2月後半になった週末、日光の雲竜渓谷の氷柱と雲竜瀑の氷瀑を見に行ってきた。2月初めまでが見頃と言われているので、ぎりぎり間に合ったタイミングだろう。昨年は秩父の三十槌の氷柱を見に行ったが、何と言ってもこちらの氷瀑の方がスケール感は圧巻である。最近はかなりの人が訪れているし、初めてアイゼンを履くような人のツアーも開催されているのでまあさほど苦労はしないだろうとたかをくくっていた。日光駅に8時半前に着き、滝尾神社へと向けて進んでいく。日向砂防ダムの堰堤の後ろは平原が広がっていたが踏み跡を辿っていくと間違ったルートに行ってしまい、しかもいい感じの氷柱の渓谷だったのでここが雲竜渓谷と完全に勘違いする。渡渉と高巻きがある、ということは直前に行った人のブログで見ていたので、まあ道険しそうだけどここでいいのかな、と思い進む。渡渉も飛び石で渡る事もできない幅の沢となっているので、膝下を濡らしながら進むと、先に踏み跡をつけていた一団が氷壁の前で立ち往訪していた。両側は氷壁、川の先には堰堤というところで、高巻き以外に行く道は無い。
わかりづらいが左の崖はほぼ氷がついている。奥を回りながら中程の木が生えているところまで登って危険を感じ断念
氷壁なんか登った事も無いし、スノースパイクの爪が効かなければ、手でバランスとろうにも岩壁とは違って摩擦力ゼロのツルツルでまるで登れる気がしない。ピッケルも12本爪も持ってきていないので、足元は全く不安である。しかし、道がこっちぽいという所を見つけ、足の幅の半分くらいの所であったが何とか通ってしまうとそこにロープがあり、垂直に近い登りがあった。その先も落ちたらさようならという道が続いていて、正直、こんな所を何度も行くのであれば、それに見合う技術も装備も持っていないのであきらめることにした。先ほど立ち往生していた5〜6人の人たちは果敢に登ってくるので道を譲る。戻るにも10m〜15mの氷壁の断崖が切り立った谷底へ転落すると大ケガで済んだら運が良い方という感じである。
非常に気を使って何とか降りて日向砂防ダムの堰堤の所まで戻る。谷の西岸の森の形を見るにいかにも道がありそうということを感じていたが、堰堤の近くに雲竜渓谷への道を示す正しい標識とそちらへ向かう踏み跡を見つける。先に行く人の踏み跡を信ずるのではなく、標識と地図を信じなければならない。ツアーの人も訪れるような所なので、踏み跡を辿っていけばよいという甘い考えをしていたのが完全にミスである。そもそも、アイゼンを初めて使う人のツアーで氷壁を高巻きするなんて無謀なルートが組まれるはずがない。正規ルートでの林道を歩き、先ほどはまった谷の所まで来ると洞門岩の標識があった。後から調べて分かった事だが、間違えて洞門岩の谷に入り込んでしまう人は一定数いるようだ。正規ルートはさっき死ぬような思いをした後だった事もありキツい所はほぼなかった。渡渉時に氷を踏み抜いて膝上まで水につかったり、途中でスノースパイクが片方外れて落としてしまったこともあり、雲竜瀑への高巻きの下りで雪斜面をやや滑ってしまったが、大事には至らず無事に雲竜瀑へと何とか辿り着けた。
帰りは滝尾神社から二荒山神社へと行く道を通ったが、積雪があった雲竜渓谷と違い、完全凍結した石段というか氷段の方がはるかに危険で、つるっと滑って背中から転んでしまった。山を下りたからと言って気が抜ける訳ではない。二荒山神社やら東照宮やら日光観光っぽいことをして駅に戻って本日の走行距離28km。といってもロード部分やごく一部の広い所以外は走れない道ではあった。道迷いの影響が大きいが、無事に帰れた事に感謝。道迷いで獣道に入り込んだときもそうであるが、明らかに歩きにくいところとうのは道を間違えている可能性が高い。そして、間違えた人の踏み跡が残っているという事は往々にしてある。5年前にやらかした転落のこともあり、基本的にはヤバそうだったら戻る事にしているが、今日は少し進んでしまったがために危険な氷斜面を下ることになってしまった。スノースパイクを片方落としていた事についても氷瀑手前で滑ったことを考えると気付いた時に探しに戻るべきではあった。今一度、ルート選びと早め早めの確認・引き返しが重要であると痛感したし、少しでも変だと感じた場合はとにかく慎重になる必要がある。日光は遠いと思っていたが日帰りでも十分楽しめる事がわかり、今度は雲竜渓谷の背後にそびえる女峰山を登りたいと思った。
堰堤ハイキングコースを進む
日向砂防ダム裏の平原。左の斜面の林道に行くのが正解、奥へ進むと洞門岩の下へ
雲竜渓谷の氷壁と氷柱。スケールは圧倒的
途中で落としたスノースパイク(中程の黄色)を回収
積雪はあるが歩きやすい林道
裏側の稜線を気候のいい時期に歩きたい
氷だらけの参道