こんにちは。僕です。
昨日でRun boys! Run girls!、2013年の営業を終えました。今年は4月のオープンからここまで本当にあっという間でした。ここまでお店に来てくれたみなさん、応援してくれたり支えてくれたりしたみなさん、本当にありがとうございました。
今日は1年の振り返り、”Run boys! Run girls!的ギアオブザイヤー”です。Run boys! Run girls!で人気があった商品の中で、ただ売れただけではない、付加価値やウンチク、文脈、ストーリーのある商品を選んでみました!
今日は前編。では行きます。
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◆通勤ランオブザイヤー
「ALTRA INSTINCT1.5 BLACK」
ゼロドロップ(かかととつま先の高低差が0mm。一般的なジューズは大体10mm程)と幅広の足形という大きな特徴を持ち、ヒールストライク(かかと着地)を軽減した自然な走り方を導いてくれるALTRA。中でもトレイルシューズであるLONE PEAKは、ナチュラル志向のトレイルランナーや幅広足のランナー、ULハイカー等から高い支持を得ていますが、今回チョイスしたのは ロードシューズであるINSTINCT1.5のブラック。
その中でもあえてブラックとカラーを指定したのには訳があります。元々INSTINCT1.5は昨年から発売されているモデル(ブルーとレッド)でしたが、今年になってこのブラックが追加発売されました。黒一色というカラーはかなりクールでユーザーの評価もかなり上々。Run boys! Run girls!でも、入荷以来ずーっと売れ続けています。中でも多いのが「このカラーなら会社の行き帰りに履けるし通勤ランで使いたい。」と言う声。ちなみにデザインだけでなく、幅広でかなり足がリラックスするフィッティング(履いていてスゴい気持ちいいです)であることや、ベアフット/ナチュラル系のシューズの中ではワラーチやVFFに比べてソールも厚く、足裏に優しいと言うことも通勤ラン用のシューズとして支持される理由かも知れません。
ちなみにもちろん通勤ラン専用ってわけじゃなく、INSTINCTはALTRAのロードシューズの中で一番スタンダードなモデルなので、オールラウンドに使えます。僕はワラーチやもう少し薄い靴でのランが続いて足裏が疲れてる時に履いたり、リラックスしたジョグ(グループラン等)の時なんかにはきます。また、ベアフット/ナチュラルランニングを始めたいけど、ワラーチやVFFはちょっと薄すぎて怖いっていう人の最初の一足としても適していると思います。
てことで、通勤ランオブザイヤーってしましたけど、それ以上のバランスの良いシューズです!
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◆ミニマル装備オブザイヤー
「UltrAspire QUANTUM + Simple Hydration」
トレイルランニングでも、レースであったり、気候・環境等が整っている状況ではなるべく走りに集中したいもの。必要最低限の機能で走りを妨げない軽量のアイテムは必然的にニーズが高くなってきます。そこでチョイスされることが多くなるのが腰回りで収納するウェストパック系のアイテム。
2012年にUltrAspireから発売されたMBS(モレキュラーベルトシステム)は前後のパーツを組み合わせてウェストパックを構成することのできるシステムだったので、前後共にミニマルなパーツを使用することで軽量かつフィット感の高いレーシングベルトを構成することができました。
そんな中、今年同じくUltrAspireから発売されたQUANTUM(クゥアンタム)は更なる優れもの。MBSとは異なる単体のレーシングベルトで、エーテル・テクノロジーと呼ばれるウェストパックにつきものバックルを排除した継ぎ目の無いモデルです。メーカー側も”クロージングとギアの中間的存在たるもの”とうたっているように、伸縮性のあるバックルの無いレーシングベルトを足下から履くように着用します。
このことによるメリットは、とにかく安定感があると言うこと。幅広の伸縮性のあるベルトが腰回りでフィットするので、ゆれやずれがほとんど気になりません。容量的にも、前のポケットにスマートフォン+α、後ろのポケットにジェルが4~6本、腰の位置にあるサイズ調整のストラップをうまく使えば小さめのウインドシェルを引っ掛けることもできます。
更に!体へのフィット感がいいので、身につけるボトル”Simple Hydration”との相性も最強。ボトルホルダーも無い85gのレーシングベルトが、13oz(約360ml)の水を持ててしまうという点のポイントが高く、この組み合わせで購入していく方がとても多かったです。
QUANTUM単体で3,150円というコストパフォーマンスの高さもあり、今年前半はとにかくQUANTUMを沢山売った記憶があります。ということで、補給の心配が少ないショートのレースからご近所ランまで幅広く対応してくれる、UltrAspire QUANTUM + Simple Hydrationにミニマル装備オブザイヤーを!
