今日で平成が終わり、明日から令和になる。年末頃から平成30年史的なテレビ番組が頻繁に放送されている。そんななか、トレイルランニングの歴史について調べたみた。平成の歩みはトレランの歩みと呼べるくらい、この時代に生まれ、成長してきたものである。平成30年間を10年刻みで考えるとちょうど黎明⇒助走⇒成長とやってきて、まさに今が成熟期に入ろうとしているところである。
1948 富士登山競走
1964 東京オリンピック
1977 Western States Endurance Run
1980 山岳縦走が国体の正式競技となる
1986 大山登山マラソン、サロマウルトラ
1989 平成元年
1990 山田昇記念杯登山競走大会
1991 チャレンジ富士五湖
1993 日本山岳耐久レース(ハセツネ)
1995 野辺山ウルトラマラソン、FSA(ISFの前身団体)設立
1994 京都東山36峰マウンテンマラソン
1999 北丹沢12時間山岳耐久レース、青梅高水山トレイルラン
2002 Trans Japan Alps Race(TJAR)
2003 Ultra Trai du Mont Blanc
2006 OSJおんたけスカイマラソン(最初のOSJシリーズ)
2007 OSJハコネ50K、東京マラソン
2008 OSJおんたけウルトラトレイル100K、International Skyrunning Federation(ISF)設立、国体山岳縦走廃止
2009 激走!モンブラン放映、信越五岳トレイルラン
2012 Ultra Trail Mount Fuji、Mountain Martial Arts設立
2013 International Trail Running Association(ITRA)、Ultra Trail Word Tour(UTWT)設立
2019 平成から令和へ
2020 東京オリンピック2020
①平成以前(~1998)
富士登山競走が戦後すぐから行われているのが他を圧倒する歴史を誇っており、東京オリンピックの頃にはもう15回以上も開催されている。海外に目を向けるとWestern Statesが平成の始まるよりも10年以上前から行われている。このくらいになると、参加者の平均年齢よりも大会の方が古い、というレベルの歴史だろう。1980年には国体の山岳縦走が正式競技となり、平成前夜とも言える80年代後半の時期になって大山登山マラソンやサロマ湖ウルトラマラソンといった大会が始まっている。
②黎明期1989~1998
日本山岳耐久レース(ハセツネ)や山田昇杯(上州武尊スカイビューの前身)といった大会が相次いで始まっている。並行して今ではメジャーとなったウルトラマラソンの大会も始まっているが、この時期は知る人ぞ知る世界で、トレイルランニングという言葉自体が存在していたのかどうか。同じように山を走る、スカイランニングという言葉はどうやら1993年に生まれたようである。
③助走期1998~2008
20年前に北丹沢や青梅高水といった、今でこそ人気の大規模大会が相次いでスタートしたのに始まるのがこの時期である。UTMBもこの時期に始まっている。アウトドアショップの売り場にトレイルランニング専用のウェアやシューズ、リュック等が充実し始めたのもこの時期だろう。2010年頃に既に伝説と言われていたOSJハコネもこの時期の終わりに行われている。そして、締めとしては2008年におんたけウルトラ100Kが行われ、今日まで続くウルトラロングの大会がスタートした。一方で国体からは山岳縦走競技が廃止されている。また、東京マラソンの第1回が2007年に行われ、それの後追いでランニングブームが起こるなど、ロードからトレイルへというニーズの下地も作られている。急成長を遂げる前の下準備がなされていた時期で、あとはきっかけを待つといった状況で成長期へとつながる。
④成長期2009~2019
最も象徴的なのは2009年の激走モンブランの放映であることは間違いないだろう。NHKで放映されたこの番組が美しい山の映像と手に汗を握るレース展開を紹介したことでトレイルランニングという言葉を世の中に知らしめた。この10年のトレイルランニングの盛り上がりのすべてが始まった。個人的には社会人一年目の時に何となくやってみようと陣馬山トレイルレースに出場した直後の放映だった。一気にこの世界にはまるきっかけとなった。そして当ブログを載せていただいているこのサイト、Mountain Martial Artsがスタートしたのもその3年後である。信越五岳やUTMFといった、いつかは出てみたいといわれるような国内の大会もさることながら、全国各地で行われる大会の数もそれまでから一気に増えていった。世界的に高まるトレイルランニング熱から2013年に国際的な団体が設立されるなどしている。
⑤令和の時代、これから
この10年間で急成長してきたものがどう成熟化していくかが次の10年間の流れとなるだろう。気持ち良いアクテビティとしてこれからも長く続いていくために、山へ行った時にはSay Hello, Share Smileを忘れずに。