で初詣。

裸山から白峰三山

スノーシューで遊べます

氷室神社
あたらめて、頭の中を書き出してみました。
■理由1 台風の被害が分からない
10月の台風で、仙塩尾根の様子がどうなっているのか分からない、というのが一番大きかったです。
10月末に仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳には行きましたが、仙水小屋周辺は壊滅的な被害だったり、
両俣小屋や林道の様子もWebやSNSで見ていて、
とても今シーズンは塩見岳までたどれそうにない、不確定要素が多すぎる、と。
なので台風後に今回の年末年始は南アには入らないと決めていました。
■理由2 エスケープルートが例年より少ない
理由1と似ていますが、まず仙丈から北沢峠に降りたとして、
いつもなら林道で夜叉神か、林道又は登山道で戸台まで降りられますが、夜叉神方面は林道崩落で×。
戸台へは河原の登山道が崩壊で、林道から仙流荘への道が仮復旧したところ。
次に進んだとして、野呂川越から被害の大きい両俣小屋まで降りられるのか不明なのと、
その後の林道もダメージが大きく、野呂川出合から結局北沢峠へ戻ることに。
仮に北岳まで回ったとして、池山吊尾根が無事かも不明なのと、
さらにその先の野呂川発電所から鷲ノ住山への橋や登山道も状況は不明。
しかも野呂川は台風時に一番降水量が多かったところなので、悪い方で予測せざるを得ない。
農鳥岳から奈良田方面も台風後の状況は不明。
無雪期と違い、仙丈へ戻るトレースも残っているか分からず、
その後地蔵尾根を下るのは2日みておく必要がある。
ということは、前半の確実なエスケープルートがほぼ無いということ。
この状況では、仙丈より先に進むのは例年よりリスクが高いと考えざるを得ませんでした。
■理由3 荒天の天気予報
仮に登山道が無事だったとして、今回のコンディションで行ったかといえば答えはNoでした。
事前の予報では31日、1日が大荒れの予報で、
実際は1日早まり30、31日が暴風雪でした。
仮に28日の早朝に地蔵尾根をスタートしたとして、
29日は熊ノ平小屋までだったと思います。
暴風雪の中、塩見岳を越えるのはリスクが高いことから、
おそらく2日間は熊ノ平小屋でステイしていたと思います。
この2日間で30cmぐらいは新雪が積もったと思うので、
1月1日に塩見岳を越えたとして三伏峠まで。
2日は小河内岳をピストンして三伏峠から鳥倉登山口へ下山していたと思います。
■理由4 新雪の多さ
先週まで、南アルプスは標高の高いところしか雪がついていませんでした。
この1週間でそこそこ積もったわけですか、当然雪面は安定していません。
仮に1月2日に荒川岳手前のカールまで行ったとしても、
雪崩の危険性が高く、とても登れない状況であることは簡単に予測できます。
3年前に荒川岳手前のカールを登ったときは、
直近の降雪も無く雪面がしっかり締まっていて、
アイゼンもガッチリ効いたので無事登れましたが、
今回のコンディションでは、進むという選択肢は無かったと思っています。
■理由5 直前まで雪が少なかった
年末の降雪前は、標高2,500mあたりでも南アルプスにはあまり雪がありませんでした。
これだと、無雪期のトレイルが多く、
標高の高いところだけ雪山登山。ラッセルも少しということが予想できました。
ラッセルだけを目的としているわけではないのですが、
冬季縦走である以上、ある程度標高の低いところからしっかり雪がついているコンディションで行きたいというのはあります。
ようやく南アにも雪が積もりつつあるので、
今月のさらなる降雪に期待。来月2月に2泊3日でどこか行きたいと考えてます。
こうやって考えると、3年前がいかにコンディションに恵まれていたのかを実感します。
今回はサラリーマン的には曜日の並びも良かったので悔しい部分もありますが、
TJAR冬季南アルートというのが、
1週間の休みでやれそうでやれない、
ある意味「ちょうどいい」チャレンジだと思っています。
年末年始はGWや秋に比べて曜日の並びが良いことも多いので、
また機会を見て、と思っています。
2020年も快速安全登山で。
今年は自然災害も無く、
無雪期の週末の雨も少ない年になるといいですね。