ブログ読者のみなさま、はじめまして。この度渋井さんとのご縁からMMAブロガーに任命いただきました、鈴木貴丸(タカマル)と申します。(本名です!)
第一回目の投稿ということで、自己紹介を。
神奈川県出身の29歳、小学校から大学まではサッカーに明け暮れてきました。小学校2年生のときに日本代表がフランスW杯に初出場、6年生の時に日韓W杯開催。ジダンと中田英寿がアイドル。そんな、いわゆるゆとり世代ど真ん中です。
普段は某インターネット系企業で働いていて、仕事大好き。仕事が生活の一番の優先順位になっています。要するに、トレイルランニングを生活の糧にしているわけでも、選手としてものすごいわけでもない、一介の市民ランナーです。それでもなんとかバランスを取りながら、このアクティビティを最大限楽しむということについては、それなりに真剣に考え、試行錯誤しながら取り組んでいます。
トレイルランニングを知ったのは、父の影響から。当初は「何かやってんな〜」くらいに思っていたのですが、大きな転機となったのは当時NHKで放映されていた「トランスジャパンアルプスレース」。この録画をごく軽い気持ちで見たことがきっかけでした。
聞けばフルマラソン10回分の距離、富士登山7回分の累積標高を、合計8日以内で走破する日本一過酷とも言われるレースに、一般市民ランナーが挑むというじゃないですか。
そのあまりにも常軌を逸した光景に、稲妻が走るような衝撃を受けました。気づけば食い入るように観ている自分がいて、選手がゴールの大浜海岸に飛び込んでいく姿には、目頭が熱くなり、込み上げてくるものがありました。この時感じた熱い気持ちは今でも鮮明に覚えています。
「俺もやってみたい」。おそれ多くもそんな感情を抱いたことが、トレイルランニングを始めるきっかけになりました。
その後、たまたまタイミングよくトレイルランニング好きの先輩と知り合い、誘ってもらったことをきっかけに本格的に走り始め。それからはや3年。様々な山域に出かけ、国内外の個性豊かなレースに出場し、サポート、ペーサー、トレイルワークなど、色々な関わり方でこのアクティビティと関わってきました。また、畏れながらMMAのシーズンカタログにも出させていただきました。
今回、こういった発信の場をいただけるということで、僕の目から見たトレイルランニングの魅力、またトレイルランニングを通じて考え、学んだことをみなさんにシェアしていければと思っています。特に若い方に読んでいただけると嬉しいなあ。
余談ですが、タイトルは僕が大きく影響を受けた書物である村上春樹著のエッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」(文春文庫)から拝借しています。
作中、著者自らがサロマ湖100Kマラソンを走るシーンで以下のような一節があります。
どんなに走るスピードが落ちたとしても、歩くわけにはいかない。それがルールだ。もし自分が決めたルールを一度でも破ったら、この先更にたくさんのルールを破ることになるだろうし、そうなったら、このレースを完走することはおそらくむずかしくなる。
また、こちらは有名ですが、作品冒頭で以下のようなセンテンスが出てきます。
Pain is inevitable. Suffering is optional.
(痛みそれ自体は避けられない。ただ、苦しみはこちら次第。)
僕はこの2つの言葉がとても好きで、この言葉に幾度となく勇気づけられてきました。自分で決めたルールを決して破らない、自分に負けないという点における村上春樹氏のストイックさ、マッチョイズム、プロフェッショナリズム。
そして、苦痛それ自体は避けられずとも、それをどう捉え、扱うかを決めるのはあくまで自分であり、コントロールできるはずであるというスタンスと、強い信念。これは、トレイルランニング、特にウルトラをはじめとしたロングトレイル(そして時に仕事、人生も)といった、ある種苦痛を伴うことを前提とした物事において、極めて重要なスタンスだと思うのです。
山を思い切り楽しむことを前提としながら、いや思い切り楽しむためにこそ、そこには一本ピンと筋の通った、秩序のようなものが必要なのではないか。簡単にあきらめない。苦しい状況をコントロールする。そこからさらに一歩踏み込んで、苦しい状況すらも楽しんでみる。それこそがまさに、レジェント・鏑木さんの言う「楽しむ勇気」なんじゃないか、と思ったりします。
これが僕にとってのファンラン観であり、レース観であり、トレイルランニング観であり、少し大げさにいうと人生観でもあります。トランスジャパンに惹かれたのも、このような感性ゆえかもしれません。
今後もこんなスタンスでこのアクティビティと向き合っていきたいと思っていますが、とはいえ向き合い方は人それぞれだと思っていますし、個人の中でもライフステージに合わせて変化するものだと思っています。あくまで「今」の僕の感覚をベースに筆を執っていきたいと思いますので、発言が右往左往することもあるかと思いますが(笑)、生温かい目でご笑覧いただけますと幸いです。
初回から長くなってしまいました。それでは。