コロナウイルスが猛威を振るい、もう2週間以上も電車にも乗らない生活に入っている。この状況になる1か月ほど前、気の緩みの3連休と呼ばれた春分の日の週末の1週前に、四国に行った。もはや、毎日アップデートされていく感染者数にその時どうだったかという記憶も曖昧になりつつあるが、東京はまだ増え始める前の段階、北海道を筆頭に愛知や大阪の方が多かったような時期で、陽性確認者が10弱の県においてはゼロだった。飛行機移動におけるリスクに若干不安があったが、現地は原則レンタカーで、ホテルも部屋のユニットバスを使って温泉をあきらめる限りは問題ないと判断した。
香川に飛びながら、目的地としたのは徳島の剣山である。標高1955mで、愛媛の石鎚山に次いで西日本第2の高さの山である。四国の平野部で雪が降ることはほとんどないが、さすがに2000m級の山となるとそれなりに積もる。3月中旬の残雪の時期を高松空港から登山口までは約2時間、雨の空港の時点で嫌な予感はしていたが、標高1000mのあたりから路肩に雪があるようになり、あと5kmくらいのところで完全な雪道になり、危険と判断して引き返す。登山道での雪に対応するためのアイゼンは持っていたが、まさかの登山口すらたどり着けず終わる。この前日か前々日にノーマルタイヤで登山口まで行けた人がいたようなので何とかなるかと思ってたが、3月は季節の変わり目なので降ることもあるし、降ったら高い山なので積もってしまう。
天気に恵まれずに山に登れなかった帰りに立ち寄った、香川の父母ヶ浜で夕日をきれいに見ることが出来た。天気は気まぐれでいやはや何とも。この日は高松に泊まる。翌日は山ではなく、文化的活動もたまにはということで、豊島か直島に行くつもりだったが、こちらもコロナウイルス対応で美術館が閉館中、3/19くらいまでが山場だなんて当初言われていた渦中の時期だったのである。小学生の頃に高松に住んでいたことがあるが、相変わらずの街で、久々の本場の讃岐うどんが懐かしかった。
結局、翌日に気を取り直して向かったのは女木島である。高松市内からフェリーで20分の距離である。南北約4kmの細長い島で、鬼ヶ島伝説の洞窟のある島の北側に大半の観光客は向かう。島の南側に最高点があり、たかだか200mほどの頂上であるが、瀬戸内海の島々や、高松市内の方向を一望することが出来る。港から散歩気分で頂上まで登れるが、海と空を独り占めにした気分になれる。こういう島にすぐ行ける環境はうらやましい。
この旅行の時にゼロだった香川県も2、3日後には陽性が発見され、東京に至ってはその後ご存じの有様である。剣山の残雪シーズンのラストである今くらいに、再度リベンジでの四国行きをこの時には企んでいたが、現在となってはもはや外に出ることが出来ない。飛行機に乗ってまで出掛けた四国で、最大の目的は天候により達せずで、リベンジもまたずっと先となってしまった。夏までは忍耐の時期なのだろう。引きこもりの今は、粛々と近所のランニングでもしながら、次の山行きの計画を立てる時期なのだと思う。