こんにちは。
猛スピードで崖を駆け下りてくるアイベックスと、くだりがこわい、さいこです。
今回は「ビバッコ」についてのお話しです。
ビバッコ(Bivacco)とは、イタリア語で避難小屋を指します。
昨年9月、トルデジアンの表彰式が終わってから、わたしは山岳カメラマンの藤巻翔くんオススメのビバッコパスカル(Bivacco L Pascal)へ一泊のトレッキングに出かけました。
メンバーはトルデジアン完走の猛者、關さん、しんや、ほさかさん。
標高は2920m。
トルデジアンのスタート地点であるクールマイヨールからも行けるのですが、せっかくなのでバスでモルジュまで移動。
日暮れまでの到着を目標に、標高差約2000mを登ります。
200マイルを駆け抜けてきた面々と、100kmでリタイヤのわたし。
走力は雲泥の差ですが、断然わたしの方が疲れ知らずのはず。
クールマイヨールで買い込んだワインやラルド、チーズ、そして日本から持ってきたお米など、すべての荷物をしんやに託し、これで走力は互角と踏んでスタート。
しかし、甘かったー!
速い、速い、みんな身体も頭もおかしいです(笑)
途中の民家で自家製シャンパンをいただき、ハイテンションに。
その後は九十九折になっているのに、わざわざ直登。
駆け下りてきたアイベックスたちも警戒しています。
最後はまたもやコースを外れてガレガレで風吹きすさぶ尾根伝いを進む始末。
日が傾き、気温が下がり、汗冷えと高所恐怖症でついていけなくなったわたし。
ウルウルと目に涙を浮かべる羽目に。
こうして到着したビバッコパスカルは天国のようなところでした!
避難小屋と言っても侮ることなかれ。
それはそれは素晴らしい設備が整っています。
太陽光発電に、コンロ付きのキッチン、水洗トイレ。
壁一面に大きく作られた二段ベッドには、フカフカのお布団と毛布。
テーブルにはかわいいギンガムチェックのテーブルクロスとキャンドルの数々。
そして、多くのハイカーが残していく調味料や食材。
小屋の使用料は、おトイレの横に置かれたドネーションボックスに、お気持ちを少々。
そして部屋の窓からはモンテビアンコ。
そう、あのモンブランが見えます。
完全に日が落ちると、そこには満天の星空、無数の流れ星。
先に到着していたイギリス人ハイカーの2人は、わたしたちが酒盛りして騒ぐ横で、おとなしーくしています。
今夜のビバッコメンバーはこの6人。
ひとしきり騒いだ後は、みんなで二段ベッドに仲良く並び、幸せな眠りにつくのでした。
そして迎えた翌朝。
外に出ると、そこにはご来光。
ずっとここにいたい。
全員が同じ気持ちになっていたと思います。
それでも、帰らなければならない時間はやってきます。
部屋のお掃除を済ませ、後ろ髪引かれつつ美しいリコニー湖(Lago di Licony)を横目に、クールマイヨールへの道を下るわたしたち。
シーズンオフの山道は、誰ともすれ違うことはなく、穏やかな空気がわたしたちを包んでくれました。
エルミタージュまで一気に下山。
ここからあっという間に到着したクールマイヨールの街には、昨日のイギリス人2人がカフェに(笑)
わたしたちも、ビールで乾杯。
ピザにかぶりつきながら、昨日の一晩を夢のように感じるのでした。
さて次回は、イタリアとは全くもって異なる、日本のビバッコで一夜を明かすことになったお話しをしたいと思います。
お楽しみに〜。