上毛というと関東圏というか全国的には「じょうもう」で定着している向きがある。福岡県の東端とその周辺では「こうげ」と読む。僕が住む「こうげまち」だ。
博多駅前で、道ゆく人に「すいません、この町の読み方知ってますか?」と尋ねても、正答率は1割以下。スペイン語検定1級の合格率くらいの認知度である。福岡県民ですらほとんど知らない秘境のような町なのだ。
秘境すぎるためか、町の南部に低山が連なっているにも関わらず、トレイルを走っていてもランナーをほとんど見かけない。出会えるのはシカとイノシシだけ。いや、時々タヌキも出るし、まだお目にかかってはいないがサルもいるとか。彼らは獣道を走るので、使われることのない登山道やトレイルは必然的に独り占めできる。
そんな動物王国と化した山中は昭和が潜んでいることで知られている。気を抜いていると、息をひそめていた昭和がひょっこりと現れてくるのだ。
そのひとつがこれ。
いつの時代のデザインなのか、さっぱり分からなかった。調べてみると40年ほど前らしい。
このファンタは上毛町にて開催した地図読みなどのイベントの際に発見した空き缶である。このときの講師は秘境ランナーの樺澤秀近さん。数々の砂漠レースやユーコンクエストに出場している冒険野郎だ。初めて来て下見で昭和と遭遇できるとはさすが秘境ランナー、恐るべし。
他にも昭和が隠れていた。
アクエリアスレモンはファンタとの遭遇から2日後に発見。30年ほど前のパッケージという。 落ち葉の降り積もった地表ばかりに目を落としていたら、なんと標識も昭和の化身として立ち尽くしていた。
幻の昭和65年である。休猟の期間はすでに終わっている。外せばいいのにと思うが、秘境すぎて設置したはいいものの、担当者が辿り着けないのだろう。知名度はないが、侮れない町である。
米を担いでトレイルを走る大会を開催する町でもある→ https://www.facebook.com/SyugendoTrail/