「UTMBは歩いても完走できますよ。」
TDG報告会の司会進行などで活躍する蚊取り線香さんの言葉。
歩くといっても、例えばハセツネコースを逆走した場合、ガチ走りすることなく、
休息をいれて1周を18時間くらいのペース。短い休息時間を刻み、ペースを維
持して歩き続けるイメージ。
18時間は、あたしの昨年のハセツネゴールタイムと同じくらいの速さ。
昨年のハセツネは前半オーバーペース~三頭山から失速したとはいえ、歩い
てもアベレージではゴール時間は変らないことになります。(ハセツネは純走よ
り逆走の方がコース負荷が高い)
※以下はトレイル超長距離初心者向けです
トレイルやマラソンのレース中の行動時間の算出は、
ペース 分/km × 距離 + 停滞時間(休む時間)=レース中の行動時間
レース中の行動時間=ゴールタイムを少なくするためには、
1.ペースを上げる
2.停滞時間を少なくする
の2択になります。
ハーフやフルマラソン程度の距離ならば、2.の停滞する必要性も場所(エイド)
も少ないので、ペースを上げる=スピードを身につけることが重要になります。
これが、100km~の超長距離や北丹沢12時間耐久レースのようなアップダウン
や足きり時間の設定がテクニカルなレースの場合、
1.ペースは、場面・状況・経過時間の影響を受けやすくなり、後半になればなる
ほどペースダウンは回避できない※スタート時に比べ
2.停滞時間は、1回当たりの時間を削ることができても、休息する場面や頻度
が増える。1回あたりの時間も後半になるにつれ長くなりがち。
うさぎと亀の話に例えるなら、うさぎは先に飛ばし、途中休みすぎて亀に抜か
されますが、超長距離の場合、うさぎも亀もレースが長すぎて途中休まなけれ
ばならない。うさぎは前半にとばし過ぎて足がなくなったため動けなくなり、
亀に抜かされるだけでなくDNF。ということが起こるシチュエーションになります。
もちろん、他の人がペースが落ちる場面でも、速いペースを維持できる強いラ
ンナーは別ですが、ここではそこまで速くない・超長距離に慣れてない人、
超長距離もショートやミドルのように「足でもっていける」ようにならなければダメ
と思っているランナーを対象に書きます。
完走を狙うなら、ゴールの制限時間内に入るペースをどう維持するか、そのペ
ースが歩くスピードと同じでも、最初から最後まで維持できれば完走できると
いうこと。
例えばハセツネ71.5Kを15時間で完走した場合、
71.5K÷15時間=約4.5km/1h
1h=60分÷4.5km=1Kあたりの平均ペース約12.5分
不動産屋さんの駅からの所要時間の算出は80m=1分
1Kあたりの所要時間=12.5分
ハセツネ15時間完走の平均ペースだけみれば、街中をごく普通の人が歩くスピードと同じペースになり、24時間内ギリギリ完走どころか、アベレージペースさえ維持できれば、昨年のあたしより3時間も速く(苦)完歩できます。
ただし、山に中をずーっと同じペースを維持し続けるのは非現実的なので、
ペース 分/km × 距離 + 停滞時間(休む時間)=レース中の行動時間
↑
1.ペース 分/km×A-B区間 +ペース 分/km×C-D区間・・・と細分化する。
2.各区間の場面・状況・経過時間を考えてペースを決める。
3.各区間のグロスと停滞時間が完走(目標)時間内に収まるように計画する。
4.各区間ペースから平均ペースを算出。レース中の平均ペースがそれ以下
にならないようにする。
いわゆるラップ設計が必要になり、設計するための脚力・体力の把握、もちろ
ん基礎走力を作るための日頃のトレーニングに加え、レース中ではペースの
維持とインパクトやダメージの回避が完走のカギになります。
ラップ設計については、またややこしいのでのちほど。