ミキです。
今年のトルデジアンで関門ぎりぎりで通過し、最後までぎりぎりだった私。
そんな私でも強く思い出に残っていることがもうひとつあります。
エゴと友人への想い
昨年240kmでリタイアし、セレモニーに参加した私は、”トルデジアンは完走しないと意味がないんだ”というのを実感しました。あんなにきらびやかに完走者を称え、あんなにまぶしい完走者をみたことがありませんでした。そしてなんだかとてもかっこいい。
なので、今年は絶対に完走しか考えていませんでした。ただし、昨年よりも走力が落ちて、なんだかあまり自信もない。でも確実なのは”完走しないとまったく意味がない”ということでした。
最後のライフベースをでて、2つ目の関門Merduexに着く前にあった出来事。
Bossesというエイドをでて眠気で我慢ができない中、寒く夜ということもあり、なんだか不安な気持ちに襲われました。それは勘です。黄色信号がともっているような、不安な気持ちに襲われました。私はスネが痛くなかなか走れない。一方途中で合流したいつも一緒に練習をしていたゆうこりんは眠くなかなか足が進まない状態でした。そんな胸騒ぎを感じ、地図と関門の表を照らし合わせ、次の関門までタイトなことに気づきました。
だから15分で起こされたんだ・・・。
ハッと気がつくとフラッグも見失う状況にいましたので一気に眠気が覚めました。後ろから来るランナーにフラッグがない!と話して一緒に探してもらい、その方向を進みました。
ゆうこりんは足が動くしもともと私より速い。ですが眠くて足が前に進まない。これはお尻をたたくしかない。
“行くよ!””先に行っていいからね、急ごう”
とあおりました。ですが先に進んでいるゆうこりんは私を気にして、振り返ったり立ち止まったりして待っててくれます。すごく嬉しいのですが、昨年のサイコさんを思い出しました。300km進んでいたのに関門に泣いた彼女を。今までレースであんなにつらくて悲しい出来事は目の当たりにしたことはありませんでした。
そんなゆうこりんにとっさに口から出た言葉が
”もういいから!先行ってよ、行って!!!(怒)”
””本当に進んで!待たないで!!!!”
でした。だって彼女には、彼女にだけはあんな悲しい気持ちにはなってほしくないから。せめて私だけで・・・・
・・・・でも私だってこんなところで終了はイヤダ。絶対にイヤだ!
スネの痛さをこらえて息をとめて進みました。なかなか動かず、涙が出てきましたが、今使えるものは腹筋と息をとめて動く自分の足でした。ストックは片手にまとめてつかんていました。
途中山から下りてきてすれ違うランナーに”どのぐらいかな~?”
と聞くと
”あぁ、あと一時間ぐらいかな・・・Goodluck”
と言われました。本当にタイトなんだよね・・・。見えているのはお城のように眩しい光りを放つ建物とその下の普通の山小屋。下のほうの山小屋ではないかな・・・と期待するも違っていました。やっぱりあのお城のように見える位置にある山小屋がMerduexでした。
”あと一時間あるよ^^”
山小屋の方に言われました。でも半泣きです。引き続き息をとめて足を動かします。そして
“イヤダ~、絶対イヤだ~”。
と思っていました。
8:00の関門の20分前頃、目指すべき関門の山小屋が姿を現しました。まわりはもう夜明けで日が登って来ていました。
”ミキさーーーん!間に合うよ! ^^”
とゆうこりんが山小屋の外から手を振ってくれました。山小屋での休憩はとっても大事な休憩なので、彼女の休憩時間を奪ってはならない、と思い
“中に入ってていいから!!!!”
と中に入るように叫びました。
関門15分前にようやく中に・・・。山小屋でゆうこりんの所に行きました。
すると彼女は
“途中で眠くてごめんね・・・ヘッデンのこともごめんね・・・”
とポロポロ泣きだしました。
私はなんでもっと普通に進むように促せなかったのだろう、優しい彼女を傷つけてしまった・・・そしてなんでこんなに進めないんだろう・・・と自分が情けなくなりました。
“私こそごめんね・・・絶対絶対一緒に完走しようね”
と泣きながら彼女をハグしました。
後から聞いたのですが、山小屋到着して周りにいた日本人ランナーに
“ミキさんを置いてきちゃった”
とべそをかいてたようです。
今まで本当に一緒に山にいって楽しんだり練習を積んできました。一緒にトルデジアンを夢見てきました。
改めて優しい彼女と友達で本当によかったと感じられました。
寝不足で、疲れもたまり、極限状態に近かったと思いますが、そんな時に感じた気持ちはまともな友人への気持ちでした。それが自分で嬉しかったです。
Merduexからは朝日を浴びて、日本人選手達と香港の選手Barryさんとも出会えて、気分も満たされて、希望にあふれたマラトラへの道を進みました。