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◆本命シェルオブザイヤー
OMM Aether Jacket/Smock
この賞に関してはちょっと前置きが長いですw。
レインシェルの選択はアウトドアアクティビティをする人ならもちろんのこと、中でも他のアクティビティより汗をかくトレイルランナーにとって永遠の悩みではないかというくらい難しい問題です。理想はウインドシェルの用な軽さと着心地の良さに、悪天候にも耐えうる防水性と、激しい動きによる体からの汗を逃がしてくれる透湿性を持ったジャケット…なのですが、技術的な壁があり今のところその要件を全部満たすジャケットは存在していません。
が、2013年はそこに対して異なる方向性から進歩がありました。まず一つは2/2.5レイヤー側からのアプローチ、MONTANEのMIMIMUS SMOCK。コレまで2.5レイヤーの軽量レインシェルと言えば、ORのHELIUM Ⅱ JACKET(Mサイズで166g)が定番でしたが、MINIMUS SMOCKはプルオーバータイプとはいえ、HELIUMと同じPERTEX® Shield +を使ってMサイズで140gという軽量性を実現。”ウインドシェルの用な軽さ”を持ったレインウェアとしてトレイルランナーのチョイスに一気に食い込んできました。
二つ目は、コレまでとは異なるアプローチ。防風透湿素材であるWINDSTOPPER®の耐水性に着目した、THE NORTH FACEのSpeedster Hoodieです。先にあげたようにトレイルランナーが持っている”願望”として「ウインドシェルが雨を防いでくれれば良いのに」というものがありますが、実際は大多数のウインドシェルに施されているのは表面の撥水加工のみなので、一定の雨がふると耐水性はほぼ無くなってしまいます。が、雨具と同じメンブレン(膜)構造を持ったWINDSTOPPER®(防水ではないが耐水性がある)を使用したウインドシェルであれば、ある程度の雨はふせいでくれます。
そこで、”状況によってはトレイルランナーの雨具としてはそのくらいの機能で十分”という割り切り(とある日本のトップランナーのニーズ)の元に生まれてきたのがこのジャケット。シームシーリング(縫い目から雨の侵入を防ぐための目止め加工)を施していないため、雨具必携のアイテムチェックがあるレース(UTMF等)では雨具として認められませんが、重さは驚きの105g。(ウインドストッパー アクティブシェルを使用の2レイヤー)。撥水ウィンドシェル以上、雨具未満として、そこそこ雨を防いでくれるウインドシェルというトレイルランナーのニッチなニーズを満たしてくれるジャケットだと思います。
三つ目は、王道である3レイヤージャケットの更なる軽量化。そしてお待たせしました。それが今回の受賞アイテムであるOMM Aether Jacket/Smockです。
2レイヤー、3レイヤーって何よ?て方に簡単に説明をすると、要は雨具に裏地がついているかどうか。比較すると、裏地がついていない2レイヤーの方が物理的に軽いですが、結露を起こしやすく素材の数値的な透湿性とは別に、体感的なベト付きを感じやすいです。逆に3レイヤーは裏地が汗を保水して徐々に拡散していくため、2レイヤーに比べて肌触りや快適性は高いが、裏地の分重量が増えます。ちなみに2.5レイヤーというのは裏地は張っていないけれど、メンブレン(雨具においては機能の核となる防水の膜のこと)の保護と肌触りの改善のために肌に触れる部分にコーティング等の加工をしているものを言います。
コレまでの軽量3レイヤージャケットの代表格と言えば、MONTANEのSPEKTR SMOCK(Mサイズ実測で220g前後)でした。実はGOLITEのMALPAIS TRINITY 3LAYER LITESHELL JACKETというジャケットがGOLITEの独自の防水透湿素材であるTRINITYを使用して190gという軽さを実現してるのですが、それでもSPEKTR SMOCKが代表格と言えるのは、使用している素材”eVent”防水透湿機能のクオリティの高さによるところが大きいです。(僕もMALPAISを持っていますが、肌触りこそ悪くはないものの着るときには2.5レイヤーのジャケットくらいのイメージで使っています)
そして、今年の秋、満を持して登場したAether Jacket/Smockは、SPEKTR SMOCKの軽さを大幅に更新、SmockのMサイズでも190g台、Sサイズにいたっては180gというeVentの3レイヤージャケットとしては驚きの軽さを実現しています。そして、このジャケットの優れているところは軽さだけではありません。Aetherの前身モデルであるCypher Jacket/Smockはウェアの表地が硬くごわごわするのですが、Aetherは、Cypherと触り比べて明確にわかるくらい、より柔らかく、しなやかになっています。着ながら走る(腕振り等の動きを伴う)というトレイルランニングの特性を考えると、この進歩はとても嬉しいです。
ちなみに僕は10月に参加したOMMレース(わざと天候の荒れる時期に開催される)で、Aether Smockを使用しましたが、暴風雨の中の8時間ほどの使用で、防水性の側面からも透湿性の側面からも全く問題を感じませんでした。余談ですが、OMMレースに出てみて、OMMのアイテム群はこの過酷なレースで効果的に使えることを前提に開発されているんだなと言うことをとても良く実感し、よりブランドに対する信頼感が増しました。
話を一番最初に戻します。ウインドシェルの用な軽さと着心地の良さに、悪天候にも耐えうる防水性と、激しい動きによる体からの汗を逃がしてくれる透湿性を持った理想のジャケット。これの実現に正面から挑み、防水透湿性、軽量性、動いたときの快適性を実現したOMM Aether Jacket/Smockに本命シェルオブザイヤーを差し上げたいなと思います。
ちなみに合わせて紹介したアイテムとの優劣を付けるつもりは無いのでその点ご理解下さい。ここで紹介しているものはどのアイテムも、特徴(良い点と弱点)を理解して自分のニーズや状況と照らして合わせて使えば、とても機能を実感できる優れたアイテムです。
さて明日、2013年最後のブログはRun boys! Run girls! 的ギアオブザイヤー(後編)。世界の斜走からオブザイヤー、Dogs or Caravan オブザイヤー、そしてRun boys! Run girls! 的ギアオブザイヤーの発表です!
ちなみに今回紹介したアイテムで在庫があるものに関しては通販も承りますのでお気軽にお問い合わせ下さいね。
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