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パシフィック・ノースウェスト通信

糖質か脂質か。

written by 藤岡 正純 September 10, 2018

トレイル・ランニングの中でも長い時間動き続けるウルトラ・ディスタンス。体の中に蓄えられるエネルギーには限界があるので、動き続けるには当然のことながら必要なエネルギーをしっかり補給することが大切です。

一方で、多くのランナーが胃腸のトラブルに悩まされるのも事実。ある記事によれば2009年に行われたアメリカの2つの100マイルレースにおけるリタイアの一番の原因が吐き気や嘔吐とのこと。

リタイアの原因

リタイアの原因

いかに胃腸のトラブルを防ぎつつ栄養補給をするかというのは、ウルトラ・ランナーが完走や良い結果を得るための重要な要素です。今回はそのあたりについて、私が実際にどうしているかを交えてお話します。

どのようにエネルギーは使われるのか

まず人はどのようにエネルギーを使うのかについて簡単におさらいです。

人には幾つかのエネルギー代謝の仕組みが備わっていますが、ウルトラ・ランニングのような長い時間の運動では糖質・炭水化物を元にエネルギーを作る機構(解糖系)と脂質を元にする機構(酸化系)が主に働きます。

運動中は糖質と脂質のどちらも使われるのですが、その割合は運動強度によって変わってきます。以下の図のとおり、運動強度が弱いと脂質(FAT)の割合が多いですが、運動強度が上がるに連れて糖質(CHO)が増えていき、最大酸素摂取量(VO2 max)の45%〜65%を境に脂質より糖質が多く使われるようになります。

運動強度とエネルギー源

運動強度とエネルギー源

「最大酸素摂取量(VO2 max)の45%〜65%」はどれくらいかというと、下図の通りおおよそ「楽である」と感じられる強度です。

自覚的運動強度

自覚的運動強度

糖質の問題点

したがって、強い運動強度を維持するためには糖質が必要ということになりますが、しかし糖質には以下のような問題があります。

  • 胃腸障害を起こしやすい…一度に多くの糖質を摂取すると吐き気などを引き起こしやすくなります。一時間あたり90グラムの炭水化物を取ると、60グラム取るときと比べて吐き気を引き起こしやすいという研究結果もあります。
  • 体に蓄えられる量が限られる…糖質は体でグリコーゲンに変換されて蓄積されますが、体内に蓄積できるグリコーゲンの量はおよそ1500~2000キロカロリーと言われています。これはざっくりいうとマラソンペースで30キロで枯渇する量です。一方、人が一時間あたりにグリコーゲンに変換できる炭水化物の量は通常60〜70グラム(=約300キロカロリー)、頑張っても90グラムほど。つまりマラソンのペースを維持すると、いくら頑張って補給してもグリコーゲンは枯渇してしまいます。

脂質ブーム?

こうした糖質の問題や限界もあって、ここ数年、ファットローディングというキーワードをよく目にします。体の中に大量にある脂質を効率的に使える体にすることを目指すダイエット方法です。アメリカのウルトラ・トレイルでもザック・ビターやジェフ・ブロウニングなど、脂質中心のダイエットを実践しているエリートランナーもいます。

ただ、この二人は糖質が体に合わない体質でこのようなダイエットを選択している側面もあるようですし、ザック・ビターに関してはレース直前やレース中には糖質を増やすと語っています。

実際、エリートの中ではこうしたダイエットは主流ではありません。ティム・トレフソンは「UTMBでジェフ・ブロウニングがファット・ローディングの良さを話してたのに、翌日彼はお腹壊してたよ。僕はカーボで腹を壊したことがないのにね。」と笑い話を披露しています。

糖質か脂質か?

普段やレース時にどのような食事をするかは、個人の体質に加えて主義や宗教などもあり一概に何が良いとはいえませんが、個人的な結論は以下の通りです。

  • ある程度コンペティティブなレベルで走る人は、体質的に受け付けないか、体重を減らしたい場合を除いては炭水化物を軸とした栄養摂取計画を取ったほうがパフォーマンスを発揮できる確率が高い。
  • タイムを目的とせずに長距離を走る、あるいは100マイルを超える超長距離でスピードより耐久力が求められるような場合はローカーボ・ダイエットもあり。

実際問題、何を摂る?

私自身は50マイルまでなら基本ジェルとスポーツドリンク(ポカリスエット)。50マイル(80キロ)だと加えてエイドステーションでバナナやコーラを摂取。100マイルでは羊羹やカップ麺など固形物を入れます。

店には様々なジェルが並び、また次々と新製品がでていますが、私が現在主に使っているのはVFUEL(おそらく日本では未発売)。

VFUELの栄養表示

VFUELの栄養表示

通常ジェルで使用されるのはマルトデキストリンと果糖ですが、このジェルはマルトデキストリンとブドウ糖を使用しているため、消化しやすいというのが謳い文句です。食感は日本で発売されているマグオンのように粘度が低く、味は比較的優しい甘みです。

VFUELが謳う他社製品との違い

VFUELが謳う他社製品との違い

ポカリスエットは粉末を通常の70%くらいに薄めて使っています。1リットル用粉末あたり288キロカロリーですから、70%に薄めたポカリ500ミリリットルで100キロカロリーほど。

最近入手して練習中に試しているのがモルテンのドリンク・ミックス320という製品。500ミリリットルあたり80グラムの炭水化物(=320キロカロリー)が含まれています。キプチョゲなどトップ・マラソンランナーや、ツール・ド・フランスのチームが使用している今話題の製品です。

モルテンのドリンク・ミックス

モルテンのドリンク・ミックス

こちらの製品の売り文句は、通常これだけ炭水化物が多いと胃が受け付けなくなり消化が遅くなるが、このドリンクは胃に入るとジェル状になり、スムーズに体内に吸収されるというもの。

水飴を薄めたような味で、指定通りに作ると甘みが強く、私の場合ゴクゴク飲むというよりはちょびちょび吸うような感じです。短い距離をボトル一本で走るような時だと濃すぎるので、使うとすればより長い距離で500ミリリットルのボトルを二本持つようなときに、一本をこちらにするという形でしょうか。

各製品それぞれ特徴があるので、ペースや走る時間に合わせて一番自分にフィットするものを選択する必要がありますね。

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藤岡 正純

藤岡 正純

アメリカ在住/「Seven Hills Running Shop」スポンサードランナー

アメリカ・ワシントン州在住。シアトルのトレイルランニング専門店「Seven Hills Running Shop」のスポンサードランナー。Team RunRun所属コーチ。不惑をとうに超えつつも、若手に負けじとパシフィック・ノースウェスト(太平洋岸北西部)の山々を駆け回っています。
本業はソフトウェア・エンジニア。妻と猫と暮らしてます。

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