トレイルランナーとしてレースに出場する楽しみの他に、レースの裏側で運営に携わるという楽しみ方を感じている人は少なくないと思います。
ランナーの走る姿や表情、それぞれのドラマを感じられる色々な場面に遭遇し、”走る”立場ではない”支える”という違った立場での楽しさが感じられる「ボランティア」は一度は経験するべきだと感じています。
またレースを主催する側の人たちにとっては、今や運営スタッフやボランティアの力なくしてレースや大会の成功は考えられません。いかにそれぞれ個々の力を引き出し、大きな協力を得てレースの成功に導けるか?主催者、運営サイドにとっては重要な課題だと思います。
昨日、斑尾フォレストトレイル50kmの大会ボランティアに参加してきました。
長野県斑尾高原で開催されるトレイルランナー石川弘樹さんプロデュースの大人気レース、斑尾フォレストトレイル50kmは今年で7周年を迎えるとのことでしたが、私自身もランナーとして3度、ボランティアとして2度、大会に参加させて頂いています。
出場ランナーの定員を抑えるなど斑尾高原の自然とトレイルを大切に運営され、トレイルランニングの楽しさや魅力を存分に味わえるレースとして、私自身も大好きなレースの一つです。
はじめてトレイルランニングのレースに出場する方には、必ずと言って斑尾のビギナーコース(16km)を紹介することにしています。今年も2名、斑尾トレイルに魅了されてしまいました・・・笑
斑尾ではボランティアには様々な役割がありますが、主に一般ボランティアには、「エイドステーション」と「コース誘導」の役割が与えられているようです。一昨年より、ボランティアで大会運営に携わることにより、「来年の出場権、エントリー優先権が与えられる」という特典が新たに付くようになり、ボランティアとして参加されている方は来年の出場権を目的としたランナーが多くなった印象を受けました。今や日本一エントリーするのが難しい(ゼロ関門?)と言われている大人気レースの「斑尾フォレストトレイル50km」ですが、今年は一般ボランティアの募集もあっという間に締め切られたとのことでした。こういったボランティアには来年のエントリー優先権を与える、というような日本では新しい取組もこのレースの特徴かもしれません。ご存じ、前月9月に開催される「信越五岳110km」では”ペーサー”や”アシスタントポイント”といった日本のレースでは珍しい大会運営のノウハウなどを導入しているのも特徴、人気のある要因かもしれません。
エイドステーションには主に女性ボランティアが多く配置され、コース誘導には男性、特にランナーとして走った経験があるボランティアが配置されていました。毎年、約600名のランナーが走る斑尾のレースでは、およそ150名を超える運営スタッフで大会運営がされ、その中で3分の一が一般ボランティアという形でレース運営に携わることになります。
7年目を迎えた今年のボランティア説明会では、「ボランティア配置表」や「行動指示書」、「配置マップ」など隅々まで行き届いた完成度の高い資料が配布され、当日の短い打合せのみで大会当日を迎えられるような配慮や指示が的確に行われていました。事務局となる大会本部や地元協会員の皆様は、ランナーもボランティアもすべての方々へ丁寧な対応ときめ細かい配慮がなされ、大会に関わるすべての方々がレースを成功に導くために努力されている姿が印象的でした。
(前夜祭ではランナーもボランティアも一緒に交流)
「なぜこのレースは人気があるのか?いかにして高い評価をされているのか?」
ランナーとして難関(クリック合戦)を突破し出場することとは別に、ボランティアや運営側でレースの裏側に立場を変えてそのレースを見ることは、”裏側”を見ることではなく、レースの”本質”が見えてくる要素の一つなのかもしれません。
私自身、出場するレースの選定やそれこそプランニングや運営を考えていく中で、そういった目線の変化がとても役に立つことが多く感じられました。
(今年は私設のウォーターエイドステーションが出没!みなさんボランティア・・・)
出場したいレースや大会は人それぞれで、海外に目を向ける人や国内の大きなレースを中心に目標を立てて出場することもあるでしょう。走るエリアやトレイル環境、距離や累積標高など、エントリーするための評価軸も様々です。
誰もが出てみたいとエントリーが殺到するレースや100kmを越えるロングレースが必ずしも自分が楽しめるレースとは限らないかもしれません。
一度、レースを裏側や違った立場からのぞいてみるのも楽しいかもしれません。
トレイルランナーとしての目線や楽しみ方の新たな発見に繋がるかもしれません。