先日、祖母が亡くなった。
95歳という年齢を考えると、仕方ないのかもしれない。そんなわけはなく、どうしようもなく悲しかった。
1カ月前に祖母の状態があまりよくないことは告げられていた。
「SAIGO Trail」を走りながら、ふとした瞬間に祖母のことが頭に浮かんできた。いつかは必ず迎える最期のとき。祖母が刻んできた物語の終わりは、納得のいくものなのだろうか。
そんなことを考えてしまったのは、西郷隆盛の敗走路という哀愁に満ちたコースであることも無関係ではない。
稀代の豪傑とはいえ、逃げ延びていく西郷とて自分の結末がどうなるのかは分かっていただろう。それでもなお歩みを止めずに進み続けた。死地を自分の意志で決めようという信念に支えられての旅路である。
望むと望まざるとに関わらず、人生のゴール、あるいは終着点にむけて進んでいく。すべてのトレイルレースと同じで、進んでいる間は長く感じ、ゴールが近づくと短く名残惜しく感じられる。僕たちにできるのは、ゴールが訪れるまで全力で走ることくらいだ。だから今日も精一杯生きる。