前記事の羊蹄山の翌日には北海道の北に浮かぶ礼文島へと行った。礼文島の最高地点は450mほどの礼文岳で、大部分が200m以下の低山であるが、2000m級の山の上のような高山植物の草原が広がっている。そして何よりもトレイルがしっかりと整備されており、トレイルランニングのフィールドとしても素晴らしい島である。
トレイルの詳細については地図からコースガイドまで下記サイトに書かれている。
http://rebun-trail.jp/
初日は夕方に到着したのでフェリーターミナルのある香深の町に宿を取り、町の裏側の桃岩展望台までの往復。高山植物の草原の先の海に浮かぶ利尻富士の眺めが何とも幻想的である。夕暮れ時の草原と海の眺めを満喫して町へ戻る。夕飯には名物のバフンウニをふんだんに使用したウニ丼を食べる。これだけでも、この島まで来て良かったと思える一品である。
2日目は昼過ぎのフェリーに乗る必要があったため、香深井から礼文林道コースに礼文滝往復を加えた約15kmのコースに行った。礼文林道は幅も広く走りやすい。礼文滝への道は2kmほどのシングルトラックであるが、季節のせいか薮が濃くクモの巣が張り巡らされていたのが厄介だった。それでも緑の谷間の川沿いを抜け、海へと注ぐ断崖にある滝へと辿り着く道は気持ちいいトレイルであった。滝から林道までは来た道を引き返してレブンウスユキソウの群生地を通りながら香深の町へと戻る。フェリー乗り場近くに礼文温泉「うすゆきの湯」があり、トレイルでかいた汗を流して島を後にする。風呂からは利尻富士を眺める事ができる。夕方着、翌昼出発の短い時間であったが滞在を楽しむ事ができた。
今回は旅程の都合上で行けなかったが、島の最北端にあるスコトン岬から岬めぐりコース/8時間コース/礼文林道コース/桃岩展望台コースを組み合わせた約30kmのコースがトレイルランニングに最も適しているだろう。高低差が少ないため快適に走る事ができるし、水場こそないが、途中にエスケープポイントはいくつもある。朝一のバスでスコトン岬に移動すれば夕方のフェリーに乗る事も十分可能である。
礼文島の難点はやはり交通手段が限られていることであり、稚内もしくは利尻島からのフェリーとなる。しかもフェリー起点の稚内も利尻島も東京から行ける飛行機は少なく、札幌から特急に乗ると稚内まで5時間もかかる。天候の影響による欠航もあるため、旅程には十分ゆとりを持つ必要がある。また、島のコンビニは香深の町から2km離れており、食料の調達についてもやや不便である。こういった点があるにしても、高山植物の草原と海が間近に見れる最北のトレイルには一見の価値がある。隣の島、利尻島の利尻富士と合わせて訪れたい場所である。
本記事を公開するまでに3ヶ月が経ち、間もなく雪に閉ざされる北の地であるので、雪が解け気持ちよいトレイルが再び姿を現すのは来年の6月となる。